2018年3月17日診察。
33歳 女性。

主訴…両前腕の外側・後側の痺(しび)れ。ヒリヒリする。さすりたくなるような。気にならない程度のものが10日前からあったが、ここ3日ほどが急に強くなり、寝にくいほど。

既往…もともと疲れやすく、1か月前から当院で治療中。経過は良好でここ一週間は疲れを感じていない。

脈診…左右とも中位。幅なし。

腹診…両少腹に邪。浅部は瘀血。深部は邪熱。
    両章門の深部下方に邪熱。
    章門の左右の邪の絶対量が同等。

空間診…臍の左上に反応。

選穴…空間で左上に出ているため、左上の穴処を用いる。脈幅がなく、腹診の邪がある。邪実を強くしないで、正経のみ強くするために、奇経を補う。春分以降は自然界の活動期に入るため、表のキャパが増すことが想定される。しかし、診察日はまだ微妙な時期。内関(陰維脈)と外関(陽維脈)の穴処の反応を比較、左外関に生きた反応があるため、これを使用する。
「春分…陽維脈を取る」をご参考に。

腕の痺れ ブログ図

治療…外関に1番鍼を用いる。望診により左神門の方向に補うスペースがあるのを確認し、鍼尖をその方向に向けて2mm刺入し補法。6分置鍼後、穴処を押えない瀉法の手技で抜鍼。そのまま15分休憩させ治療を終える。

効果…抜鍼直後、左腕の痺れがましになっていた。右は変わらず。15分休憩後、両腕とも痺れがほとんどなくなっていた。

考察…冬場(秋分から春分まで)から夏場(春分から秋分まで)に変わろうとする時期に、体がうまく対応できずに出た症状であると考えた。冬場は体の深部(裏)のキャパが大きいが、夏場は浅部(表)のキャパが大きくなる。春分前後はその転換期となるため、その転換がうまくいかないと、それが主要原因で症状がでることがある。原因は邪実による気滞、もしくは正気の不足による。

痺れは、上肢の局所的血虚があったためと思われる。手陽明・手少陽・手太陽に痺れが出ていたのでこの経絡の経気不利による血虚だろう。

もともと疲れやすさがあり、全体としての気血の弱りがある。一か月間の治療によってほぼ回復したと言ってよいが、裏から表への転換期に、急激に暖かくなったため、その転換が急をせまられ、体が対応できず痺れを生じた。

具体的には、下肢(陰)ではなく上肢(陽)、陰経ではなく陽経、しかも陽経の浮絡(皮膚表面)という、もっとも表・陽の部分、この限局した部位で気血の弱りが生じた形である。陽維脈のキャパが大きくならなければいけないこの時期に、いまだ小さいままだと、本来収容すべき表の気血の量が足りなくなる。陽維脈を補うことで表のキャパを増すと、十二経洛、とくに陽経の浮絡に気血の補充スペースが増す。そのため、この時期として当然あるべき表の気血が補充された。そのため、痺れが速やかに消失したと考えられる。

ちなみに、裏には冬場ほどのキャパは必要ない。陰維脈は減ぜられるため、気血のシェアリングがうまくできた形である。


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