眞鍼堂|奈良県橿原市の鍼灸専門治療院 大和八木駅から徒歩7分

一本鍼が鍼灸の力を最大に発揮。奈良県橿原市で本格的な東洋医学を実践する鍼灸院。肩こり・腰痛はもちろん、うつ・パニック・めまい・アトピー・喘息・不妊症・PMS・更年期障害・発達障害など、全科に対応。

東洋医学の診断って何だろう

東洋医学の診断は、虚実に尽きます。
この患者さんの病気の本質は、虚なのか。実なのか。

その次に大切なのは寒熱です。
この患者さんの病気の本質は、寒なのか。熱なのか。

虚実に関しては、「正気と邪気って何だろう」ですこし触れました。
正気の弱りのことを「虚(きょ)」といいます。
邪気の充満のことを「実(じつ)」といいます。

寒熱に関しては、「薬膳と漢方…効き目の法則」で触れました。


寒熱虚実。

これが治療を行う際に、羅針盤に相当するものです。
これをつかんでいれば、治療効果はダイナミック。



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例えば、ここ奈良から、北海道に旅行するとします。
行く先は、北東の方角ですね。
もし、これを間違って南西の方角に進んでしまうと…
あれ?沖縄についてしまった。
これでは望んでいた旅行ではなくなってしまいます。
旅行で一番大切なのは、どの方向に向かって進むか、ということ。
これは虚実に相当します。
虚(正気の不足)として治療するのか。
実(邪気の充満)として治療するのか。
これを間違うと、とんでもない方向に行ってしまう。
かえって病気を悪化させてしまうのです。



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北海道に行く方向は北東。
この方向でまちがいなく、進むことができるとします。
ただし、旅行にはもう一つ大切な要素がある。
季節です。
冬の北海道。夏の北海道。
どちらがいいでしょう?
夏の景色が好きな人が、間違って冬の北海道に行ってしまった。
これじゃ、素敵な旅行にはなりませんね。
寒熱の診断はこれに相当します。
この患者さんの体質は寒なのか。寒なら温めなければならない。
この患者さんの体質は熱なのか。熱なら冷まさなければならない。
虚実ほどではありませんが、寒熱も治療の成否を決定する大きな要素になります。



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寒熱虚実が決定した。
たとえば、夏の北海道で決定したとします。
では、旅行のメインを何にするか。
食べ物? 山登り? 観光? 釣りが目的の人もいるかもしれません。
細かいところを、きちっと決めておけば、旅行はより確かなものとなります。
これは、五臓のうち、どこが主に悪いかを診断するのと似ています。
脾が悪いのか。腎が主要なのか。それとも肝を中心に病んでいるのか。はたまた心? 肺?
これを診断しておくことにより、治療が的確なものになります。
当然、効き目はビビッド。



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東洋医学の奥深さは、虚実・寒熱・五臓の診断が難しいところにあります。
なぜ難しいか。
じつは、虚実の判定、つまり虚なのか実なのかを診断することが一番難しいんです。
冒頭に述べました。
虚実は、東洋医学の診断で、治療の成否を決定づける最も大きな要素である、と。
その最重要事項かつ基本的な判断が、一番難しい。
寒熱の判定も難しいですが、虚実に比べると判定しやすい。
五臓のどれが病気の中心になっているのかは、これらに比べて容易と言えます。
治療の基本、虚実。
基本でもあり、最後の難関でもある。
東洋医学を極めることの難しさ、ですね。
同時に、やりがいのあること、です。



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どんな風に診断していくか。
簡単に説明していきましょう。
まず、患者さんが、診察室に入ってくる。
この時から診断は始まっています。
目の輝きはどうか。
歩き方はどうか。
動作の様子は?
顔色は?
挨拶の口調は?声の張りは?
これらを、こうだと決めつけることなく、
かと言って、見逃すでもなく、
治療師は自意識と無意識すべてのアンテナの感度を最大にして受け止めます。



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「今日はどうされましたか?」
「肩がつらいんです。」
聞くと同時に、患者さんの目の動き、心の反応を診ながら、
訴えを分析します。
この訴えを治すことに専念しながらも、
その訴えを起こすに至った土壌を見抜くことを最重要視します。
この肩凝りが、パソコンが原因でも、ガンが原因でも、その視点は変わりません。
…「睡眠はどうですか。」「食欲はどうですか。」「体を動かすとどうなりますか。」
などなど、
患者さんの自覚をくまなく聞き出し、また、体を見、体にじかに触れ、どういう土壌なのかを割り出します。
肝が病んでいるのが土壌なのか。
脾が病んでいるのが土壌なのか。
腎が病んでいるのが土壌なのか、などなど。
同時に、
肝は熱を持っているのか。
脾は冷えているのか。
腎は熱か、寒か。
熱は虚熱なのか。実熱(邪熱)なのか。
寒は虚寒なのか。湿痰が原因なのか、
気は虚の状態か、それとも実の状態か。
血は虚の状態か、それとも実の状態か。
などなど。



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あらゆる可能性を並べ、
どれが患者さんの訴えの土壌としての最大原因なのか、を診断します。
その診断に必要なのが、「四診」です。
四診とは、「望診」「聞診」「問診」「切診」のことです。
「望診」とは、見ることによる診察。
顔色や体の皮膚の色から診断する「気色診」、舌を診て診察する「舌診」があります。
「聞診」は聞いたり嗅いだりすることによる診察。
声色、お腹のグル音、体臭、口臭などに注意します。
「問診」はお分かりですね。
「切診」は「接診」と同じで、患者さんの体にじかに触れることで診断します。
脈を診る「脈診」、お腹を診る「腹診」、背中を診る「背候診」、手足のツボを診る「原穴診」などなど。



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これらを駆使して、
五臓のどれを病んでいるのか、
寒熱はどちらに偏っているのか、
虚実はどちらが中心なのか、
を判定するんです。

五臓の診断は比較的簡単だ、といいました。
これは問診するとだいたい分かります。

ただし、時には、肝も脾も腎も悪い…どれが中心?
と、なってしまうこともあります。

寒熱も問診である程度分かります。
飲食物を、冷たいものを好むか、暖かいものを好むか、など。
舌診も寒熱を伺うのに重要です。
舌が赤ければ熱。白っぽいなら寒。
舌のコケでも診断できます。
コケが黄色なら熱、白なら寒。
ただし、寒熱錯雑といって、両方の症状が出てしまうことがあります。
これを判定するには、多くの東洋医学的な知識が必要です。
東洋医学的な生理・病理を熟知していれば、迷うことはありません。



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一番難しいのが虚実です。
虚実をどのように診断するかは、いろいろな方法があります。
例えば負荷試験。
どれだけ歩いたり走ったりが可能か。どれだけ風呂に入っていられるか。
これは説得力があります。
正気の衰えのある体力のない人は、
少し動いたり入浴しただけで、しんどくなります。
これは虚です。
ひどくなると、おしっこをしただけで倒れそうになる場合も。
30分も風呂につかって症状がましになるとか、
走ろうが労働しようが、しんどくならない、かえって楽になる。
そういう人が病気ならば、
これは実です。
正気は足りているが、邪気が盛んで症状がでている。



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これだけ極端ならば、虚実の診断は容易です。
ただし、臨床では、こんな簡単な人は、まずいない。
そこで、古来から色々な方法があります。
例えば脈診。
脈の力が強ければ実。弱ければ虚。
ただし、時に例外があります。だから脈だけで確定するのは難しい。
腹診も虚実が判定できます。
お腹を押してみて、力が強ければ実。弱ければ虚。
ただし、これも時に例外が。
舌診。
舌が力強く出せれば実。弱々しければ虚。
ただし、これにも例外が。



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負荷試験・脈診・腹診・舌診をトータルで勘案して虚実を出す、
というのが、一応セオリー。
しかし、負荷試験はどっちつかず、脈診は実、腹診は虚、舌診は…
という風に、
虚も実も両方みとめられ、
迷ってしまうケースが必ずあります。
ここに東洋医学の難しさ、壁があると思います。
東洋医学を真摯に追求しておられる先生方は、
必ずこの壁を知っておられることと思います。



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その壁をを乗り越えられた先生は、
セオリーを超越した「何か」を持っておられるのではないでしょうか。
それは、患者さんと向き合った時に感じる「何か」かもしれません。
もしくは、患者さんの体に触れた時に感じる「何か」かもしれません。
どちらにしても、
言葉を超えた、理論を超えた「何か」。
言葉では説明しづらい、理論では説明しづらい「何か」。
それは東洋医学の基本であり、究極。
それは「働き」という、つかみどころのないもの。
「気」の医学たるゆえんです。



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