1970年代のカナダのベーシックインカム導入実験では、労働市場に変化は見られなかったものの、精神疾患の減少や病院の入院期間の短縮、犯罪件数や子どもの死亡率、家庭内暴力の件数が減少し、学業成績の向上が報告されたという。

2010年代に入り注目されているベーシックインカム。70年代のカナダの成功事例・問題点を書いてくれているサイトがあったので紹介したい。

DRIVE リンク より
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○カナダのマニトバ州パイロットプログラムの概要
カナダのマニトバ州ドーフィンでは1974-79年の5年(実施期間は4年間)、ピエール・トルドー首相の下、カナダ連邦政府とマニトバ州政府が共同でベーシックインカムのパイロットプログラムを実施しました。その取組みは「MINCOME」と呼ばれています。
MINCOMEの目的は、無条件に支給される所得によって「人々の労働意欲は削がれてしまうのか否か」を明らかにすることでした。しかし、当時の政権が力を失い、パイロットプログラムはやむなく終了、そのデータは分析されることのないままお蔵入りとなってしまったのです。そのデータが2009年に分析され、2011年に報告書としてリリースされました。

○パイロットプログラム導入の経緯
北米では、「保証された年間収入」(Guaranteed Annual Income, 以下GAI)と呼ばれるアイデアがありました。今でいうベーシックインカムと同じく、資産や労働の有無に関わらず「すべての個人に対して無条件に支給される所得」です。
当時は、障がいを持った人などの特定の人々の貧困対策としてGAIが議論されていました。GAIが注目されていた背景には、国民の社会保障についての政府の責任が問われていたことにありました。
多くの研究から、健康問題の最大要因として、「貧困」が注目されていました。そこで政府は「貧困を削減することは、国民によりよい健康状態をもたらし、かつ健康維持かかるコストの抑制につながる」と考えたのです。北米において、1968-80年の間、5つの分野でGAIのインパクトを調査するための実証実験が開始されました。その1つが、このアイデアを長年検討していたカナダのマニトバ州ドーフィンで実施された「MINCOME」です。

○MINCOMEの実施内容と成果
MINCOMEの特徴は、障がいを持った人など一部の人(世帯)ではなく、マニトバ州ドーフィンに住むすべての人(世帯)を対象とした点があります。MINCOME以外の収入がある場合、1ドルにつき、50セントMNCOMEの支給額を減らすなど、MINCOME以外からの収入を考慮して、支給額が算出されていました。
2011年に発行された最終レポートによると、大きく社会保障(入院期間の減少)、教育(学校の進級)の2つの分野で成果が得られたと報告されています。パイロットプログラムの結果、最も大きなインパクトがあったのが「入院期間の減少」でした。特に、メンタルヘルス、交通事故、傷害に関連する入院の大幅な減少がみられ、メンタルヘルスを診断する内科医との面談時間が減少したと報告されています。教育については、Grade11-12(高校課程)への進級に大きな伸びが見られました。一方で、ベーシックインカム導入による「出生率の向上」、「家族関係の解消」はみられなかったと報告されています。また、新生児の母親、10代の若者の間では、労働時間の減少が見られました。しかし、これは労働意欲の喪失ではなく、子どもや家族と過ごす時間が増えたり、10代の若者が家計を支えるために家の仕事を手伝わなくてもよくなったことが労働時間減少の要因であると報告されています。
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蔵端敏博