障がい者が、社会に進出しどんな可能性があるか?
働き方としての提案です。
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朝午前5時から牛舎で知的障害者の仕事が始まる。ここは奈良市の町中にある植村牧場(株)(黒瀬礼子代表)。明治16年から134年続く、県下で最も古い牧場だ。約2000坪の敷地内で牛を約30頭飼育し、新鮮な牛乳を個人宅や小学校、レストランなど800カ所以上に届けている。

牧場では14人の障害者が働く。うち10人は住み込み。1日約300キロリットルの乳を搾り作業場に運び、専用釜で低温殺菌(75度で15分)し、ビンに詰めて配達する。エサやり、牛のふんかき、ビンの洗浄などの作業もある。

大規模な機械化をせず手作業の牛乳づくりにこだわるその味は古くからの愛飲者が多く、飲食店からは「植村牧場の牛乳を使えるようになれば一人前」と言われるほど評価が高い。

初めて障害者を雇用したのは約35年前。一般の求人を出したが応募がなく、市から勧められた。当初は障害者についての知識もなく途方に暮れたが「たまたま働いている人に障害があるだけ」(黒瀬さん)と、じっくり仕事を教えながら個々の能力を見いだし、仕事を任せてきた。例えば、数字が分からなくても配達先に行けば何本届けるか覚えている人もいる。

牧場は地域とのかかわりも深い。牛ふんを堆肥として農家に使ってもらい、野菜くずをエサ用に譲ってもらう。人とのふれあいを大事にしたいと家を訪ねる集金をずっと続けている。また町内の行事にも積極的に参加している。

敷地内のレストランではクリームコロッケや牛乳カレーなどのメニューが並び、新鮮な牛乳を使ったアイスクリームなども販売。4代目代表の黒瀬さんは「障害者の働く姿でもソフトクリームでもいいので何かでキラッと光りたい」と今後を見据える。 


大越菜央