国内外金融・IT・製造業界の人材開発部長、人事部長を歴任後、組織・人事・人材コンサルタント会社「モチベーションファクター株式会社」を立ち上げた山口博氏が、厚労省の推進する「働き方改革」に大きく疑義を投げかけています(リンク)。
生き残りをかけて戦う最先端企業の実態から、打ち出されている「働き方改革」のズレを紹介します。

・・・・・以下引用・・・・・
人事部のみならず、経営者にとって、働き方改革がホットな話題だ。各社ともに、働き方改革の実現プランを策定し、実行に移し始めている。
(中略)
しかし、働き方改革の実行プランを推進するにあたって、逆に社員のヤル気を下げるような現象が起きている。私が行っている働き方改革実現プランを立案する演習では、多くの人が次のようなことを語っている。

・20時にオフィスが消灯になり、中途半端な状態で仕事を終えなくてはならず、それが気がかりで落ち着かない。

・ワーク・ライフ・バランスを実現するために、強制的に有給休暇を取得させられる。自由に休暇計画を取りたいにもかかわらず、強制されるので苦痛だ。

・上司が気を遣って、自分の仕事を減らし、上司が担ってくれた。上司が自分を信頼しておらず、期待していないように感じて、心外だ。

今、多くのビジネスパーソンが似たような不満を抱いているのではないだろうか。しかも、会社や上司としては、良かれと思って実施しているものだ。20時消灯も、有給休暇の取得奨励も、仕事の平準化も、それだけ見れば、望ましいアクションに違いない。にもかかわらず、社員のストレスを増大させているという、本末転倒な事態になっているのだ。

「早く帰ったり、休みを取ったり、仕事を減らしたりする配慮をしてもらって、なにを勝手なことを言っているのだ」「贅沢な悩みだ」と思う人もいるだろう。しかし、仕事をやりたいのにさせてもらえない、休みたくない時に休みをとらなくてはならない、やりたい仕事をやれないなど、要は「やりたいことができていない」状態なのだから、快適であるはずがない。

私が実施している能力開発プログラムの中では、自分や相手のモチベーションファクター(意欲が上がりやすい要素)を見極める演習を実施している。参加者約1000人について、どのようなモチベーションファクターを持っているかを集計したところ、以下のような結果となった。

      牽引志向      │      調和志向
   (肉食系、狩猟型)    │    (草食系、農耕型)
     51.4%      │      48.6%
目標達成│ 自律裁量│ 地位権限│ 他社協調│安定保障│ 公私調和
20.2% │ 16.8% │ 14.4% │ 21.4% │  9.0% │ 18.2%
「分解スキル・反復演習型能力開発プログラム」
参加者1,114名の演習結果より」

そして、先ほど挙げたようなストレスを感じた事例を挙げた人は、いずれも自律裁量のモチベーションファクターが高めの人だった。自律性をもって、他の人からあれこれ言われてやるのではなく、自分の裁量で仕事をすることにモチベーションが上がりやすい人にとっては、仮にそれが早く帰れとか休めというようなことであっても、強いられること自体がストレッサー(ストレスを与えるもの)なのだ。

すなわち、20時消灯、有給休暇の取得奨励は、公私調和型には効くが、その割合は18%に過ぎない。公私調和型以外の82%には効かない可能性があり、少なくとも17%を占める自律裁量型には逆効果である。自律裁量型には、裁量権を与えた働き方をさせれば、モチベーションが上がり、パフォーマンスが上がるはずだ。
 (中略)
モチベーションファクターの切り口で掘り下げていくと、働き方改革の実施策について、次のようなモチベーションファクター別の施策が効果を上げていることが、演習を通じてわかってきた。
・公私調和型には、一斉消灯施策の効果は高い
・自律裁量型には、一斉消灯施策の効果は低いが、裁量を与えると効果大
・目標達成型には、業務効率化にチャレンジしてもらうことが良い
・地位権限型には、働き方改革のモデルになってもらうと大いに役割発揮
・安定保障型には、健康管理のサポートをきめ細かく行うことが歓迎
・他者協調型には、施策を部門横断で策定する役割を担うと、普及効果大
 (後略)
・・・・・引用終わり・・・・・
最近、学校が軍隊をモデルにして作られた制度であること(323472)を知ったが、今や社会全体が強制圧力によって歪められ始めているようだ。まさに役人の暴走は止まっていない。




孫悟空