就職氷河期世代と「40代の社員不足」問題
より引用です。
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昨年、大手企業トップがインタビューの中で「40代の生え抜き社員が不足している」とコメントし、ネット中心に大きな反響を呼んだ。40代と言えば、2000年前後の超買い手市場に世に出ざるをえなかった就職氷河期世代が該当する。


ちなみに2018年の新卒求人倍率が1.78倍だが、氷河期の底である2000年の新卒求人倍率はたった0.99倍だった。終身雇用制度は採用数の増減を通じてしか雇用調整できないため、特定の世代にのみしわ寄せが集中してしまった形だ。そういう状況を演出しておきながら「やっぱり40代が不足しています」と言われても後の祭りだろう。
(中略)
また、よく耳にする「氷河期世代は採用数自体が少ないから出世もしやすい」という意見もややずれている。日本企業における評価は相対評価が基本なので、数が少ないからといって皆が出世できるわけではない。

通常、100人新卒で採用して30人が課長級以上に昇格できている企業なら、氷河期に30人しか採用していなかったとしても課長級以上に昇格できるのはせいぜい十数人だろう。その少ない十数人を中途採用で奪い合うわけだから、トップが「使える40代が少ない」とぼやくのも仕方のない話かもしれない。

(中略)

■問題 40代以降の人材のモチベーションを維持できなくなる

そして、年功序列を維持する企業が直面する最大の問題は、40代以降のモチベーションをどう維持するかというものだ。先に述べたように、組織が求める「40代のあるべき人材像」にはみんながなれるわけではない。実は「あるべき40代が足りない」ことよりも、「あるべき40代になれなかった人達をどうメンテするか」の方が、はるかに切実な問題なのだ。

大和総研の調査によれば、2016年に40代で課長に就いている人の割合は11.2%となっている。この比率は2000年代後半から低下が目立ってきており、課長に就いている人の割合は10年前より2.6ポイント下がった。このままの傾向が続けば、下手をすると8割、少なくとも7割の人間は「生涯ヒラ社員」で終わる可能性が高い。

これはとても恐ろしいことだと筆者は考える。というのも、人間は、それ以上のリターンが望めないとわかると、必ず手を抜こうとするものだからだ。想像してみて欲しい。窓際に座ってぼーっと外を眺めていたり、新しい企画にはとりあえず反対から入ったりやらなくていい理由を探すような困った中高年が、きっと誰でも一人くらい頭に浮かぶはずだ。そういった中高年が過半数を占めるようになったとしたら、組織は完全に活力を失うだろう。

■単線型キャリアパスの見直しを

いかにして多様な人材を戦力として取り込むか。そして、いかにして40代以降の人材のモチベーションを維持していくのか。処方箋としては、年功序列という単線型のキャリアパスを廃し、担当する職務に応じて処遇を決める職務給(=役割給)に置き換えを進める以外にはない。

そうすれば年齢ではなく「〇〇が出来る人材が必要だ」と言えるようになり、何歳だろうがどんな経歴だろうがそのスキルのある人材を世界中から採用することが可能となる。何歳からでも役割に応じた処遇が目指せるから、モチベーションをロストする中高年も減らすことが可能となるだろう。

急な置き換えが難しいのなら、中途採用者や高スキルの新卒者だけに限ってもよいし、35歳以降という具合に限定しても構わない。いずれにせよ、まずは組織内で人事を流動化することが、今後の日本企業にとっては人事戦略のカギとなるはずだ。
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(時田 弘)