大方の予測を裏切って、ロシアはウクライナに対して大規模な軍事作戦を進めているが、なぜそこまでするか、と誰もが腑に落ちない。これは、コロナにより世界がインフレ傾向になり、FRBが利上げ姿勢を明確にしたことに続いて始められたことに注目すべきと思われます。

この間、膨れ上がる金融経済を支えるために日米欧の通貨は、通貨増刷を続けてきた。バブルが崩壊してもそれをもって株価を回復させ政府・中銀が直接買い取る等さえ続けてきた。このような異常な通貨増刷は一般には異常なインフレ(1次大戦後のドイツ等)を引き起こすはずだが、現代は、貧困が消滅し物的欠乏が低下しているゆえ、いくら通貨増刷してもインフレにならないという異常事態が続いてきた。しかし、あくまで、物的欠乏が低下しデフレ傾向がつよくなってきたことが、このような禁じ手が許されてきた基盤である。

中露はこのような米欧通貨の特権構造のアキレス腱を見破って、供給側からのインフレ誘導で反撃を始めている。それがコロナでありウクライナである。

中国によるコロナは、世界中の物の動き、人の動きを止めるから、実質的な大幅生産力▼→インフレとなる。(4月上旬、上海は再びロックダウン中であり、再度世界に広がる可能性あり。)
ロシアのウクライナ進出による各国の禁輸措置は原油など資源価格を上昇させ、これも大規模なインフレ要因となる。かなり激しく攻撃しているのも各国からの制裁措置を敢て厳しいものにするためでではないのか。

現在アメリカの物価が激しく上昇しているが、当然アメリカ通貨の通貨価値の下落を意味するわけだから、ドルは売られていくことになる。(今のところは、FRBが利上げ姿勢を明確にして、ドル防衛の意志を示している。)

対して、資源国通貨が上昇中である。くわえてロシアはルーブルを金兌換通貨とすることを発表、現在は混乱中で下落がしばらく続くと思うが、いずれは反転していくはずである。ブリックス勢は資源を握っているから相対的にインフレは緩やかになり、その通貨が主導権をとっていくはずである。

コロナはワクチンが人口削減のためともいわれたが、本当にそうなのかすっきりしなかった。ロシアのウクライナへ進出を何のためそこまで激しくやるのかすっきりしなかった。

これら何れも供給側からのインフレ誘導で「物的欠乏▽→デフレ」の歴史基調を覆し、これまでの米欧の特権的な通貨増刷を逆手にとって、通貨下落に追い込むためではないのか。(実際、利上げできるアメリカの身代わりになって日本の円が急速に下落中。) 狙いはここにあったのだ。

コロナに対して、各国が勝手に生産縮小したのだから中国に責任は無い。米国がロシアから石油を買わないと自ら宣言しているのだから、インフレになろうともロシアにも責任はない。
しかも、環境問題を背景に炭素税、脱炭素技術投資などから物価上昇は潮流になりつつあるから、両国のインフレ誘導は歴史の流れに合致しているとさえ言えるかもしれない(物的消費を抑える)。世界を支配してきた金融主導経済を終わらせる、先進国支配を終わらせるという大義もある。(インド、ブラジルもロシア批判には加わっていない。)

動かしがたいほど膨れ上がった巨体の足元を狙った、針の穴を通すコントロールの、見事な必殺技と見える。米・欧側は追い詰められているのでは?

(山田真寛)