2012年の11月初めに、お問い合わせの電話が入りました。電話の主は市川市の大きなお弁当屋さんの専務で、「今度インターネットでも注文を受けて販売したいが配送の方を受け持ってもらえないか?」とのことでした。当時はイベント会社との取引があって、お弁当の注文が多い土日祭日は承ることができないので、お断りし、赤帽千葉配送センターを紹介して電話を切りました。しかし2日後にまた電話があり「空いているときだけでいいので引き受けてほしい。」といわれ、お引き受けしました。
 最初の仕事は都内の大きな体育館でのスポーツイベントがあり、そのお弁当のゴミの回収です。 車がいっぱいになるほどのごみがあり、かなりの大口注文のようでした。その後翌年の3月頃までは、大学入試のスタッフの弁当など大量注文が多く、かなりやりがいがある仕事でした。しかしお弁当会社の雰囲気は働く人たちの笑顔がほとんどなく重い雰囲気でした、社長さんも何回かお会いしましたが非常に偉そうな感じで、こういう会社では社長も現場でばりばり働く場合が多いのですが、一見、大会社の社長という感じです。
 ところが大学入試が終わり春の行楽シーズンになると、仕事はほとんど日帰りツアーバスへのお弁当の配達と地方から東京見物に来たツアーバスへの東京土産の配達です。一回の配送でバス2台から3台分配達するのですが、400円ぐらいの弁当がバス一台あたり35個から45個、配送料金が10,000円前後で、売り上げの3分の1が配送代になります。東京土産はもっとひどくて、1500円ぐらいのものが5,6個しかありません。だいたい7,000円ぐらいの平均売り上げです、東京土産の場合は都心への配送が多く、配送料金も6,000円ぐらいですが、利益率の低い(おそらく25%~28%)お土産品ですので、大赤字です、やらない方がましなのはみんなわかっているはずです。
 2013年4月のゴールデンウィーク前からインターネット販売の責任者が専務から営業部長に代わりました。日曜日に当番の事務員さんに受け取りなどの書類を出しに行くと、営業部長が休日出勤をしていました。(部長はほとんど休みがないようでした。)私の顔を見た部長が「最近注文が増えて大変なので、赤帽で、弁当の配達のできるひとを 何人か紹介してもらえないか。」といわれました。どうやら料金の安い軽貨物業者も使っているのは私もわかっていましたが、誤配・遅配が多く苦情が絶えないようなのです。利益を度外視したこの仕事は長くはできないと思っていました、また他所のお弁当屋さんではこんな注文は引き受けないはずで、注文が集中するのは当たり前だと常日頃思っていたので、部長に思った通りのことをいいました。「赤帽料金では、場所によっては12,000円以上かかる場合があります、ほとんど利益が出ないはずです。」部長は「料金を引き下げてもらえないか」といいましたが、「赤帽統一料金ですので組合を辞めない限り無理です」とお断りしました。
 その後この仕事は極端に減り、9/24を最後になくなりました。その後9月の末にお弁当配達の運転手募集の求人広告を見て、やっと対策を立てたのかなと思い妙に安心しました。
 そして今年の7月この会社の本社兼工場の前を通ったとき、ひとけのないのに気づきました、看板も外され周辺に荷物が置いてありません。家に帰って調べていると2013年11月に業務停止、2014年1月から清算手続きに入り、倒産したという情報が載っていました。
 支払いは早い会社でした、私のお取引先で倒産したのは2件目です、1件目の会社には66,000円の売掛金がありました。その後売り上げの回収には非常に気を遣っています。