July 06, 2007
入院日記:三日目
さてメインイベントの朝は意外と手持ち無沙汰である、のだが...
困ったことに朝方から咳がよく出てくる。入院してからは風邪も落ち着いていたかと思ったのになぁ。
06:00 起床
06:30 睡眠時無呼吸検査終了
07:45 朝食
09:00 点滴開始
11:30 検査の支度開始
12:30 ストレッチャーに乗せられ検査室へ
16:00 検査終了
16:30 心エコー
18:00 夕食
19:30 睡眠時無呼吸検査
20:30 気がつけば就寝
朝食の後、Dr.Mがブドウ糖液の点滴にやってくる。
ちょろちょろと準備をしながら雑談を。
Dr.M「いやでもこんな病気になっているなんて普段なかなか考えないですよねー」
問題になる前に見つかったのは確かにラッキーですな。
Dr.M「カルテ見たら自分と同い年だったのでびっくりしたんですよ、もし自分だったら...ってなかなか想像が(以下略)」
あららそうだったんかい。
で、Dr.Mが去った後に検査準備の看護士さんが何回かやってきたが、最初にきた看護士さん、私の点滴部位を確認するや「あれっ」という顔であれこれテープの張替えを始める。
針の刺し方は問題なかったんだろうけれど若干手順をすっ飛ばしたらしい。改めて言う、...頑張れ若先生。
--
11時半頃より看護士さんに手伝ってもらいながら(点滴の管が寝衣の袖の中を通っちゃってたのだよ)検査衣への着替えだの何だのを済ませ、ストレッチャーにて検査室へ。
検査室は病院の地下にあり、病棟から専用のエレベータで降りていくことになる、のだが...途中通り過ぎた自動ドアの間から、病院利用者向けのコンビニがちらりと見える。
うわ、こういうのって結構表裏一体の場所にあるのだなぁ。でも災害とかの場合を考えるとこの方が都合がいいのか、などと余計なことを考える私を乗せたストレッチャーは3人のドクターの待つ、音楽の流れる室内へ...って、え?これって患者の緊張を和らげるためなのかなぁ、それともDrの誰かの好みなんだろうか。ピーター・セテラの「Stay With Me」とかボビー・コールドウェルの「PARRAMENT」とかAORが多いところから判断するにDr.Sあたりか...
ってやっぱり現場に臨んでも余計な考えの止まらぬ私である。
--
さて諸々の準備を終え、局所麻酔をかけた後、いよいよカテーテルを入れることになるわけだ、が...
痛い!
刺されるような感じではなく鈍くて重い感じだけれど、かなり痛い!
本当はもう少し力抜いた方がいいのだろうけれど、どうしても全身が強張って額に汗がにじんでしまう。
Dr.D「どう?大丈夫?」
えぇと、なんだか鈍い痛みがするのですが。
Dr.D「あぁ、そりゃ痛いわなぁ、おぅいS先生、代わって」
...というわけで、Dr.SからDr.Dに交替したところ、痛みは消えこそしなかったものの半減。ここで付け加えて言おう、......頑張れ中堅先生。
--
カテーテル検査(アブレーション)というのは、要はこうやって通したカテーテルにて心臓に電気刺激を与えてわざと不整脈を起こして不整脈の元となっている部分を探知、場合によっては高周波で焼いて治療してしまうものである。
というわけで、問題の個所を発見するまでの間、唐突に心臓がバクバクしたり、場合によっては眩暈を起こしかけたりしたのだが、いやしかし運動なり驚いたりすることなしに心臓がバクバクいうのはなんとも言えず嫌な感覚である。実際のところ、胸が痛くなることはぽつぽつあったもの、動悸とか眩暈とかの症状はなかったですけんね。あぁ、同じ病気でもヤヴァイ場合はこうやって倒れてしまうのか...などとつらつら考えたりする。丁度BGMは私も好きなデヴィッド・ベノワの「Linus and Lucy」が流れていたが、これからこの曲を聴くとカテーテルを連想してしまうようになるんだろうか。
--
アブレーションで焼いたのは大体3〜4箇所ではなかったかと。
変な信号を出している部位に、大体60〜70度の高周波を当てるわけなのだが、感覚としては胸の奥がぼわっと暖かくなる、程度のものだろうか。ただ、これをやっている最中にくしゃみとかしてしまうと非常にヤヴァイ事態に陥るby Dr.Dということで、朝から続いていた咳が出ないよう、そしてできるだけおとなしく、浅すぎず深すぎぬ呼吸になるよう気にかけてしまう私。こんなところで苦労するとは思わなんだぞ。
加えて、確かにアブレーションは「熱く」はないのだが、何回かやっているうちに身体の中が「暑く」なってしまい、緊張でかいた分にプラスアルファで脂汗が額に浮かんでしまう。
Dr.D「おーし、小休止しよう。今身体ん中サウナ状態だろ。おーい看護士さん、氷含ませてやってよ」
気のよさそうなおばちゃん看護士さんが「ちょっと大きめですよー」といいながらロックアイスみたいなものを1個口に入れてくれる。無論それで一気にクールダウンするわけではないのだけれど、結構気持ちの面で落ち着くのには役立った気がする。
Dr.D「さて、また始めるよ〜、あと少しだから。おぅい、ホリゾン(セルシン)投与して」
ホリゾン(セルシン)というのは抗不安薬の一種である。
ずっと身体が緊張気味の私をリラックスさせる為に用意されたのだろうか...。
--
Dr.D「はぁいこれで終わり。お疲れさんでした」
どうもホリゾンがかなり効いたのか、途中から眠っていたらしい。
再びストレッチャーに乗せられ、検査室を後にしようとする私に、手術衣を脱いだDr.Dが更に声をかける。
Dr.D「あのね、まずはいい話しといたげる。ICDが必要になる様な不整脈はなかったです」
不整脈の出方が出方だったので、最悪ICD埋め込みの可能性も想定されていたのだが、どうやらそれは免れたらしい。
まぁ、ARVC自体は治療云々ではないけれど、とりあえず今回一番まずい部分他数箇所を焼いたこと、それ以外にも幾つか問題点は実は見つかっているが、
Dr.D「5分に1回くらいしか出ないからあんまし影響ないし、不整脈出るの待って焼かなきゃいけないから一日がかりになっちゃう」
ということで、「七割方の成功だと見ています」というのが見解だそうな。
Dr.D「明日の、うまくいきゃ午前中には退院できるから。あんまし(病院に)いたくないでしょ?」
...まぁ(笑)
--
その後心エコーをやって病室に戻ったのは17:00頃。
後からやってきたDr.Dはラウンジにて待っていた家人を探し出し、私が寝ているベッドを囲んで、先と同じ様な内容を再度説明。去り際に、
Dr.D「あ、本人昼飯抜いてますから、特にその辺制限とかないのでパンでも何でも好きなもの食わしたってください」
D先生、なかなか粋なこと言ってくれるじゃねえか、とは思ったのだが、...もう晩飯の時間じゃないっすか(笑)
--
術後半日程度は安静ということで、晩飯は寝たままでも食べられるおにぎりが主食であるが、当然ながらおかず類は介助なくては食べられない。
というわけで、介護福祉士であるところの愚妹のお手並み拝見、といきたいところであったが、
.........なんか食いづらいんだが(爆)
まぁさすがに家族、それも4つ上程度で減らず口叩いている自分のアニキの介助なんざしてりゃそりゃ笑えてもくるわなぁ。
それでも完食までしっかり付き合ってくれた家人には感謝である。
--
しかしまぁ入院前はよく冗談であれやこれや恥ずかしい云々の話をしていたが、いざ現場になるとそういう感想はなく、検査の下準備にしろ、着替えにしろ、或いは排泄関係で面倒が生じた場合でも手際よく、それでいてあれこれ気を配りながらこなしてくれる看護士さんたちにはただただ「お手数をおかけします」「こんなことまで面倒見て頂いて申し訳ないです」という思いしか浮かんでこないのが実際だ。
この晩3度目の睡眠時無呼吸の検査ということで、更にあれこれチューブ類が取り付けられるが、さすがに疲れたのか20時半から後の記憶がない。
兎にも角にも大仕事は終わったのである。
困ったことに朝方から咳がよく出てくる。入院してからは風邪も落ち着いていたかと思ったのになぁ。
06:00 起床
06:30 睡眠時無呼吸検査終了
07:45 朝食
09:00 点滴開始
11:30 検査の支度開始
12:30 ストレッチャーに乗せられ検査室へ
16:00 検査終了
16:30 心エコー
18:00 夕食
19:30 睡眠時無呼吸検査
20:30 気がつけば就寝
朝食の後、Dr.Mがブドウ糖液の点滴にやってくる。
ちょろちょろと準備をしながら雑談を。
Dr.M「いやでもこんな病気になっているなんて普段なかなか考えないですよねー」
問題になる前に見つかったのは確かにラッキーですな。
Dr.M「カルテ見たら自分と同い年だったのでびっくりしたんですよ、もし自分だったら...ってなかなか想像が(以下略)」
あららそうだったんかい。
で、Dr.Mが去った後に検査準備の看護士さんが何回かやってきたが、最初にきた看護士さん、私の点滴部位を確認するや「あれっ」という顔であれこれテープの張替えを始める。
針の刺し方は問題なかったんだろうけれど若干手順をすっ飛ばしたらしい。改めて言う、...頑張れ若先生。
--
11時半頃より看護士さんに手伝ってもらいながら(点滴の管が寝衣の袖の中を通っちゃってたのだよ)検査衣への着替えだの何だのを済ませ、ストレッチャーにて検査室へ。
検査室は病院の地下にあり、病棟から専用のエレベータで降りていくことになる、のだが...途中通り過ぎた自動ドアの間から、病院利用者向けのコンビニがちらりと見える。
うわ、こういうのって結構表裏一体の場所にあるのだなぁ。でも災害とかの場合を考えるとこの方が都合がいいのか、などと余計なことを考える私を乗せたストレッチャーは3人のドクターの待つ、音楽の流れる室内へ...って、え?これって患者の緊張を和らげるためなのかなぁ、それともDrの誰かの好みなんだろうか。ピーター・セテラの「Stay With Me」とかボビー・コールドウェルの「PARRAMENT」とかAORが多いところから判断するにDr.Sあたりか...
ってやっぱり現場に臨んでも余計な考えの止まらぬ私である。
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さて諸々の準備を終え、局所麻酔をかけた後、いよいよカテーテルを入れることになるわけだ、が...
痛い!
刺されるような感じではなく鈍くて重い感じだけれど、かなり痛い!
本当はもう少し力抜いた方がいいのだろうけれど、どうしても全身が強張って額に汗がにじんでしまう。
Dr.D「どう?大丈夫?」
えぇと、なんだか鈍い痛みがするのですが。
Dr.D「あぁ、そりゃ痛いわなぁ、おぅいS先生、代わって」
...というわけで、Dr.SからDr.Dに交替したところ、痛みは消えこそしなかったものの半減。ここで付け加えて言おう、......頑張れ中堅先生。
--
カテーテル検査(アブレーション)というのは、要はこうやって通したカテーテルにて心臓に電気刺激を与えてわざと不整脈を起こして不整脈の元となっている部分を探知、場合によっては高周波で焼いて治療してしまうものである。
というわけで、問題の個所を発見するまでの間、唐突に心臓がバクバクしたり、場合によっては眩暈を起こしかけたりしたのだが、いやしかし運動なり驚いたりすることなしに心臓がバクバクいうのはなんとも言えず嫌な感覚である。実際のところ、胸が痛くなることはぽつぽつあったもの、動悸とか眩暈とかの症状はなかったですけんね。あぁ、同じ病気でもヤヴァイ場合はこうやって倒れてしまうのか...などとつらつら考えたりする。丁度BGMは私も好きなデヴィッド・ベノワの「Linus and Lucy」が流れていたが、これからこの曲を聴くとカテーテルを連想してしまうようになるんだろうか。
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アブレーションで焼いたのは大体3〜4箇所ではなかったかと。
変な信号を出している部位に、大体60〜70度の高周波を当てるわけなのだが、感覚としては胸の奥がぼわっと暖かくなる、程度のものだろうか。ただ、これをやっている最中にくしゃみとかしてしまうと非常にヤヴァイ事態に陥るby Dr.Dということで、朝から続いていた咳が出ないよう、そしてできるだけおとなしく、浅すぎず深すぎぬ呼吸になるよう気にかけてしまう私。こんなところで苦労するとは思わなんだぞ。
加えて、確かにアブレーションは「熱く」はないのだが、何回かやっているうちに身体の中が「暑く」なってしまい、緊張でかいた分にプラスアルファで脂汗が額に浮かんでしまう。
Dr.D「おーし、小休止しよう。今身体ん中サウナ状態だろ。おーい看護士さん、氷含ませてやってよ」
気のよさそうなおばちゃん看護士さんが「ちょっと大きめですよー」といいながらロックアイスみたいなものを1個口に入れてくれる。無論それで一気にクールダウンするわけではないのだけれど、結構気持ちの面で落ち着くのには役立った気がする。
Dr.D「さて、また始めるよ〜、あと少しだから。おぅい、ホリゾン(セルシン)投与して」
ホリゾン(セルシン)というのは抗不安薬の一種である。
ずっと身体が緊張気味の私をリラックスさせる為に用意されたのだろうか...。
--
Dr.D「はぁいこれで終わり。お疲れさんでした」
どうもホリゾンがかなり効いたのか、途中から眠っていたらしい。
再びストレッチャーに乗せられ、検査室を後にしようとする私に、手術衣を脱いだDr.Dが更に声をかける。
Dr.D「あのね、まずはいい話しといたげる。ICDが必要になる様な不整脈はなかったです」
不整脈の出方が出方だったので、最悪ICD埋め込みの可能性も想定されていたのだが、どうやらそれは免れたらしい。
まぁ、ARVC自体は治療云々ではないけれど、とりあえず今回一番まずい部分他数箇所を焼いたこと、それ以外にも幾つか問題点は実は見つかっているが、
Dr.D「5分に1回くらいしか出ないからあんまし影響ないし、不整脈出るの待って焼かなきゃいけないから一日がかりになっちゃう」
ということで、「七割方の成功だと見ています」というのが見解だそうな。
Dr.D「明日の、うまくいきゃ午前中には退院できるから。あんまし(病院に)いたくないでしょ?」
...まぁ(笑)
--
その後心エコーをやって病室に戻ったのは17:00頃。
後からやってきたDr.Dはラウンジにて待っていた家人を探し出し、私が寝ているベッドを囲んで、先と同じ様な内容を再度説明。去り際に、
Dr.D「あ、本人昼飯抜いてますから、特にその辺制限とかないのでパンでも何でも好きなもの食わしたってください」
D先生、なかなか粋なこと言ってくれるじゃねえか、とは思ったのだが、...もう晩飯の時間じゃないっすか(笑)
--
術後半日程度は安静ということで、晩飯は寝たままでも食べられるおにぎりが主食であるが、当然ながらおかず類は介助なくては食べられない。
というわけで、介護福祉士であるところの愚妹のお手並み拝見、といきたいところであったが、
.........なんか食いづらいんだが(爆)
まぁさすがに家族、それも4つ上程度で減らず口叩いている自分のアニキの介助なんざしてりゃそりゃ笑えてもくるわなぁ。
それでも完食までしっかり付き合ってくれた家人には感謝である。
--
しかしまぁ入院前はよく冗談であれやこれや恥ずかしい云々の話をしていたが、いざ現場になるとそういう感想はなく、検査の下準備にしろ、着替えにしろ、或いは排泄関係で面倒が生じた場合でも手際よく、それでいてあれこれ気を配りながらこなしてくれる看護士さんたちにはただただ「お手数をおかけします」「こんなことまで面倒見て頂いて申し訳ないです」という思いしか浮かんでこないのが実際だ。
この晩3度目の睡眠時無呼吸の検査ということで、更にあれこれチューブ類が取り付けられるが、さすがに疲れたのか20時半から後の記憶がない。
兎にも角にも大仕事は終わったのである。