一歩先行く市役所職員となるための仕事術

元SEから市役所職員に2001年に転職して以来23年目
同じ自治体職員、特に若い方々の参考になるかと思うことを書いています。

議会答弁

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【本を書きました】 『公務員ホンネの仕事術』(時事通信社) 『公務員1年目の教科書』『公務員の「異動」の教科書』『公務員の「出世」の作法』(いずれも学陽書房)
【連載しています】月刊『ガバナンス』に「未来志向で考える自治体職員のキャリアデザイン」
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【本日の読書】森下寿さん『公務員の議会答弁言いかえフレーズ』

森下寿著『公務員の議会答弁言いかえフレーズ』(学陽書房 2021年)
帯「すぐに使える鉄板表現70!」

 基礎自治体の部長職でいらっしゃる森下寿さんの2冊目の本。
 『どんな場面も切り抜ける!公務員の議会答弁術』(学陽書房 2017年)に続いて、議会対応についてです。今回は答弁のフレーズの具体的な言いかえが70例も挙げられています。

 新たに管理職になった方等におススメです。

-目次-
  はじめに
  第1章 本会議・委員会での答弁編
  第2章 質問に伴う議員への取材編
  第3章 議員個人への対応編
 

 表紙に挙げられている3つの表現が特に「鉄板」ですね。
  • × 財政課に予算を切られました
    ⇒○ 総合的に判断して見送られました
  • × 本市での実現は無理です
    ⇒ 他市の動向を注視してまいります
  • 質問の意味がわかりません
    ⇒ ○○についてお尋ねかと思いますが
 1つ目は、ある事業に予算がつかなかったとして、それは自治体全体の優先順位等に沿って決まったものです。「財政課が切った」というような言い方は禁句です(後できっと叱られます)。
 2つ目は、いますぐ実施するのではなく、様子を見る必要がある場合には、このように答弁します(「本市での実現は無理」とまでは考えていない場合もあると思いますが)。
 3つ目は、議員のご質問が幅広い意味を含む表現だった場合等に、答弁する側としてご質問を言いかえして答弁していくものです(「質問の意味がわかりません」はやや強い言い方とも思いますが)

 この本のとても参考になるところは、議場での答弁だけでなく、「議員への取材」や「議員個人への対応」での言い方についても取り上げられているところです。
 次のところなどは、新たに管理職になった方等には特に参考になるかと思っています。
  • 担当業務について本会議質問があるかを確認したいとき(第2章1)
  • 本会議質問の内容をなかなか教えてもらえないとき(第2章7)
  • 委員会で質問するかを確認したいとき(第2章12)
  • 委員会に付託された議案の賛否を確認したいとき(第2章17)
  • 口外できないことへの説明を求められたとき(第3章8)
  • 自分の権限を超えることを依頼されたとき(第3章10)
  • 議員から飲みに誘われたとき(第3章14)
  • 他の管理職に対する苦情を聞かされたとき(第3章19)
  • 他の議員に対する苦情を聞かされたとき(第3章20)
 議会対応についての本が、いろいろ出されているのはありがたいですね。
 ただ、規模や議会との関係等、自治体のよって違いがあります。先輩管理職等にも教えていただきながら、自分の答弁・議会対応力を磨いていくことが大事だと思っています。

【本日の読書】森下寿さん『どんな場面の切り抜ける!公務員の議会答弁術』

【必読書】森下寿『どんな場面も切り抜ける! 公務員の議会答弁術』(学陽書房 2017年)

帯「間違った答弁をしてしまったらどうしよう? そんな不安を取り除く1冊!」「慌てず焦らず、そつなく答弁をこなすポイントとは?キホンから奥の手まで、ノウハウを伝授」

 初答弁の前に、こんな本が欲しかった!
 そう強く思った本です。
 藤川潤さん『これだけは知っておきたい 公務員の議会対応』(学陽書房 2016年)と合わせて読むと、議会対応がぐっとわかると思います。

 たとえば、「3 議員と話し合える関係を築く」の「POINT」にはこう書かれています。
---
議員には敬意を持ちつつ、過度に恐れない。相手に合わせて真摯に対応し、自分の考えを伝えよう。
---

 「まさに、そのとおり!」と思いました。
 議員は、市民から選挙で選ばれた存在です。議員は、いつもそれを意識して活動していますから、そこに敬意を欠かさないことは大事です。こうした点には、議員の方々は敏感です。
 一方、過度に恐れないこと。議員が自ら勉強し、市民からの要望を踏まえて詳しい点もありますが、日々の実務には職員の方が精通しているものです。そこに自信をもって、質問に真摯向き合うこと、また、答弁では相手に合わせることがとても大事だと思います。

 このほか、
・議員の名前、顔、期数、会派、役職、地盤は必ずインプットする
・質問の代表的パターンは4つ。主義主張、提案、興味・関心、時事ネタ
・聞いた情報は、すぐに関係管理職に伝える(自分の部署とは関係なくても)
・議員への説明はメモにまとめ、説明が終わったら日付・意見等をメモしてファイルする
・議員対応表を作成する
・議員の目を見て答弁する
等、実践的で「なるほど」「そのとおり」と思うところばかりです。

 本書では、
  第1章 議会答弁の基礎知識
  第2章 答弁対策としての議員対応
  第3章 議会答弁の事前準備
  第4章 議会答弁のコツと心得
  第5章 議会答弁OKフレーズ・NGフレーズ
  第6章 よくある質問・困ったときの答弁のコツ
  第7章 やってはいけないダメ答弁
  第8章 本当に困ったときの答弁裏ワザ集
と、キホンから実際上のポイントまでが詳しく述べられています。
 私も管理職4年目ですが、まだまだ答弁は課題だらけ。本書を読み、改めて考えさせられ、よい勉強になりました。

 私が最初に議会で答弁したのは、企画政策課主査のときでした。
 長期総合計画等についての調査特別委員会では、主任時代から当該委員会では課長の隣に座り、メモを取ったりしていたのに、自分が答弁するとなると、頭が真っ白になったのを今でも覚えています。
 
 本書は、答弁に立つ新任管理監督書(課長・係長)はもちろん、管理職を直に支え、答弁書を作成する中堅職員にとっても、読んでおくべき一冊であると思います。
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