名画と名曲の旅の最終回。掉尾を飾るのは、やはりこの映画『タイタニック(97)。全世界の映画興行収入歴代2位(1位は同じくジェームズ・キャメロン監督の『アバター(09)』)、本では外国映画の興行収入1位を記録し続けている(2018年現在)。セリーヌ・ディオンが唄う主題歌「My Heart Will Go On(マイ・ハート・ウィル・ゴーオン)」は、アカデミー賞歌曲賞、グラミー賞最優秀楽曲賞ほか数々の栄誉に輝き、また映画主題歌として史上もっとも売れた歴代2位(1位はビング・クロスビーの「ホワイトクリスマス」)の曲となっている。
タイタニック
                                                           (C)1997/20世紀FOX
 
誰もが一度は乗船してみたいという豪華客船。実は、その一度だけだがテレビ番組の仕事で乗船したことがある。「ぱしふぃっくびいなす」という日本の船会社(日本クルーズ客船)が持つ船で、その豪華さにはやり驚かされた。いわば、街が船の中にあるようで、レストラン、劇場、ジム、図書室、医務室、各種ショップ、プールにサウナまで、と高級ホテル以上の設備が揃っている。それもそのはず、長期間滞在するだけでなく、周りは海で孤立した空間であるからだ。
 その乗船の際に思い浮かんだのは、はやり映画『タイタニック』だった。孤立した空間ゆえに、万が一の災害に逢えば、乗船客全員が運命共同体となる。映画は、実際に起きた「タイタック号」の遭難を題材としている。1912年4月、イギリス(サウサンプトン)からアメリカ(ニューヨーク)に向かった「タイタニック号」が、カナダ北部の沖合で氷山にぶつかり沈没した。乗客2224人のうち、約7割の1513人が亡くなった。生存者のなかに、唯一、日本人で乗船していたのが、ミュージシャン細野晴臣氏の祖父・
細野正文氏。映画のなかでも克明に描かれたパニック状態のなかで、運に導かれ(船員から発泡もされず)救命ボートに乗ることが出来たという。
 映画では、愛する恋人を最後まで守る主人公(レオナード・ディカプリオ)の姿が観客の涙を誘う。そして流れるのが
My Heart Will Go On(私の心は生き続ける)」だ。
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 「旅と映画と音楽と」のブログも番組のコーナーの終了で、一端、お休みとさせていただきます。しかし、この主題歌と同じように
My Heart Will Go On! 書き足りない旅や映画、音楽の話を、また違う形・構想で再スタートさせていただく予定です。その際に、またよろしくお願い致します。

本ブログは鎌倉FM「Seaside-Avenue(シーサイド・アベニュー)」(毎週土曜日23時~30分)内のコーナー「旅と映画と音楽と」と連携しています
*本稿は2018年11月24日放送(23時~23時30分)内容との連携です。

                                  文 川崎なをや
 

 米国アリゾナ州にあるセドナは、パワースポットとして、日本からも数多くの観光客を呼び寄せている場所となっている。実際に訪れてみると、大地にそびえたつ奇岩の数々に先ず、圧倒される。アリゾナといえば延々と広がる荒野と砂漠のイメージだが、このセドナには川も流れていて、緑も多い。そこで、古くから西部劇をはじめとして映画のロケ地として重宝されてきた。
 このセドナを舞台にした西部劇として有名なのが『大砂塵(54)』だ。もっとも、この作品は映画自体より、今では主題歌のみ知れ渡っていて、その主題歌「ジャニー・ギター(ペギー・リー歌唱)」が映画音楽であることを知らない人のほうが多いかもしれない。
大砂塵
                (C)1954 Melange Pictures 
  
映画のストーリーは、アリゾナの人里離れた街にやってきた、ギター弾きの流れ者ジョニー・ギター(スタンリー・ヘイドン)が、賭博場の男勝りの女ボス(ジョーン・クロフォード)と共に、悪党一味との争いに巻き込まれるというもの。この作品をヒントに、後年、小林旭主演の「渡り鳥」シリーズが作られた。古き良き時代の西部劇といった面持ちであるが、西部劇につきもののインディアンとの闘いはない。
 因みに、セドナはパワースポットと言われる前、古くからインディアンの聖地であった。セドナで会ったインディアンの方から「ネイティブ・アメリカンという呼称は実はあまり快く思っていない。なぜなら、その呼称はエスキモーやハワイの部族など含めての総称で、自分たちはアメリカン・インディアンと呼ばれたい」と言われていたのが印象的だった。
 そんな人種問題も含めて、あえてインディアンが登場しない、西部時代の人間ドラマとして『大砂塵』を観てみるのも一考であると思う。

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                                  文 川崎なをや
 
 

 

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 数多くある映画音楽のなかで、人によっては毎日、そのメロディを聞いているというのが『第三の男(49)』のテーマだ。というのも、このメロディがJR「恵比寿駅(山手線・埼京線・湘南新宿ライン)」の発車メロディとして使用されているからだ。アントン・カラスがオーストリア地方の民俗楽器ツィターで奏でる主題曲は、今や(日本では)映画以上に有名になっている。
 実は、ヱビスビールのコマーシャルのバックに流れる曲として、このメロディが起用されたことで、恵比寿にかつてあったヱビスビール工場(跡地は恵比寿ガーデンプレイスとなっている)に因んで、JRが駅の発車メロディとして起用した。恵比寿駅そのものが、ヱビスビールの出荷のために作られたという。さらに、つけ加えると「第三の男」の発車メロディは、大阪・阪急電車「梅田駅」の最終電車が発車する前にも使われている(こちらは、駅との関連はない)。
 無論、映画自体も世界映画史上に輝く名画として高い評価を受けている。映画雑誌「キネマ旬報」が選んだ「オールタイム・ベスト100外国映画編(1999年)」で、堂々の1位に選出されている。なぜ、高評価なのか? アカデミー賞を受けた撮影の素晴らしさ、音楽の見事さ、そしてキャロル・リード監督のサスペンス演出といくつも挙げられるが、はやり一番の評価は主役(ジョセフ・コットン)を食ってしまった、オーソン・ウエルズの存在感だろう。
 ウィーンの街並みを見降ろす、プラター公園にある大観覧車(今でも観光名所となっている)に登場する場面から、映画全体をひっぱっていく。イタリア・ボルジア家独裁の30年間はテロと流血の時代だったが、ミケランジェロやダ・ヴィンチの偉大なルネサンス芸術を誕生させた。いっぽうスイスでは、500年にわたる民主主義と平和で産み出したものは、鳩時計だけだ!」という名台詞を言い聞かして、徹底した悪の存在感をみせる。
第三の男
 そんな、悪の権化を演じたハリー(オーソン・ウエルズ)に惹かれ続けるアンナ(アリダ・ヴァリ)は、あまりに有名な映画のラストシーンで主人公(お人よしの善人)を振り去って行く。このラストシーンに込められている意味(人はなぜ、善でなく悪に惹かれていくのか)を探ると、実に奥の深い名画としてみえてくる。

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                                  文 川崎なをや
 
 

 

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