2007年12月21日
ガウガメラの戦い (ペルシャ相手の決定的な勝利)
オリバー・ストーン監督の映画「アレキサンダー」(アレクサンドロスの英語読み。
ちなみに英雄伝の作者プルタルコスはプルターク、カエサルはジュリアス・シーザー
となります。)では、戦闘全体を約20分まるまる使っています。この戦いにおい
て、アレクサンドロス(英語読みではないほうがかっこいいです(笑))が、後にハ
ンニバルのスキピオとの会談でいった、偉大なる武将のなかに列せられたのではない
かと思います。まず、どこで行われたかというと、正確な場所は良く分かっていない
のだそうですが、イラクのチグリス川の流域ではあったそうです。まず、戦力です
が、マケドニア軍は、歩兵四万、騎兵が七千。ペルシャ軍は、歩兵十五万、騎三万五
千に、ギリシアから雇い入れた傭兵六千に、チャリオットと呼ばれる鎌付戦車が二百
と前に述べたテルモピレーの戦いのようなマケドニア軍にとっては絶体絶命の状況で
した。このような状況でマケドニア軍はどのように勝利をしたのでしょうか。
まず、戦闘が開始するとすぐにアレクサンドロスは軍を右にずらし始めました。
それを包囲しようと躍起になったペルシャ軍は、戦列をどんどん左に伸ばし始めてい
きました。ペルシャ軍の総司令官ダレイオスは、マケドニア軍をこの戦場で事前に待
ち受けていました。なぜなら、彼はチャリオットで敵の戦列を破壊する気であったか
ら、チャリオットが使いやすいように土地をならしておいていたのです。アレクサン
ドロスはそれを察知したのか、戦車が使えないようにするために軍を右に移動したの
です。それを恐れたダレイオスは、早くも騎兵を左翼から突撃させました。マケドニ
ア軍は応戦しましたがあっさり負けてしまいましたが、援軍が来て、激戦となりまし
たがマケドニア軍が最終的には勝利しました。ダレイオスはついに、チャリオットを
突撃させます。しかし、迫りくる戦車にアレクサンドロスの指揮する遠征軍が冷静に
対処し、戦車が来ると、部隊どうしで間隔を開けて、戦車をやりすごしました。多少
の兵が損害を受けたようですが、そこまで深刻なダメージを受けることはなかったよ
うです。ダレイオスは次にやっと歩兵を動かしますが、先ほど突撃させた左翼のとこ
ろと、ダレイオスがいるところの戦列に切れ目ができてしまいました。それを、アレ
クサンドロスは素早く察知し、切れ目に右翼と騎兵を率い突撃しました。騎兵と歩兵
が一緒に自分がいる中央部に突撃してきたのを見るなり、ダレイオスはイッソスの戦
いの時と同じように、臆病風に吹かれて戦線を離脱してしまいました。それをみた左
翼のペルシャ兵も敗走してしまいます。一方、アレクサンドロスがダレイオスめがけ
て突撃し、さらにダレイオス追撃をしようとしている頃、マケドニア軍中央部と左翼
は危険な状態になっていました。アレクサンドロスは右翼の戦力と騎兵を使って突撃
したが、マケドニア軍の部隊の間に隙間が生じてしまいました。ダレイオスが敗走し
たのを知らないペルシア軍がその隙間を突いて一気にマケドニア軍の戦列を突破し、
第2列のギリシア人部隊も突破しました。ペルシャ軍が後ろから包囲する形をとって
いたならば危ないところでしたが、ペルシャ軍はそれをしませんでした。なぜなら、
戦列を突破したペルシャ軍はマケドニア軍後方にあった補給基地の略奪に向かってし
まったのです。その間に2列目の歩兵が反撃して、ペルシャ軍を撃退しました。
マケドニア軍の左翼は、先代のときから武将として仕えていた、パルメニオンが指揮
していました。戦いが進むにつれてペルシャ騎兵に押され始めたのを悟ったパルメニ
オンは、アレクサンドロスのもとへ、救援の要請を伝令に託して出発させたのです
が、それは届きませんでした。映画の中にも、この伝令を送るシーンは出てきます。
(映画では、もう一回パルメニオンの息子のフィロタスを伝令として送っていま
す。)なんとか、テッサリア出身の騎兵たちの敢闘と、ダレイオス逃走の知らせによ
って、ペルシャ兵は敗走しました。こうして、アレクサンドロスは数倍の敵に対して
勝利し、ペルシャ帝国を瓦解に追い込むのです。そして、大遠征は更に東へ東へと進
むのです。
最後に映画のガウガメラの戦いでアレクサンドロスがマケドニア軍の兵士たちに言った言葉・・・
「なぜ勇敢に戦ったか聞かれたら答えろ。ガウガメラの戦いは自由と、そして栄光と、ギリシアのためだ! ゼウスよ、守りたまえ!」
ちなみに英雄伝の作者プルタルコスはプルターク、カエサルはジュリアス・シーザー
となります。)では、戦闘全体を約20分まるまる使っています。この戦いにおい
て、アレクサンドロス(英語読みではないほうがかっこいいです(笑))が、後にハ
ンニバルのスキピオとの会談でいった、偉大なる武将のなかに列せられたのではない
かと思います。まず、どこで行われたかというと、正確な場所は良く分かっていない
のだそうですが、イラクのチグリス川の流域ではあったそうです。まず、戦力です
が、マケドニア軍は、歩兵四万、騎兵が七千。ペルシャ軍は、歩兵十五万、騎三万五
千に、ギリシアから雇い入れた傭兵六千に、チャリオットと呼ばれる鎌付戦車が二百
と前に述べたテルモピレーの戦いのようなマケドニア軍にとっては絶体絶命の状況で
した。このような状況でマケドニア軍はどのように勝利をしたのでしょうか。
まず、戦闘が開始するとすぐにアレクサンドロスは軍を右にずらし始めました。
それを包囲しようと躍起になったペルシャ軍は、戦列をどんどん左に伸ばし始めてい
きました。ペルシャ軍の総司令官ダレイオスは、マケドニア軍をこの戦場で事前に待
ち受けていました。なぜなら、彼はチャリオットで敵の戦列を破壊する気であったか
ら、チャリオットが使いやすいように土地をならしておいていたのです。アレクサン
ドロスはそれを察知したのか、戦車が使えないようにするために軍を右に移動したの
です。それを恐れたダレイオスは、早くも騎兵を左翼から突撃させました。マケドニ
ア軍は応戦しましたがあっさり負けてしまいましたが、援軍が来て、激戦となりまし
たがマケドニア軍が最終的には勝利しました。ダレイオスはついに、チャリオットを
突撃させます。しかし、迫りくる戦車にアレクサンドロスの指揮する遠征軍が冷静に
対処し、戦車が来ると、部隊どうしで間隔を開けて、戦車をやりすごしました。多少
の兵が損害を受けたようですが、そこまで深刻なダメージを受けることはなかったよ
うです。ダレイオスは次にやっと歩兵を動かしますが、先ほど突撃させた左翼のとこ
ろと、ダレイオスがいるところの戦列に切れ目ができてしまいました。それを、アレ
クサンドロスは素早く察知し、切れ目に右翼と騎兵を率い突撃しました。騎兵と歩兵
が一緒に自分がいる中央部に突撃してきたのを見るなり、ダレイオスはイッソスの戦
いの時と同じように、臆病風に吹かれて戦線を離脱してしまいました。それをみた左
翼のペルシャ兵も敗走してしまいます。一方、アレクサンドロスがダレイオスめがけ
て突撃し、さらにダレイオス追撃をしようとしている頃、マケドニア軍中央部と左翼
は危険な状態になっていました。アレクサンドロスは右翼の戦力と騎兵を使って突撃
したが、マケドニア軍の部隊の間に隙間が生じてしまいました。ダレイオスが敗走し
たのを知らないペルシア軍がその隙間を突いて一気にマケドニア軍の戦列を突破し、
第2列のギリシア人部隊も突破しました。ペルシャ軍が後ろから包囲する形をとって
いたならば危ないところでしたが、ペルシャ軍はそれをしませんでした。なぜなら、
戦列を突破したペルシャ軍はマケドニア軍後方にあった補給基地の略奪に向かってし
まったのです。その間に2列目の歩兵が反撃して、ペルシャ軍を撃退しました。
マケドニア軍の左翼は、先代のときから武将として仕えていた、パルメニオンが指揮
していました。戦いが進むにつれてペルシャ騎兵に押され始めたのを悟ったパルメニ
オンは、アレクサンドロスのもとへ、救援の要請を伝令に託して出発させたのです
が、それは届きませんでした。映画の中にも、この伝令を送るシーンは出てきます。
(映画では、もう一回パルメニオンの息子のフィロタスを伝令として送っていま
す。)なんとか、テッサリア出身の騎兵たちの敢闘と、ダレイオス逃走の知らせによ
って、ペルシャ兵は敗走しました。こうして、アレクサンドロスは数倍の敵に対して
勝利し、ペルシャ帝国を瓦解に追い込むのです。そして、大遠征は更に東へ東へと進
むのです。
最後に映画のガウガメラの戦いでアレクサンドロスがマケドニア軍の兵士たちに言った言葉・・・
「なぜ勇敢に戦ったか聞かれたら答えろ。ガウガメラの戦いは自由と、そして栄光と、ギリシアのためだ! ゼウスよ、守りたまえ!」
napoleeeeon at 10:54│Comments(8)│TrackBack(0)
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この記事へのコメント
1. Posted by 紗瑠々 2007年12月21日 18:00
戦車の突撃に対して部隊の間隔を広げて対処する…ザマの戦いを思い起こさせる戦術ですね。私は中世史好きなんですが、軍事は古代から関心があるのでアレクサンダーもみましたよw
なにかと批判もあったようですが、戦いのシーンのファランクスが素直に格好よかったと感じたのを覚えています。やっぱり自分で突撃する将軍はすごいです。なんてったって士気が違うんでしょうね。
なにかと批判もあったようですが、戦いのシーンのファランクスが素直に格好よかったと感じたのを覚えています。やっぱり自分で突撃する将軍はすごいです。なんてったって士気が違うんでしょうね。
2. Posted by napoleeeon 2007年12月21日 18:42
コメントありがとうございます!!
中世史で自分が特に興味があるところは、十字軍のところです。あまり世界史の授業ではやらない範囲ですが、現代の宗教対立のルーツの一つなので、とてもおもしろいです。軍事史は、常に歴史とリンクしているので興味深いです。批判も多かったようですね。自分の友達によると、ちょっと同性愛が色濃いので批判が多かったのだとか・・・ この映画のガウガメラの戦いは、グラディエーターの最初の戦闘シーンに次ぐ、戦闘がかっこいいシーンですね。アレクサンドロスは、東方の専制君主ではないから、常識に捕らわれず、自由に戦線を移動できたのだと思ったりします。
中世史で自分が特に興味があるところは、十字軍のところです。あまり世界史の授業ではやらない範囲ですが、現代の宗教対立のルーツの一つなので、とてもおもしろいです。軍事史は、常に歴史とリンクしているので興味深いです。批判も多かったようですね。自分の友達によると、ちょっと同性愛が色濃いので批判が多かったのだとか・・・ この映画のガウガメラの戦いは、グラディエーターの最初の戦闘シーンに次ぐ、戦闘がかっこいいシーンですね。アレクサンドロスは、東方の専制君主ではないから、常識に捕らわれず、自由に戦線を移動できたのだと思ったりします。
3. Posted by ロマーヌス 2007年12月24日 13:21
ブログ再開したんですねー!!
映画「アレキサンダー」は私も映画館に観にいったのですが、コリンファレルがアレキサンドロスというとこがちょっとミスキャストのような気がしました。
とても好きなテーマの話のせいか、アレキサンドロスがちょっとなよなよしてて、しかもバイセクシャルというのもどうかと・・。アレキサンドロスはダレイオス王に勝利し、宮殿を占拠した時もあまり女に興味を示していないようでもあるので、ホントかもしれませんが・・。
歴史テーマの映画というのは人それぞれ思いいれがあるので難しいですよね。公開されるたびに必ず観にはいくのですが・・。
映画「アレキサンダー」は私も映画館に観にいったのですが、コリンファレルがアレキサンドロスというとこがちょっとミスキャストのような気がしました。
とても好きなテーマの話のせいか、アレキサンドロスがちょっとなよなよしてて、しかもバイセクシャルというのもどうかと・・。アレキサンドロスはダレイオス王に勝利し、宮殿を占拠した時もあまり女に興味を示していないようでもあるので、ホントかもしれませんが・・。
歴史テーマの映画というのは人それぞれ思いいれがあるので難しいですよね。公開されるたびに必ず観にはいくのですが・・。
4. Posted by napoleeeon 2007年12月25日 19:53
コメントありがとうございます!!
確かに、友人に聞いてみてもコリンファレルはちょっとね・・・という感じでした。自分もあまり似合わなかったと思います。もうちょっと大王は若々しいイメージなので、若い人に演じてもらいたかったです。しかも、当時のペルシア帝国にはイスラムのスルタンのようなハレムは存在しないので、見たときは驚きました。やはり、「300」でもハレムらしきものが出てきたので、アメリカのペルシア帝国に対しての偏見というのが色濃くこの映画にも出ていると思います。
確かに、友人に聞いてみてもコリンファレルはちょっとね・・・という感じでした。自分もあまり似合わなかったと思います。もうちょっと大王は若々しいイメージなので、若い人に演じてもらいたかったです。しかも、当時のペルシア帝国にはイスラムのスルタンのようなハレムは存在しないので、見たときは驚きました。やはり、「300」でもハレムらしきものが出てきたので、アメリカのペルシア帝国に対しての偏見というのが色濃くこの映画にも出ていると思います。
5. Posted by lemonodasos 2007年12月26日 04:33
アレクサンドロスという名前のほうが素敵ですよね。その名前には意味があるようです。
マケドニアも古代ギリシア語の意味を含んでいます。
間違っていたら申し訳ありませんが、確かギリシア古典の先生(ギリシア人)が、アレクサンドロスには、人の上に立つとか、人をひっぱて行くとか。そういう意味があるらしいです。
またマケドニアはマクロから来ているらしく、マクロは長さや遠さをあらわし、また古代マケドニア人現在でもマケドニア地方の人は背が高いです。
私のギリシア人の従妹が高校でギリシア古典を教えているので、ときどき教えてもらっています。
マケドニアも古代ギリシア語の意味を含んでいます。
間違っていたら申し訳ありませんが、確かギリシア古典の先生(ギリシア人)が、アレクサンドロスには、人の上に立つとか、人をひっぱて行くとか。そういう意味があるらしいです。
またマケドニアはマクロから来ているらしく、マクロは長さや遠さをあらわし、また古代マケドニア人現在でもマケドニア地方の人は背が高いです。
私のギリシア人の従妹が高校でギリシア古典を教えているので、ときどき教えてもらっています。
6. Posted by napoleeeon 2007年12月26日 11:17
コメントありがとうございます!!
そうですね・・・アレキサンダーはちょっとダサいかもしれません(笑) インドらへんではイスカンダルと呼ばれていたり、地域によって呼称が違うのもおもしろいです。彼の名前に意味があったとは驚きです。ギリシア古典ですか、ギリシア古典というとイーリアスや、ギリシア悲劇などをやるのでしょうか?
そうですね・・・アレキサンダーはちょっとダサいかもしれません(笑) インドらへんではイスカンダルと呼ばれていたり、地域によって呼称が違うのもおもしろいです。彼の名前に意味があったとは驚きです。ギリシア古典ですか、ギリシア古典というとイーリアスや、ギリシア悲劇などをやるのでしょうか?
7. Posted by 乱読おばさん 2008年01月25日 09:42
はじめまして〜♪
おお!
コメント欄に並ぶ、面々は、名のあるお方ばかりではないですか〜♪
おお! デオクレティアヌス!
映画のアレキサンダーは、ものすごく期待して見た割には、俳優達にあまり魅力がなかったのが残念ですが、ガウガメラは、ほんとよくできていましたね。あそこまでの戦闘シーンは、他にないと思います。鳥になって俯瞰する構成も、ワザとらしくなくてよかったですね。でもインド戦線は・・。象ってこわいんや〜・・というイメージか?
なによりもロクサネが・・・・あんなんじゃないだろ〜って。
おお!
コメント欄に並ぶ、面々は、名のあるお方ばかりではないですか〜♪
おお! デオクレティアヌス!
映画のアレキサンダーは、ものすごく期待して見た割には、俳優達にあまり魅力がなかったのが残念ですが、ガウガメラは、ほんとよくできていましたね。あそこまでの戦闘シーンは、他にないと思います。鳥になって俯瞰する構成も、ワザとらしくなくてよかったですね。でもインド戦線は・・。象ってこわいんや〜・・というイメージか?
なによりもロクサネが・・・・あんなんじゃないだろ〜って。
8. Posted by napoleeeon 2008年01月26日 18:17
はじめまして!! コメントありがとうございます!!
みなさんにこうしてブログを見てもらって嬉しいばかりです! アレキサンダーは本当にキャスティングミスだと見ていて痛感しますね・・・ロクサネは本当にヤバかったです・・・(苦笑) ガウガメラの戦闘シーンは感動ですよね!! でも、グラディエーターの冒頭のゲルマニアの森での戦いのシーンも互角くらいに凄いと思います。インド戦は、実際はあんなところではなく、ヒュダペス川という川の川沿いで戦われたそうです。あんな鬱蒼としたジャングルはちょっとアメリカの認識の間違いですね。
象もあんなに強くはないですね笑
みなさんにこうしてブログを見てもらって嬉しいばかりです! アレキサンダーは本当にキャスティングミスだと見ていて痛感しますね・・・ロクサネは本当にヤバかったです・・・(苦笑) ガウガメラの戦闘シーンは感動ですよね!! でも、グラディエーターの冒頭のゲルマニアの森での戦いのシーンも互角くらいに凄いと思います。インド戦は、実際はあんなところではなく、ヒュダペス川という川の川沿いで戦われたそうです。あんな鬱蒼としたジャングルはちょっとアメリカの認識の間違いですね。
象もあんなに強くはないですね笑