13-67-660x3301d968486-271a-4172-82f5-7018e0ea2e1d_16x9_788x442レバノンLebanonでは2019年10月中旬から反政府デモが続き、同月末にハリリ首相が辞任を表明した。各政治勢力間の調整は難航し、2カ月以上たった今も新内閣が発足しない政治空白が続く。アウン大統領は1月4日「来週には組閣できると期待している」と述べたが、実現するかは不透明だ。

_101252335_israel_iran_syria_0518.png政府デモの背景にあるのは、深刻な経済低迷と腐敗した政治への不満だ。若年層の失業率は3割を超えるとされる。さらにデモの混乱を受け、一部の銀行では1週間に数万円分の現金しか引き出せなくなった。

5b55c7eeデモの参加者はエリート層が国民のカネで私腹をこやし、国外の銀行で蓄財していると批判する。こうした人にとっては、巨額の会社資金を私的に流用した罪に問われ、レバノンのエリート層とつながりを持つゴーン元日産会長も同様に映る。擁護する政府への不信は強まるばかりだ。右は、ベイルートで大晦日を祝うゴーン元会長。日産は、ベイルートの住宅は会社資産だとして立ち退きを求めているが、ゴーン氏側は応じていない。

110351392_stamp中東戦争やレバノン侵攻などで軍事衝突を繰り返したイスラエルは今でもレバノンの敵国であり、イスラエル経済に貢献することや、イスラエル人や企業との契約や金銭授受は法律で犯罪と規定されているが、ゴーン氏は2008年のイスラエル訪問の後も、レバノンの出入国を繰り返した。

しかし、犯罪者扱いどころか、2017年には当時のレバノンのハリリ首相(2019年10月29日、反政府デモの拡大で辞意表明、現在は暫定首相)の意向でゴーン氏の肖像が入った切手が発行された。 貧乏人は罰するが、金持ちは罰しないのかとの声もあり、「イスラエルと仲のよい人物をレバノンの国民的英雄と持ち上げるのか」とレバノンでは一部から反発を買っている。この件で、レバノン人弁護士3人が、戦時下の敵国への入国は関係正常化禁止法という法律に違反しているとし、ゴーン氏を検察に通報している。ゴーン氏は「ルノーの社命であり、仕方がなかった」と謝罪している。一方、フランスでは、ゴーン被告が会社の金を流用した問題などを含む3つの事件での捜査が進行中の為、彼のレバノンへの逃亡は、フランスの司法からも逃れたと冷ややかな報道もある。 参照記事

世界銀行によると、レバノンの政府債務は国内総生産(GDP)比で約150%に達する。ロイター通信は経済閣僚経験者の話として、国際通貨基金(IMF)などから必要とする金融支援は200億~250億ドル(約2兆1000億~2兆7000億円)に上るとの見方を報じている。密接な関係にあるイランを巡る地域の緊張も高まる中、レバノンの苦境は深まっている。「この国にさらに元会長問題まで抱える余裕はない」と市民の声。参照記事 英文記事

20191214_MAC230_04b7db1233ad34c0eb09ef4114c73460e_182020年1月13日、 首都ベイルートBeirutでデモ隊は政府の金融政策に抗議して、中央銀行への道路にブロックや土嚢をつみあげ、タイヤを燃やして封鎖した。長引く不況での外貨不足や、シリアからの大量の難民流入から社会保障費が増大するなどで財政が圧迫され、また最近レバノンの通貨価値(レバノン・ポンド:Lebanese pound(LBP)レバノンリラとも呼ばれるが対ドルで60%近くも下がり、預金引き出しが制限される中、自分の預金も自由に引き出せなくなったことで市民が不安を感じたことが原因。食品の多くを輸入に頼るこの国で物価は高騰し、デモは全国的な拡大を見せ、政治腐敗や汚職の根絶、政治家の辞任などを求めている。

こんなレバノンで出国禁止のゴーン氏は地元テレビのインタビューで、レバノンの銀行に海外から送金するつもりかと聞かれると「たとえレバノンに送金しても、知っての通り使うことはできない。私は全レバノン国民と同じくこの国の銀行に預金があり、週250ドルないし300ドルしか引き出せない。私が置かれた状況は全国民と同様だ」と認めたそうだが、身内が裕福で、金には困らないだろう。 英文記事 参照記事 参考:レバノンが最悪の事態に。救出の時間切れ迫る 参考:揺らぐイラン勢力圏 “お膝元”レバノン、イラクでデモ拡大 過去ブログ:2020年1月ゴーン被告は新幹線で大阪入りと逃亡に対する各国の評価 2019年12月長引くイラクの治安不安定と米国の出方 11月出口の見えないイラクの国内騒乱はIS再編を招くのか?

図で見ると、シリアポンドも大きく価値を下げている。シリアでもデモは確認しているが、大体はアサド政権c0569548-sのヤラセのアサド支持の官製デモで、恐らく民衆は、あの残忍な情報機関や密告制度で不満を言う事さえできないのがシリアの実情だろうと想像する。トルコ リラ は米国の経済政策や難民政策の行き詰まりなどで大きく暴落したが、活路をロシアに求め、今経済は回復基調にあるという。2020年1月15日の1トルコリラは18.66円となっている。 過去ブログ:2019年11月トルコで進む経済復興の兆しは本物か? 11月アサド大統領のトルコへの警戒とクルドへの姿勢 ISに再編の動き 11月トルコの自動車産業の急成長とその背景 10月米国はトルコへの軍事行動ちらつかせ、難民が難民を生む異常 7月今もISの攻撃を受けるガスパイプライン シリア




nappi11 at 01:44│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加

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