ならなしとり2nd

熊森の問題点を集約すると、大きく分けて2つの事柄が浮き彫りになってきます。1つは自然(公共財)の私物化、もう1つは他の自然保護への妨害です。

まず、自然の私物化からいきましょう。熊森の有名な活動の一つにドングリ運びがありますね?これはざっと挙げるだけでも以下の問題点があります。

・野生動物の生活のかく乱

・病気の伝播

・植生の破壊

・遺伝子資源の破壊

・人との接触事故リスクの増加

まず、その場に本来あるはずのない餌があることで野生動物の生活リズムが乱れます。ダイエットの最中に突然目の前に美味しそうなステーキやケーキが出てきたと言えばわかりやすいでしょうか。

野生動物が多く集まるということは、病気や寄生虫が広まりやすくなることも意味します。カモの越冬地では既に知られていることで、今ではまっとうな水鳥の保護団体は越冬地での餌やりに制限をかけています。病気や寄生虫の影響は動物だけにとどまりません。どんぐりの中には虫が入っていることがよくあります。その虫についたウィルスや寄生虫、あるいは虫そのものが森に影響を与えるリスクがあります。実際、アメリカのクリ林はユーラシア大陸から入ってきたウィルスにより多大な被害を受けたことがあります。松枯れの原因であるマツノザイセンチュウは北アメリカ由来の木材から日本に侵入してきました。

このように病気や寄生虫が入ってくるだけも植生は様変わりしますし、運ぶドングリがその地域に生えていないドングリであることもありえます。元々いないものを運んできたらそれはブラックバスやマングースのように外来生物です。また、同じ種類の植物であってもその中に抱えている遺伝子には違いがあります。たとえば、同じスギでも日本海側と太平洋側とでは葉の形に違いがあります。主に積雪に対応したものと考えられ、日本海側の方が雪に対して耐性のある葉の形になっています。このように一見代わり映えのしない植物であってもその土地に応じた遺伝子を持つことで生きているわけですね。ここに他所から本来は来るはずのない遺伝子が入ってきた場合、地域ごとの特徴が薄れて土地に適した遺伝子が消える恐れがあるわけです。複雑な色絵が単一色で塗りつぶされるようなものです。

さらに、現在の獣害対策では動物を惹きつける餌などはなるべく集落(人の行動圏)から廃すのが鉄則になっています。人家の見える範囲や林道の近くにどさっと置いていくようなやり方は下の下もいいところです。

また、熊森は度重なる行政への電話攻撃、研究者への誹謗中傷、陰謀論、挙句の果てにナチス呼ばわりをしてきました。

ナチス呼ばわりは熊森に限った話でもなく、動物愛護団体が束になって外来生物を駆除している人たちに行ってきたことですし、自称良識的な愛護団体も鉄砲玉よろしく見て見ぬふりをしてきました。結果としてこのような活動に対応する労力を割くハメになっており、本来のやることである獣害対策や外来生物対策が遅れることにもなっています。このブログだって熊森が妙な気を起こさなければ別の有益な情報をお伝えできたでしょう。

 一言で言うと、宝石の鑑定士がガラス片をダイヤと鑑定しちゃった様な本。
やっちまったなぁ……。
この人は以前にもサル対策の本でオオカミ再導入を熱弁していた覚えがあるし、何より京大出身の霊長類学者なら、今西の悪い方の影響をモロに受けちゃった人なのかと思うと筋金入りなのかもしれません。

特にひどいと思う部分を抜粋します。
以下引用
これに対する答えもすでにオオカミは出している。 
オオカミが日本列島に健在だった頃、東北・北海道でオオカミが人を襲った例が報告されていないからである。

1章 「オオカミは人に危害を加えないのか」P49より抜粋
引用終わり

江戸時代の盛岡藩(現鹿角市)の『雑書』には1699年8月4日にオオカミに人が襲われた記録があるんですがねぇ……。
以下引用

「草木村で三九郎の子・治郎一四歳、とき村で万九郎の孫・伊之助五歳、赤坂村で万九郎の子・彦一二歳、芦名沢村で八九郎の娘二人、風張村で五平の娘一二歳」が狼に食い殺された。

工藤利栄著「狼が遺したもの」北方新社P6より抜粋
引用終わり

盛岡は東北に含まれないんですか?
この時点で資料をまともに探していないし、また長野県原村の狼害など自分に都合の悪い事例は外していることが明らかになっています。狼害を東北・北海道に限定する合理的な理由が何かあるんでしょうか?
また、引用が面倒なので全文抜粋はしませんが、P51からオオカミとニホンザルについて述べ、オオカミによってニホンザルが抑制されるだろうと楽観的に結論付けていますが、それならせめてニホンザルに近縁な大陸のマカカ属とオオカミの関係について資料を提示するくらいはしてもいいでしょうね。マカカ属の簡単な歴史は述べているのに。そういった資料を探せる肩書き、人脈はもっているでしょうにやらないのはどういうことなんでしょうか?

ついでに指摘しておくと、再導入に関する参考文献もオオカミ協会のものばかりで、思い切り偏向しているとしか言い様がないです。さらには、その文献をきちんと読んですらいないことが伺えます。あのオオカミ協会のQ&Aを読んで尚、彼らが獣害対策や保全の専門家と言い張るなら話は別ですが。

この本の作成にはドーキンスの著作の翻訳で知られる翻訳家の垂水雄二氏や北海道立林業試験場、飯田市美術博物館、オホーツク農業科学研究センター、奈良大学の職員、知床博物館館長等、そうそうたる面々が揃っています。
特に知床博物館といえば、オオカミ再導入に関する試算を行っており、その過程で国内外のオオカミ害の資料は集めているはずです。そこの館長が関わって、なんで再導入賛美一辺倒のモノができるのかわかりません。
知床博物館は資料のことをなんにも教えてあげなかったか、この著者が都合の悪い資料は無視した可能性があります。
どうして、これだけの面々が集まって、この程度のちり紙の束が生まれたことに疑問すら覚えます。

カメ:1冊でその物事を知りたい(意訳:わかりやすい本が欲しい)

 

ギル:諦めろ。出直せ。

 

カメ:この手の主張って、脂ぎった食生活で運動も節制もなしに痩せたいと言ってるようなものですよね(--;)

こういう記事のブックマークにもちらほら見かけられますし→大学生になっても教科書は買うな(http://b.hatena.ne.jp/entry/radithin.com/daigakusei/201kyoukasyo.html)
 

ギル:勉強の世界にトクホがあると思うなよ。

 

カメ:楽をしたいのは万人共通みたいなものですからねぇ。

 

ギル:仮に1冊で必要なことがあらかた書いてある本があったとして、お前がそれを理解できるの?って問題があるよな。

 

カメ:つまり、理解するための頭を作る必要があると。

 

ギル:普通、ジョギングすらしないのにオリンピック出たいというやつはおらんだろ?どういうわけだか、使うものが体から頭に変わった途端にこのことを忘れる人いるよな。

 

カメ:ここの管理人の基準としては、頭を作るのに最低3冊、10冊以上は読まないとその分野に通じているとは言えないんでしたっけ。

 

ギル:頭を作るってのと、知識を馴染ませるってのがあるからな。運動と同じ。反復練習が大切なり。

 

まぁ、新書1冊で訳知り顔になれる人達はある意味幸せではある。食べているものがポテチかバーガーか緑黄色野菜かもわからずにこれを食べれば健康になるといった思い込みをしているようで。600円かそこらで幸せが買えるならそんなに悪くもないだろう。

 

カメ:読書が趣味ですなんてのは。

 

ギル:次元としてはマンガが好きですってのとさして変わらん。むしろ、600円から1500円出した程度で知った口を叩くなら有害。


壁は教科書が買える
3000円以上からである。

このページのトップヘ