2018年10月20日

「悪魔の植物」、ヨーロッパへ ―飢餓と戦争―

<地球セミナ125-1 山本紀夫著 ジャガイモのきた道 第3章>

                      <大村 沙紀>

<ジャガイモの「発見」>
 インカ帝国はスペインのフランシスコ・ピサロに1533年征服された。後に彼も暗殺され弟のゴンサーロ・ピサロがペルー全土を制圧するも内乱が続く。

 これを収める為派遣された軍に居たシエサ・デ・レオンがヨーロッパ人による初めてのパパ(ジャガイモ)に関する記録『インカ帝国地誌』を残した。

 インディオのトウモロコシ以外の主食として2つを挙げている。パパとキヌア(ホウレン草と同科のヒユ科、種を食す)である。パパは殻や核がないのが松露(松林などに育つ食用キノコ)と同じであると記録された。

<いつヨーロッパに渡ったのか?>

 トウモロコシはコロンブスが1493年にスペインに持ち帰った記録がある。ジャガイモは穀類とは違い違和感があったか?シエサ・デ・レオンはコロンビアに13年滞在した間にジャガイモが主食として利用された実績を観ていた。

 スペインに持ち込まれた年代は15651572年頃と推察される。セビリアの病院で1573年に食用に供された記録よりこの年を栽培開始時とされる。但しジャガイモは短日条件でイモを形成するのでスペインは不向きである。フランス、イギリス、ドイツへ拡散する。

 
 トウモロコシはイタリア、ギリシャ、ユーゴスラビアなど欧州南部に広がった。ジャガイモとトウモロコシは新たな食糧源として欧州の大幅な人口増を支え歴史を変えたとも言える。

  原産地のアンデスから世界への伝播の時期[2]
  

伝播

<フランスへ>
 
1600年オリヴィエ・ド・セールの書いた『農業の概観と耕地の管理』にジャガイモの記載があるとの事。ラウファー博士の労作『ジャガイモ伝播考』の中にオリヴィエの文が引用されている。

 “この植物は小灌木でカルトゥフェル*という。…トリュフに似た実を結ぶのでトリュフと呼ぶ人もいる。…一年生植物であるから毎年植え直す必要がある。繁殖は種子、すなわち果実それ自体を植えることから始まる。” *(独;Kartoffel又はErdapfelエルドゥ・アプフェル「大地のリンゴ」とも言う)

 
 植物学者のC.ボーアンは1671年に以下の記録を残す。トリュフと同様の食し方を紹介、健康食品として推奨するものもいる由。滋養に富むが鼓脹性で腹にガスがたまると。癩病になるとの風評もあり。

 100年後でもまだジャガイモは下層階級の食物との見解があり。状況を大きく変えたのが18世紀に16回もの飢饉があり大きな役割を果たした。

 著名な化学者、アントワーヌ・オギュスタン・パルマンティエ(17371818)7年戦争時ドイツの捕虜となりジャガイモ食を与えられフランスへ帰国後ルイ16世の庇護のもとジャガイモ栽培の普及を図った。19世紀には年々栽培面積が拡大、100年で300(152ha)以上になる。


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hoshino_oomurasaki at 11:13|PermalinkComments(0) 観察と学習 

2018年10月17日

花のm4/3 鉄橋を渡っている電車の数は?

<眼福亭>

 


 梅田スカイビルの40階から撮影した淀川の鉄橋。橋の手前までで1劼曚匹竜離があるのにマクロレンズの写りは鮮明ですね。車の橋と阪急電車の鉄橋のパターンの対比が面白い。


 ところで鉄橋を渡っている阪急電車の数は解りますか。神戸行、宝塚行、京都行に、京都線の梅田行の4編成が渡っているところです。


p7005淀川26

OLYMPUSM1Mark60mm F2.8 Macro、手持ちAFF111/1000秒、ISO160010月中旬、大阪市、クリックで拡大)。



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2018年10月14日

花のm4/3 マツカゼソウ−ひよこが飛んだ

<眼福亭>

 


 山道の脇に咲いていたマツカゼソウを撮影していたら、通りがかりの人が「何を撮ってるんですか」と聞く。撮影した花をモニタに拡大して見せたら、「あっ、顔みたいだ」 それで私もひよこの顔に気がついた。


 マツカゼソウの草丈は3050僉花の直径は34弌I當未凌佑浪屬傍いつくこともなく通り過ぎていく。そんな道端に座り込んで一生懸命撮影している姿は奇妙に見えたことだろう。この花は4という数字でできている。花びらも雄蕊も雌蕊も4つ。花びらが散るとひよこの上のように4つ実になる。この写真では2つの雄蕊が目、雌蕊が鼻と口。こんなアングルは偶然以外の何物でもない。


p7001マツカゼソウ17ds

OLYMPUSM1Mark60mm F2.8 Macro、深度合成、三脚AFF111/30秒、ISO80010月上旬、川西市(クリックで拡大)。



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2018年10月10日

書籍紹介:「土・牛・微生物 文明の衰退を食い止める土の話」

<デイビット・モントゴメリー(築地書館、20182700円)>  <水明子>

 


 この本は、新しい農業のあり方を訊ねて世界をめぐった探訪記である。土壌学者である著者の住む北アメリカはもとより、アフリカのガーナ、中米のコスタリカなど新しい農業を試みている農場を訪ね、当事者の案内で現場を見て説明を聞く。日本や中国訪問の話も出てくる。ただし、著者本人ではなく、明治後期の日本と中国を訪ねたのはアメリカ農務省のフランクリン・H・キングだったが。

 
 本書によると、アメリカ農民の多くは農薬と化学肥料の大量投入による農業に先がないことに気が付いているという。この慣行農法は肥沃度の劣化と土壌の流失を招く。『2015年、国連食糧農業機関は全世界の科学者集団が作成した報告書を公表した。それは、土壌の劣化により世界の作物生産能力は毎年約0.5%低下していると試算していた。』 昔の文明が土壌の消耗によって滅びたように、現代の文明もこのままでは災厄にみまわれる。


20181009土牛微生物

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nara_suimeishi at 21:01|PermalinkComments(0) 書籍紹介 

2018年10月06日

花のm4/3 ツリフネソウの深海魚とカメレオン

<眼福亭>

 

  
 ツリフネソウの特異な花はアングルを変えると様々な形に写る。開花した花は口を開けた獰猛な深海魚のようだ。上の蕾はカメレオンそっくりである。花の後尾の渦を巻いたところが苣の先端で、ここに蜜が入っている。そのくるりと巻いた渦巻きはカメレオンの尾そのものである。


 渦を巻いた苣の先端の蜜を吸えるのはトラハナバチだけだという。この蜂の口は三重折りたたみ傘の骨のようになっていて、それを伸ばして蜜を吸うのだという。カメレオンの舌とどちらが長いのだろうか?

 

ツリフネソウ               カメレオン http://hacyuurui.com/tokage/4391/
p700ツリフネソウ18dsa1bd0f36c1ad3815ae7cbcb5cd485f28[1]

OLYMPUSM1Mark60mm F2.8 Macro、深度合成、三脚AFF2.81/50秒、ISO409月下旬、能勢町、クリックで拡大)。




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2018年10月03日

花のm4/3 ツユクサは可愛いキツネザルのように

<眼福亭>

 

 
 9月も半ばを過ぎるとヒガンバナの紅とツユクサの藍が野をにぎわす。妙見山の里・黒川にはタンデム型のツユクサが多いところがある。普通、ツユクサの花は一つの苞から一つ咲く。ところが、まれに縦に並んで二つ咲くものがある。黒川の里のその畑にはこのタンデム型が多いのだ。

 
 タンデム型のツユクサが次々に見つかるのでカメラに収めていった。撮影したときはこのような写真になるとは思わず、普通に撮った写真だった。家に帰ってパソコンで拡大したら可愛らしい顔が現れた。マダガスカルにでも行けばこんなキツネザルがいるのではないかと想われた。

 
 顔を形作っているのは雄蕊の黄色い葯である。ツユクサの葯はI型、X型、Y型の3種類が2個ずつついていて、花粉を出す本物のI型の葯は手前に突き出している。写真の花のI型はすでに花粉を飛ばし色があせて茶や黒に写っている。顔に見えるのはX型とY型のダミーの葯で、もともと花粉はほとんどないので黄色を保っている。たまたま、XYの葯の集まりが顔のように写ったのだ。カメラアングルの偶然がなす技である。


p7001ツユクサ39

OLYMPUSM1Mark60mm F2.8 Macro、三脚AFF5.61/250秒、ISO8009月下旬、川西市(クリックで拡大)。



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2018年09月30日

アンチエージング物語(11) 100歳の冒険画家―堀文子

<水明子>

 

 
 堀文子の絵に初めて出会ったのは箱根の成川美術館だった。この美術館は現代日本画家の作品を展示するので、美しい作品の数々に巡り会えるだけでなく、元箱根の高台にあって芦ノ湖の絶好の展望台になっている。喫茶室は総ガラス張りでコーヒーを飲みながら、眼下の桟橋に着いたり離れたりする海賊船を眺めることができる。運が良ければ岬の上に美しい富士を仰ぐこともある。

 
 10年ほど前にここを初めて訪れて堀文子の「トスカーナの花野」(右下)に出会った。壁をいっぱいに埋める大作はイタリアの花野を稠密にそしてかぎりなく柔らかく描ききっていた。この絵で初めて堀文子という画家の存在を知った。この出合いを記念して、成川美術館が編集した「堀文子の世界」[1]という画集を購入し所蔵している。

 

成川美術館からの眺め            トスカーナの花野 1990[1]
@@@9成川美術館151000トスカーナの花野

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nara_suimeishi at 22:01|PermalinkComments(0) エッセイ 

2018年09月26日

アンチエージング物語(10) 70代に始めた3つのこと

<水明子>

 


 ここからは新しいアンチエージング物語である。現役時代の物理化学者という仕事を細々ではあるが続けていたが、70歳を区切に完全にリタイアした。その後、70代に始めたのは3つのこと、1)地球セミナ、2)写真クラブ、3)自然栽培である。これらは皆アンチエージングに有効である。逐次紹介しよう。

 


1)地球セミナ

 この「いつでもLOUPE」というブログはしばらく前から始めていたが、地球セミナという輪読会を始めたのは70歳になる年からである。地球セミナで解説した人が本の内容をまとめてブログに書く。若いころは本を読むだけ、あるいは話を聞くだけでも記憶にとどめることができた。しかし、70代にもなるとそうはいかない。読んで、話して、書いて、ようやく記憶に残る。高齢者が学習したことを記憶にとどめるにはこのくらいの努力がいる。しかも、ブログに書いて公表する[1]のだからそれなりの緊張感と責任感を伴う。これが記憶のための特効薬なのだ。

 

精進湖から見た日の出の富士
p700精進湖55

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nara_suimeishi at 23:55|PermalinkComments(0) エッセイ 

2018年09月23日

花のm4/3 半月のもとに横たわる金色は?

<眼福亭>


 

半月のもと、斜めに走る金色は何でしょうか。金色の光には強いところと弱いところがあり、何かの文様も見える。撮影したのは猪名川の河川敷、はて正体は何でしょうか。答は続きを読むをクリックして。


p7004ビッグハープ13
OLYMPUSM1Mark25mm F1.8、三脚AFF8.01.3秒、ISO8008月中旬、川西市(クリックで拡大)

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2018年09月20日

花のm4/3 サクラタデを黒留袖の文様に

<眼福亭>

 

  
 サクラタデは蕎麦や蓼の仲間ではもっとも格調高い花を咲かせる。直径は78个両さい花で、枝のこちら側や向こう側に花をつけるので、すべての花にピントを合わせるのが難しい。そこで深度合成の出番になる。絞りは開放なのに、ここに写っているほとんどの花にピントが合った。


 花の向きによって明るさが変わるので、清らかな美しさがひときわ映える。この紋様を黒留袖に使えないだろうか。黒留袖は最高の礼服といわれる。最近では金銀を用いたきらびやかなものが流行りのようだが、この写真のように清明で格調の高い美しさの留袖がかえって式場に映えるのではないだろうか。


p7001サクラタデ33ds

OLYMPUSM1Mark60mm F2.8 Macro、深度合成、三脚AFF2.81/1600秒、ISO4009月中旬、神戸市(クリックで拡大)。



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