江戸の易占(ブログ版)

管理者  奈良場 勝   ブログ内の解題は『術数書の基礎的文献学的研究 ー 主要術数書解題 』第一~第三集(平成21年度~平成23年度『科学研究費補助金研究成果報告書』 研究代表者 三浦國雄)に収録されているものです。

拙著収録の「八卦の版本と占法」に引用される『八卦大綱目』について更新。

 これまで同書の最古の版本は、彦根城博物館琴堂文庫所蔵の享保16年(1731)柊屋傳兵衛版であったが、この度新たに延宝七年(1679)山口忠右衛門版を入手し、架蔵本となった。
 八冊八巻で琴堂文庫本と体裁は同じだが、架蔵本には八冊目の末尾に著者の「跋文」がある。これは琴堂文庫本にはない部分であり、本書の成立事情が非常によくわかるので、以下に全文を記す。

 右維書物ハ蒙愚家業ニアラズトイヘトモ幼少ヨリ数奇好ムニ随テ都鄙名人ノ心傳ヲ受ケ秘シ他年持チヌレド億万生ベキ此身ナラ子バ末世占兆人ノ為ト思ヒ武刕金陽城下ニ有シ時清明日用ノ占並ニ八卦大全ヲ撰ビ世ニ廣ル処ニ日用占ノ本板行人身マカリ是本跡形ナクナリ八卦大全計リ世ニ出ルユヘ今新タニ八卦大綱目八葉九尊曼荼羅ノ巻八巻板行ス。尚、追テ増補万年暦傳霊應ノ巻並ニ清明カ小兆(こうらかた)清明人間一代記等の●(尺の下に日)ヲアラワサント誓ヒ是ヲ見シ輩悪敷ハ捨テ善キは用ヒ維道ノ達人ト成リ給ハン事ヲ願ヒテ世ニ廣ムル物カハ
 (時)延寶第七歳次巳午 正月吉祥日 和州南都住鍼醫渡部東伯秀富選之

 『八卦大綱目』は八冊本と大部な書物であり、神道と仏教の折衷的な表記が特徴の書物である。一見すると、「八卦」の占法の中に古くから神道的な方法が存在したように思われるが、跋文によってこれが著者の恣意的な編集だと判明する。渡部秀富は『古今八卦大全』と『清明日用占』から引用して本書を著したと述べているようだ。
 『清明日用占』については未見だが、すでに散逸しているとすれば、本書の中からその一部を推測することができると思われる。

尚、著者名は「秀富」となっており、拙著の「秀當」の表記は訂正しなければならない。

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これは現在の岐阜県海津市南濃町松山(旧石津郡松山村)に関する古文書である。

同所の郷土資料については、

すでに岐阜県歴史資料館に富波小PTA収集文書が収蔵されている。 

拙蔵の資料は安政六年(1859)のものであるから、

あるいは同所にとって貴重なものと言えるかも知れない。

内容については、

村内の北前曽和山に於ける「下草」に関するものである。

近世から近代初期までは、

租税としての本途物成(ほんとものなり)、すなわち年貢に対して、

小物成(こものなり)という多くの諸雑税があった。

松山村は美濃大垣藩の領地であったから、

北前曽和山は藩の管轄下にある。

しかし、運上金を支払うことによって、

山林の材木や柴木等の資源を入手することができた。

これを「御林下草銭」あるいは「下草」と言った。

本資料は松山村の名主であった「庄平」が代表となり、

中嶋村の庄屋が立会人となって記された下草に関する取り決めのようだ。

庄平は明治時代以降は「松永庄平」を名乗ることになる。

この文書は全長2mに及ぶ公的性格の資料と考えられ、

文書の体裁も非常に立派なものである。

もう少し近世の租税に関する勉強をした上で、

内容を翻刻し、紹介したいと考えている。

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2016年10月14日発行 定価3200円

総論 出版と流通(横田冬彦)
1  三都の本屋仲間(藤實久美子)
2  地方城下町の本屋(須山高明)
3  「暦占書」の出版と流通(梅田千尋)
4  仏書・経典の出版と教団(万波寿子)
5  平田国学と書物・出版(吉田麻子)
6  地図・絵図の出版と政治文化の変容(杉本史子)
7  明治初期の学校と教科書出版(稲岡勝)
8  近代の貸本屋(浅岡邦雄)
9  近世出版文化の統計学的研究(松田恭代)

梅田千尋先生のご論考に、ハイエク先生と私の論文が引用されています。
ありがたいことです。

 

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パリ・ディドロ(第7)大学准教授、

マティアス・ハイエク先生です。

かねてから同学の士として、

ぜひとも交流したかった方です。

2016年2月から、

京都の国際日本文化研究センターに赴任なさっており、

この度、

はじめて研究会でお会いすることができました。 

思っていた通り、

研究熱心なすばらしい先生です。

日本滞在中は、

いろんな場所で研鑽を積みたいと

意欲を燃やされています。 

今後ともよろしくお願い致します。 

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