以前に書いた記事での解釈を撤回させてください。
少なくとも、喜びと対比される「悲しみ」についてだけ歌われている歌ではなかったようです。

世界中に花束を/THE BACK HORN




なぜだろう 何も無いな
あんなに欲しかったのに
あるのは寂しさと霞がかった空だけ

生きるのは簡単なことではないけれども 
辛いだけでもないだろう
人気のない明け方の街を
歩くのが好きだった 

世界中に花束を 太陽が昇るその前に
光や笑顔や喜びに 隠されてしまうその前に

不思議だな 憧れや夢や近づけば近づくほど
遠ざかっていくようだ
消えてしまいそうなほどに
僕は今無力だ

あの空ではずっと消えない悲しみが
もういいよと嘆いている
軽はずみな言葉はやめて
全ての人におやすみ

世界中に花束を 生まれ変わるその前に
今日だけの悲しみに さようならを告げて手を振るよ

何もかもみんな もともとは一つだったのか
儚く揺れながら消えてしまうほどに
確かに僕はここにいるから

悲しみにまみれたくないんだよ
まだ夢は叶えてくないんだよ
神様になりたい訳じゃないんだよ
また君に会いたくなるんだよ

今 こころの扉を開いていくのさ
眠れる孤独を抱えたまま
心臓は動くのさ 世界も動いているのさ
誰にも邪魔されることなく

朝と昼と夜と影と僕とその間で奏でている
おどけて笑ってよ 忘れはしないだろう
ずっとずっと走り続けていくよ



世界中に花束を 太陽が昇るその前に
光や笑顔や喜びに 隠されてしまうその前に


世界中に花束を 生まれ変わるその前に
今日だけの悲しみに さようならを告げて手を振るよ


僕ら何処へいく 何処へ行っても
またここに帰るだろう


一番の歌詞では、「希望」が日常を埋め尽くす前に「悲しみ」に花束を送り、
二番の歌詞では、拭いされない「悲しみ」に手を振ってさよならを告げる。

それぞれの歌詞からうかがえるのが、揺れ動いてしまう心。
それは時として、希望と絶望、両極端の感情に振れてしまうこともよくあります。


辛い出来事に出くわしてしまった人はきっとこういった様々な感情を抱くと思う。
いや、人間なら誰しも心はぶれぶれぶれと揺れ動いている。
当然、悲しみに打ちひしがれるときがあれば、前を向こうと立ち上がるときもあり、理由もなく泣きたいこと、なんとなく嬉しいときだってある。

だから「頑張れ」という言葉や「大丈夫」という言葉に励まされるときも傷つくときもあるかもしれない。



   軽はずみな言葉はやめて




言っている本人にはそんなつもりはなくとも、受け取る側がどう思うか分からない。
言葉はときとして案外不自由。なら、行動で示せばいい。

ないがしろにされてしまいそうな悲しみには慈しむ花束を。
センセーショナルに扱われる悲しみに決別の手を振ろうと。
そこには言葉はなくとも、思いはしっかりとあって。
そうやって思いを伝えることだってできる。


そういった意味での「世界中に花束を」の歌詞だと感じました。
前回、書きつくせなかった違和感は「悲しみ」の前半だけしか書かなかったからでしょう。

THE BACK HORN好きとして、一人の音楽好きとして、心から素晴らしいと思える曲です。
というかバックホーンファンとして、あの出来事を見つめてできた曲がこの「世界中に花束を」で嬉しいです。
嬉しいって言い方はちょっとまずいかもしれませんが。

それはそうとしてようやく歌詞と折り合いがつけられて良かったです。
ずっとしっくりこなかったので。
「僕ら何処へいく 何処へ行っても またここに帰るだろう」とインディーズのアルバム名も起用されていたり、ファンには嬉しい歌詞にもなっているようです。


最後に、またここに帰るだろうの「ここ」はどこなのか。
それは何処へ行くの歌詞から考えてみました。

何処へ行く


何処へ行く 青く咲き野道を遠く離れて
何も変わらねえよ 全て変わってゆく 歌いながら

薄明かり 虫の音が聴こえる 幼き夜に
孤独なふりをすんな でも孤独をかみしめろ そう歌ってた

ふみよむ月日俺に言った
「生きる訳など考えずただ愛せ」振り返ることなく

夏のかほり消えるだろ 落陽の彼方に
何も分らねえ分らぬまま からから鳴きぬれる

そして今 飛ぶ鳥を見上げる危うき心
何処を彷徨っている 何も見えぬまま 途方に暮れる

ふみよむ月日俺に言った
「生きる訳など考えずただ愛せ」振り返ることなく

ちぎれながら落ちてゆく 呼ぶ声の彼方に
むせかえる息もできぬほどに 夕闇立ち籠める

心はぐれては かすむ道
ただ愛せ 振り返ることなく

夏のかほり消えるだろ 落陽の彼方に
何も分らねえ分らぬまま からから鳴きぬれる



「ここ」はきっとただ生きているという現実そのもの。
それ以外は何も分からないけど、それだけは確実な場所。

これまでのTHE BACK HORNの歌詞を考えても、生そのものを賛歌する歌も多いのできっと合っているはず。