「就業規則」は会社と社員のルールブック。
安心して働ける職場環境を作ると、社員のやる気スイッチが入ります。
社員がイキイキと働いてくれる魅力ある会社にするために、就業規則を作り、きちんと運用すれば、多くのトラブルから会社を守ることができます。

就業規則を作る・見直すには『コツ』があります。
法律で決まっていることだけを定めるだけでは、意味がありません。

伸びてる企業・元気な企業は、実際にどんな就業規則を用意し運用しているのか?
法律の考え方と会社のルールとで、どう折り合いをつけていくのか?
就業規則の作り方から労務管理のポイントまで、様々な角度・視点から、分かりやすくお伝えします。

[088]懲戒処分での教唆・ほう助・加重、損害賠償

【今回のポイント】
1.懲戒に該当する行為をそそのかしたり手助けしたら、一緒に処分となる
2.懲戒処分と損害賠償は別物。賠償責任は果たさないといけない。


121127-1懲戒処分に該当する行為そのものを行った社員は罰する事ができますが、処分に該当する行為をしてしまうようそそのかしたり(教唆)、処分に該当する行為を手助けしてしまったり(ほう助)している場合は、直接的に企業秩序に違反しているわけではないので、これら行為も懲戒処分の対象とするために就業規則に規定をします。

また一度懲戒処分を受けた者が、一定期間内にさらに懲戒に該当する行為をした場合や、同時に2つ以上の懲戒に該当する行為をした場合に、処分を重くするために規定をします。(加重)

加重の扱いは制裁に関するものであるため、就業規則の相対的記載事項とされ、処分の有無を規定しておく必要があります。

懲戒処分を受けたことで、会社に与えた損害に対する請求を免れるのではと考えられたりしますが、労務提供義務や不法行為を行った事で、会社に対して損害を与えた場合は、懲戒処分を受けたからといって免れるものではない事から、損害賠償と懲戒処分の関係性についても規定をしておきます。

【規程例】
第●条(教唆及びほう助)
 社員が、他人を教唆し、またはほう助して懲戒事由に該当する行為をさせたときは、その行為に準じて懲戒処分とする。

第●条(加 重)
 第●条各号の一の懲戒処分を受けた者が、その後1年以内にさらに懲戒に該当する行為をしたとき、または同時に2つ以上の懲戒該当行為をしたときは、その懲戒を加重する。

第●条(損害賠償)
 社員が違反行為等により使用者に損害を与えた場合、使用者は損害を原状に回復させるか、または回復に必要な費用の全部もしくは一部を賠償させる。なお、当該損害賠償の責任は、懲戒された事によりまたは退職後も免れることはできない。さらに、本人より賠償がなされないときは、身元保証人にその責任を追求することがある。


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[087]懲戒処分での弁明の機会

【今回のポイント】
1.弁明の機会を与えるのは諭旨解雇や懲戒解雇など重罰のみ
2.通常の処分は注意指導を繰り返し事実の積み重ねを証拠とする


121127-1懲戒処分が有効であるとするためには、懲戒事由と懲戒の種類・程度が就業規則に明記されていなければいけません。

また、同じ程度の違反に対しては同じ処分をする必要があります。これは企業内で今までどの程度の処分を行ってきたのかを十分に確認しながら対処する事を意味し、併せて違反の程度に対して、相当な処分である事も求められます。

そして懲戒処分を下す際には、手続きとして適正である事が求められます。

ここで諭旨解雇や懲戒解雇処分については、一方的に処分を下し不公平だとされないためにも、本人に弁明の機会を与え、違反内容の最終確認や指示命令を拒否している場合はその理由などを話してもらいます。

諭旨解雇や懲戒解雇処分は、普通解雇と比較すると相当の処分理由が求められ、特に裁判にまで至ってしまった場合は、余程の処分理由がない限りは解雇無効と判断されます。

解雇トラブルとしないという意味では、処分内容を相手によく理解してもらい自己都合退職してもらうのが最善の方法といえますが、最近の傾向として、社員側から懲戒処分の意味をよく理解しないまま、普通解雇処分としてもらうよう申し立ててくるケースもあります。

これは安易に失業給付を早く受給したいというのが理由のようですが、本人の将来を鑑みれば、安易に普通解雇処分とすべきではありません。

企業側からすれば、違反行為に対し注意指導を繰り返しながら指導した証拠を残しながら、懲戒処分による制裁を都度行いつつ、相手に行為を是正してもらう機会を与えるという事実の積み重ねが必要であり、これをもって解雇処分が有効となるようにします。

諭旨解雇や懲戒解雇処分とまで至らない程度の処分は、上記のように事実の積み重ねによる処分が有効であるものとし、重罰となる諭旨解雇や懲戒解雇処分に対してのみ、弁明の機会を与えるようにします。

【規定例】
第●条(弁明の機会)
諭旨解雇または懲戒解雇事由に該当するとして、諭旨解雇または懲戒解雇になるおそれのある社員は、事前に弁明の機会を与える。


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[086]懲戒処分前の自宅待機

【今回のポイント】
1.解雇処分前の一定期間は、処分の妥当性を判断するためと他の社員への影響を考慮して自宅待機とすべき
2.
自宅待機が労働者側の責任に起因するかどうかで賃金支払を考える

121127-1社員は、労働者として労務を提供する義務を負ってますが、働く事を求める請求権はもっていません。

という事は、企業=会社は社員が働く事を拒否できるという事になります。

懲戒処分とするにあたり、企業が社員の就労を拒否する事ができるのは次の通りとなります。

1)懲戒処分としての出勤停止

2)解雇処分する前に、処分の妥当性を判断するための調査や審議する期間として、一定期間の就業を禁止したり自宅待機を命じる

3)業務に就く事が不適当として、業務命令として一定期間の就業を禁止したり自宅待機を命じる

これらの措置が有効であるとされるには、相当の事由があり権利濫用とされない事が前提となります。

また自宅待機中の賃金を支払うかどうかがよく問題となります。

基本的には、使用者の責任によるものであれば賃金を支払う義務があります。

解雇処分に該当したり処分に該当するおそれがある場合には、証拠隠滅の危険性があったり、他の社員の就労環境に影響を与えるおそれがあるの考えると、労働者側に責任が起因するものといえますので、一定期間の自宅待機中の賃金を支払う義務がないと考えられます。


【規定例】
第●条(自宅待機)
1.諭旨解雇または懲戒解雇事由に該当する行為があった場合またはあったと疑われる場合、調査または審議が決定するまでの間、期限を定めて自宅待機を命ずることがある。
2.自宅待機を命ぜられた者は所定労働時間中は自宅で待機し、会社が出勤もしくは連絡を求めた場合には直ちに対応できる態勢を整えておくものとする。
3.自宅待機の期間は短縮または延長することがある。
4.社員は、正当な理由がなければこれを拒むことはできない。
5.自宅待機中の賃金は、支給しない。


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[085]懲戒処分の事由

【今回のポイント】
1.懲戒処分は違反度合に応じて適用される
2.就業規則に定めてあったとしても必ずしも処分が有効になるとは限らない


121127-1懲戒事由は、それぞれの処分度合いに応じて適用していくようにします。

具体的には、各企業の実態に応じた懲戒事由と処分とすべき内容を定めることになります。

ただし、懲戒事由として定めたものが、必ずしも懲戒権を行使する場合に有効になるとは限りません。

前回の違反行為のポイントに該当するかどうかで判断され、就業規則に懲戒事由が定めてあるからといって、直ちに懲戒権を行使できるわけではない点に注意が必要です。

懲戒処分の対象となるのは企業秩序を乱す行為ですから、懲戒事由となるのは、企業秩序を維持する義務に違反する行為となります。

この点から、懲戒処分の対象は、企業施設内または就業時間内での行為が対象となるのが原則ですが、企業施設外や就業時間外であっても、会社関係者に関わる行為で私的行為でない場合は、懲戒処分の対象となり得ます。

【規定例】
第●条(懲戒事由と適用)
1.社員が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給又は出勤停止とする。
(1)正当な理由なく無断欠勤○日以上に及ぶとき
(2)正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退するなど勤務を怠ったとき
(3)過失により会社に損害を与えたとき
(4)素行不良で会社内の秩序又は風紀を乱したとき
(5)第●条及び第●条に違反したとき
(6)その他この規則に違反し、又は前各号に準ずる不都合な行為があったとき

2.社員が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。この場合において、行政官庁の認定を受けたときは、労働基準法第20条に規定する予告手当は支給しない。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第●条に定める普通解雇又は減給若しくは出勤停止とすることがある。
(1)重要な経歴を詐称して雇用されたとき
(2)正当な理由なく、無断欠勤○日以上に及び、出勤の督促に応じなかったとき
(3)正当な理由なく無断でしばしば遅刻、早退又は欠勤を繰り返し、○回にわたって注意を受けても改めなかったとき
(4)正当な理由なく、しばしば業務上の指示・命令に従わなかったとき
(5)故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき
(6)会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき(当該行為が軽微な違反である場合を除く。)
(7)素行不良で著しく会社内の秩序又は風紀を乱したとき
(8)数回にわたり懲戒を受けたにもかかわらず、なお、勤務態度等に関し、改善の見込みがないと認められたとき
(9)相手方の望まない性的言動により、円滑な職務遂行を妨げたり、職場の環境を悪化させ、又はその性的言動に対する相手方の対応によって、一定の不利益を与えるような行為を行ったとき
(10)許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用したとき
(11)職務上の地位を利用して私利を図り、又は取引先等より不当な金品を受け、若しくは求め、又は供応を受けたとき
(12)私生活上の非違行為や会社に対する誹謗中傷等によって会社の名誉信用を傷つけ、業務に重大な悪影響を及ぼすような行為があったとき
(13)会社の業務上重要な秘密を外部に漏洩して会社に損害を与え、又は業務の正常な運営を阻害したとき
(14)その他前各号に準ずる程度の不適切な行為があったとき
3.第2項の規定による社員の懲戒解雇に際し、当該社員から請求のあった場合は、懲戒解雇の理由を記載した証明書を交付する。


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[084]懲戒処分の種類(2)

【今回のポイント】
1.降格は制裁罰になる
2.諭旨解雇と諭旨退職は扱いが異なるので混在しないよう要注意


121127-1
【降格】
職位の引き下げを人事処分ではなく制裁罰として行う。
職位が降格することにより給与も減る。


【諭旨解雇】
本来であれば懲戒解雇処分となるものを、情状等を斟酌して処分を軽減すること。
本人が反省していると認められるときは、解雇事由を十分に説明をし解雇する。
また退職金は、状況により一部不支給とする事が多い。

これと同様の懲戒処分として「諭旨退職」があります。

諭旨退職は、懲戒解雇に該当する際に自主的に退職届を届け出するよう勧告し、直ちにこれに従わない場合、懲戒解雇とする扱いをいいます。

諭旨退職も懲戒処分である点に注意が必要です。

諭旨退職の場合、社員に自主的に退職届を届け出させる点より、退職勧奨による自己都合退職であるとの誤解を生じさせる事があり、退職金などのトラブルになるリスクあります。


【懲戒解雇】
解雇予告も解雇予告手当の支払いもなく、即時に実行される、一番重い処分。懲戒処分の中では「極刑」とされる。
退職金も、全額不支給とするのが多い。

懲戒処分を下しても社員から不当解雇と訴えられると、相当程度の確率で会社(使用者)は懲戒解雇は無効であったとの判断をされるため、相当程度の事由があっての処分でないと正当であると判断されるのは難しい。


以上のような懲戒処分を下される事となる違反行為として

1)上司の指示命令に従わない、勤務態度が不良であるなどの労務の提供に関すること

2)会社の施設・機材を壊す、無許可で施設を利用するなどの施設の管理に関すること

3)情報漏えい、無断遅刻・無断欠勤、経歴詐称などの秩序維持に関すること

4)無許可での副業、会社の信用を傷つける行為などの会社外・就業時間外に関すること

があり、これらの違反行為の度合いに応じて処分が決定される事となります。


懲戒処分を下すには、処分が不当とならないよう相当程度の注意・配慮が必要とされます。

まずは誤認がないか事実確認を徹底します。

その後、本人に事実を確認し、処分に対する弁明の機会を与えます。

結果として処分を下す事となった場合、同様の処分を受けている者と不公平にならないように扱います。
同程度の違反行為に対し人物によって処分の程度が異なってしまうと、不公平感が生じ、会社に対する信頼感が薄まることにもつながりかねません。

ちなみに労働組合があり、組合との協議が必要とされている場合でも、組合側が協議に応じなかったり、組合側委員が懲戒委員会に出席しないようなときには、使用者側委員の一方的な決定となったとしても、手続上違反とはなりません。


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