Orrin Evans / #knowingishalfthebattle

Kurt Rosenwinkel (G)3,4,5,7,8
Kevin Eubanks (G)2,6,8,9
Caleb Curtis (As, Fl)2,9,12
M' Balia (Vo)5,11
Orrin Evans (P, Rhodes)
Luques Curtis (B)
Mark Whitfield, Jr. (Ds)
Rec. April 5, 2016, NYC
(Smoke Sessions Records SSR1608)

オリン・エヴァンスのSmoke Sessions Recordsからの作品は、「Orrin Evans / Liberation Blues(14年、別頁あり)」「Orrin Evans / The Evolution of Oneself(15年、別頁あり)」に次ぎ、これで3枚目ということになるのかな。このレーベルではその都度メンバーを代えながら意欲的なアルバム作りをしている感があるのだが、本作でもカート・ローゼンウィンケルやケヴィン・ユーバンクスと共演しているのだからワクワクするね。これが初聴きのカリヴ・カーティスは、本人のサイトによるとCaptain Black Big Bandの方にも参加しているよう。ルケス・カーティスは上記「Orrin Evans / Liberation Blues」の他に、「Orrin Evans / "...It Was Beauty"(13年)」「Orrin Evans' Captain Black Big Band / Mother's Touch(14年)」「Sean Jones Quartet / Im・pro・vise: Never Before Seen(14年)」「Donald Edwards / Prelude To Real Life(16年)」(各別頁あり)等でも一緒の間柄。マーク・ホイットフィールドJrは、2011年に寺久保エレナ・カルテットで生で観た南郷ジャズフェスでのプレイが素晴らしかったけど、アルバムとしても「Robert Edwards / Sound Business(11年)」「Kenny Garrett / Pushing The World Away(13年)」「Chihiro Yamanaka / Somethin' Blue(14年)」(各別頁あり)で聴いたことがある。M' Baliaはエヴァンスが売り出し中のヴォーカリストのようで、初リーダー作「M' Balia / Halfway There(15年)」ではエヴァンスがピアノだけではなくプロデュースも手掛けている。

エヴァンス曲が6曲、カーラ・ブレイの「Calls」、Kenny Bakerの「When Jen Came In」、Curtis Clarkの「Chiara」、デヴィッド・ボウイの「Kooks」、Caleb Wheeler Curtisの「Heavy Hangs the Head That Wears the Crown」、Jason Fiffeldの「Slife」、Bob Haymes & Alan Brandtの「That's All」で全13曲。
アルバムタイトルとなっているプロローグ的な1曲目「#knowingishalfthebattle」は、打ち込み風の演奏でなんだこれはといった感じではあるけれど、1分ぐらいですぐに終わるのでそんなには気にならない。2曲目「Calls」から本編がスタートするのだが、4ビートを主体としながらの多彩なリズムの演奏が繰り広げられる中、ユーバンクスとローゼンウィンケルの奏法の違いが楽しめて実にいい塩梅。もちろんエヴァンスも曲調に応じてハンコックやタイナー的なものに別の要素も加えながらの引き出しの多いプレイが相変わらず魅力的だし、今どきの凄腕ドラマーのテクニックには及ばないものの、ホイットフィールドの頑張りもよく目立っている。またルケスのベースも、さすがに共演が多いだけあってバッチリ嵌っているし(曲によってはエレベも弾いているように聴こえるのは気のせいかな)、カリブのアルトやフルート、M' Baliaのヴォーカルもとてもいいアクセント。でも一番の聴きどころはなんといってもユーバンクスとローゼンウィンケルだろうね。アルバム自体がギターをたっぷりと堪能できる作りとなっているけれど、2人が持ち味を存分に発揮しながらの個性的なプレイを聴いているだけでもワクワクしてしまう。楽曲は1曲目を除きどれもがみんないいのだが(エピローグ的な13曲目「#knowingishalfthebattle (snarky)」もスウィンギーなピアノにしゃべりを被せているだけなので許容範囲)、その中でも3曲目「When Jen Came In」、4曲目「Chiara」、6曲目「You Don't Need a License to Drive」、7曲目「Half the Battle」、9曲目「Doc's Holiday」、10曲目「Slife」が特に気に入った。それと8曲目「Heavy Hangs the Head That Wears the Crown」も、ユーバンクスとローゼンウィンケルが一緒に弾いているのは過去に聴いたことがなかっただけに興味深いものがある。
試聴した段階では打ち込みっぽい曲やヴォーカル入りの曲があったりしたのでどうしようか迷ったけど、本作は買って大正解。録音(エンジニアはChris Allen)も各楽器が過不足なく良い音(音楽的な)で録れていて上々だ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)