Jazz & Drummer

ジャズ、フュージョンの新譜や好きなドラマーのことなど音楽97%、感じたままに書いている個人ブログです。

Peter Bernstein / Let Loose

Peter Bernstein (G)
Gerald Clayton (P)
Doug Weiss (B)
Bill Stewart (Ds)
Rec. January 3, 2016, NYC
(Smoke Sessions Records SSR1604)

ピーター・バーンスタインがジェラルド・クレイトンと共演するのは、これが初ということになるのかな。これまでオルガンで参加していたラリー・ゴールディングスとの「Peter Bernstein Trio/Live at Smoke(06年)」「Peter Bernstein, Larry Goldings, Bill Stewart / Live at Smalls(11年)」「Larry Goldings, Peter Bernstein, Bill Stewart / Ramshackle Serenade(14年)」(各別頁あり)等も決して悪くはないのだが、どのような演奏なのかは聴く前から分かってしまうところもあったので、ブラッド・メルドーとの共演盤「Peter Bernstein / Stranger In Paradise(04年)」以来、久しぶりのアコピとの共演で、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。他のメンバーのビル・スチュワートは、バーンスタインにとってなくてはならない人。またダグ・ワイスも「Peter Bernstein Trio/Monk(09年、別頁あり)」に参加している。

バーンスタイン曲が5曲、Osvaldo Farresの「Tres Palabras」、ウディ・ショウの「Sweet Love of Mine」、Bob Russell & Lester Leeの「Blue Gardenia」、スタンダードの「This Is New」で全9曲。
これまでとも変わらない、比較的オーソドックスな演奏の中、バーンスタインが明確なフレージングで、なおかつ歌心も兼ね備えたプレイで聴かせてくれる。またクレイトンも曲調にバッチリ嵌っているけれど、バーンスタインと同調しようとするあまりに、いつもの彼からするといささか没個性になっているような気がしないでもない。この辺は音楽性も含めた多くの引き出しを持っていることが逆に裏目に出てしまったような感じがするのだが、なにはともあれクレイトンがオーソドックスに弾いているおかげでバンドとしても調和がとれているわけなので、これでよしとしよう。ワイスは可もなく不可もなしといった感じ。ビルスチュは例によってアタックの効いたドラミングで楽しませてくれるものの、彼もまたバーンスタインの音楽性に合わせているのでアグレッシブ度はそんなに高くはないし、アップテンポでやっている9曲目「This Is New」ではバーンスタンとどちらがミスったのかは分からないけど(もしかするとワイスが弾くタイミングを逃してしまったのかも)、バース交換でドラムソロなのかそうでないのかあやふやに感じさせる部分もあったりするね。まあそんなところもジャズの面白さなので、録り直しする必要はないと思うけど、アルバムとしては最後の曲なので、できればバッチリと決めてほしかった。でも聴き慣れた曲ということもあって、演奏的にはこれが一番好き。それと耳タコ曲の7曲目「Sweet Love of Mine」もいかにもこのメンバーらしい演奏で悪くはないけれど、あまりにもあたりまえすぎるので、もう少しひねりの効いた部分があってもよかったのではと思う。
クレイトンの参加により、これまでとは一味違った演奏が堪能できると思っていたのだが、そうでもなかったということは、それだけバーンスタインが強い信念を持って音楽に取り組んでいるからこそだろう。その断固とした姿勢(ジャズギターの伝統を踏まえながらの)は尊敬に値するね。本作は録音(エンジニアはCriss Allen)も各楽器がバランス良く録れていて、その音質も含めて上々だ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

Let Loose
Peter Bernstein
Smoke Sessions
2016-04-15

 
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Manuel Rocheman / misTeRIO

Manuel Rocheman (P)
Mathias Allamane (B)
Matthieu Chazarenc (Ds, Per on 3)
Rec. December 2-4, 2015, Paris
(Bonsai Music BON160401)

フランスのマニュエル・ロシュマンから、最新作がサイン入りで送られてきたことに、まずはお礼申し上げます。
ロシュマンのリーダー作は、これまでスコット・コリー、アントニオ・サンチェスとのトリオ作品「Manuel Rocheman/Cactus Dance(07年、別頁あり)」と、トニーニョ・オルタとの共演盤「Manuel Rocheman meets Toninho Horta / Cafe & Alegria(12年、別頁あり)」を聴いているのだが、それらと比べると本作のメンバーは知らない人たちなので(ベースのマシアス・アラマンは「Eric Legnini Trio/Trippin'(08年、別頁あり)」に参加しているのが見つかったけど)、その辺でどうかなってところはある。でもこの2人が普段から一緒にやっている間柄かもしれないし、フランスのミュージシャンは総じてレベルが高いので、全く問題はないと思うけどね。これが初聴きのマチュー・シャザレン(1977年生まれ)の経歴は、YAMAHAフランスのサイトに書いてあるようなので、後でちゃんと目を通すとしよう。

全10曲がロシュマンのオリジナル。
アルバムタイトルの「MisTeRIO」のRIOが大文字表記になっていることからも想像がつくように、曲によってはブラジリアンなリズムを用いながらの演奏となっているのがいい塩梅。「Cafe & Alegria」ではもろそっち系のミュージシャンと共演していたことからして、ロシュマンは基本的にこういう演奏が好きということなのだろう。そこにエヴァンス的なというか、フランスのピアニストによくある感じのリリシズムをミックスさせているのが特徴といっていいと思うけど、そんなロシュマンの音楽性をよく理解しながらのアラマンとシャザレンのバッキングも実にいいね。3人ともガンガン迫ってくるようなド派手なプレイはしていないけど、4ビート曲にしても非4ビート曲にしても非常にセンスのいい、いい意味で知的なプレイで楽しませてくれる。アラマンのベースはスコット・ラファロとマーク・ジョンソンを足して2で割ったような感じといえば分かりやすいかな。またシャザレンは雰囲気的にピーター・アースキンやアンドレ・チェカレリあたりに近いものがある。ロシュマンが上手いのは当然として、アラマンとシャザレンもなかなかの実力の持ち主なので、どの曲もトリオとしての理想的な演奏が堪能できるのだが、その中でもラテンタッチな3曲目「misTeRIo」と、アップテンポの4ビートの10曲目「Circle」が特に気に入った。ただしアルバムの中盤からは3分台の短い演奏が続いているので、1曲1曲をじっくりと聴かせるためにも、もう少し長く演奏した方がよかったのではと思う。
CDをもらったから言うわけではないけれど、ロシュマンはやっぱりいいピアニストだね。本作は録音(エンジニアはVincent Mahey)も各楽器が温かみのある音で録れていて上々だ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

Misterio
Manuel Rocheman
Bons
2016-05-13

 
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JD Allen / Americana: Musings on jazz and Blues

JD Allen (Ts)
Gregg August (B)
Rudy Royston (Ds)
Rec. January 2, 2016, NJ
(Svant Records SCD2155)

JDアレンの同一メンバーによるサックストリオ作品はかなりの枚数を聴いているけれど、もう沢山という気持ちに全然ならないのは、大好きなルディ・ロイストンがドラマーだから。ただでさえ手数の多い人なのに、サックストリオになると更に叩きまくるのだから(もちろん曲調にもよるけれど)、その活気あふれるドラミングを聴かないわけにはいかないだろう。今回は南部のジャズやブルースがテーマとなっているようなので、もしかするとこれまでとは傾向の異なる演奏なのかもしれないけれど、このトリオであればどんなことをやってようとも許せてしまう。

アレン曲が7曲と、Vera Hall他の「Another Man Done Gone」、Bill McHenryの「If You're Lonesome, If You're Not Alone」で全9曲。
ブルース曲が中心ではあるも、変則的なコード進行や小節数になっていたり、2曲目「Another Man Done Gone」のようなスピリチュアルな曲もあったりと、コルトレーン的なものを基調としながら手を変え品を変えながら演奏しているので、凡庸に感じるようなことは全くない。それどころかブルースひとつをとってみても、これだけいろんな解釈ができるんだなあと感心するね。その演奏は例によって、どんなテンポの曲であってもロイストンが細かいフレーズで攻めまくっていて、あえて速いパッセージは用いずに比較的大らかに吹いているアレンよりも目立っているけれど、そこがこのトリオの面白いところだし、特に今回はゆったり目の曲調も多い中での活力源にもなっていて実にいい塩梅。もちろんどれだけ叩いていようがトリオとしてきちんと調和のとれたプレイをしているので、うるさく感じることがないのはいうまでもないだろう。私としてはそんなロイストンにばかりついつい耳が奪われてしまうのだが、腹八分目ながらも説得力のあるプレイをしているアレンも流石としかいいようがないし、ウォーキング、ソロ共に力感のあるオーガストのベースにも非常に好感が持てる。どこかで聴いたことがあるような安心感のある楽曲自体が良いことも相まって、実際にLP並の短さではあるけれど、トータル45分があっという間に感じてしまった。
聴く前はジャケ写のような南部的なものをイメージしていたのだが、そうなるとテーマ的に重い部分が出てきそうなので、そういうのには囚われずに、これまでどおりのコルトレーン路線で行ったのは正解だったと思う。いかにもジャズっぽい、各楽器から汗が感じられるような録音(エンジニアはTom Tedesco)もまた演奏の良さを倍増させているね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 


 
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