プロローグ

0603-2

04年末、

「なあ、ちょっと話があるんだけどさ」

そんな電話が塾長の元にかかってきた。

声の主は、ケンツの川島社長。GSXR1000の登場とともに全日本タイトルを勝ち取ってきたチャンピオンチームの代表でもある。

そもそもこのときまで、さほど川島社長と塾長とのかかわりは色濃いものではなかった。

まさに飛び入りで激的な優勝を果たした03年末のもてぎロードレース選手権においてケンツ製のフルエキ(マフラー)を借りた、という程度である。もちろん川島社長は塾長が仕事を始める随分前から月刊モーターサイクリスト誌でテスターを務めており、そういう意味ではレースのみならず、テスターとしても大先輩に当たる。何かと気に掛けてもいてもらったようだ。だが、このときまで一杯の酒さえ酌み交わしたことはなかった。

「………分かりました」

そう応え、後に顔を合わせたときにされた驚愕の話とは………。
シンデレラストーリーのように急遽全日本JSBにカムバックすることになった塾長。しかし実際には非常に厳しい戦いの連続が待っていた………。

それでも諦めずに日本中を飛び回る梨本圭、そしてその後を必至で追い、全日本選手権最大規模を誇った梨本塾大応援団。その横断幕の長さ、18mx2本。空前絶後の「梨本塾魂」が、MFJスーパーバイクというレースシーンにおいて大爆発する!!

2005 シブイク 梨本圭JSBチャレンジ