第八回 梨本塾レポ ３ Ｋ－ＲＵＮ－ＧＰ Ａクラス
２０１１年度第８回梨本塾、Ｋ－ＲＵＮ－ＧＰ－Ａクラス決勝。
フロントローに並んだのはＣＢＲ６００Ｒ三台。いや、セカンドも、サードも７番手まではＣＢＲ６００ＲＲが独占する形となった。唯一榎本ＣＢＲ１０００ＲＲのみが、その牙城に割って入ったこととなる。ヤマハやスズキ、カワサキはどうした？と感じていた人は少なくない。出てこいや、ホンダ以外ッ!!
元々タイムが拮抗しているこのクラス、その中でスタートは非常に重要な要素を占めているが、最大の集中力でホールショットを決めたのはポールからスタートの＃２篠塚。
そこに＃１人見、＃３山中、＃６中尾、＃４渡邉、＃８三柴、＃５坂垣内、＃２２榎本と続いていく。
一列に並んで帝王へ。順位は変わらず。
３コーナーでもトップから８番手まで等間隔となる。
最終コーナー入り口、やや中尾が離され始めたか。
一周目をトップで通過する篠塚。次いで人見。
トップ２を追走する自走組の星、山中。
ハルクプロ製ホワイトベースの意地を見せられるか、４番手中尾。４位まで全員がピレリ社製ディアブロを履いている。中尾のインサイドを狙っているのは渡邉で、今回Ａクラスの中では唯一のピレリ以外のタイヤ、ブリヂストン製Ｒ１０を履いている。
三柴、榎本、坂垣内が６番手争い。全車ピレリ。
骨折が癒えつつある篠塚だったが、クラッシュ前ほどのペースにまでは持ち込めない。その間メキメキと頭角を現してきた人見が食い下がり、さらにここへ来て急成長を見せている山中もしっかりと追従していく。
いち早く６秒台のペースに持ち込みたい篠塚だったが………
序盤は７秒０辺りで周回。これでは人見は引き離せない。
一方の山中は少しずつ、ラップにしてコンマ１秒程度ほどずつだが、徐々にトップ２に引き離されていく。逆にいつもは中盤以降ペースの落ちてくるはずの中尾が追いついてくる。
その後方には渡邉が迫り………
さらにその後ろからは三柴。栃木スピード若手二台による５位争い。
その後方に榎本ＣＢＲ１０００ＲＲ、坂垣内ＣＢＲ６００ＲＲ－ＡＢＳと続く。
中盤に差し掛かり、時折６秒後半をマークしはじめた篠塚。だが、完全に６秒台でのラップということにはならず………
人見もしっかりとこれを追従、ワンミスでポジションが入れ替わる位置をしっかりとキープしている。
７秒中盤辺りでラップする山中。
この日、ここ最近では恐らくもっとも乗れていた中尾は、周毎にペースを引き上げ山中を射程圏内に捉えている。
５位渡邉はこれまで着用していたタイヤとの違いからか、その特性をつかみきれずペースが上がらない。
一方でセッティング変更が功を奏した三柴はその渡邉をしっかりとプッシュ、プレッシャーをかけていく。
ややペースの上がらない榎本をなんとかパスしたい坂垣内だったが、さすがに簡単には抜かせてくれない。
レース中盤、３コーナー進入での各車。＃２篠塚。
＃１人見。
＃３山中。
＃６中尾。
＃４渡邉。
＃８三柴。
＃２２榎本。
＃５坂垣内。この短いブレーキング区間に今後の可能性が見え隠れする。
一瞬ペースをつかみかけたかに見える篠塚だったが………。
やはり人見も諦めない。フォーティズバトルは終わらない。
オーバーフォーティーズの無尽蔵なスタミナに、逆に気圧される山中。２０代と４０代のしぶとさの違いは、体力だけによるものではないのかもしれない。
後方ではついに動きがあった。ギリギリまでブレーキングを遅らせた坂垣内が、なんと完璧な精度を誇るＣＢＲ６００ＲＲのＡＢＳをロックさせてジャックナイフ（本来は絶対にそうならないよに設定されている。しかしタイヤをハイグリップに換装した場合にはこのようなケースもありうる）させつつもなんとかコントロールを取り戻し、榎本のインサイドへ飛び込んだ。
若干コントロールを失っていることに気付いた榎本もインを開け、接触を回避。これで７位が入れ替わる。
この日Ａクラスでは唯一のリッターＳＳとして頑張る榎本。限界で走りながらも非常に冷静なレース運びをする。
激しさを増す５位争い。２０代の渡邉、三柴を３０代の坂垣内が追いかける。
最後まで続く４０代のトップ争い。Ｋ－ＲＵＮ－ＧＰはいつもエイジレスな戦いが繰り広げられる。
単独３位を走る山中。
今回はこれに引き離されることなく、むしろ追い詰めてきた中尾。
２７秒フラット近辺で最後までレースコントロールをした篠塚が、首位争いをリード。
結局一度もトップを明け渡すことなく、２０周を走りきってみせた。
ドシャ降りの第５回大会以来となる、今期５勝目をマーク。シリーズチャンプにいよいよ名乗りを上げる。
二位には前回マシ耐優勝の人見。
三位に山中、四位に中尾。
五位渡邉、六位三柴、七位坂垣内、八位は榎本。
汗だくでレースを追えた篠塚。
「少しペースを落とすと人見さんが離れなくて」
とレースを振り返る。二ヶ月前に骨折した男はしっかりとカムバックを果たして見せた。
「ただはやくなりたいだけなんです」
篠塚のフロントカウルスクリーンにはそう記されている。４０代半ばを迎えてなお一生懸命になれるからこそ、今期の２５秒台達成、そして今回の勝利を引き寄せたのだ。
リヤショックにオーリンズを導入してイチからセッティングをはじめた篠塚ＣＢＲ６００ＲＲ。ストックベースでどこまでいけるか、今後も注目だ。
文中敬称略。ご了承下さい。
つづく。
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三位に山中、四位に中尾。
五位渡邉、六位三柴、七位坂垣内、八位は榎本。
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