第12回梨本塾 サン耐 レポ3 K-RUN-GP Aクラス(決勝30LAP)
いよいよ今期最終戦、K-RUN-GP-Aクラスがスタートとなる。
快晴の空の下、全車がフリー走行からグリッドへ。
決勝直前にはグリッドブリーフィング。
しかしスタート直前にトラブル発生。なんと3番手篠塚がエンジンストールしてしまう。
なんとかエンジンを再スタートさせ、もう一度グリッドへ戻る。出走直前に不安が残ることになったが………
グリーンフラッグと共に、各車一斉にスタート。
その中で好スタートを切ったのはポールから飛び出した#1人見、そして直前にストールした#2篠塚。#3山中もけして悪いスタートではなかったものの、双頭龍に挟まれる格好となる。
1コーナー進入では若干人見がリードしているかのように見えるが………
篠塚がインから鼻先を突っ込む。3番手に山中、4番手に坂垣内、5番手に中尾、6番手に生駒と続く。
インをガッチリと奪った篠塚………
と思いきや、人見も手綱を緩めずアウトから被せていく。
まるで最終ラップの攻防のように、並走する二台。ともにCBR600RR、そして四十台半ば迎える梨塾ファイターである。
お互い一瞬も譲らない。
しかしベストラインにいた篠塚が、S字でわずかに前に出る。これには人見もたまらず………
思わずブレーキレバーを握ることになってしまう。
篠塚を先頭に帝王コーナーへ流れ込む。
30LAP先のゴールへ向けて、まずは篠塚がトップに立つ。
しかし今回は、タイムアタックにおける人見のラップタイムが大きく篠塚を上回っており、当然ながらこのまま進行するとは思えなかった。
3番手には山中。すぐ後ろに坂垣内。
5番手に中尾、6番手に生駒、7番手には渡辺。
そのままの布陣で最終コーナーへ。
1周目のオーダーは変わらず。
三番手山中からやや離された4番手以降。
コーナーごとに触れ合いそうなほどの距離でバトルを開始したトップ争い。無類の信頼関係がなければ成立しない距離感である。
いつもと異なるのは、篠塚のペースはそれほど上がらないことだ。
ということは人見のみならず、その後続にも付け入る隙を与えることになる。
いつもの展開ならこの二台で抜け出していくところだが、トップが27秒台とあって#3山中も追従していく。
やはり負傷の影響からか、トップには立ったもののなかなか27秒を切ることが出来ない篠塚。本調子のときからすれば約1秒ペースが遅く、背後では人見が業を煮やしている。
当然山中坂垣内はそれに気づく。27秒前半ペースであれば、自分たちにもチャンスはあるのだ。
視界の範囲にトップがいることで猛然とスパートをかける坂垣内。
中尾も黙っていない。このペースであれば、ついていくことは十分可能である。
その後方で、僅かながら離され始めたのは生駒、そして渡辺。
すぐ背後に張り付いて離れない人見を相手に、篠塚はどこまで踏ん張りきることが出来るか。
ブロックラインというほどではないが、要所要所をしっかりと押さえてトップを死守する篠塚。
しかしタイムは上がらないために、3番手山中までがトップ射程圏内に入ってくる。
今シーズン、着実な成長を見せた山中。自走参加で26秒台を連発する。この決勝でもタイヤウォーマーなしでの走り出しながら、しっかりと自分のペースでタイムアップしてきた。
強靭な40代の双頭龍を追って、若武者はひたすらアクセルを開けていく。
互いに探りを入れながらラインを交錯させるトップ2台。
虎視眈々とその隙を狙う山中。
4番手坂垣内はややそこから離された。
いよいよゼッケン1,2,3による三つ巴のバトルが始まりそうだ。
今回のレースは30LAPの長丁場。
残り20LAP、40代のトップ2よりも、20代の山中にチャンスは数多く残されているはずだ。
写真撮影:梨本塾・岡卓・影兄 ※ ブログに掲載される写真は、梨本塾参加者の方に限り転載自由とします。その際には梨本塾へのリンククレジット(http://kei74moto.client.jp/)を必ずお願いいたします。それ以外の方の無断使用は固くお断りいたします。
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午前よりクラスアップした渡辺も、Aクラスの中で懸命に走る。
しかしトップグループとのアベレージラップでは1秒以上差があり、レース中盤で周回遅れとなる。
さらには10年度、09年度の二年連続K-RUN-GPシリーズチャンピオンである生駒にも………
トップグループは容赦なく襲い掛かっていく。
篠塚、人見の両名は巧みにこれをパスしたものの………
山中は前に出れず、結果的にトップ2台の先行を許したばかりか、後方坂垣内にも追いつかれてしまう。
再び2台のみでの争いとなったトップの篠塚、人見。
1コーナーで生駒をパスした山中もなんとかこれを追いたいところだが………
逆に猛烈なスパートをかけてきた坂垣内が襲い掛かる。
数周後、今度は5番手の中尾も生駒をパス。
苛烈さを極めるトップ2台。
針の穴を通すようなライン取りで果敢にアタックを繰り返す人見。すでにライン上にはタイヤカスなどゴミが溜まっているのが見て取れる。
しかし篠塚も譲らない。
レースはいよいよ最終盤を迎える。
山中が再度坂垣内を引き離しにかかった。
トップ2は最終ラップへ。
ここへ来て篠塚が最後の力を振り絞ってフルスパート。26秒台中盤近くまでラップタイムを引き上げていく。
誰も予想しなかったまさかのペースアップ。たまらず人見がやや離される。
帝王ではチャンスがなく………
3コーナーもしっかりとインをキープして人見を抑える。
残るは最終コーナーから………
ホームストレートでの加速競争のみだが………
見事1車身をほど前で篠塚がゴール。
これにより、11年度最終戦Aクラスの優勝のみならず、年間ランキングでも堂々のチャンピオンを獲得することとなった。人見は悔しい2番手となる。
3番手には山中、次いで坂垣内。
5番手には中尾。
6番手に生駒。
7番手に渡辺の順でゴール。
ゴールした篠塚が最終ラップのタイムを嬉しそうに塾長に示す。
「人見さん、まったく離れないいんだもんなあ。まいりましたよ!」
と嬉しい悲鳴を上げる。負担とならなかったはずはない負傷については一切語らない辺り、さすがチャンプの鏡である。
梨本塾に参加し始めてから3シーズン目、生粋の梨塾生、トミン育ちとして、堂々の年間ランキングトップに輝いた。自他共に認める練習の鬼であり、またそのマシンのセットアップにも定評がある。
「梨塾生の中で、恐らくもっとも効率的かつ楽に安全に速く走れるバイクを作ってる(塾長)」
そうプロが舌を巻くほど、マシンセットアップにも余念はない。
「ただうまくなりたい。それだけなんです!」
篠塚のCBR600RRのウィンドスクリーンにはこう記されている。富や名声、賞賛ではなく、バイクで自分のイメージを追及し続けることこそ、最高にカッコいい―。これは偶然(必然?)にも、かつて塾長が十数年以上前にミスターバイク誌上「すっ裸で行こう!」で提言して止まなかった価値観ではなかろうか。
後進にも優しく接することで有名な新チャンプ。今後はさらに安定感のあるマシン、走りで、ぜひレコード更新を目指して欲しいところだ。
おめでとう!
文中敬称略。ご了承下さい。
つづく
写真撮影:梨本塾・岡卓・影兄 ※ ブログに掲載される写真は、梨本塾参加者の方に限り転載自由とします。その際には梨本塾へのリンククレジット(http://kei74moto.client.jp/)を必ずお願いいたします。それ以外の方の無断使用は固くお断りいたします。
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快晴の空の下、全車がフリー走行からグリッドへ。
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しかしスタート直前にトラブル発生。なんと3番手篠塚がエンジンストールしてしまう。
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まるで最終ラップの攻防のように、並走する二台。ともにCBR600RR、そして四十台半ば迎える梨塾ファイターである。
お互い一瞬も譲らない。
しかしベストラインにいた篠塚が、S字でわずかに前に出る。これには人見もたまらず………
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篠塚を先頭に帝王コーナーへ流れ込む。
30LAP先のゴールへ向けて、まずは篠塚がトップに立つ。
しかし今回は、タイムアタックにおける人見のラップタイムが大きく篠塚を上回っており、当然ながらこのまま進行するとは思えなかった。
3番手には山中。すぐ後ろに坂垣内。
5番手に中尾、6番手に生駒、7番手には渡辺。
そのままの布陣で最終コーナーへ。
1周目のオーダーは変わらず。
三番手山中からやや離された4番手以降。
コーナーごとに触れ合いそうなほどの距離でバトルを開始したトップ争い。無類の信頼関係がなければ成立しない距離感である。
いつもと異なるのは、篠塚のペースはそれほど上がらないことだ。
ということは人見のみならず、その後続にも付け入る隙を与えることになる。
いつもの展開ならこの二台で抜け出していくところだが、トップが27秒台とあって#3山中も追従していく。
やはり負傷の影響からか、トップには立ったもののなかなか27秒を切ることが出来ない篠塚。本調子のときからすれば約1秒ペースが遅く、背後では人見が業を煮やしている。
当然山中坂垣内はそれに気づく。27秒前半ペースであれば、自分たちにもチャンスはあるのだ。
視界の範囲にトップがいることで猛然とスパートをかける坂垣内。
中尾も黙っていない。このペースであれば、ついていくことは十分可能である。
その後方で、僅かながら離され始めたのは生駒、そして渡辺。
すぐ背後に張り付いて離れない人見を相手に、篠塚はどこまで踏ん張りきることが出来るか。
ブロックラインというほどではないが、要所要所をしっかりと押さえてトップを死守する篠塚。
しかしタイムは上がらないために、3番手山中までがトップ射程圏内に入ってくる。
今シーズン、着実な成長を見せた山中。自走参加で26秒台を連発する。この決勝でもタイヤウォーマーなしでの走り出しながら、しっかりと自分のペースでタイムアップしてきた。
強靭な40代の双頭龍を追って、若武者はひたすらアクセルを開けていく。
互いに探りを入れながらラインを交錯させるトップ2台。
虎視眈々とその隙を狙う山中。
4番手坂垣内はややそこから離された。
いよいよゼッケン1,2,3による三つ巴のバトルが始まりそうだ。
今回のレースは30LAPの長丁場。
残り20LAP、40代のトップ2よりも、20代の山中にチャンスは数多く残されているはずだ。
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篠塚、人見の両名は巧みにこれをパスしたものの………
山中は前に出れず、結果的にトップ2台の先行を許したばかりか、後方坂垣内にも追いつかれてしまう。
再び2台のみでの争いとなったトップの篠塚、人見。
1コーナーで生駒をパスした山中もなんとかこれを追いたいところだが………
逆に猛烈なスパートをかけてきた坂垣内が襲い掛かる。
数周後、今度は5番手の中尾も生駒をパス。
苛烈さを極めるトップ2台。
針の穴を通すようなライン取りで果敢にアタックを繰り返す人見。すでにライン上にはタイヤカスなどゴミが溜まっているのが見て取れる。
しかし篠塚も譲らない。
レースはいよいよ最終盤を迎える。
山中が再度坂垣内を引き離しにかかった。
トップ2は最終ラップへ。
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3番手には山中、次いで坂垣内。
5番手には中尾。
6番手に生駒。
7番手に渡辺の順でゴール。
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「梨塾生の中で、恐らくもっとも効率的かつ楽に安全に速く走れるバイクを作ってる(塾長)」
そうプロが舌を巻くほど、マシンセットアップにも余念はない。
「ただうまくなりたい。それだけなんです!」
篠塚のCBR600RRのウィンドスクリーンにはこう記されている。富や名声、賞賛ではなく、バイクで自分のイメージを追及し続けることこそ、最高にカッコいい―。これは偶然(必然?)にも、かつて塾長が十数年以上前にミスターバイク誌上「すっ裸で行こう!」で提言して止まなかった価値観ではなかろうか。
後進にも優しく接することで有名な新チャンプ。今後はさらに安定感のあるマシン、走りで、ぜひレコード更新を目指して欲しいところだ。
おめでとう!
文中敬称略。ご了承下さい。
つづく
写真撮影:梨本塾・岡卓・影兄 ※ ブログに掲載される写真は、梨本塾参加者の方に限り転載自由とします。その際には梨本塾へのリンククレジット(http://kei74moto.client.jp/)を必ずお願いいたします。それ以外の方の無断使用は固くお断りいたします。
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