2012 CBR1000RR(国内仕様)

エンジンなど基本スペックは従来型を踏襲しながら、前後サスペンションやホイールなどを刷新し、フロントマスクはより精巧さを増し、若干ながらポジショニングも変更された。
まず感じたのはシートポジションが違うことだ。タンクカバー形状が異なるためか、新型のほうが若干後方に座ることになる。これまで通り接しやすいSSであるというフィーリングは変わらない。
スペックを比べてみれば(ともにABS車両)、シャシーダイナモにもよる実測値では新旧それぞれ115.1PS/115.1PS、9.2kgm/9.2kgm、215kg/213kgだった。エンジンスペックはまったく一緒(ちなみにパワーカーブも酷似)であり、車重のみ2kgほど重くなったということになる。燃料タンク容量は17Lから17.7Lへと700ccほど増量されているのでこの分の重量増もあるだろう。もちろん両車ともに180km/hを超えると速度リミッター0が作動する。
高速ではSSマシンというよりはツアラーのようにドッシリとした感触で、外乱もきっちりと収束する。ウィンドスクリーン、及びフロントカウルは小さいものの、軽く前傾した状態でのウィンドプロテクション効果は大きく、長時間移動も苦にならない。この辺はジャンル問わず完成度の高いホンダ車たる証だろう。乗り手や環境に対する想定幅が非常に広い。

ホイール形状、及びカラーリングの変更により、特に車体下回りに精巧さが増した12年型CBR1000RR国内仕様。ショーワ製のBPF、ビックピストンフロントフォークが用いられた。
これまでワインディングのスピードレベルでは比較的軽快なハンドリングが特徴だったが、新型のストック設定では、冬場の峠でややフロントヘビー、また舵角 が入り過ぎる傾向があった。フロントプリロード、及びテンション(伸び側減衰)を微調整すると、より自然なハンドリングになった。サスペンションシステム 及びホイール換装によりトラクションが向上しているとのことだったが、残念ながら公道ではこの辺の恩恵は実感できなかった。
サーキット走行においては、それぞれ車載工具で調節できる程度の微調整を行い、それぞれ100LAP以上走り込んでみたが、そのラップタイム差も含め(ト ミンモーターランドにおいて新型27秒886、旧型27秒887と僅か1000分の1秒差!)違いはほとんどないといっていい。
恐らくフルパワーモデルで鈴鹿サーキットのようなハイアベレージのコースを走れば足回りの違い、メリットなどはより顕著になるのかもしれないが、端的にフ ロントサスペンションのダンパーが効いてストロークスピードが遅くなっていることが上げられる程度で、タイヤまで含めフルストックの状態ではそれほど大き な違いは見受けられなかった。このサスペンションシステムはタイヤにより高圧な加重がかかるシーンでこそ生きる特性で、ハイグリップに換装し、それ なりのペースで入ったときに初めて威力を発揮するのだろう。
公道主体のSSファンであればこのまま乗り出して十分満足出来るはずだろうし、もちろん免許取立てでも楽しめる。絶対スピードに依存しない楽しさこそが、この国内仕様最大の魅力である。
なおこの試乗記は下記月刊モーターサイクリスト2月号付録に、より詳細な記事が掲載されています。
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エンジンなど基本スペックは従来型を踏襲しながら、前後サスペンションやホイールなどを刷新し、フロントマスクはより精巧さを増し、若干ながらポジショニングも変更された。
まず感じたのはシートポジションが違うことだ。タンクカバー形状が異なるためか、新型のほうが若干後方に座ることになる。これまで通り接しやすいSSであるというフィーリングは変わらない。
スペックを比べてみれば(ともにABS車両)、シャシーダイナモにもよる実測値では新旧それぞれ115.1PS/115.1PS、9.2kgm/9.2kgm、215kg/213kgだった。エンジンスペックはまったく一緒(ちなみにパワーカーブも酷似)であり、車重のみ2kgほど重くなったということになる。燃料タンク容量は17Lから17.7Lへと700ccほど増量されているのでこの分の重量増もあるだろう。もちろん両車ともに180km/hを超えると速度リミッター0が作動する。
高速ではSSマシンというよりはツアラーのようにドッシリとした感触で、外乱もきっちりと収束する。ウィンドスクリーン、及びフロントカウルは小さいものの、軽く前傾した状態でのウィンドプロテクション効果は大きく、長時間移動も苦にならない。この辺はジャンル問わず完成度の高いホンダ車たる証だろう。乗り手や環境に対する想定幅が非常に広い。

ホイール形状、及びカラーリングの変更により、特に車体下回りに精巧さが増した12年型CBR1000RR国内仕様。ショーワ製のBPF、ビックピストンフロントフォークが用いられた。
これまでワインディングのスピードレベルでは比較的軽快なハンドリングが特徴だったが、新型のストック設定では、冬場の峠でややフロントヘビー、また舵角 が入り過ぎる傾向があった。フロントプリロード、及びテンション(伸び側減衰)を微調整すると、より自然なハンドリングになった。サスペンションシステム 及びホイール換装によりトラクションが向上しているとのことだったが、残念ながら公道ではこの辺の恩恵は実感できなかった。
サーキット走行においては、それぞれ車載工具で調節できる程度の微調整を行い、それぞれ100LAP以上走り込んでみたが、そのラップタイム差も含め(ト ミンモーターランドにおいて新型27秒886、旧型27秒887と僅か1000分の1秒差!)違いはほとんどないといっていい。
恐らくフルパワーモデルで鈴鹿サーキットのようなハイアベレージのコースを走れば足回りの違い、メリットなどはより顕著になるのかもしれないが、端的にフ ロントサスペンションのダンパーが効いてストロークスピードが遅くなっていることが上げられる程度で、タイヤまで含めフルストックの状態ではそれほど大き な違いは見受けられなかった。このサスペンションシステムはタイヤにより高圧な加重がかかるシーンでこそ生きる特性で、ハイグリップに換装し、それ なりのペースで入ったときに初めて威力を発揮するのだろう。
公道主体のSSファンであればこのまま乗り出して十分満足出来るはずだろうし、もちろん免許取立てでも楽しめる。絶対スピードに依存しない楽しさこそが、この国内仕様最大の魅力である。
なおこの試乗記は下記月刊モーターサイクリスト2月号付録に、より詳細な記事が掲載されています。
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