2012 第5回梨本塾 レポ⑥ K-RUN-GP Dクラス
皐月塾、最後はDクラス決勝。ある意味ではもっとも「過酷」で「非常」な展開となったこのクラス。
見ごたえタップリといえる内容だった。

フロントローに並んだのはCB400SF、バンディット250、そしてCBR600RRの三台。

全10台がグリッドに整列。

グリーンフラッグとともに各車一斉にスタート。気が急いたか、高土CBR600RRが思わずフロントリフトアップ。

ポールスタートの西村CB、高土が好スタートを決める。榎本バンディットはやや遅れた。

西村、高土、榎本、そして美濃部CBRR、山田VTRと続く。

さらにその後方には山田CBRR、新穂CB400SB、神山R6、初参加の岩下ZX636、同じく初参加の伊東RSV1000と並ぶ。

1コーナーからS字にかけて榎本バンディットが早くも2番手に。Aクラスでも走っていた常連だけに、このクラスでは楽勝ではないかとの声も聞こえるが果たして。

中小排気量二台のネイキッドが、二台のCBR600RRを先行する。

午前Cクラスだった二人はいわば「都落ち」。Cクラスボーダータイムが30秒7であったため、今回は31秒ではDクラスとなった。その中では、意地でも勝つ必要がある。

この二人になんとか割って入りたいCBRの2台。最近絶好調の二人だけに、追い上げに期待したい。

5番手には今回も愛知県から参加の#63山田VTR、そこに午前中最終コーナーにてビックハイサイドで転倒してしまった#62山田CBR600RR、そして久しぶりのK-RUNとなる新穂CB400SB。

8番手には2度目の参加となる神山R6。

9、10番手にはそれぞれ初参加の岩下、伊東と続く。

1周目終了時のオーダー。#51西村が快調にペースを作り上げていく。

どうやらトップグループはこの4台で形成されそうだ。

5位争いはこの4台か。

梨本塾暦数年になる#51西村だが、実は未だ「未勝利」である。一度も勝ち星を上げていない。
これは端的な速さだけでなく、運もある。自分の持ちタイムより速いグループに入ることが多ければ勝利は遠のき、その逆であれば近づく。
今シーズンこれまでも、その寸前までいきながら、こんなケースやこんなケースに苛まれた。だからこそ今回のレースは絶好のチャンスともいえるだが、しかしその後方#49榎本は、これまで様々なクラスで何度も勝利を収めている。スピードでは西村だが、勝負勘といった意味では榎本に分があるのだ。果たして今回は。

さらにその直後には「ミスター絶好調」lこと高土CBRR、そして「第二の絶好調男」こと美濃部がリズムアップしている。

移動距離、マシン的なハンディをものともせず快走するVTR、そしてこれを追うCBRの山W(ヤマダブル)バトル。

紅一点、#67新穂を追いかける神山だったが………

早々にストレート勝負へ。

しかし危うく1コーナー進入で新穂のテールに突き刺さりそうになり、場内からは悲鳴にも似た嘆声が上がった。

直後、マシンに違和感を感じたという神山は、急遽ピットインを余儀なくされる。残念ながらこれでリタイヤとなった。

一方トップ争いは早くもバックマーカーに追いついていしまった。

この関係でトップグループの全長が短縮。

より一層激しいバトルとなりそうなフォーメイションとなる。

31秒を跨ぐペースで周回を重ねる西村。

その西村の背後で、どうやら余力を残しているように見える榎本。

今まででもっとも速いペースで周回を重ねている高土。

同じくこれまでとは見違えるようなペースで周回する美濃部。

しっかりとツボを抑えた走りで隙を与えない山田。

周回ごとに転倒のダメージから回復しつつある山田。

以前よりマシン操作が丁寧になってきた新穂。

ZX636という名器を操る初参加の岩下。

巨体だが軽量、実践的トルク特性のRSVを駆る伊東も、初めてのK-RUNを懸命に走っている。

いよいよそれぞれが揺さぶりを始めたトップグループ。

ラインを交錯させて相手へのプレッシャーを高めていく。

ここでバックマーカーを挟んで………

なんと#65高土が早くも勝負をしかける。

1コーナーで榎本のインを割って見せたのだ。場内から大歓声が上がる。

クリーンなパッシングでしっかりと2位へ浮上。

したかに見えたがしかし、榎本も黙ってはいない。
キミが生まれたときすでに、自分は船館を走っていたんだよ―。

そんな80年代育ちのプライドがアウトから被さっていく。

瞬時に2位奪還。

元の布陣へ。

そんな後方でのつばぜり合いなど露も知らず快走する西村。体力的にもまだ余裕があるようだが………実はこの季節にシールドが曇るほど息が上がってきているようだ。

一度知った蜜の味は二度三度………高土が榎本への断続的なアタックを開始。その後方美濃部は静観する姿勢。

一方で二人の山田による5位争いも熾烈だ。

バックマーカー処理ではVTR山田に一日の長があるようだ。CBR山田も懸命にこれを追随していく。

トップグループはライバルとの戦いのみならず、次々に現れるバックマーカーをどうパスしていくかで明暗が分かれそうだ。

ここではインから西村、高土がパスしたのに対し、榎本はアウトから仕掛ける。

その結果三台が並走する格好に。

それでも軽量車のコーナリングスピードを生かして榎本がポジションキープ。

レースはいよいよ後半戦へと差し掛かり………

これまで温存していた榎本が一気に西村に襲い掛かっていく。

残りは7周。

バックマーカー処理で高土、美濃部の両名はトップグループから脱落してしまう。

こちらも未だ熱い5位争い。

トップグループは7番手を走る新穂の後方へ。

西村がストレートで仕掛けていき………

1コーナーで思い切りよくこれをパス。
これがこのレースでのベストパッシングという、素晴らしい状況判断となったかに見えた。

というのも榎本はここで前に出ることが出来なかったからだ。

さらにその奥の帝王でも………

優しさと焦りの合間でミスをしたか、榎本は新穂の内側に入り込むことが出来ず万事休す。

ついに………ついに西村の積年の夢が現実味を帯びてきた。

3コーナーでも榎本は新穂の内側に入ることが出来ず、結果的に西村には逃げられ、後方高土にも追いつかれる格好に。

最終コーナーを立ち上がり、独走状態を築き上げようとしている西村CB。

悲願達成まで、残り僅かに5周。
しかもライバル陣は焦ったのか、1コーナーでも新穂をパスすることが出来ない。これは致命的ともいえるミステイクだった。

ここで動いたのは高土だった。S字から帝王までに新穂と榎本を立て続けにパスして、なんと2番手に上がって見せたのである。

ここで榎本もようやく新穂の内側にマシンを滑り込ませる。

しかしすでにトップの西村は彼方だ。果たして2位争いを誰が制するか。

最終コーナーに入っていく新穂CB400SBと美濃部CBR600RR。

最終を立ち上がる2位争いの2台。

その後方で新穂に仕掛けていく美濃部。

ストレートエンドでこれをパス。しかし3位榎本とは若干ディスタンスが広がってしまう。

5位争いもバックマーカーを交えながらのデッドヒート。VTR山田は1コーナーアウトから仕掛け………

CBRR山田は3コーナーで仕掛けてこれをパッシング。

ついにここまでやってきた―。
先ほど新穂のパッシングは、生涯記憶に残るものとなるかもしれない。あの素晴らしい状況判断こそが数年来に及ぶ「初優勝」への執念といえるだろう。後続は離れた。後はいつも通りの操縦を心がければ、ゴールはすぐそこだ。

残り3LAP。トップ西村とは絶望的な差が生じてしまったものの、2位争いはまだ終結していない。榎本が渾身の力を振り絞って高土を追いかける。しかし、高土もここへ来てペースアップしている。

このときはまさか半年後に31秒前後でのバトルをするようになるとは思っていなかったかもしれないが………しかしバイクとはそういうものである。自分の探究心と謙虚な心、そして丁寧な操作があれば、誰でもちゃんと速くなれる。走行量は、裏切らない。

レース最終盤、他の塾生皆が見守る中で独走状態を作り上げた西村。
「これでついに………」
観戦者の誰もがそう胸に感じていたことだろう。特に今シーズンは勝てそうで勝てないという苦悶のレースが続いた。けして努力を怠っているだけではないのだから、そろそろK-RUNの神様も微笑んでくれていいはずだ、これだけ参加していて未勝利なんて、あんまりじゃないか。
そしてついに、独走でこの日を迎えることになった………
かに見えた。

「!!」

レースに絶対はない。
だが、恐らく残り3LAPの時点では誰もが「絶対に優勝は西村さんだろう」と思い描いていた。
しかし、レースに絶対はないのである。
なんと高土と榎本が恐ろしいまでのラストスパートをかけて、信じられないほどのペースでディスタンスを縮めてきたのだ………。

それでも………それでも残り1周半と考えればまだまだ「安全な」距離感ではある。

よほどのことが起きない限り、K-RUNの神様は西村に微笑んでくれるはずだ。
むろんペースも落ちていない。数年分の思いをかけて、ゴールラインを目指せ………。

すでに西村の頭の中では、西日の彼方で真っ先にチェッカーフラッグを潜り抜ける映像が思い浮かんでいることだろう。

だが。














―西村、落つ。
ここまで19LAPに渡ってレースを牽引し、絶好のタイミングでバックマーカーをパスしてリードを広げ、ほとんど初勝利を手にしかけていたにも関わらず、それを上回る信じられないようなハイペース、そして最終ラップの鬼の加速とブレーキングで一気にこれをパスした高土が、なんとトップへ立ったのである。
この日、もっとも会場が沸いたのがこの瞬間だった。誰もが驚愕の光景を目の当たりにして絶句し、そして直後に大歓声を上げた。

さらに悲劇は続く。




なんと3コーナーでは榎本がインサイドにめり込んできたのである。
これにより西村は、最終ラップに2ポジションダウンというあまりに非情な展開に沈むことになった。

確かにレースに絶対はない。しかし………少しばかりK-RUNの神様はひどすぎやしないか?誰もがそう感じた瞬間だったが、それをもっとも痛感したのは当の本人だろう。すでに事態は残酷さ、深刻さを通り越して喜劇的でさえあった。ショウエイX11のクリアーシールド越し、西村は、笑っていた。

そんな西村の悲しい笑顔をよそに加速するトップ2。そう、レースは最後まで何が起こるかわからない。

すでに脱力気味の西村を背にして、最後の勝負へ。

最終コーナー。インをガッチリしめる高土、そこにアウトからしかけていく榎本。

立ち上がりではほとんど並走にまで持ち込んだが………

加速競争では高土がワイドオープン、これでは榎本になす術はない。

結局そのまま高土が後続を振り切ってトップチェッカー。誰もが予想し得なかったこの結果、しかも高土も、初優勝という快挙だったのである。西村に思いで勝ったということか。

2位には榎本。

そして3位には残念ながら、本当に残念ながら西村が入った。次こそチャンスをつかんで一番高いところへ―。オーバーフォーティの頑張りに、心からお疲れ様といいたい。4位には美濃部が入賞。

そして同じく最後まで続いていた5位争いにも動きが。

レース最終盤でVTR山田をパスしたCBRR山田が最終コーナーをリードして立ち上がり………

そのままチェッカーへ。6位にVTRの山田、7位に新穂。

8位に初参加の岩下。

9位に同じく初参加の伊東。

信じられないよなレース終盤の追い上げ、そしてパッシング。何より会場を沸かせたのは、これまでの高土の姿勢からは考えられないような積極的なレース展開と、初勝利をモノにした力強さである。
さすがに絶好調男だけある。

塾長ももろ手を挙げて祝福。

若者がバイクに乗らないと嘆く二輪業界だが、どっこい梨本塾では50代、40代、30代自らが輝いて道筋を示すことで、しっかりと若者が根を張って、技術とスピードを着実に身につけてきている。
今後が楽しみな若者の初勝利、おめでとう。
つづく。
文中敬称略。ご了承下さい。
この記事の中に掲載されている写真の未圧縮原板(~5MB程度まで)を廉価販売いたします。
ご希望の方は「掲載ページURL」と「ゼッケン番号 お名前」を添付して>>コチラまでお問い合わせ下さい。
メールタイトルには「梨本塾写真希望」と明記してください。
※ 写真によっては対応できないことがありますのでご了承下さい。
また、本記事に掲載されている写真は梨本塾参加者の方に限りブログなどでの二次使用可能とします。
その際は必ず以下梨本塾クレジットをお願いいたします。
写真提供:梨本塾 http://kei74moto.client.jp/
なお、写真点数に関わらず、記事の前後いずれかに挿入してくださればOKです。
カメラ: 梨本塾オフィシャル 影兄 中尾氏 佐藤氏 佐々木氏
第6回梨本塾、全開受付中です。
次回は6月24日(日)開催。
直前申し込みは一律19490円です!!
定員締め切りにもご注意をッ!!
直前お申し込みは>>今すぐコチラから。

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1stロットのみの限定製作、次回製作予定はありません。
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西村、高土、榎本、そして美濃部CBRR、山田VTRと続く。

さらにその後方には山田CBRR、新穂CB400SB、神山R6、初参加の岩下ZX636、同じく初参加の伊東RSV1000と並ぶ。

1コーナーからS字にかけて榎本バンディットが早くも2番手に。Aクラスでも走っていた常連だけに、このクラスでは楽勝ではないかとの声も聞こえるが果たして。

中小排気量二台のネイキッドが、二台のCBR600RRを先行する。

午前Cクラスだった二人はいわば「都落ち」。Cクラスボーダータイムが30秒7であったため、今回は31秒ではDクラスとなった。その中では、意地でも勝つ必要がある。

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5番手には今回も愛知県から参加の#63山田VTR、そこに午前中最終コーナーにてビックハイサイドで転倒してしまった#62山田CBR600RR、そして久しぶりのK-RUNとなる新穂CB400SB。

8番手には2度目の参加となる神山R6。

9、10番手にはそれぞれ初参加の岩下、伊東と続く。

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どうやらトップグループはこの4台で形成されそうだ。

5位争いはこの4台か。

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これは端的な速さだけでなく、運もある。自分の持ちタイムより速いグループに入ることが多ければ勝利は遠のき、その逆であれば近づく。
今シーズンこれまでも、その寸前までいきながら、こんなケースやこんなケースに苛まれた。だからこそ今回のレースは絶好のチャンスともいえるだが、しかしその後方#49榎本は、これまで様々なクラスで何度も勝利を収めている。スピードでは西村だが、勝負勘といった意味では榎本に分があるのだ。果たして今回は。

さらにその直後には「ミスター絶好調」lこと高土CBRR、そして「第二の絶好調男」こと美濃部がリズムアップしている。

移動距離、マシン的なハンディをものともせず快走するVTR、そしてこれを追うCBRの山W(ヤマダブル)バトル。

紅一点、#67新穂を追いかける神山だったが………

早々にストレート勝負へ。

しかし危うく1コーナー進入で新穂のテールに突き刺さりそうになり、場内からは悲鳴にも似た嘆声が上がった。

直後、マシンに違和感を感じたという神山は、急遽ピットインを余儀なくされる。残念ながらこれでリタイヤとなった。

一方トップ争いは早くもバックマーカーに追いついていしまった。

この関係でトップグループの全長が短縮。

より一層激しいバトルとなりそうなフォーメイションとなる。

31秒を跨ぐペースで周回を重ねる西村。

その西村の背後で、どうやら余力を残しているように見える榎本。

今まででもっとも速いペースで周回を重ねている高土。

同じくこれまでとは見違えるようなペースで周回する美濃部。

しっかりとツボを抑えた走りで隙を与えない山田。

周回ごとに転倒のダメージから回復しつつある山田。

以前よりマシン操作が丁寧になってきた新穂。

ZX636という名器を操る初参加の岩下。

巨体だが軽量、実践的トルク特性のRSVを駆る伊東も、初めてのK-RUNを懸命に走っている。

いよいよそれぞれが揺さぶりを始めたトップグループ。

ラインを交錯させて相手へのプレッシャーを高めていく。

ここでバックマーカーを挟んで………

なんと#65高土が早くも勝負をしかける。

1コーナーで榎本のインを割って見せたのだ。場内から大歓声が上がる。

クリーンなパッシングでしっかりと2位へ浮上。

したかに見えたがしかし、榎本も黙ってはいない。
キミが生まれたときすでに、自分は船館を走っていたんだよ―。

そんな80年代育ちのプライドがアウトから被さっていく。

瞬時に2位奪還。

元の布陣へ。

そんな後方でのつばぜり合いなど露も知らず快走する西村。体力的にもまだ余裕があるようだが………実はこの季節にシールドが曇るほど息が上がってきているようだ。

一度知った蜜の味は二度三度………高土が榎本への断続的なアタックを開始。その後方美濃部は静観する姿勢。

一方で二人の山田による5位争いも熾烈だ。

バックマーカー処理ではVTR山田に一日の長があるようだ。CBR山田も懸命にこれを追随していく。

トップグループはライバルとの戦いのみならず、次々に現れるバックマーカーをどうパスしていくかで明暗が分かれそうだ。

ここではインから西村、高土がパスしたのに対し、榎本はアウトから仕掛ける。

その結果三台が並走する格好に。

それでも軽量車のコーナリングスピードを生かして榎本がポジションキープ。

レースはいよいよ後半戦へと差し掛かり………

これまで温存していた榎本が一気に西村に襲い掛かっていく。

残りは7周。

バックマーカー処理で高土、美濃部の両名はトップグループから脱落してしまう。

こちらも未だ熱い5位争い。

トップグループは7番手を走る新穂の後方へ。

西村がストレートで仕掛けていき………

1コーナーで思い切りよくこれをパス。
これがこのレースでのベストパッシングという、素晴らしい状況判断となったかに見えた。

というのも榎本はここで前に出ることが出来なかったからだ。

さらにその奥の帝王でも………

優しさと焦りの合間でミスをしたか、榎本は新穂の内側に入り込むことが出来ず万事休す。

ついに………ついに西村の積年の夢が現実味を帯びてきた。

3コーナーでも榎本は新穂の内側に入ることが出来ず、結果的に西村には逃げられ、後方高土にも追いつかれる格好に。

最終コーナーを立ち上がり、独走状態を築き上げようとしている西村CB。

悲願達成まで、残り僅かに5周。
しかもライバル陣は焦ったのか、1コーナーでも新穂をパスすることが出来ない。これは致命的ともいえるミステイクだった。

ここで動いたのは高土だった。S字から帝王までに新穂と榎本を立て続けにパスして、なんと2番手に上がって見せたのである。

ここで榎本もようやく新穂の内側にマシンを滑り込ませる。

しかしすでにトップの西村は彼方だ。果たして2位争いを誰が制するか。

最終コーナーに入っていく新穂CB400SBと美濃部CBR600RR。

最終を立ち上がる2位争いの2台。

その後方で新穂に仕掛けていく美濃部。

ストレートエンドでこれをパス。しかし3位榎本とは若干ディスタンスが広がってしまう。

5位争いもバックマーカーを交えながらのデッドヒート。VTR山田は1コーナーアウトから仕掛け………

CBRR山田は3コーナーで仕掛けてこれをパッシング。

ついにここまでやってきた―。
先ほど新穂のパッシングは、生涯記憶に残るものとなるかもしれない。あの素晴らしい状況判断こそが数年来に及ぶ「初優勝」への執念といえるだろう。後続は離れた。後はいつも通りの操縦を心がければ、ゴールはすぐそこだ。

残り3LAP。トップ西村とは絶望的な差が生じてしまったものの、2位争いはまだ終結していない。榎本が渾身の力を振り絞って高土を追いかける。しかし、高土もここへ来てペースアップしている。

このときはまさか半年後に31秒前後でのバトルをするようになるとは思っていなかったかもしれないが………しかしバイクとはそういうものである。自分の探究心と謙虚な心、そして丁寧な操作があれば、誰でもちゃんと速くなれる。走行量は、裏切らない。

レース最終盤、他の塾生皆が見守る中で独走状態を作り上げた西村。
「これでついに………」
観戦者の誰もがそう胸に感じていたことだろう。特に今シーズンは勝てそうで勝てないという苦悶のレースが続いた。けして努力を怠っているだけではないのだから、そろそろK-RUNの神様も微笑んでくれていいはずだ、これだけ参加していて未勝利なんて、あんまりじゃないか。
そしてついに、独走でこの日を迎えることになった………
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だが、恐らく残り3LAPの時点では誰もが「絶対に優勝は西村さんだろう」と思い描いていた。
しかし、レースに絶対はないのである。
なんと高土と榎本が恐ろしいまでのラストスパートをかけて、信じられないほどのペースでディスタンスを縮めてきたのだ………。

それでも………それでも残り1周半と考えればまだまだ「安全な」距離感ではある。

よほどのことが起きない限り、K-RUNの神様は西村に微笑んでくれるはずだ。
むろんペースも落ちていない。数年分の思いをかけて、ゴールラインを目指せ………。

すでに西村の頭の中では、西日の彼方で真っ先にチェッカーフラッグを潜り抜ける映像が思い浮かんでいることだろう。

だが。














―西村、落つ。
ここまで19LAPに渡ってレースを牽引し、絶好のタイミングでバックマーカーをパスしてリードを広げ、ほとんど初勝利を手にしかけていたにも関わらず、それを上回る信じられないようなハイペース、そして最終ラップの鬼の加速とブレーキングで一気にこれをパスした高土が、なんとトップへ立ったのである。
この日、もっとも会場が沸いたのがこの瞬間だった。誰もが驚愕の光景を目の当たりにして絶句し、そして直後に大歓声を上げた。

さらに悲劇は続く。




なんと3コーナーでは榎本がインサイドにめり込んできたのである。
これにより西村は、最終ラップに2ポジションダウンというあまりに非情な展開に沈むことになった。

確かにレースに絶対はない。しかし………少しばかりK-RUNの神様はひどすぎやしないか?誰もがそう感じた瞬間だったが、それをもっとも痛感したのは当の本人だろう。すでに事態は残酷さ、深刻さを通り越して喜劇的でさえあった。ショウエイX11のクリアーシールド越し、西村は、笑っていた。

そんな西村の悲しい笑顔をよそに加速するトップ2。そう、レースは最後まで何が起こるかわからない。

すでに脱力気味の西村を背にして、最後の勝負へ。

最終コーナー。インをガッチリしめる高土、そこにアウトからしかけていく榎本。

立ち上がりではほとんど並走にまで持ち込んだが………

加速競争では高土がワイドオープン、これでは榎本になす術はない。

結局そのまま高土が後続を振り切ってトップチェッカー。誰もが予想し得なかったこの結果、しかも高土も、初優勝という快挙だったのである。西村に思いで勝ったということか。

2位には榎本。

そして3位には残念ながら、本当に残念ながら西村が入った。次こそチャンスをつかんで一番高いところへ―。オーバーフォーティの頑張りに、心からお疲れ様といいたい。4位には美濃部が入賞。

そして同じく最後まで続いていた5位争いにも動きが。

レース最終盤でVTR山田をパスしたCBRR山田が最終コーナーをリードして立ち上がり………

そのままチェッカーへ。6位にVTRの山田、7位に新穂。

8位に初参加の岩下。

9位に同じく初参加の伊東。

信じられないよなレース終盤の追い上げ、そしてパッシング。何より会場を沸かせたのは、これまでの高土の姿勢からは考えられないような積極的なレース展開と、初勝利をモノにした力強さである。
さすがに絶好調男だけある。

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