第8回 梨本塾 レポ⑥ K-RUN-GP Dクラス

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終日晩夏の厳しい日差しに見舞われた8月梨本塾。最後のレースはK-RUN-GP、Dクラス決勝。

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グリッドにはデイトナ、CB400SF、そしてR6といった顔ぶれが並ぶ。初参加者も多いのがこのクラスの特徴だ。

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グリーンフラッグとともに、各車一斉にスタート。

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まず好ダッシュを決めたのは、予選2番手から飛び出した西村CB400SF。

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しかし外側から初参加の平田デイトナがすぐリカバリーし………

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外側から勝負をしかけていく。

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しかしここはやや無理があったようだ。逆に西村の先行を許す格好に。

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後方にはやはり初参加の飯尾R6、梨本CB400SF、同じく初参加の依田ZX9R、伊東RSV、やはり初参加の川瀬デイトナと続く。

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どうやらこの2台による一騎打ちとなりそうな気配だ。

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西村を先頭にトップグループが帝王コーナーを立ち上がる。

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なんとしてでも勝ちたい、いや、もう絶対勝てるはずの西村。

これまで数々の苦渋を舐めながらも笑顔で耐え忍んでこの日を迎えた。初優勝を狙う者にとっては、これほどのフォーメイションもないというほど完璧なスタート。

もちろん直前には厄払いも十二分に済ませている。

ちなみにこの厄払いにおける昨年から引き続いての三連敗は、確率的には1/8000、だそうだ。これを見事引き当てた西村がもはや「勝てない理由がない」と挑んだのが今回の梨本塾である。

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後方には3番手に浮上した#67飯尾、続いて梨本、依田。

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#63依田の後方に伊東、川瀬。

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トップ西村が颯爽と最終コーナーに向かうと………

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そこには梨本塾、そしてGOHOKUTOURで寝食走をともにしている仲間たちからの熱いダミ声声援が。

「勝て勝たんかい!」

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そんな応援を一身に受けて疾走する西村CB400SF。

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予選タイムではやられたが、幸い2~3番手は初K-RUNと、レース運びに関しては西村が勝るはずだ。

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このままレースコントロールをしてしっかりトップをキープしたいところ。

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一方初参加で2~3番手の平田、飯尾も悪くないペースで2周目に突入していく。

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後方やや膨らんでいるのは梨本亮CB400SF。その後ろに依田9R。

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アプリリアとデイトナの戦いは伊藤と川瀬。

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トップ争いは31秒を前後する戦い。

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これになんとか食らいついていきたい。

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4位争い、依田9Rは3コーナーでモトGPばりのステップワーク。

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「間違いなく市販車名機の1台(塾長)」


と太鼓判を打つZX9R。かつて梨本塾を大変賑わせたマシンの一台でもある。懐の広さは健在。

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その9Rと同じような時期に活躍したRSVミッレ、そしてこの2台から2世代ほど後発となり一世を風靡したデイトナ。

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依然トップは西村。

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しかし平田も離れない。

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3番手飯尾R6は若干遅れ始める。

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その飯尾になんとか追いつきたい4位梨本。

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1コーナーブレーキングでの三者三様。9R。

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RSVミッレ。

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デイトナ(リヤ車高ダウン仕様)

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快調なペースで周回を重ねる西村だったが………

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午前中のフリーから走行毎にタイムを縮めてきた若い平田のペースも非常にいい。

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トップ2が抜け出す格好でレースは進んでいく。

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そして残り14周を切った時点で早くも視界にはバックマーカーが。

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3コーナーに進入する6位争い。

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その後方にはトップ争いが迫る。

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レース経験豊富な#44西村としては、この場面をチャンスにかえたいところだ。

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ホームストレートで車速を乗せて一気にバックマーカーを………

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………一気に!?

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なんと一気に勝負を仕掛けていったのは、2番手の平田デイトナだった。

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西村のインサイドに飛び込んでいき………

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トップを奪取しようとする。会場からどよめきが上がる。

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このポイントで来るとは予想していなかった西村だが、しかしそう易々とトップを明け渡すわけには行かない。しかも、初参加者となればなおさらだ。

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「いったい自分は何年通ってると思っているのだ?」

そんな声が聞こえてきそうなアクセルワーク。外側から被せて平田を牽制する。

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しかし

「すいません、それは知りませんが………お先に」

とでもいうように、平田はかまわずアクセルをオープン。

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その結果S時進入では再び先行する。

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帝王コーナー入り口で完全にトップを奪取。まさかまさかの展開には、さすがの西村も笑ってられないはず。果たして逆転はあるのか。




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まさかの早い段階で勝負をしかけて成功した平田デイトナがトップに躍り出る。

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しかし前方にはバックマーカーがおり、簡単には西村を引き離せない。

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もちろんそれは西村にもわかっていた。ここで引き離されなければ必ずチャンスはやってくるはずだ。

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ストレートではデイトナvsデイトナ。

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1コーナーではまず平田がインに入り………

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西村もこれに続いていく。

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トップから2秒弱ほど離されてしまった3位の飯尾R6。

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残り周回数は12周を切った。

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4位は梨本。

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5位に依田。

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そしてトップ争いはまたバックマーカーの後方へ。

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このパッシングに手間取っている間に3位の飯尾R6が急接近。

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1コーナーでうまくインに入り込めた平田デイトナに対し、西村は前に出れずに引っかかってしまう。

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そして後方では飯尾がバックマーカーをパスして西村の背後に迫る。

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大方の予想に反して、バックマーカーをうまく利用して抜け出したのは、初参加の平田だった。

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「これはもう無理じゃないか?」

「相当厳しいなあ………」


そんな声がギャラリースタンドから漏れ聞こえてきそうだ。

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完全に1周バックマーカー背後で走ってしまった西村。これで3秒程度を失ったことになる。

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この周回ではなんとかストレートで前に出て………

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1コーナーでパス。

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一方前が開けた平田は30秒台で快調に走り出す。

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初参加ながらみるみるスキルアップしていく姿は見ていて気持ちいいほどだ。

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しかしそれに見とれているわけにはいかない西村CB400SF。

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いったん離された飯尾も再び追いついてきた。

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レース終盤、どうもインにつけない4位の梨本亮。

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これを捉えたい依田だったが、幾度かブレーキングミスを犯して思うように差がつまらない。

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力走を続ける6位伊東。

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初参加の川瀬はやや疲れが出たか。思わずホームストレートで左手を外す。

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一方快走を続ける平田だったが………

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しかし勝利への執念ではけして負けない西村が、怒涛の追い上げでその差を一気に詰めてきた。

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そしてバックマーカーが前方に現れ、レースはまた振り出しに戻る。

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本日二度目となるデイトナ同士の加速競争。

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まずはトップ平田がしっかりとそのインに入って前に出て………

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今回は西村もこれに続く。残りは僅かだ。

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インフィールドでは明らかに西村がさを詰めていく。

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チャンスがあるとすれば帝王コーナーから3コーナー辺りか。

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最終コーナーを立ち上がり………

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ついにファイナルラップへ。

ここでもバックマーカーが出現し、まずは平田がそのインサイドへ。かなり微妙なタイミング、ここで間に入られると致命的だが………

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しかし西村もしっかりと後方に続いた。まだチャンスはありそうだ。

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その後方では3位の飯尾がやはりバックマーカーをパス。

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いよいよ佳境に入るトップ争い。帝王コーナーで勝負に出た西村が外側から果敢に仕掛けていく。

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だが、やや強引過ぎたようでラインブレイク。

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これにより3コーナーでのチャンスも失ってしまう。

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いよいよ最終コーナーへ。

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トップ平田は後方を振り返ることもなく、そのままガスオン。

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初めての梨本塾参加で………

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見事初優勝を達成。西村は本当に悔しい2位。

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3位には飯尾。4位梨本、5位に依田、6位に伊東、そして7位には川瀬が入った。

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レース終了後、勝利してくったくのない平田デイトナと、さすがに今回ばかりは消え入りそうな笑顔の西村CB400SF。しかしナイスレースであった。

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ウィニングランで親指を突き出す平田デイトナ。いい笑顔だ。

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一方、黙ってコースを後にする西村CB400SF。このコントラストはあまりに残酷だが、これこそがレースでもある。

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「メチャクチャ嬉しいです!」

そんな先輩ライダーの苦悩を知らず、若さも手伝って喜びを爆発させる平田。しかし初参加で優勝、Dクラスとはいえ30秒台での走行となればフロックではないことがよくわかる。走りのセンスがいいようで走行毎にタイムをあげていたのも印象的だった。今後の活躍に期待したい。おめでとう。

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一方、残念ながら今回も勝てなかった西村だが、こんなとき塾生はことの他優しい。

「ナイスラン!」

「大丈夫次があるよ!」


無事である限り、走っている限り、誰にもチャンスは訪れる。

74JKTeeの背中には、こう綴ってある。

「NEVER GIVE UP.」

西村もまた、ナイスランであった。次戦に期待したい。


つづく。

文中敬称略。ご了承下さい。



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