梨本塾マラソンズ 【秋懺悔】 第41回 タートルマラソン レポート

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今年もこの季節がやってきた。

梨本塾マラソンズがメインレースとしている板橋シティマラソンは3月開催。

「フルマラソンが体にいい訳がない。42.195kmを走破するとうことは、罪深い男たちによる懺悔行脚だ」

と塾長が豪語するように、この大会にエントリーして凄まじい体験をした塾生は少なくない。

※ 2013板橋シティマラソンエントリーが始まっています。出走予定の方はお早めに。定員締め切りも考えられます。

何より大変なのは走行中の心肺機能の辛さではなく、尋常ではない下半身節々の痛みに襲われることだろう。ゴールした翌日には、階段を手で登るほどの激痛に見舞われるという。この痛みは他の何物にも例えようがないというが、しかしそこから回復するのも人間の素晴らしさ。早い人で3日、長い人で3ヶ月程度の時間が経過すれば

「お、また来年も出よう」

となるから不思議なのだそうだ。

つまりそんな痛みをすっかり忘れ去った7ヵ月後に行われるのが、このタートルマラソンだ。昨年の様子はこちらへ。

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会場はもちろん荒川。金八先生や親子ゲームのロケ地として80年代には一斉を風靡した河川敷である。

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今回は梨本塾マラソンズから4名がエントリー。

歴史ある千住新橋で記念撮影を行ったのは皆藤選手。

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まさに秋晴れといった真っ青な空にはアドバルーンが舞い上がる。

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無数に並べられた簡易トイレ。これを見ると凄い数だと思われるが………。

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やや緊張気味の皆藤選手も早速用足しへ。

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タートルマラソンでは事前にゼッケンが郵送配布される。これをクリップでTシャツに括り付ける。

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空に浮かんだアドバルーンはただの飾りではなく、実は標識も兼ねていた。荷物預かり所、更衣室、そして参加賞と書かれているのだ。まずは参加賞の受け取りへ。

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その横ではミネラルを配布している。昨年は予想外の暑さから飲料水などが足りなくなり、熱中症で搬送された人が30名近くいた。その対策として、今年はかなりの飲料水が用意されていたようだ。

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スタート&ゴールラインは千住新橋麓の虹の広場。ここから戸田橋方面へ向かって赤羽の先で折り返してくる。板橋シティマラソンとは逆周りのルートとなる。

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10時のスタート時間に対して、塾長と皆藤選手は8時過ぎに現場に到着。

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まだ人はまばらな状態だ。

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タートルマラソンのランナーチップ。これを靴紐の辺りにくくりつけて出走する。とても簡単な計測機だ。

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参加賞はタートルマラソン製のポロシャツ。参加費4000円でここまでサービスしてくれるのがウレシイ。

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ほどなくして八木選手も合流。

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さらに西村選手も合流して、今回のタートルマラソンメンバーが出揃った。ちなみに皆藤、西村両選手はともにマラソン競技は初エントリーとなる。八木選手は昨年のタートル、そして今年のフルに出走している。

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スタート時間が近づくに連れてかなり人も集ってきた。出走20分前に、荷物を預けに行く。板橋シティマラソンと同じように、ビニール袋に入れてゼッケン末尾番号別に区分けされた保管所に置いておく。

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出走10分前にはすでにトイレも長蛇の列となり、梨本塾メンバーもあわや間に合わない、というタイミングでの用足し。オレンジTに懺悔の文字が眩しい。

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9時50分過ぎ、いよいよスタート地点へと移動。それぞれの持ちタイム、予想タイムで仕切られたゾーンに並ぶ。

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トイレ待ちとスタート待ちの大群衆。実はこの中に八木選手がいる。見つけたのはサポーターとして来てくれた梨本塾スタッフのバッキー&美保子ちゃん。

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さらにその後方も凄まじい人、人、人。参加者数はゆうに1万人を超えている。ちなみにこの中にも、皆藤、西村両選手がいる。

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声かけを行うと気づいてくれた。但しいつもよりずいぶん緊張しているようだ。

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午前10時、グリーンフラッグ号砲と共に、一斉にスタート。

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いよいよ21kmの旅路が始まった。ちなみにこのときの気温は20℃前後と、明らかに昨年よりも涼しくマラソン日和と思えたが………。

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これだけの大群衆、スタート直後は当然渋滞してそれほどペースは上がらない。

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自分のペースに出来るのはしばらく経ってからのようだ。これは西新井橋付近(塾長撮影)。

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「橋の下でいつも一生懸命演奏してくれたり太鼓叩いたりしてくれる人たちがいるから、今回はその全員を写真に収めておこうと思った」

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 後に塾長はそう述懐したが、しかしその思いやりが後で悲劇を生むことにつながる………。

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こちらは鹿浜橋付近、新田側。

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チアリーディングと吹奏楽部の大応援だ。

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トミン(モーターランドではなくゴルフ場)を抜けて岩淵水門へと差し掛かる辺りでは早くもトップランナーが折り返してきた。

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この時点で、往路と復路の選手が同じ競技に出ているとは思えないようなスピード差。トミンで言えば25秒台と40秒くらいの差だろうか。

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しばらく行くと東北本線の高架橋が見えてくる。数年前の大会では、この鉄橋を列車が渡れなくなるほどの強風が吹き荒れ、数十人単位でスリップストリーム合戦が繰り広げられた。そう、マラソンこそスリップを使いあうのである。

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「生ビールがんばって~」

基本的にマラソンではこういった着ぐるみ、コスプレ系は強い人しかいない。お茶らけることが出来ることが凄い。

折り返しまでもうすぐだ。

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こちらは復路の岩淵水門。この直前に往路の皆藤選手、西村選手と塾長がすれ違った。

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行きとは異なり大渋滞の水門。補強工事中であるため歩道が非常に狭い。

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ここはみんな歩いてやり過ごす。

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再度トミン(ゴルフ場)の横へ戻る。

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鹿浜橋を越えた辺りではバッキーが塾長を捉えた。ちなみにこの直前には応援に駆けつけてくれた山本選手も塾長に声援を送っていた。

「本当に他愛のないことだけど、マラソンでは人の声が進む力になる。ましていや知り合いであればなおさら。人の声には凄い力があるって知ったのも、マラソン(塾長)」

頑張れといわれるだけで、止まった足も動き出すらしい。

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さてこちらは八木選手。折り返し地点では塾長が前におり、そこから数百メートル後にハイタッチを交わしたらしい。眼鏡を外し頬を紅潮させているが、果たして。

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そんな二人から遅れること数十分、アノ人がやってきた。

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おもちさんこと皆藤選手。なんとか踏ん張って歩を進めている。

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さらにその皆藤さんから遅れることしばし、今度は西村選手が走ってきた。

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二人の差は僅かに数十メートル。当然西村選手は逆転を狙っているだろう。

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元気にサムアップして皆藤選手を追いかける。この後、江北橋付近では、榎本選手と坂垣内選手が応援に駆けつけてくれていた。

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一方塾長はいよいよレース終盤に差し掛かっていたが………

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往路と同じく、西新井橋の下では和太鼓チームの大応援が出迎えてくれた。

これも「当然写真に収めようとした」という塾長だったが………

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この写真撮影をした直後

「うおおおおおおおおおおおおおおッ」

という声とともに左足をつかんでバタリと倒れ込む。昨年同様上がってきた気温によって水分を失っていたところに、どうやら無理な体勢での連続カメラ撮影が祟って、ふくらはぎが攣ってしまったようだ。

「もともとすごく攣りにくい体質なんだけど………」

ストレッチをしながらなんとか痙攣を抑えて塾長が立ち上がる。

「今回は八木ちゃんにやられるわけにはいかないからな」

とまた走り出した。

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さてスタートから二時間近くなろうとする頃、続々と出走者はゴールラインへとなだれ込んでくる。

メインスタンドともいうべき虹の広場前で最後のスパートをするものも多く、さすがにゴール後はしんどそうだが、爽快な笑顔を見せるものが多い。

時間に目をやれば、そろそろ梨本塾マラソンズもゴールしていい頃だろう。美保子ちゃんがゴールラインで塾長の姿を待っていると………。






















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え?


なんと先に現れたのは、八木選手だった。これには美保子ちゃんもかなり驚いたようだ。しかも眼鏡を外しているため、八木選手本人は懸命に名を呼ぶ美保子ちゃんに気づいてさえいない。


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そしてそこから待つこときっかり10分。

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してやったり顔満面の塾長がご帰還。

「足攣ったけど、ばっちし2時間切ったゼ!」


とここまではご満悦の様子。そして

「八木ちゃんまだ来てないだろ?」


と自信満々で美保子ちゃんに聞いたものの………

「え?と………あの………もうゴールしてます………よ」

「え?」

「ハイ」

「マジ?」

「マジ」

「………どんくらい前に?」

「………10分くらい………かな」

「じ………じゅッ………………」

1000分の1秒の世界に生きてきた者にとっての10分ビハインドは、恐らく永遠に追いつけないほどの落差なのだろう、それまで清々しい表情だった塾長は、この瞬間10歳くらい老けたように見えた。そして小さくなった背中と共に人ごみの中に消えていった。

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さてゴール後はまずシューズにつけたチップを取り外して(と簡単に書いているが、実際にはかがんだりした瞬間に足が攣ったり立てなくなる人が続出している)、さらにサービスドリンクを受け取ることが出来る。

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近所のボランティア学生たちが完走を果たして喉もからからに渇いているランナーたちに優しい笑顔と共に手渡していたのは、サラリとした清涼飲料水ではなく、ドロリとしたトマトジュースだった。

「つまりゴールしたくらいでは、まだ懺悔は終わっていなかったということだろ」

そう塾長はこぼした。

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八木選手と塾長がゴールした直後、足立区立六月中学校吹奏楽部が演奏していたのはザードの「負けないで」。今年3月のフルマラソン時、掘切橋付近でこの曲を応援歌として三時間近く縦笛で吹き続けていた女性がいたそうで、そのときから塾長はとても好きになった曲だという。

その負けないでを口ずさみながらトマトジュースを飲み干し、直後に八木選手と合流。

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「ちくしょどこで抜いたんだ?」

「え?塾長の方が前じゃないですか?」

「でも美保子ちゃんは八木ちゃん前だっつってたぞ!?」

「そんなことないはずですよ、抜いてませんもん」

「抜いてませんって、そもそも眼鏡して走ってなかったらオレだって分からないだろ?」

「ええ、なんにも見えてませんでしたけど………」


「………………じゃあわからないじゃん。」

そう互いの健闘を称えあい、とりあえずは腹ごしらえをしようと出店へ。ゴール時間はちょうどお昼時。そこで大食漢八木選手が選んだのは………

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おでん。薄味だが辛子が利いていてとてもおいしかったそうだ。

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八木選手に先を越されたことで10歳年を取った塾長もどうやらおでんで回復。

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デザートはみたらし団子。

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梨本塾マラソンズをサポートしてくれた美保子ちゃんとバッキー。梨本塾の活動はいつもこの二人に支えられている。

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そして「来年の板橋シティマラソンにはエントリーする」と豪語する梨本亮選手も応援に駆けつけた。


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当初はリミット内完走が危ぶまれていたが、塾長、八木選手がゴールしてから待つこと約45分、まず帰ってきたのは皆藤選手。

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ほどなくして西村選手もゴール。二人ともきっちり制限時間をクリアした。

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さらに追加懺悔のトマトジュースも………

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ゴクゴクゴクゴク。完走さえすればなんでもおいしいようだ。

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「でも疲れたよ~」

それでも40代50代コンビの初挑戦は、最後まで力走を貫いた。

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そして感動の再会。

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「皆藤さ~ん、西村さ~ん」

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ハーフとはいえマラソンを走り終えたばかりでも走り出す八木選手。

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そしてがっちり握手。

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「どうでしたか?マラソン面白いですよね~」

「面白くねえよバカヤロ痛えんだよ足が」

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「でもがんばったじゃないですか!」

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人生の先輩でありランナーとしての後輩をねぎらう八木選手。

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「それでもオレたち、やったぜ」

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「しかし足がいってえなあ………」

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「いやオレ絶対クツに石が入ってると思っていたんですけど………」

何度もクツを脱ぎ、中の砂を落として再度走っても違和感があり、さらには靴下まで脱いでみたが一度も「石」は出てこなかったという西村選手。

つまりそれはただの「異物を踏んづけているような痛み」なのである。皆藤選手もこれと同じ症状に長時間見舞われたようだ。

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「ナイス懺悔です!」


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時刻は13時過ぎ、容赦なく強い日差しが照りつける。

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暑い暑いとコボす梨塾マラソンズの面々。それもそのはず、競技役員が手にしている温度計はどうやら32℃を示している。昨年ほどではなかったが「それでも熱中症で倒れている人は一杯いた」そうだ。タートルマラソンとはつまり、暑さとの戦いなのである。

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梨本塾マラソンズ 正式結果
 (ハーフ競技)

八木選手 1.49.17(時分秒)
種目別順位     1858/6755
総合順位     1995/8589

塾長 1.59.14
種目別順位     2579/6755
総合順位     2825/8589

皆藤選手 2.43.17
種目別順位     6231/6755
総合順位     7670/8589

西村選手 2.43.37
種目別順位     6241/6755
総合順位     7688/8589

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その後は皆で打ち上げへ。

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ひとまず全員完走、乾杯!

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さらに榎本選手、坂垣内選手も合流。

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「乾杯」

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打ち上げ会場はホルモン焼き。

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そして二軒目はまさかの………お好み焼き。

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同一メンバーに………

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一軒目を早引き→所要で船橋へ→その後二軒目へ逆戻り、は西村選手。ちなみに打ち上げ会場は足立区綾瀬界隈………。ハーフマラソン完走より打ち上げでの体力のほうが凄い!?

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ここに中尾選手も合流。今年は転勤もあり出走しなかったが、もちろん来週の荒川フルには出場予定。

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関東圏では苦手なお好み焼き作りも、ここでは店員がすべて目の前で焼き上げてくれる。

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「これなら楽ですねえ」

マラソン2~3時間程度、打ち上げは述べ6時間以上を費やし………とにかくみんな元気。

「でもなあ、これでハーフだもんなあ、フルはキツいんだろうなあ………(西村選手)」

「うん、大丈夫です、キツいなんてもんじゃないから(笑:塾長)」



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梨本塾マラソンズ2012タートルマラソン編………

完。

2013 板橋シティマラソンエントリーはコチラへ。11月14日(水)9時よりスタートするようです。