第11回 梨本塾 レポ③ K-RUN-GP Aクラス

本日一つ目の決勝となるK-RUN-GP、Aクラス。

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スタート前には、グリッド上でショートブリーフィングが開かれる。今回は11台の出走となるため、フラッグルールの説明などが念入りに行われた。11月最終週ともなると、午後2時過ぎでも北欧のように影が長く伸びる。

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CBR600RRが5台、GSXR1000とR1が2台ずつ、デイトナとCBR1000RRが1台というクラス構成。ほぼフルグリッドとなる圧巻のスタート直前風景。

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グリーンフラッグとともに、各車一斉にスタート。好スタートを切ったのはセカンドポジションから飛び出した篠塚、そしてサードポジションから出た渡邉。ポールの人見は明らかにスタートをミスしたようだ。

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なだれ込むように1コーナーへ。篠塚がトップに立ち、その後方で渡邉が2番手に上がったように見えるが………。

さらにその後方では山中CBR600RRの後ろで、榎本CBR600RRと生駒デイトナが接触しかけている。その背後に中尾CBR600RR、八木R1と続く。

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人見が外側から仕掛けて2位争いを制す。山中、生駒と続き、なんとか接触を免れた榎本は思わず膨らんでしまう。中尾もこれに引っ張られるようにコース外側へ。そのインに入りつつある八木R1の後方に因藤GSXR1000、そして緒方R1、坂CBR1000RR。

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中尾のインをついた八木R1が7番手へ浮上。ここで前に出られたことが、後の中尾にとっては大きな損失となるかもしれない………。

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篠塚を先頭に集団は帝王コーナーから3コーナーへと差し掛かる。

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この2シーズンの梨塾双頭竜といえばこの二人、篠塚と人見である。ともに40代半ばを迎えながらもAクラスを力強く、そして飛躍させるように牽引してきた立役者であり、2台が絡んだときにはいつも凄まじいペースで周回する。

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その後方、思わぬ形で3番手を走るのは#6渡邉。#3山中が原因不明のマシン不良でペースが上がらない今回、若手でトップ2に迫れるのは渡邉だけかもしれない。

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渡邉の後方で明らかに平時よりもマシンが寝ていないのは山中。目下ポイントリーダーだが、先月、今月と波に乗れずに苦戦している。予選タイムはまさかの27秒782と、ベストタイムよりも1秒8近く遅れてしまった。

逆に後方#5生駒、そして#8榎本はペースが速そうだ。

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八木R1を先頭にした7番手争い。ここに中尾CBR600RRが埋まる格好。ナンバー付リッターSSに囲まれるCBR600RRハルクプロコンプリート。634パワーは吼えるのか。

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1周目終わりのオーダー。やはり#2篠塚、#1人見のペースが速いが、#6渡邉も必死でこれに食らいついていく。

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その渡邉と4番手の#3山中の間には、早くもディスタンスが生まれた。

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この7位争いも非常に熱いバトルとなりそうだ。

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トップに立った篠塚の気合が凄まじい。

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2周目から120%というような走りで#1人見を突き放そうとしている。

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しかし人見もそうはさせじとディープアングルでこれをしっかりマーク。

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渡邉はこの二台のスーパーフォーティズについていくことが出来ない。

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一方、まるでここだけウェットコンディションのような浅いバンク角なのは#3山中。このときと比較すると同じパッケージとは思えないような大きな違いである。果たして決勝中に活路を見出すことが出来るか。しかし後方の生駒、そして榎本のアタックも激しさを増す。

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2周目には26秒3にまでタイムを上げてきた篠塚。人見とともにベストラップは25秒9程度ではあるが、しかし序盤から鬼のようなハイペースである。

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渡邉は27秒前半タイムが精一杯だ。それでも善戦している。

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4位争いの3台は、さらにそれよりもペースが上がらない。目前大きな獲物を捕らえた生駒、榎本の闘争心に火がついていく。

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さらに28秒フラット近辺を境にしてバトルが繰り広げられる7位争い。先頭八木がR1、次いで中尾はCBR600RRハルクプロレースベース、因藤GSXR1000、緒方R1という順だ。

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11番手を走行するのは、は午前Bクラス、しかもゼッケン32(最末尾)から大躍進を遂げてクラスアップを果たした坂。今期のギリシャ、スパルタスロン出走者も、久しぶりのK-RUNでいきなりのAクラス出走は酷なものがある。

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集会を重ねるごとにどんどんペースを上げていくトップの篠塚。にわかに信じがたい光景だったが、あの人見でさえもジリジリと離されて行っている………。

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そこから数秒ほど後方に3位渡邉、さらにその2秒ほど後方に4位集団。

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予選では26秒3ほどだったが、決勝ではさらに絶好調となった篠塚。なんとラップタイムは26秒フラットまで引き上げられる。もちろんこのマシン(今期導入のレースベース車。カウリングが同じなため同一車両と考えられているが、実際には昨年のマシンとこのマシンはまったくの別物)でのベストタイムである。

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自身も予選を上回るペースで周回しているにも関わらず、1周でコンマ1秒弱という僅差の分だけ離されて行く。トップ2は限界に近いの超ハイペースであり、神経戦ともいえるような際どいテールトゥーノーズだ。

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トップ篠塚と人見の差は1秒弱ほどに開いた。

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レースは残り14周。このままの超ハイペースを保てるか。

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その二人の背中がどんどん離れていく渡邉も、自身のベスト近辺での力走。

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その後方では600cc3台による4位争い。先頭に立つのは#3山中だが………

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#5生駒、#8榎本が、明らかに勢いで勝っている。果たして山中は耐えられるだろうか。

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八木を先頭にした7位争いも激しさを増しているが、順位に変動はない。

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ベストラップ的には中尾CBRRがもっとも勝っているが、周囲をリッターSSに囲まれる格好では、なかなか前に出ることが出来ない!?

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八木R1のペースは28秒前半といったところ………

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さらに11番手の坂は28秒中盤程度のペース。そしてそこに早くもトップ2が追いついてくる。

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篠塚と人見の差はほぼ1秒。

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そして帝王コーナーで坂CBRをラップダウン。

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ブルーフラッグに気付いていた坂が、2番手の人見にもしっかりと進路を開けるフェアな走行。

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さらにトップ2の快進撃は止まらない。すぐに7位争いにも追いつき、次々とラップダウン。やはり篠塚と人見との差は1秒ほどだ。レースはいよいよ後半戦に突入していく。




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#10八木に対して激しいプレッシャーを与える#7中尾だったが………

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そのすぐ背後にはトップの篠塚が迫ってきた。

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7位争いの間に割って入る格好となったトップ2。

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ここで八木、中尾にもブルーフラッグが振られて篠塚がこれをパス。

K-RUN-GP決勝レース中にブルーフラッグを受けた車両は、1コーナー進入でアウト側から1メートル以内を走行し、そのままS字~帝王コーナーエントリーまでキープレフトで速い集団に進路を譲られねばならない。もちろん合流時には後方確認が必須だ。

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2番手の人見もこの集団に突入していく。

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先ほどよりもさらにディスタンスは広がったようだ。それにしてもさすがはAクラス、速いだけでなく視野も広い。ブルーフラッグ対応は全車完璧である。

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一方未だ熱いバトルが続く4位争い。どうしても本来のペースを取り戻せない#3山中だが、それでもポジションを死守したいところだ。

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そこからやや間を開け、相変わらずの超ハイペースを保つ篠塚が前方4位争いを視野に捉えた。

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1周でコンマ1秒程度だが、着実その差を広めていく篠塚。人見も26秒前半で猛追するが、差はつまらない。二人とも鬼気迫る走りだ。

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その後方はさきほどパスした7位争いの集団。

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八木から緒方までの4台がポジションを争う。

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なんとかしてこの集団の前に出たい#7中尾、そしてやはり午前BクラスからAクラス入りして活躍する#27因藤。

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ファイナルレシオをショート化してレスポンスを引き上げた渡邉が最終コーナー立ち上がりでフロントホイールをリフトアップ。トップは彼方だが、しかし後方も近づいてくる気配はない。単独3位を走行。

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序盤から続いた4位争いだったが、ここで5番手の生駒デイトナが動いた。最終コーナーエントリーで車速を乗せて………

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ホームストレートから1コーナーへかけてのブレーキングで………

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山中のインへとマシンを捻じ込む。

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トラブルを抱えている山中がもっとも気にしているポイントでの、クリーンパッシングとなった。

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これで生駒は4位に浮上した。

だが………

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そのすぐ背後に迫るトップの篠塚。獅子はけして容赦しないのだ。

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もちろん人見もそのすぐ後ろへ。このパッシングタイミイングで両者のディスタンスは振り出しに戻ってしまう。

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翌周1コーナーで立て続けに生駒をパス。

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残りは僅かだが………

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果たして勝者は。

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一方生駒にパスされて5位へ転落した山中だったが………

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さらに榎本からのプレッシャーも受けることになる。

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7位争いでは八木がポジションを死守。中尾の苛立ちは募るが、未だ動けない。

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まさに今シーズン一番の渾身の走りを見せた篠塚。レース最終盤となってもアクセルは緩まない。ライディングフォームもこれまでより攻撃的になったようだ。

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これを追走する人見も最後に意地を見せる。なんと25秒台のラップタイムをマークして篠塚を追い詰めたのだ。

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しかしその追撃もここまで。

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結局篠塚が最後まで超ハイペースを貫き、一切付け入る隙を与えずに今シーズン三勝目をマーク。2位に人見、3位には渡邉が入った。以下、4位争いを制した生駒、山中、榎本、八木、中尾、因藤、緒方、坂という順位でゴール。

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「いやあ、メチャクチャ速いペースでしたね」

レースタイムとしても記録的なハイペースとなった今回のAクラス。互いの健闘を称えあう。

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ラップモニタを確認すると、ファイナルラップ近辺でさえ26秒0周回をしていた篠塚。レースベース車となってからは苦労の連続だったが、ここへ来て一気にその成果が現れたといえるだろう。

これで今シーズン4勝のポイントリーダー山中に対し、篠塚は3勝をマーク、最後の決戦に打ち勝てば勝ち星では並ぶことになる。

果たして最終戦チャンピオンズカップではどちらに勝利の女神が微笑むのだろうか。


つづく。

文中敬称略。ご了承下さい。



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