第11回 梨本塾 レポ④ K-RUN-GP Bクラス

続いてBクラス、決勝。

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ポールタイムが28秒687、ボーダータイムが29秒953と、僅か1秒3ほどの中に11台がひしめき合うBクラス。今回の4クラスの中で、もっとも接戦が予想される。

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フロントローニ並んだのはZX10R、CBR600RR(国内)、そしてCBR250RR。250ccからリッターSS、さらにDB2など多様なマシンが居並んだ。

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グリーンフラッグとともに、各車一斉にスタート。好スタートを切ったのは2番手から飛び出した国内仕様CBR600RRを駆る渡辺。

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その渡辺の背後にはCBR250RRの樽井、さらにポールの伊藤ZX10R、古溝GSXR600、加野GSXR1000、笈川CBR1000RR、柴田R1、芝井NSR250Rと続く。

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やや膨らんだ加野のインをついて、笈川が前へ。柴田R1のイン側に入ろうとする皆藤CBR600F4、熱田CBR600RR、そして富永DB2と続く。

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芝井NSRが柴田R1の外から勝負を仕掛けるが………。

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帝王コーナーを立ち上がるトップグループ。

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アタマから渡辺、樽井、伊藤、古溝、笈川の順。

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さらに加野、柴田、芝井、皆藤、熱田と続く。

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DB2を駆る富永はスタートで2つポジションを落とした。

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ほとんどベストラップが変わらないもの同士の熱いバトルが始まる。

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等間隔で1周目を終え1コーナーへ。ストレートでビハインドを負う#24樽井はやや離される格好。

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6位集団の先頭は#21加野。

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午前Aからクラスダウンとなった渡辺がレースを牽引する。

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しかしアドバンテージはほとんどないといっていいだろう、28秒中盤から29秒というラップペースだ。

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ポールから出た#31伊藤は3コーナーでオーバーラン。しかし順位に変動はなし。

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笈川、加野、柴田というリッターSS郡の後方にはNSRの芝井。

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リードを広げようとペースアップする渡辺。

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しかし樽井も離れない。

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この辺でなんとか一勝目を飾りたい#31伊藤ZX10R。

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久しぶりの走行でうまくリズムが取れない柴田。

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先月トップバトルを演じた芝井もNSRで果敢にアタック。

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そのNSRに挑みかかる皆藤F4。

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1コーナー進入では富永DB2が熱田に襲い掛かる。

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ブレーキングでは前に出れなかったが………

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1コーナーの中でうまくラインを変更してインから抜き去る。DB2のハンドリングを生かしたクリーンパッシング、これで10位に浮上。

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さらに追い上げることが出来るか。

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「アイドリングが下がらない」という難病に罹ったCBRに手を焼きながら辛走する#9渡辺。

これに対しインフィールドでは#24樽井にアドバンテージがあるようだ。

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3番手以降も充分逆転の可能性を残している。

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CBRvsGSXR。

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R1vsNSR。

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CBR600F4ロスマンズ(非公式カラー)。

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そしてDB2とCBR600RR。

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これまで梨本塾はもちろん、トミンのスポーツ走行を積極的に走り込みGOHOKU TOURにも参加し(なんと神奈川県から集合場所の栃木県佐野まで下道行脚というハード行程)、通勤の足など公私共に相棒として踏ん張ってきたCBR600RRもすでに走行距離は6万キロを突破。

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実はこのあと買い替えを控えており、今回のレースがラストランとなるようだ。原因不明でアイドリングが下がらず帝王コーナーなどではオーバーラン気味になっていたが、それでもなんとか勝利をモノにしたいところ。

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この3コーナーでもうまくクリップにつけないのは、アクセル全閉でも回転が落ちないからだ。

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さらにその後方、3位争いはZX10RvsGSXR600。

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#28古溝が再三にわたって仕掛けるが、伊藤もこれを許さない。

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それぞれ走り方は異なるものの、トップ4の1周のアベレージは変わらない。それぞれ懸命な走りでゴールを目指す。

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4番手の古溝からやや遅れはじめたのは#25笈川。#21加野がアタックを開始。

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さらにその後方では#12柴田が#29芝井に激しく追い立てられる。

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やはりペースは28秒中盤から後半といったところだ。

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異常低温注意報が出るなど、今冬は11月から厳しい寒さに見舞われているが、その中では今回のK-RUN-GPはまだ恵まれた気温といえるだろう。しかし逆に体温が上がり、汗もかく。つまり………。

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変わらずトップを疾走する渡辺だが、その姿には異変が………。

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さらに接近する3位争い。

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レースは中盤から後半へ。

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そこでまず最初に動いたのはこのライダーだった。




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残り10周となったところで、皆藤F4が芝井NSRのインを狙う。

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1コーナーブレーキングでの勝負だ。

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これで見事にポジションを奪取、8位に浮上。

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さらに目前の#12柴田の背後に迫る。まさかAクラス常連の実力者の後ろに迫るとは千載一遇のチャンス。皆藤がさらに加速する。

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そしてバイクのみならず、自らにも異変が生じた#9渡辺。当然#24樽井、そして#31伊藤もこれを見逃すはずがない。

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渡辺の身に生じた異変、それは………

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ヘルメットシールドの激しい曇りだった。

「………だから梨本塾ではいつも曇り止めを用意しているんだけど、誰も気付いてくれない」

と塾長は嘆く。

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どうやらハンドルバーから手を離してシールドを開いている余裕はない渡辺。このままトップを守れるか。

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その隙を樽井、伊藤、古溝が狙っている。

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相棒と有終の美を飾れるか。

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この4台のトップグループから笈川、加野を挟んでの7位争いも激化。

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勢いを増す皆藤が柴田を攻め立てる。

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皆藤に抜かれた芝井もまだまだ余力を残している。

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その後方に追いついていくDB2の富永。

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やや単独走となった熱田。

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空は快晴だったが、周回ごとに雲行きが怪しくなっていく渡辺のヘルメットシールド。

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さらにシールドなど関係ない、といわんばかりの伊藤のライディングフォーム。清水雅広さえ驚愕するようなヘッドポジション、これで前方視界確保は出来ているのだろうか。

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曇ったシールドの隙間から、なんとかゴールを目指す渡辺。

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その後方ではほとんど直下型といえるアイポイントで3コーナーを立ち上がる#31伊藤。もしも前を走る樽井が転んだ場合、接触は必至のようにも見えるが、しかし逆に冷静な樽井はそれをミラー越しに確認しているようにも見える。あまりに対照的なカットだ。

なお梨本塾では、接触回避のためにバックミラーは透明テープを巻いた上での着用を推奨している。

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7位争いが熱い。

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やはり目前に大きな獲物が来るとアクセルを緩められなくなるのはライダー特有の性か。

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なんと皆藤が柴田のインを狙って………

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ブレーキング勝負。

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これには会場からもどよめきが上がった。しかし柴田も「それはない」とばかりに、しっかりとブロック。

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レースはいよいよ残り1周。ここでトップグループが最後尾に追いつく。微妙なタイミングだ。

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しかしブルーフラッグ提示によりスムースなバックマーカー処理が行われる。トップ4台が立て続けにクリーンパッシングしていく。

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トップ渡辺のシールドはさらに曇りを増していたが………

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なんとかトップのまま最終コーナーに突入。

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これをしっかりと立ち上がり………

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見事有終の美を飾って見せた。2位に樽井、3位に伊藤、そして4位には古溝。

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間に5位笈川、6位加野を挟んでの7位争いは………

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最後の加速勝負で皆藤が仕掛けるが………

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アニバーサリーカラーのイエローヤマハがこれを振り切って7位を死守。8位に皆藤、9位に芝井、10位に富永、そして11位には熱田。

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ゴール後、ようやくシールドを開くことが出来た渡辺。天候と同じく晴れ晴れとした笑顔で応えた。

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ベストタイムは27秒台であることから、決勝中のラップペース的にはとても満足のいくないようではなかった勝ちは勝ち。ましてや長年連れ添った愛機との最終戦、そこで勝利したのは何よりの餞別となるだろう。ちなみにゴールから数分が経過しシールドを全開にしているにも関わらず、未だ曇りは取れていない。若さが成す集中力がもぎ取った勝利。次回はぜひ曇り止めを塗布して出走してほしい。

このマシンでの勝利を忘れずに、次期モデルでの活躍にも期待したい。

つづく。

文中敬称略。ご了承下さい。



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