2013 板橋シティマラソン 梨塾マラソンズ 全員完走レポート【717.315kmの戦い】 ①

今年もこの季節がやってきた。梨塾マラソンズ春の大懺悔、板橋シティマラソン。
例年この季節は安定しない天候に泣かされるが、今回も前日までの天気予報は雨。
そこで梨塾マラソンズキャプテンの坂選手に雨のレース対策を色々とご教示してもらったが………

幸いなことに朝の天候は曇り。もしかするとこのまま持つのかもしれない。
但し荒川名物ともいえる北風はしっかりと吹いており、これもやはり例年通り「行きはよいよい、帰りは………」の展開となりそうだ。但し北西ではなく、北、もしくは北東という雰囲気の冷たい風である。

7時30分過ぎには会場入り。すでに多くの参加者が集っている。ちなみにバイクでの来場も可能。

2013梨塾マラソンズの面々も続々と集結。関係者だけで20名ほど。年々大所帯化している。

ここでまず行うのは、梨本塾と同じようにゼッケンの貼り付け。
但し板橋シティマラソンの場合には、安全ピン4つを用いてお腹、背中の二面に貼らなければならない。位置決めもあるため、これが予想以上に時間を要する。

毎年応援部隊、そして撮影隊として奔走してくれる美保子ちゃんも2013バージョンのユニフォームを着用。いつも心強い助っ人だ。

ゼッケンと同様にチップもシューズにくくり付ける。こちらは30秒もあれば済む作業だ。

8時20分前後の会場。

トイレに若干行列が出来ているものの、まだ人はまばらだ。
しかし、この数分後、とんでもないことになる。

こちらは遠征組。菅谷選手は山梨から、中尾選手は三重県四日市から。他に園部選手は鈴鹿市からの来場。さらに背後の二人は梨塾マラソンズではないが、以前は梨本塾に参加されていた選手だ。

梨本塾はもちろん、ここのところ梨塾マラソンズでの活躍も目覚しい八木選手は………

どうやらスタート前の儀式を行っている模様。手にしているのはまさかとは思うが………

そのまさかだった。

見守るメンバーがゴクリとつばを飲み込むその瞬間………

八木選手は生卵をゴクリ。これには悲鳴にも似たどよめきが上がったが、しかし後にこの「生卵戦法」は大正解であったことを、皆が思い知らされることになる。

8時30分、全員集合で記念撮影。ここにイカ、ブンゲン両選手がいないが、今年は全部で17名が42.195kmの旅路に出立する。

8時40分。先ほどまでまばらだった会場内だが、あっという間に行列の渦へ。これほどの行列は今までにない光景だが、何かトラブルでも起きているのだろうか。
梨塾マラソンズの板橋シティマラソンにおけるスタート前の段取りは以下の通りである。
1.7時30分を目処に集合(先に参加賞が欲しい人は受付)
2.着替え、ゼッケン貼り付け、チップはめ、雑談、冷やかし
3.集合写真、トイレ、ストレッチ
4.8時半前後に荷物預け
5.9時スタート
この「4」の荷物預けにとてつもなく時間がかかっている。荷物は貴重品も含めて透明の大きなビニール袋に入れ、その中にゼッケンと同じ番号の荷札を挿入、これを見える位置に整えて預ける。ゼッケン末尾番号ごとに仕切られた巨大テントの中が、一時預かり所となっている。しかし今回はこの進行が非常に遅かったのだ。
スタートまで20分しかない中でこれは絶望的に感じられるが、果たして梨塾マラソンズメンバーは無事に出走できるのだろうか。
なお受け付けに関しては、今回多くの梨塾マラソンズメンバーが「後回し」にした。すでにゼッケンやチップは事前配布されているため、受付では参加賞を受け取ることのみであり、この渋滞を考えるとそんな時間はなかったのだ。

「荷物どうする?」
「ここに置いてっちゃうか?」
様々な思惑が交錯するものの、貴重品もあるために野放しにするわけにはいかない………。

結局みんなこの大行列に並ぶことになった。スタートする前からすでに気が遠くなりそうな光景だ。

塾長、ブンゲン(萩原)、園部の三選手も潔く整列。時刻はすでに8時50分。あと10分しかない。定刻通りのスタートはほとんど絶望的に見えるが………。

8時58分、奇跡的にスタートラインへ。

なんとか号砲前にポジションにつくことができた。

梨塾マラソンズベースキャンプを見上げるものの、そこにはすでに誰もいない。みんな無事にラインについただろうか。ここでついに2013板橋シティマラソンの、スタート号砲が鳴り響く。拍手と共に、1万5000人の足元が振動を始めた。
スタート時の外気温はおよぞ9℃前後、北風2.3m/sという状況だ。

9時に号砲が打ち鳴らされても、すぐにスタートゲートを潜れるわけではない。何しろ1万5000人もの大行列、最後尾は20分以上かかってようやくゲートに到着することもある。その中で梨塾マラソンズメンバー一体どんなスタート切ったのだろうか。
まず真っ先にここを通過したのは、今回は陸連登録名であるホラインズンから出走した坂選手。8年前、2005年の荒川市民マラソンからはじめて昨年はギリシャスパルタスロンにまで到達した、梨塾マラソンズきってのランナーである。その坂選手が2分29秒でゲートを潜り抜けた。
次いで通過したのは、なんと先ほどまで荷物預けの列にいた塾長で、坂選手から遅れること僅かに14秒、2分43秒で出発。ロケットスタートは健在か。
さらにそのあとで八木選手が3分7秒、ケンツ川島選手が5分24秒、ブンゲン選手が5分47秒、そしてバッキー選手が5分56秒で通過。
園部選手が10分1秒、その後方で山内、坂垣内両選手が10分16、17秒で一緒に通過、そして星野選手が11分42秒、中尾選手が13分44秒、梨本亮、西村、皆藤の3選手が15分29秒、31秒、35秒とトリオでスタート、さらに加野選手が15分47秒、菅谷選手が15分57秒、イカ選手が17分54秒と最後尾から通過。これでようやく全員がスタートラインを超えたことになる。
トップの坂選手からイカ選手まで、スタート時点ですでに15分近い差が生じていた。

スタートゲート通過時の順位一覧 ※敬称略
坂<塾長<八木<川島<ブンゲン<バッキー<園部<山内<坂垣内<星野<中尾<梨本亮<西村<皆藤<加野<菅谷<イカ

ようやくスタートを切った板橋シティマラソンだが、これまでと違ったことがいくつかある。
そのひとつは「未舗装路」が途中経路にいくつも点在したことだ。

走り出してすぐ、これに差し掛かる。まるでディスカバリーチャンネルのデザートマラソンのような光景だ。

花粉症も多い梨塾マラソンズだが「さすがにマスクをはめてのマラソンはキツすぎる」と誰も手にせず出てきたのだが………

これを見ただけでクシャミをした人もいたようだ。ここで
「してきてよかったゼ」
と一人ほくそ笑んだのは塾長。しっかりとマスクをはめて花粉はもちろん砂塵対策もバッチリ。さらに北風を読んでコース左側にラインを取ることも忘れなかった。

そしてもうひとつ違ったこと………

それは沿道の桜が開花していたことである。東京は例年よりもかなり早く満開となり………

荒川市民マラソン時代から考えてもここまで咲いていたのは初めてというほど、ピンクの色彩に恵まれた。

そんな桜並木の中を、荒川名物の岩淵水門へ。

ここでは毎年走行路の狭さから渋滞するのだが………今回は工事も行われておらず、比較的スムースに通過した。そして5km通過ポイントでもある。このあとの坂を下れば新東京トミンゴルフ場が見えてくる。
5km通過順位(内は通過タイム。スプリットではない)。
坂(28:16)、八木(31:57)、塾長(34:41)、川島(37:32)、バッキー(38:28)、坂垣内(42:23)、ブンゲン(42:59)、園部(45:14)、山内(45:41)、星野(46:24)、菅谷(47:56)、西村(48:33)、皆藤(48:50)、中尾(49:55)、イカ(52:03)、加野(52:28)、梨本亮(59:54)、
※ 参考 1スティント前、スタートゲート時の順位
坂<塾長<八木<川島<ブンゲン<バッキー<園部<山内<坂垣内<星野<中尾<梨本亮<西村<皆藤<加野<菅谷<イカ
5km通過時の順位
坂<八木<塾長<川島<バッキー<坂垣内<ブンゲン<園部<山内<星野<菅谷<西村<皆藤<中尾<イカ<加野<梨本亮
※ 黒字は順位変動ナシ、青字は上昇、赤字は下降。
まず早速トイレに入った塾長を交わして八木選手が2番手に浮上、川島選手はポジションキープ、ブンゲンは5位から7位へダウン、バッキー、坂垣内選手がアップ、園部、山内、星野はキープ、菅谷選手が猛追で16位から11位へ。中尾選手はダウン、イカ選手は2ポジションアップ、加野選手は1ポジションダウン、亮選手はそのまま。
たった5kmでもすでに大きく順位変動、或いはペースの違いが見られるが………まだまだ先は長い。

首都高速中央環状線、江北ジャンクション付近。ここでも桜が応援してくれている。

誰もがお世話になっているであろう「タニタ社」の金芽米エイド付近。帰りに「おにぎり」を提供してくれるポイントだが、しかしこの手前の梨塾マラソンズ特設エイドではさらに………。

往路の千住新橋付近を越え、筑波エクスプレスや常磐線、東武伊勢崎線(スカイツリーライン)の高架を前にして、またしてもの砂利道。砂煙がランナーを襲う。
たださえ乾燥するこの季節、ここで喉の粘膜をやられると当然その影響は肺にまで達してしまう。毎年マラソン前後に風邪を引くランナーが多いのも、軽度の肺炎からくるものが多いためらしい。未舗装工事区間がある場合には、花粉症ではなくともマスクで粘膜を守ることが大事なのかもしれない。
10km通過順位(内は通過タイム。スプリットではない)。
坂(51:14)、八木(1:00:03)、塾長 (1:03:32)、川島(1;08:54)、バッキー(1:12:35)、坂垣内(1:15:28)、園部(1:16:56)、菅谷(1:18:42)、加野 (1:19:56)、皆藤(1:20:09)、山内 (1:20:47)、星野(1:20:47)、西村(1:21:35)、イカ(1:23:52)、ブンゲン(1:24:51)、中尾(1:25:19)、梨本亮(1:39:50)、
※ 参考 1スティント前、5km通過時の順位
坂<八木<塾長<川島<バッキー<坂垣内<ブンゲン<園部<山内<星野<菅谷<西村<皆藤<中尾<イカ<加野<梨本亮
10km通過時の順位
坂<八木<塾長<川島<バッキー<坂垣内<園部<菅谷<加野<皆藤<山内<星野<西村<イカ<ブンゲン<中尾<梨本亮
※ 黒字は順位変動ナシ、青字は上昇、赤字は下降。

これを超えるとスカイツリーラインの堀切駅付近へ。距離的にはちょうど15km前後に差し掛かった辺りでのアップヒルだ。

ここも毎年渋滞ポイントだったが………

今年は難なく通過。折り返しまでいよいよ5kmほどとなった。

10時半過ぎ、ここで早くも塾長と先頭ランナーがすれ違う。

「速すぎて写真にも撮れない。彼らは同じ競技に出ているとは思えないスーパースターだ(塾長)」
すでにトップランナーは、ほぼ2倍の距離(30km)を走破している。

同じ頃、千住新橋には後続メンバーが続々と登場。今回から梨塾マラソンズ私設エイドを設置。まずはバッキーが高らかに手を挙げ声援に応える。

さすが大阪の血を組む男だけに、ギャグはお手の物、山内選手。足取りも軽い。

私設エイド、キッズ応援部隊も到着。

その声を受けながら、フル初挑戦となる皆藤選手も元気に通過。

さらに山梨から参加の菅谷選手も。

その元気はホンモノか!? 星野選手。

そしてデジカメ片手のイカ選手。まだまだ余裕がありそうだが………。

キッズも梨塾マラソンズを懸命に応援。
「がんばれ~!」
全員の往路、その後姿を見送った。

その後西村選手や、

中尾選手も無事に通過した。10時45分過ぎのことだ。

この頃坂選手、八木選手、そして塾長らは早くも折り返しを迎えている。

塾長がハーフポイントに差し掛かったのは11時6分過ぎだ。

すでに坂選手ははるか前でハイタッチ済み、残念ながら八木選手とは会えなかったという。

塾長もここまでキロ6分以内の快調なペース。しかし問題はこの後である。例年25kmを過ぎてからのペース降下が著しい。今年は果たして………。

時を同じくして8kmほど後方、13kmほどのポストとなる千住新橋の梨塾マラソンズ私設エイド付近。
ここで応援団が千切れんばかりに手を振るのは………

梨本亮選手。今年4月には73歳となる元祖梨本塾メンバーだが、フルマラソン挑戦は今回が初となる。普段からジョギングするようなタイプではなかったためまだまだこの先不安だが、果たしてどこまでいけるだろうか。
今のところ梨本亮選手には、月刊モーターサイクリスト(今年度4月号、及び5月号、さらに6月号も予定)内の実験太郎、なしもと少年作文ページに出てくる「オニ監督」の形相はない。
この時点での順位、及び走行距離と時間経過。
15km通過順位(内は通過タイム。スプリットではない)。
坂(1:15:02)、八木(1:27:24)、塾長 (1:32:27)、川島(1:40:46)、坂垣内(1:45:29)、園部(1:48:48)、加野 (1:48:33)、バッキー(1:50:18)、山内 (1:51:47)、菅谷(1:53:22)、皆藤(1:53:46)、イカ(1:54:57)、星野(1:55:52)、西村(1:57:53)、中尾(2:01:22)、ブンゲン(2:02:27)、梨本亮(2:20:51)、
※ 参考 1スティント前、10km通過時の順位
坂<八木<塾長<川島<バッキー<坂垣内<園部<菅谷<加野<皆藤<山内<星野<西村<イカ<ブンゲン<中尾<梨本亮
15km通過時の順位
坂<八木<塾長<川島<坂垣内<園部<加野<バッキー<山内<菅谷<皆藤<イカ<星野<西村<中尾<ブンゲン<梨本亮
※ 黒字は順位変動ナシ、青字は上昇、赤字は下降。
トップ4は安定しているものの、坂垣内、園部、加野の3選手、さらに山内、イカの2選手のハードアタックが始まったようだ。それでもまだこの先の戦いは長いのだった………。
つづく。
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今年もこの季節がやってきた。梨塾マラソンズ春の大懺悔、板橋シティマラソン。
例年この季節は安定しない天候に泣かされるが、今回も前日までの天気予報は雨。
そこで梨塾マラソンズキャプテンの坂選手に雨のレース対策を色々とご教示してもらったが………

幸いなことに朝の天候は曇り。もしかするとこのまま持つのかもしれない。
但し荒川名物ともいえる北風はしっかりと吹いており、これもやはり例年通り「行きはよいよい、帰りは………」の展開となりそうだ。但し北西ではなく、北、もしくは北東という雰囲気の冷たい風である。

7時30分過ぎには会場入り。すでに多くの参加者が集っている。ちなみにバイクでの来場も可能。

2013梨塾マラソンズの面々も続々と集結。関係者だけで20名ほど。年々大所帯化している。

ここでまず行うのは、梨本塾と同じようにゼッケンの貼り付け。
但し板橋シティマラソンの場合には、安全ピン4つを用いてお腹、背中の二面に貼らなければならない。位置決めもあるため、これが予想以上に時間を要する。

毎年応援部隊、そして撮影隊として奔走してくれる美保子ちゃんも2013バージョンのユニフォームを着用。いつも心強い助っ人だ。

ゼッケンと同様にチップもシューズにくくり付ける。こちらは30秒もあれば済む作業だ。

8時20分前後の会場。

トイレに若干行列が出来ているものの、まだ人はまばらだ。
しかし、この数分後、とんでもないことになる。

こちらは遠征組。菅谷選手は山梨から、中尾選手は三重県四日市から。他に園部選手は鈴鹿市からの来場。さらに背後の二人は梨塾マラソンズではないが、以前は梨本塾に参加されていた選手だ。

梨本塾はもちろん、ここのところ梨塾マラソンズでの活躍も目覚しい八木選手は………

どうやらスタート前の儀式を行っている模様。手にしているのはまさかとは思うが………

そのまさかだった。

見守るメンバーがゴクリとつばを飲み込むその瞬間………

八木選手は生卵をゴクリ。これには悲鳴にも似たどよめきが上がったが、しかし後にこの「生卵戦法」は大正解であったことを、皆が思い知らされることになる。

8時30分、全員集合で記念撮影。ここにイカ、ブンゲン両選手がいないが、今年は全部で17名が42.195kmの旅路に出立する。

8時40分。先ほどまでまばらだった会場内だが、あっという間に行列の渦へ。これほどの行列は今までにない光景だが、何かトラブルでも起きているのだろうか。
梨塾マラソンズの板橋シティマラソンにおけるスタート前の段取りは以下の通りである。
1.7時30分を目処に集合(先に参加賞が欲しい人は受付)
2.着替え、ゼッケン貼り付け、チップはめ、雑談、冷やかし
3.集合写真、トイレ、ストレッチ
4.8時半前後に荷物預け
5.9時スタート
この「4」の荷物預けにとてつもなく時間がかかっている。荷物は貴重品も含めて透明の大きなビニール袋に入れ、その中にゼッケンと同じ番号の荷札を挿入、これを見える位置に整えて預ける。ゼッケン末尾番号ごとに仕切られた巨大テントの中が、一時預かり所となっている。しかし今回はこの進行が非常に遅かったのだ。
スタートまで20分しかない中でこれは絶望的に感じられるが、果たして梨塾マラソンズメンバーは無事に出走できるのだろうか。
なお受け付けに関しては、今回多くの梨塾マラソンズメンバーが「後回し」にした。すでにゼッケンやチップは事前配布されているため、受付では参加賞を受け取ることのみであり、この渋滞を考えるとそんな時間はなかったのだ。

「荷物どうする?」
「ここに置いてっちゃうか?」
様々な思惑が交錯するものの、貴重品もあるために野放しにするわけにはいかない………。

結局みんなこの大行列に並ぶことになった。スタートする前からすでに気が遠くなりそうな光景だ。

塾長、ブンゲン(萩原)、園部の三選手も潔く整列。時刻はすでに8時50分。あと10分しかない。定刻通りのスタートはほとんど絶望的に見えるが………。

8時58分、奇跡的にスタートラインへ。

なんとか号砲前にポジションにつくことができた。

梨塾マラソンズベースキャンプを見上げるものの、そこにはすでに誰もいない。みんな無事にラインについただろうか。ここでついに2013板橋シティマラソンの、スタート号砲が鳴り響く。拍手と共に、1万5000人の足元が振動を始めた。
スタート時の外気温はおよぞ9℃前後、北風2.3m/sという状況だ。

9時に号砲が打ち鳴らされても、すぐにスタートゲートを潜れるわけではない。何しろ1万5000人もの大行列、最後尾は20分以上かかってようやくゲートに到着することもある。その中で梨塾マラソンズメンバー一体どんなスタート切ったのだろうか。
まず真っ先にここを通過したのは、今回は陸連登録名であるホラインズンから出走した坂選手。8年前、2005年の荒川市民マラソンからはじめて昨年はギリシャスパルタスロンにまで到達した、梨塾マラソンズきってのランナーである。その坂選手が2分29秒でゲートを潜り抜けた。
次いで通過したのは、なんと先ほどまで荷物預けの列にいた塾長で、坂選手から遅れること僅かに14秒、2分43秒で出発。ロケットスタートは健在か。
さらにそのあとで八木選手が3分7秒、ケンツ川島選手が5分24秒、ブンゲン選手が5分47秒、そしてバッキー選手が5分56秒で通過。
園部選手が10分1秒、その後方で山内、坂垣内両選手が10分16、17秒で一緒に通過、そして星野選手が11分42秒、中尾選手が13分44秒、梨本亮、西村、皆藤の3選手が15分29秒、31秒、35秒とトリオでスタート、さらに加野選手が15分47秒、菅谷選手が15分57秒、イカ選手が17分54秒と最後尾から通過。これでようやく全員がスタートラインを超えたことになる。
トップの坂選手からイカ選手まで、スタート時点ですでに15分近い差が生じていた。

スタートゲート通過時の順位一覧 ※敬称略
坂<塾長<八木<川島<ブンゲン<バッキー<園部<山内<坂垣内<星野<中尾<梨本亮<西村<皆藤<加野<菅谷<イカ

ようやくスタートを切った板橋シティマラソンだが、これまでと違ったことがいくつかある。
そのひとつは「未舗装路」が途中経路にいくつも点在したことだ。

走り出してすぐ、これに差し掛かる。まるでディスカバリーチャンネルのデザートマラソンのような光景だ。

花粉症も多い梨塾マラソンズだが「さすがにマスクをはめてのマラソンはキツすぎる」と誰も手にせず出てきたのだが………

これを見ただけでクシャミをした人もいたようだ。ここで
「してきてよかったゼ」
と一人ほくそ笑んだのは塾長。しっかりとマスクをはめて花粉はもちろん砂塵対策もバッチリ。さらに北風を読んでコース左側にラインを取ることも忘れなかった。

そしてもうひとつ違ったこと………

それは沿道の桜が開花していたことである。東京は例年よりもかなり早く満開となり………

荒川市民マラソン時代から考えてもここまで咲いていたのは初めてというほど、ピンクの色彩に恵まれた。

そんな桜並木の中を、荒川名物の岩淵水門へ。

ここでは毎年走行路の狭さから渋滞するのだが………今回は工事も行われておらず、比較的スムースに通過した。そして5km通過ポイントでもある。このあとの坂を下れば新東京トミンゴルフ場が見えてくる。
5km通過順位(内は通過タイム。スプリットではない)。
坂(28:16)、八木(31:57)、塾長(34:41)、川島(37:32)、バッキー(38:28)、坂垣内(42:23)、ブンゲン(42:59)、園部(45:14)、山内(45:41)、星野(46:24)、菅谷(47:56)、西村(48:33)、皆藤(48:50)、中尾(49:55)、イカ(52:03)、加野(52:28)、梨本亮(59:54)、
※ 参考 1スティント前、スタートゲート時の順位
坂<塾長<八木<川島<ブンゲン<バッキー<園部<山内<坂垣内<星野<中尾<梨本亮<西村<皆藤<加野<菅谷<イカ
5km通過時の順位
坂<八木<塾長<川島<バッキー<坂垣内<ブンゲン<園部<山内<星野<菅谷<西村<皆藤<中尾<イカ<加野<梨本亮
※ 黒字は順位変動ナシ、青字は上昇、赤字は下降。
まず早速トイレに入った塾長を交わして八木選手が2番手に浮上、川島選手はポジションキープ、ブンゲンは5位から7位へダウン、バッキー、坂垣内選手がアップ、園部、山内、星野はキープ、菅谷選手が猛追で16位から11位へ。中尾選手はダウン、イカ選手は2ポジションアップ、加野選手は1ポジションダウン、亮選手はそのまま。
たった5kmでもすでに大きく順位変動、或いはペースの違いが見られるが………まだまだ先は長い。

首都高速中央環状線、江北ジャンクション付近。ここでも桜が応援してくれている。

誰もがお世話になっているであろう「タニタ社」の金芽米エイド付近。帰りに「おにぎり」を提供してくれるポイントだが、しかしこの手前の梨塾マラソンズ特設エイドではさらに………。

往路の千住新橋付近を越え、筑波エクスプレスや常磐線、東武伊勢崎線(スカイツリーライン)の高架を前にして、またしてもの砂利道。砂煙がランナーを襲う。
たださえ乾燥するこの季節、ここで喉の粘膜をやられると当然その影響は肺にまで達してしまう。毎年マラソン前後に風邪を引くランナーが多いのも、軽度の肺炎からくるものが多いためらしい。未舗装工事区間がある場合には、花粉症ではなくともマスクで粘膜を守ることが大事なのかもしれない。
10km通過順位(内は通過タイム。スプリットではない)。
坂(51:14)、八木(1:00:03)、塾長 (1:03:32)、川島(1;08:54)、バッキー(1:12:35)、坂垣内(1:15:28)、園部(1:16:56)、菅谷(1:18:42)、加野 (1:19:56)、皆藤(1:20:09)、山内 (1:20:47)、星野(1:20:47)、西村(1:21:35)、イカ(1:23:52)、ブンゲン(1:24:51)、中尾(1:25:19)、梨本亮(1:39:50)、
※ 参考 1スティント前、5km通過時の順位
坂<八木<塾長<川島<バッキー<坂垣内<ブンゲン<園部<山内<星野<菅谷<西村<皆藤<中尾<イカ<加野<梨本亮
10km通過時の順位
坂<八木<塾長<川島<バッキー<坂垣内<園部<菅谷<加野<皆藤<山内<星野<西村<イカ<ブンゲン<中尾<梨本亮
※ 黒字は順位変動ナシ、青字は上昇、赤字は下降。

これを超えるとスカイツリーラインの堀切駅付近へ。距離的にはちょうど15km前後に差し掛かった辺りでのアップヒルだ。

ここも毎年渋滞ポイントだったが………

今年は難なく通過。折り返しまでいよいよ5kmほどとなった。

10時半過ぎ、ここで早くも塾長と先頭ランナーがすれ違う。

「速すぎて写真にも撮れない。彼らは同じ競技に出ているとは思えないスーパースターだ(塾長)」
すでにトップランナーは、ほぼ2倍の距離(30km)を走破している。

同じ頃、千住新橋には後続メンバーが続々と登場。今回から梨塾マラソンズ私設エイドを設置。まずはバッキーが高らかに手を挙げ声援に応える。

さすが大阪の血を組む男だけに、ギャグはお手の物、山内選手。足取りも軽い。

私設エイド、キッズ応援部隊も到着。

その声を受けながら、フル初挑戦となる皆藤選手も元気に通過。

さらに山梨から参加の菅谷選手も。

その元気はホンモノか!? 星野選手。

そしてデジカメ片手のイカ選手。まだまだ余裕がありそうだが………。

キッズも梨塾マラソンズを懸命に応援。
「がんばれ~!」
全員の往路、その後姿を見送った。

その後西村選手や、

中尾選手も無事に通過した。10時45分過ぎのことだ。

この頃坂選手、八木選手、そして塾長らは早くも折り返しを迎えている。

塾長がハーフポイントに差し掛かったのは11時6分過ぎだ。

すでに坂選手ははるか前でハイタッチ済み、残念ながら八木選手とは会えなかったという。

塾長もここまでキロ6分以内の快調なペース。しかし問題はこの後である。例年25kmを過ぎてからのペース降下が著しい。今年は果たして………。

時を同じくして8kmほど後方、13kmほどのポストとなる千住新橋の梨塾マラソンズ私設エイド付近。
ここで応援団が千切れんばかりに手を振るのは………

梨本亮選手。今年4月には73歳となる元祖梨本塾メンバーだが、フルマラソン挑戦は今回が初となる。普段からジョギングするようなタイプではなかったためまだまだこの先不安だが、果たしてどこまでいけるだろうか。
今のところ梨本亮選手には、月刊モーターサイクリスト(今年度4月号、及び5月号、さらに6月号も予定)内の実験太郎、なしもと少年作文ページに出てくる「オニ監督」の形相はない。
この時点での順位、及び走行距離と時間経過。
15km通過順位(内は通過タイム。スプリットではない)。
坂(1:15:02)、八木(1:27:24)、塾長 (1:32:27)、川島(1:40:46)、坂垣内(1:45:29)、園部(1:48:48)、加野 (1:48:33)、バッキー(1:50:18)、山内 (1:51:47)、菅谷(1:53:22)、皆藤(1:53:46)、イカ(1:54:57)、星野(1:55:52)、西村(1:57:53)、中尾(2:01:22)、ブンゲン(2:02:27)、梨本亮(2:20:51)、
※ 参考 1スティント前、10km通過時の順位
坂<八木<塾長<川島<バッキー<坂垣内<園部<菅谷<加野<皆藤<山内<星野<西村<イカ<ブンゲン<中尾<梨本亮
15km通過時の順位
坂<八木<塾長<川島<坂垣内<園部<加野<バッキー<山内<菅谷<皆藤<イカ<星野<西村<中尾<ブンゲン<梨本亮
※ 黒字は順位変動ナシ、青字は上昇、赤字は下降。
トップ4は安定しているものの、坂垣内、園部、加野の3選手、さらに山内、イカの2選手のハードアタックが始まったようだ。それでもまだこの先の戦いは長いのだった………。
つづく。
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