2013年度 第9回 梨本塾 トミン レポ③ K-RUN-GP Aクラス
定刻通り14時からK-RUN-GP、Aクラスの決勝が始まる。
まずはフリー走行から始まるのだが………実は毎回ライダーコースインの際には、このようにして塾長がサムアップサインを送っている。
Aクラスのライダーはほぼ間違いなく100%が認識するが、Bクラスでは80%程度、Cクラスになると70%程度、そしてDクラスになると50%以下というときもあるらしい。
塾長によれば
「速い人は、その速さの最大の担保として、いかなるときにも視界が広い」
とのこと。………さてあなたの視野は。
フルグリッド11台となったAクラス。二列目まではCBR600RRが独占、さらに上位5名が26秒9以下という凄まじいレベルとなった。三列目以降、11位までが27秒台である
3,2,3,2,1と整列し、いよいよスタート目前。
排気音が高まる中………
勢いよく日章旗が振り下ろされて、各車一斉にスタート。
一列目の三台が飛び出すが………
#2人見、#1篠塚それぞれが前に出る。#4榎本が若干遅れたか。
インにいる篠塚が優位に見えるが………
人見はアウトから豪快に被せていった。
しかし勢い余ってラインブレイク。
その内側に入り込みたい篠塚だったが………
アウトサイドで人見も加速。
恐らくこの二人にとってはレース中でもっとも大事なファーストバトルだったが、これを制したのは人見だ。
互いに一歩も譲らず、帝王コーナーを立ち上がる。
3コーナーでのディープアングルが特徴的な人見がレースをリード。2番手に篠塚、3番手に#3山中、4番手には好スタートを決めた#5坂垣内。
5番手に榎本、6番手に生駒デイトナ675、7番手に渡邉GSXR1000、8番手に皆藤CBR600F4、9番手に富永DB2、10番手に斉藤NSR250R、11番手佐々木FZ750改という構成。
集団は一周目からすでに長い隊列となり………
まずは#2人見CBR600RRが後続を1秒近く引き離してホームストレートに戻ってくる。
3番手以降は数珠つなぎだ。
2周目にはトップ2が抜きん出た格好。
梨本塾の双頭竜ともいうべき人見、篠塚をなんとか追いかけたい5台による3位集団。
しかしトップの人見は2周目に早くも26秒前半をマーク。
これまで8連勝を達成している篠塚がこれを懸命に追う。
3番手の山中以降は、2周目のタイムが27秒台。
非常に深いリーンアングルでタイヤにきっちり仕事をさせている人見の走り。
篠塚も必死の走りで追いかけているものの、なかなか差はつまらない。
3番手以降は徐々にペースを上げてきた。3周目以降は26秒台に突入し、中盤付近でラップを始める。しかしそれでもトップ2には追いつかない。
山中を筆頭にした3台のCBR600RRが6秒台中盤で周回を始めたことで、若干遅れ始めた生駒デイトナ675、渡邉GSXR1000による6位争い。
そしてこちらはAクラスでは最年長となる皆藤CBR600F4を筆頭にした8位争い。
CBR600F4、DB2、FZ750改、そしてNSR250Rと多様な顔ぶれ。
周回を増すごとに迫力を増す人見CBR600RR。
篠塚も26秒台前半での走行。
山中も26秒4ほどにまでタイムを引き上げる。
途中まで#5坂垣内、#4榎本も大差ないペースで周回していたが………
やがて山中が後続2名を引き離し始めた。
予選と順位が入れ替わってしまった榎本は、なんとかして前に出ようと坂垣内に対して猛プッシュを開始。
そしてレースは早くも折り返しへ。
4台による8位争いの後方には………
なんとトップの人見が追いついてしまった。僅か10周ほどでのバックマーカーということになる。つまりこのAクラスでさえ、一周につき2秒以上のアベレージ差があるということだ。
1コーナーではまず11位の斉藤NSR250Rをパッシング。
この時点でブルーフラッグは出ていないが、非常にクリーンな抜き方だった。
さらに10位の佐々木FZ750改のインを奪う。
やや微妙なタイミングだったものの、佐々木もトップに気付いて進路を譲ったため問題はなし。
1周で2台をパスしたものの、それまで25秒台にも届こうかと言うペースで周回していた人見からすれば、かなりのペースダウンを強いられた気がしただろう。
実際すぐ背後には2番手の篠塚CBR600RRが近づいてきた。
その気配を察してか………
立て続けにバックマーカーを処理していく。
着実にpッシングポイイントを決めて、きれいに前に出る人見。
そして8位争いの先頭を走る皆藤CBR600F4も………
セオリー通りのやり方でパッシング。
これでしばらく前が開けそうだ。
その後方では、今度は篠塚がバックマーカー集団に突入する。
ここまではトップとの差が詰まったが、しかし自分がバックマーカー処理に時間をかけてしまっては意味がない。
そこで3コーナーではやや強引にアウトから佐々木FZ750改にしかける。
ここでもトップ争いに気付いた佐々木が篠塚に進路を譲り、大きな問題とはならず。
だが、この時点ですでに3秒近い差が開いてしまった。
さらにこの8位グループと2位の篠塚という5台の集団に………
3位の山中が追いついてグループは一気に6台に膨れ上がる。
山中もなんとかして効率よく前に出たいところ。
2番手の#1篠塚との間には1台しかいない。最大のチャンスだ。
そしてトップの人見は7番手を走る渡邉の背後へ。
篠塚は9番手の富永をパッシング。
山中との間に2台を割り込ませた。
予選10番手から3つほどポジションを上げた#9渡邉だったが………
さすがにトップの人見に対しては成す術もなく………
3コーナーでインをつかれた。
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残りは僅かに4周だ。
その後方、8位争い集団と2位争いをあわせた5台の集団。
ここまで一度もブルーフラッグは降られていないが………
篠塚もスムースに前に出る。
しかし3番手の山中は行く手を阻まれ結局間には3台が入ってしまった。
これでは思うようにペースアップできない。
後方に11番手の斉藤を挟んで、4位集団の坂垣内と榎本が追いついてくる。
一切手綱を緩めない人見CBR600RR。
前回から数ヶ月間の間に、さらに走りは洗練されたようだ。当たり前のように25秒台を連発する。
篠塚も粘走するが………。
7台に膨れ上がった8位争いと3位争いの集団。
山中が佐々木に引っかかっている間に………
後方から坂垣内と榎本が猛追を開始。
トップは残り2周。
#22皆藤が引っ張るこの8位争いは、レース終盤28秒を大きく超えてののラップアベレージとなっていたが………
台数が多いためか、それまで26秒台中盤で周回していた山中でさえなかなか前に出られない。
しかしそろそろパッシングしないと………
#5の坂垣内、そして#4榎本がいよいよ背後に迫りそうだ。
残りは2周。
榎本もポジションを挽回すべく坂垣内のインを窺う。
再び開いたスペースを確保したトップの人見は………
元のペースに戻ってファイナルラップへ。
2番手の篠塚は7番手の渡邉に追いつき………
ホームストレートで加速勝負。
そして1コーナーで前へ。
佳境に入った8位、及び3位争いでは………
それまで9位を走行していた#10富永DB2が皆藤の前に出て8位へポジションアップ。
そして9位の#22皆藤の後方には………
5台のマシンが連なっている。
まずその中で10番手の佐々木FZ750改が皆藤のインを狙ったものの………
前には出れず。
しかしその大外から………
山中が渾身のラストアタック。ようやく佐々木の前に出た。
しかしその後方で坂垣内も負けじと佐々木をパッシング、山中のすぐ背後へ。
その頃トップの人見CBR600RRは、6位の生駒デイトナ675のすぐ後ろにまで迫ったものの………
ここですでにクールダウン。余裕を持ってトップチェッカーを受けた。
続いて篠塚CBR600RRがゴール。後方渡邉は周回違いの7位。
最後まで続いた9位、及び3位争いは………。
最終コーナーにまでもつれこんだ。
まずはやや集団を引き離した富永DB2が単独8位でゴール。
この後方で都合6台のマシンが………
フル加速。
真っ先にゴールラインを割ったのは………
トップと周回違いで9位となった皆藤CBR600F4。続いて同一周回の3位に山中、4位に坂垣内。
10位に佐々木、5位の榎本CBR600RR。
集団の最後に斉藤NSR250Rが帰還。
そしてなんとか同一周回を守った生駒がファイナルチェッカー。
単独6位となった。
久しぶりの出走ながらも圧巻のレースを見せ付けた人見CBR600RR。
昨年12月以来となる勝利を、ぶっちぎりで飾ってみせた。
すでに10月梨本塾にもエントリー済み。30LAPの長丁場だが、そこでまた全日本さながらともいうべき緊張感のある双頭龍の戦いが見られるだろう。願わくば、ぜひともそこに若手が絡んできてほしいものだ。
おめでとう!
つづく。
文中敬称略。ご了承下さい。
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