2017年度 第9回 梨本塾 トミンモーターランド レポ3 K-RUN-GP Aクラス
9月梨本塾、ひとつめのレースはK-RUN-GPの花形、Aクラス。
全9台がグリッドに整列。フロントローにはCBR600RR(RB)、690DUKE R、そして899パニガーレが並ぶ。ポールポジションタイムはシーズンベストとなる25秒891、更にクラスボーダータイムは26秒828。
ここに残ったライダーたちは、スポーツ走行等で自由に走った中でのベストタイムが26秒828以下なのではなく、僅か10周のタイムアタックの中でライバルと一緒に走りながらタイムをマークし、決勝へと駒を進めたものである。
つまり実力的には26秒5前後でなければ、今回のAクラスには残れていない。
勢いよく日章旗が振り下ろされて、決勝がスタート。
フロントタイヤをリフトアップさせた予選3番手の#3柴899パニガーレが………
Vツインのトルクを行かして………
今回もホールショットを奪取。これに続くのは二週間ほど前に筑波TTを制している若松690DUKE R。ツインとシングルがその特性を生かして前に出る格好。ポールポジションの篠塚CBR600RRは3番手と出遅れる。
4番手には宮原ZX6R、5番手には全日本ライダー佐藤VFR、6番手に安野1199パニガーレS、7番手に勝野S1000RR、8番手に駒澤R1M、9番手に渡辺GSXR1000と続く。
S字から帝王コーナーにかけて佐藤VFRが前へ。これで4番手に浮上。
柴899パニガーレがトップを守ったまま………
一周目をクリア。
強豪を抑え込んで二周目へ。
やや間を空けて佐藤VFR、宮原ZX6R、安野1199パニガーレS、そして勝野S1000RR。
トップに立った柴は………
すぐに26秒4ほどまでにラップタイムを引き上げるものの………
後ろに従える二人は………
タイムアタックで25秒台を出してきているだけに………
気が気ではないはず。
すでに若松からは………
コーナー毎に………
激しいプレッシャーを受けている。
レース中盤に差し掛かると、柴のタイムは26秒6~7アベレージへ。
そしてその後方、佐藤を挟んでの5位争い。なんとかミドルSSを駆る宮原の前に出たいリッターSS、安野と勝野だが………。
3コーナーでインを覗う若松690DUKE R。
どうやら柴はラインキープが難しくなって来た様子。
この二人の戦いを静観するように3番手を走る篠塚CBR600RR。
2番手を走る若松は………
再三再四に渡って………
揺さぶりをかけて行く。
しかしその気配をモロに感じているであろう柴も………
負けずに力走。
レースは間もなく折り返しだが………
順位は動かぬままだ。
後方では、#6渡辺が駒澤の前に出て………
8番手へと浮上。
先行する3台の5位争いを視野に捉える。
周回増すごとに距離が詰まっていくトップ争い。
ここまでなんとか#3柴が持ち堪えていたが………
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それまで間合いを計っていた若松が、一瞬の隙を突いて………
帝王コーナー進入で、柴の前へ。ここでラインが膨らむが………
柴は抜き返せず。更に………
直後の3コーナーでは篠塚が柴のインを奪って………
2番手へと浮上した。
ここまで踏ん張ってきた柴だが、わずか2つのコーナーで、2ポジションダウン。
そして予選で25秒9と出した若松と、25秒8をマークした篠塚の………
一騎打ちが始める。
トップに立った若松だがすでにタイヤがタレてきたのか、コーナーエントリーではやや膨らむことが目立った。
このスペースをなんとかこじ開けたい#1篠塚。
しかし最終コーナーからゴールラインまでの加速では………
690DUKE Rが速い。
シングルならではのトルク特性をいかんなく発揮。当然ながらインフィールドでも実践的だ。
CBR600RRが勝るのは、ゴールラインから1コーナーまでの僅かな区間のみ。つまりストレート全体では互いの長所短所が相殺される格好。
トップに立った若松が再度26秒2までタイムを引き上げる中、3番手の柴は徐々に遅れていく。
単独4位は佐藤VFR。
先程までの柴対若松と………
構図を入れ替える格好で………
今度は篠塚が若松に………
激しくプレッシャーをかけて行く。
レース終盤、若松はラインブレイクが目立ち………
篠塚がそのインを狙う。
帝王コーナーから3コーナーにかけても………
二度に渡って鼻先を覗かせた。
ここでインを割ったかに見えたが………
僅かに………
若松が前。互いに一歩も譲らぬハイエンドバトル。
そして迎えた最終コーナー。
ここでまたしても若松がラインブレイク。
ベストラインを維持できず膨らんだその隙間に………
篠塚が入っていく。
しかし前には出ていないため………
K-RUN-GPルールである「3コーナークリップから最終コーナークリップまでの間の追い越し禁止」には抵触していない。
ラインブレイクした若松はここでうまく加速体勢が取れず………
逆にベストラインで立ち上がった篠塚は………
勢いよく………
若松の前に出た。
そのまま………
ファイナルラップへと入っていく。
一気に若松を突き放して………
この最終ラップに………
このレースのベストタイムとなる………
25秒9をマーク。
そのまま後続を突き放して………
トップチェッカーへ。
悔しい2位には………
若松。
善戦したものの及ばずの3位に柴。
4位には佐藤、5位に宮原、6位に安野。
7位に勝野、すぐその背後まで追い上げた渡辺は8位、9位に駒澤。
これほどハイペースでのトップ争いが演じられながら、一台もラップダウンされるライダーがいなかったということも、今回のAクラスのハイレベルぶりを表している。
かつて「600ccが圧倒的に有利」と言われたトミンモーターランドだが、ここへ来てリッターSSの台頭、更にシングルやツインエンジンの速さも目立ってきており、もはやCBR600RRのアドバンテージはほとんどないと言っていいだろう。
その中で、2011年4月以来実に6年5ヶ月ぶりに予選タイムを25秒台にたたき込み、更に自己ベストを100分の1秒更新して見せたキング篠塚。
当時と今では参加メンバーも異なり、篠塚自身にとっても、実はマシンも違えばタイヤも違う。
しかしその中で齢50を迎えてなお邁進するその姿に………
感銘を受けた塾生は少なくない。
久しぶりのライバル出現が、眠れる獅子をたたき起こしたようにも見えたK-RUN-GP。
梨塾の歴史に残る、名勝負となった。
つづく。文中敬称略、ご了承ください。
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【初サーキットでも膝がすれちゃう!?】
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