2005年11月07日

地獄少女 54

 
 人の世は縁(えにし)と申します。
 結んだ糸が絡みつき、脆く哀れな彼岸花――。

 怒り、悲しみ、涙に暮れて、
 午前零時の帳(とばり)の向こう、
 晴らせぬ恨み、晴らします――。




 ちょっと時代劇ちっくにマンネリ感のあった『地獄少女』ですが、第5話は少しひねったストーリーになっていました。

 これは書いておこうかな、と。
 言うわけで。


 

 急成長したIT企業のM&Aなど、時事ネタとも思える題材を使ったのは、結構正解だったかもしれません。
 少なくとも掴みとしては、十分に機能したのではないかと思います。

 そしてコンピュータ関係の考証は微妙に怪しい気もしましたが、プロットそのものはよく考えられていた気がします。



 で、第4話で実はこの『仕事』を好んでしているわけではないとわかった、主人公の 閻魔あい ですが、この第5話では『この依頼は受けたくない』と、さらに発展系の主張をします。
 まあ実態を見れば悪徳女社長の指示による代理依頼だったわけで、それがわかれば受けたくないのも当然なのかもしれませんが。

 と言うか、依頼を却下する権限、あったんですね。
 閻魔としての職務の一種なら、選択権がない可能性もあるかと思っていたのですけれども。



 で、話を戻して、その女社長にしてみれば、
『つまりはオカルト風に見立てた殺し屋なのだろう』
という解釈だったのでしょう。

 何回依頼しても反応がないのに痺れを切らして、(他の誰かを使って)M&Aの障害となる相手を殺害させてしまいます。
 しかも相手の遺言を捏造して、こき使っている女子高生に相手のパソコンに侵入させ、望みの株式を自分に寄贈させるという強引さ。



 少女がそんなことまでさせられているのは、万引き現場を録画されていたからで、実はパソコン音痴の女社長の代わりに、パソコンを使う人材を確保するため。


 そんな場当たり的な!
 使える人材を確保できる保証なんてないじゃん!


 …と思いきや。


 少女は、有能なハッカーだった父が帰らなくなった原因が、秘密で働いていたこの会社にあると睨み、女社長が罠を仕掛けていると知った上でわざと掛かり、偽名で働きながら悪事のしっぽを掴もうとしていました。

 が、社長の方は偽名であることも素性も全て承知だった、と。



 妖狐と仔狸。 (ぉぃ



 まあ突き詰めると疑問がないわけでもないですが、なかなかよく考えられたプロットだと思います。



 女社長は、少女に地獄に堕ちると言われてもまるで平気。

 地獄に堕ちるとしても何十年も先の話で、人生の勝利者になれればそれで幸せ。
 そう言い切られては二の句が継げません。



 父を殺した探偵(銃所持)に追われ、パソコンが並ぶ作業室に追いつめられてしまう少女。
 いくら陰に隠れても、見つかるのは時間の問題。

 午前0時が近いことを思い出した少女は、発見されるのを覚悟でパソコンを起動し、最後の望みを地獄通信に託します。



 で、寸劇。 (ぉぃ

 さんざん人を殺してきた女社長の最初の殺人の記憶が再生される中、元恋人と浮気相手の死体が次々に起きあがって、女社長自身の顔になって言います。
 次はあなたの番だ――、と。

 …これは、今までの仕置きの中で一番怖いかも(汗)。



 全力疾走で逃げる女社長の向こうの窓の外で 閻魔あい が、全く同じ速度で横向きのまま付いてきているように見えるシーンがありますが、私の予想ではこれは浮遊したまま高速移動している(それはそれで面白いですが)のではなく、

 仕置きシーンが一種の幻覚である証明

…だと思っていたりします。
 さまざまなシーンから、閻魔あい たちに人間の記憶操作ができることはほぼ確定的であり、恐らくはある程度の精神操作をして幻覚を見せることもできるのではないかと。



 と言っても全部が幻覚なわけではなく、閻魔あい、一目連や骨女、輪入道たち以外の背景部分が幻覚。
 で、走っている感覚なども幻覚。

 ――多分、本人はその場に突っ立ったままで、寸劇に参加させられているのだと思います。



 闇に惑いし哀れな影よ、
 人を傷付け貶めて、
 罪に溺れし業(ごう)の魂(たま)――。

 イッペン、死ンデミル?




 ……でも今回のプロットが本当に凝っているなぁ、と思ったのは実はこの後。



 高校生を働かせるために、女社長は、社員には彼女を親戚だと偽っていました。
 そのお陰で、ボロアパートから社長のマンションに引っ越しできた少女。

 その口元が、怪しく歪む――



 妖狐を返り討ちにした仔狸が
 化け狸になりました。 (ぉぃ



 少女の地獄行きは、何の迷いもなく赤い紐を解いた瞬間に確定しました。
 ――が、それは逆に言えば今後、



 善行を積もうと悪行を重ねようと結果は変わらない



…ということでもあるわけで(汗)。
 地獄行き撤回の賞だとか地獄行きを越える罰がない限り、自動的に信賞必罰の適用外になっているわけです。

 つまりはこの第5話では、この作品の中心となっている地獄送りシステムが致命的な欠陥を内包していることをも明かしているんですね。



 これはなかなか興味深いですよ。
 面白いです。

 と言うか、単に『必殺仕事人』をやっているだけだとどうしてもマンネリ化していくと思うので、こういった『より上を行く悪党』やら、仕事人とは全く傾向が違う 閻魔あい たち自身の話やらも交えていった方が良いような気がします。



 この作品の雰囲気とかは大好きなので、脚本さんはそのあたり、飽きさせないような工夫をして頑張って欲しいものです。

 とりあえず次週(というかこの地域では今週末)放映分にも期待しています。



ひとつ予想

 たびたび出てくる あい の自宅ですが、あれ、本当に “彼岸” にあるのでは。
 自宅シーンの前に必ず彼岸花が出てくるのも、それを意味しているのだと思います。

 そして、いつ見ても逢魔が時。
 午前0時に送信されたメールが着く、そのときにも外は夕暮れ。

 と言うか多分、日の出や日没そのものがない世界なのではないかと思っています。



一応

 『人の世は縁〜』とか『闇に惑いし哀れな〜』とかは資料などがあるわけではなく、聞こえるままに書いただけなので、正しい保証は全くありません。


natsu_ki00 at 20:38│Comments(0)TrackBack(3)clip!アニメ | 地獄少女

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1. (アニメ感想) 地獄少女 第5話 「高い塔の女」  [ ゲームやアニメについてぼそぼそと語る人 ]   2005年11月08日 05:23
ワンパターンな展開にすでに飽きたとの感想も多く聞かれるこのアニメですけど、ホラーテイストでストーリーはすすんでいくのに意外性がなくまたホラー独特のエグさがなため面白みを感じる部分が少ないですね。まずは大いなるマンネリを解消することから初めてもっとシナリオ....
2. 地獄少女 第5話  [ 海の蒼、空の青 ]   2005年11月08日 19:57
地獄通信のサイト誰かが作ったみたいです 一度いかれてみては?こちら 12時ちょうどに行くと何かあるかも?(ぇ 衝撃!これが一目連、輪入道、骨女の正体だ!
3. 地獄少女 第五話「高い塔の女」  [ 現代視覚文化研究会「げんしけん」 ]   2005年11月09日 02:57
 第五話のストーリーは「急成長するベンチャー会社「デッドライン」。カリスマ社長・【海部 里穂】は【浦野(田村) 美沙里】に地獄通信へのアクセスを強要していた。【美沙里】は【里穂】に万引きをした事への弱みを握られていたのだ。」といった展開をして行きます。今...

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