2008年03月05日

シゴフミ #09 「サイカイ」5

 夢見た未来は、すぐそこにあった。
 誓うはずだった二人の永遠―― 、
 それは言葉となる前に、悲運の前に砕けて散った。

 ならばせめて、あの人にだけは幸せを。

 あの人の夢から私が消えていればと、私は願う。
 そうあって欲しくないと、私は望む。

 全ては時の彼方に消えた、儚い幻だけれど――。



次回予告と全体考察へのショートカット

バンダイチャンネル
[B-ch]シゴフミ|アニメ|無料動画 GyaO[ギャオ]|
 各話1週限定で無料配信されています。
 システム的に、ギャオの方が画面ほぼ全体で観られていいかもしれません。



 

思い出は時の彼方へ

 満月の夜だった。
 宮古川造園と横に書かれたトラックに乗っていた。
 隣の運転席には彼がいて、そういう話になって、思わず左手薬指を触っていた。

 現実になり始めた夢。
 彼は真面目な顔で、真っ赤になった私の方を見ながら続きを口にした。
 そこで語られるはずだった永遠の誓いは―― 、



 真正面から迫ってきたヘッドライトの前に、儚く砕け散った。
 フロントグラスの向こうに激しく言い争いをしている男女が見えて、目を見開いた。
 ……それが最後だった。


 
 夜、どこかの町で、チアキが歩道橋から下を流れ行く車列を眺めている。
 ビルが建ち並び、夜にも灯りが絶えない、近代的な街。
 街はどんどん変わりゆき、過去は忘れ去られてゆく。

 死者もまた――。



湯沢総合病院

 フミカと野島要、葛西夏香の3人で、美川文歌の病室へお見舞いに行った。
 要は、話しかけることで昏睡状態から回復した例が、外国にはあったのだと言う。
 眠ってはいても、そして言語野で理解はしていなくても、それでも深層意識には届いているのではないか、そんなことを言っている。

 そこで、フミカは父・美川キラメキを訪ねたことを報告した。
 全然変わっていなかったこと、文は書けなくなっていたこと、だけど、いい担当さんが付いたこと。
 淡々と、けれど感情を込めて語りかけるフミカ。要と夏香は黙って見守っている。

「……夏香と要、覚えてるよね? 二人とも、お見舞いに来てくれた。
 また学校行こう。文化祭も運動会も、クラブ活動もまだだった。……友達もいっぱい作って。
 ボクは待ってる」
「……ねえ、前から思ってたんだけど、最初に保健室で会ったのって、ミカの方?」


 フミカは否定しようとするが、夏香は彼女が 『ボク、美川文歌。よろしく』 と名乗ったのを覚えていた。

「……きっかけを作ってあげたかった。フミちゃんに友達を……」
(……じゃあ、俺が好きになったのは、ひょっとして……。)


 カナカがそろそろ配達に行かないとまずいと教えるが、フミカは、今回はあまり乗り気ではないようだった。
「今回のはちょっと、難しい……」



 遊びに来たチアキが言うには、シゴフミは手紙に限らないという。
 切手さえ貼られていれば何でも届けるらしい。

「年を取るなんて変だと思ったけど、要するにあんた死んでなかったわけね?」
『マトマ、あんた誰にも話さないって、』
『文字で伝えた』


 他の誰にもしゃべっていないというチアキは、“フミカの本体” を見に来たわけでもないらしい。
 先日キャッチの二人組から カツアゲした もらったお金はまだ残っているので、それで遊びに行かないかというお誘いだった。
 『山はいつも見ているから』 という理由で 『南の海とか』 に行くことを提案し、さらに、要と夏香も誘った。夏休みの時期なのでちょうどいい。

 カナカは、フミカに配達の仕事が残っていることを理由に断ろうとするが、フミカはOKのようだった。
「その代わり、場所はボクが決める」



♯ どんな機密事項もおしゃべりなカナカに教えたが最後、 『ここだけの話だけど』 とか(意味のない)条件付きでどんどん広まってしまいそうです(笑)。
 この物語ではそうはならないとは思いますが、何気にこの “本体” 情報はフミカの致命的な弱点の知識でもあるので、敵対者に知られるととても具合の悪いことになるわけで。

 ……つまりは 『ここだけ』 だろうと何だろうと、この文歌関連のことは広めちゃダメな内容ですよね。
 本当なら誰かがカナカにそういう理屈を教える必要がありそうですが、この場にいるメンバーでは適役が……、1人もいないような……?




南の島

 行き先は本当に南の島になった。4人での船旅だ。
 フミカたちは飛ぶこともできるのだが、チアキはこういった道のりも旅の楽しみなのだという。

マトマ『人間はわからん』
カナカ『あたしはわかるよぅ! 楽しいよね、移動ー』
夏香「…… “移動” …ねえ……」

『違ったみたいだぞ』
『違わないよ、あたしは人間になるんだから』
『またそんな夢みたいなことを』
『正夢なの、あたしのは!』


 また始まった杖の夫婦漫才にチアキが苦笑していると、夏香が訊きにくそうに配達人なのかと訊いてきた。
 その質問には続きがある。さらに言いにくそうにしている夏香とは裏腹に、チアキはあっさりと口にした。

「死人だよ」

 対向車と正面衝突した。運転していたのは彼。
 でもそこで冗談めかして 「男と女のことは何でもお姉さんに訊きなさい」 などと言っている。要がフミカを好きだという話も、夏香経由で既に伝わっていた。




♯ これはやっぱり相当深い古傷ですよね。
 どんなに古くなってもそこに触れるのは痛くてたまらないから、だから、他人にまで痛々しい顔をされたくないのです。
 私はもう大丈夫なんだ、私は笑って話せるんだ―― 、そう思い込む努力をしなければ、チアキは今でも寂しく、悲しく思い出してしまうのでしょう。

 ついでに取説捏造してみました。

高級万能杖: 配達人様の仕事を優しくサポートします。
・番号認証により、さまざまな機能が使用できます。
 どのような機能があるかは、マニュアルBをご覧ください。
・自律思考・行動が可能で、配達人様の負担となりません。
・最先端の言語機能を搭載し、寂しい任務中にも安らぎを与えます。
・極めて頑丈です。
 文系男子高校生程度の腕力があれば、木製のドアを破壊できます。
・2本揃えば漫才機能が自動で稼働します。
 ※この機能はオフにできません。




 そこは離島だった。
 民宿の部屋には金庫があり、その上に古びたコイン投入式のテレビが乗っている。

 きょろきょろしているフミカが旅行そのものが初めてだと知ると、チアキは旅行の楽しみ方を教えると言って枕を取り出した。
 悪戯っぽい笑みを浮かべている。

 フミカはカナカで弾き返し、枕はチアキを直撃した。
 ……けれど、夏香も同じような笑みを浮かべ、枕を構えていた。



 こちらは要とマトマだけが入った男子部屋。
 女子が入った隣の部屋から聞こえる騒がしい声を、二人して唖然として聞いている。

「あのー、お茶でも煎れましょうか」
『お構いなく』


♯ そもそも飲めるとは思えないわけで(笑)。♯



水天宮島 1

 フミカたちと同じ船でこの島に来た白河塔子は、大きなスーツケースを下げて漁港へ行き、漁師と交渉を始めていた。
 沖合に見える水天宮島(すいてんぐうじま)に行きたいのだという。
 水天宮島は今は無人島だったが、それは知っていて、でもなお行きたいのだと。



 一方、宿のフミカの目的地も、水天宮島だという。
 何を考えているかわからないと言う要に、それはあんたもだと夏香が混ぜっ返した。

 せっかくフミカに再会できたのに、要が告白しないからだ。
 以前文歌が断ったのは、文歌がびっくりしただけで 『嫌いということじゃない』 と、文歌の半分であるミカ、フミカが言っていたのだから。

「中学の時の話だろ? もう時効だよ」
「恋に時効なんて無い!」




 そんな話をしている傍らではマトマが眠っている―― ふりをしていて、隣の部屋のフミカの傍のカナカから、要たちの声が流れ出ていた。
 チアキは耳を壁に近付けて直接聞いていて、 「青春だねえ」 と楽しそうだ。
 だが一方のフミカにはあまり当事者としての自覚がない。他に好きな人でもいるのかと訊くと、肯定が返ってきてチアキは驚いた。誰かと訊いてみると――。

「フミちゃん」
 チアキは思いっきりずっこけた。

「それ自分でしょ!? 女だし!」
「…………。 “好き” って、よくわからない」
「……そっか、あんた、ずっとお父さんと二人きりだったもんね」


 チアキ自身は、いっぱい恋愛をしたのか。
 訊かれると、まあねとはぐらかした。外を見て逸らした顔は、寂しそうな色をたたえている。
 その視線の先には、これから向かう水天宮島があった。



葛西春乃

 編集部に戻った春乃が渡した封筒を、女編集長は不思議なものを見るような目で見ている。
 彼女だけではなく、にこにこしている春乃以外編集部の全員が、同じような顔で見ていた。

 春乃は見事、美川キラメキに新作を書かせることに成功していた。
 編集長としてはキラメキの担当になった者が “壊される” ので、3年経ってもコピー係という使えない春乃を回したはずだった。
 ところが、思わぬ成果を上げたことにに驚いている。



♯ これはわかります。つまり条件が揃う必要があったんですね。
 即ち、 『キラメキ作品を理解していること』 『自尊心の強いキラメキを立ててくれる人』 、そして 『キラメキを叱ってくれる人』

 天上天下唯我独尊なキラメキには、どの編集も一所懸命盛り立てたものと思います。
 でもそれでは足りかったということでしょう。♯



チアキ 1

 温泉には、カナカも一緒に入った。
 そこでチアキは、どうして仕事があるのに付き合ってくれたのかとフミカに訊いた。
 だがフミカは、仕事は今しているのだという。

 そこでカナカが気付いた。
 つまり、今回の旅の行き先、水天宮島にシゴフミの宛先があるということなのだ。

 しかし水天宮島は無人島。では誰に?
 フミカはあっさり 『死人』 だと言った。

 夏香がこれに怯え、チアキが殺したてほやほやかもしれないなどと言い出したことで殺人者と鉢合わせするかもしれないとますます恐がり、とうとう階段の方へ足を踏み外してしまった。
 転げ落ち、階段の下にいた塔子にぶつかった。幸い、どちらにも大きな怪我はないようだった。

 ……が。

 夏香は、開いたスーツケースから出てきたモノを見て凍り付いている。
 鎌、鉈、手袋、スポンジ。
 さっきまでああいった話をしていた夏香には、それは殺人・死体遺棄セットに思えた。
 大きな悲鳴が響いた。



 塔子自身の口から事情が語られた。
 部屋には塔子、夏香、フミカ、チアキがいる。

 墓参りなのだという。
 鎌は草刈りのために使うらしい。
 チアキは若いのに感心だと言うが、実は好きな人に告白する勇気が足りず、テレビの恋占いに出てきた 『ラッキーチャンスはお墓参り』 というのに従ってみようと思ったということだった。

 するとチアキは、この部屋にいるのは自分以外全員片想い中ということになると言った。
フミカ「そうなるのか? フミちゃんのこと……」



 やがてチアキは自分のグラスにビールを注いだ。
 驚く夏香に、自分は成人しているからと返す。

 恋の話は素面じゃできないと言いだし、夏香に絡み始める。
 フミカがもう私は関係ないとばかりに布団の中に潜り込むと、上に乗って眠るのを妨害した。

「なーに寝てんだよ、フミカぁ!」
「酒臭い」
「好きな相手を教え合うのもね、旅行の醍醐味なのよ!? 起きろぅ!


 ……要とマトマだけの男子部屋は、どんどん騒がしくなる隣の部屋とは正反対に、ごく普通に眠ろうとしていた。



♯ 前話予告時点で 『絡み酒』 と予想したのですが、本当にそのまんまでした(笑)。
 しかもチアキのは、かなり迷惑度高そうですよね。

 大人が子どもの前で飲むこと自体はもちろん有りです。
 が、その結果、その子どもに絡むのでは 『成年だからOK』 とは言えない気がしますよ、チアキ?(笑)

 まあそれに夏香が違和感を感じるのも当たり前、チアキはこのメンバーで一番のちびっ子なんですよね。♯



チアキ 2

 翌日、漁船に乗って、みんなで水天宮島へと向かった。
 朝まで騒いでいたチアキは眠くてたまらない。だが、なぜ無人島に墓参りなのかと訊かれての塔子の答えに、目を見開いた。
 水天宮島にはおじいちゃんの墓があるという。

「元々清澄(きよすみ)の家はあの島の出身らしいんです」

 白河塔子は、母方の孫なので苗字が違うのだという。
 おじいちゃんの名前は、清澄才蔵
 そう聞いてチアキは、俯いたままますます目を見開いた。

(……………………そっか。結婚……したんだ。)



 島に着いた。
 無人島だから、浜辺にも誰もいない。

 カナカとマトマも、既に泳いで(?)いる。
 要や夏香も水に入っていく。
 だが、チアキとフミカだけが、いつもの配達人の制服のままだった。

 チアキは海に向かって左手の、小高い丘をじっと見つめている。

「こないださあ、あたしが生まれた町に行ってみたんだ、久しぶりに。
 ……でも、何もなかった
 あたしの家も、学校も、行きつけのお店もよく遊んだ公園も、何もかも。
 死んでから50年も経ったからねえ。変わってるの、当たり前だけどさ……。
 変わらないのはあたしだけ。親も友達も、みんな死んじゃった」
「恋人も?」
「らしいね。
 ……せっかく助かったのに……。ま、それから50年も生きたんだから、上出来かあ」
「前に言ってた、猫の人?」
「年を取れるあんたがちょっと羨ましいよ」

「…………チアキ、行こう?」
「? どこに?」
「お墓参り」




 そこに埋められた人が猫好きだったことを示すかのように、墓の周りには猫が集まっていた。
 そこで、お墓に向かって塔子が二人を紹介し、チアキが墓石の前に出て故人に語りかけた。

「死んじゃったんだ……、ホントに。
 清澄才蔵くん、あなたの人生は幸せだった?
 ……だよね。結婚して、可愛い子までいて、きっと幸せだったよね」


 手を合わせて目を閉じた。
(……私には最後の恋でも、ずっと人生はあったんだもんね。)
「はい、終わり! フミカも、」


 言いかけて、隣の墓碑銘の……それに気付いた。



 清澄新太郎

 清澄キヨ

 清澄才蔵
  □
 清澄千章




 才蔵の隣に切手が貼られていて、その隣に清澄姓に変わった千章の名前が掘られている。

「差出人は清澄才蔵」
「じゃ、あんたの仕事って……!」

 フミカははっきり頷いた。

「誰だろう、この人……。おじいちゃん、ずっと独身だったのに……」
 塔子の言葉にまた驚くチアキだが、塔子の母は交通事故で両親を亡くした赤ちゃんで、才蔵に引き取られたのだという。



 大きな洋館の庭で、木の枝の上の猫が、降りられなくて困っていた。
 私は、ただ見上げるだけで何もできない。
 そこに通りがかったのが、造園業の仕事をしていた彼だった。

 話を聞いてすぐに木によじ登ると、怯えて後ずさりする猫に手を伸ばした。
 届きそうで届かない。とうとう落っこちてしまった。

 思わず目を閉じたが、下の植え込みから顔を出した彼は、傷だらけになりながらもにっこり笑ってみせた。
 腕にはしっかり、あの猫が保護されていた。

 満面の笑顔を浮かべあった。

 それから付き合うようになった。
 喫茶店、美術館、海辺……。
 美術館では気障な台詞に大笑いした。
 海辺では足を滑らせそうになった私に、すかさず手を伸ばし、手を握ってくれた。

 そしてあの夜。
 トラックの中で彼が話し出した。

「千章さん」
「何?」
「今日は楽しかった?」
「うん」
「先週の映画も楽しかった?」
「うん」
「美術館も楽しかった?」
「うん」
「千章さんと知り合ってからずっと楽しかった。
 だから……、だから……これからもずっと、僕と、」


 私は左手の薬指を撫でる。顔が火照るのが自分でわかる。俯いてしまう。
 運転している彼は束の間、私の方を向いていた。

 ―― だから、気付くのが遅れた。
 私たちを正面から照らす光が強くなってようやく、私たちは前を向いた。
 光はまっすぐ私たちへと向かってきて――。




 才蔵は答えを聞けなかった。
 自分のミスで死なせてしまったのは最愛の恋人―― 、一生でたった一度の恋愛だった。

「……ホント、バカなんだから。
 私のことなんて忘れて、次の人探せば良かったのに……。
 それに、プロポーズなら指輪でしょ? それがお墓って……、相変わらずセンスないんだから。
 ……でも……」


 チアキの頬を涙が伝う。
 立ち上がって左手を墓碑に差し出し、薬指を持ち上げた。

「……はい、誓います」

 生死が二人を裂いて渡せなかった、見えないエンゲージリング。
 それは50年越しに千章の指に収まった。

 幻の、しかし何より確かな絆。
 それが夕日を反射して微かに光った――。



 帰りの漁船の上。

 要のマッサージ(?)はカナカにいたく好評だった。
 快感の声を上げるのを聞いて、マトマまでが 「私も」 と言い出している。

 塔子は “何となく” 告白する決心が固まったのだという。
 気負わない、穏やかな表情で微笑んだ――。



♯ 塔子にとって結果的に(?)、恋占いは当たったわけですね。
 と言うか、テレビの恋占いで 『お墓参り』 なんて言葉はそうそう出ないと思います(笑)。

 エンゲージリングの反射光は幻ではなく、涙が指にかかったせいかも……、とかも思ったり。
 滴った涙が左手薬指に偶然かかったとか、それはそれで綺麗な奇跡だと思いますしね。♯



次回予告 と全体考察

 過去を思う男、未来を見つめる少女。
 二人を結ぶのは、液晶の中の世界だった。

 次回、シゴフミ、 『デアイ』




 絵で金賞受賞した幼い女の子。
 この時期にしっかりした線を描けるだけでも、かなり凄いですからね。

 青年は父親でしょうか。兄というにはちょっと離れすぎですしね。
 でも 『出会い』 なのですから、元々は他人という方が正しい気がします。

 液晶の中……、何か携帯ゲームくらいの大きさのモノを見せている絵がありますが、何だかよくわかりません。
 あるいは言葉を話せなくて、筆談の代わりにそういった機械を使っているのかな、とか思ったりもしましたが……。

 さっぱりわからない予告はいい予告。
 ……次回にも期待大です。



♯ 今回はハートフルなお話で、あまり考察するところはなかった気がします。
 ついでに言えば、誰も(劇中で新たに)死んでません。
 でもかなり良かったです。こういうのは大好きかも。



 シゴフミは手紙に限らない。

 あの装飾銃がシゴフミになる前提条件ですからね。(ぉぃ
 以前、考察でフミからミカへのシゴフミと予想したのですが、コメントで逆向き、しかも予定―― まだ出していない―― というパターンのご指摘をいただきまして、こちらの方が正解かもしれない予感がします。

 つまりあの銃は 『フミカが文歌に出すべく用意しているシゴフミ』 で、それによって、キラメキに制裁を下すかどうかの審判+罰としようと考えているという形です。
 ……まあでも、どう考えても(ミカはともかく)フミにはキラメキを撃てないだろうなあ、としか思えないわけですが……。



 年を取るシゴフミ配達人、即ち死んでない。

 これは答えの半分だけですよね。残り半分、 『死んでいないのになぜ配達人になれたのか』 の方が、より難解な謎という気がします。
 『ミカだけがなぜ名目上死んだことになったか』 という形ですか。

 ……あるいはここは、物凄く単純に 『ミカ自身が強くそう望んだから』 という答えなのかもしれないとも思います。
 自分の 『殺すつもりはなかった』 『キラメキに思い知らせたかった』 行動の結末がフミの絶望だったことにミカは、 『フミちゃんを害する者』 として自分自身を否定したのではないでしょうか。

 その結果、ミカの人格だけが “死んだ” 。

 でも、少し思うのは、ミカの自己否定はともかく、仮に 『大好きなミカちゃんが大好きなお父さんを撃った』 とフミが知ったとしても、それを受け入れることはできたのではないかということ。
 逆にミカが消えたことで、 『大好きなお父さんを “私が” 撃った』 ことを認めざるを得なくなったのかもしれない気がします。

 とても皮肉な話ですが。
 ……フミが “還ってこない” のは、まさにこれが原因なのでは?



 もしこの通りならという仮定の話になりますが、敢えて 『罪は否定するものではなく、受け入れるもの』 だと言わせていただきましょう。
 誰しも間違いは犯しますし、失敗もします。
 重大な失敗をすると何らかの方法・形で 『無かったことに』 しようという衝動が起きてくるわけですが、それが例え自殺であっても、 『罪は否定されない』 わけで……。

 死んでいく人にとって以上に、残りの人にとって、よりその色彩が強いです。
 ミカは自分自身よりフミが大事だったはず。
 ……だからこそ、 『自分を消そう』 と考えるべきではなかったのではないかと、思っています。



 “好き” って、よくわからない。
 フミカはまだ、恋愛面では発展途上みたいですね。
 本当の恋はまだで、いろんな好きがごっちゃになって、どれも似たような色に見える状態なのでしょう。



 エンゲージリング。

 チアキ、いつも軽そうに振る舞っていますが、(前からわかってはいましたが)かなり性格いいですよね。
 相当に面倒見のいい性質ですし、それで何かとフミカの世話を焼こうとしている感じです。

 どうも豪邸に住んでいたお嬢さまで、庭師と恋に落ちたようですね。
 こういうのは(本人同士が良くても)周りが 『そんな男じゃダメだ』 『こっちにしろ』 とうるさそうですが、ここまで両想いで好きになっては最早普通には引き裂けない気がします。



 清澄才蔵。
 さすが、そんな千章が好きになる相手だけのことはあります。
 木訥そうですが、物凄くいい人っぽかったですね。

 そんな彼のこと、自分の運転のせいで千章を死なせてしまった上、自分だけが生き残ってしまっては、最早恋愛どころではなかったのでしょう。
 死ぬまで千章を愛し、千章が横にいないことを悲しみ、千章に謝り、事故を起こした自分を呪ったことでしょう。

 だから。

 才蔵が、両親を失って孤児になった子を養女にしたのは、その原因が 『交通事故』 だからこそなのでしょうね。
 そんな子と出会ったことを、千章が巡り合わせてくれた縁だと感じて大事にしたのではないかと思います。
 きっと本当の娘同様に可愛がったに違いありません。



 本来ならチアキの言う通り、生者はいつまでも死者に縛られずに生きるべきではあります。
 葬儀も、理念的にはともかく、現実的には生者のためにあるのです。

 ……ですが、それでコントロールできない感情があるのもまた、人間。

 才蔵の心にはもうとっくに千章のための場所ができていて、千章もまた同じ。
 二人はとっくに一つになっていたのです。
 不幸にも生死で分けられてすら、それは変わりませんでした。

 才蔵に永遠の愛を捧げていた千章は、才蔵が、千章と同じ強さで千章を愛していたと知りました。
 生死が分けた50年越しの愛は、ついに報われたのです。

 考察の最初にも書きましたが、もう一度。
 こういう話は大好きです――。


natsu_ki00 at 22:56 │Comments(6)TrackBack(43)clip!アニメ  | シゴフミ

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17. シゴフミ  [ まるとんとんの部屋 ]   2008年03月06日 12:09
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19. シゴフミ 第9話 「サイカイ」 感想  [ かて日記 ]   2008年03月06日 16:59
シゴフミ 第9話 「杖たのしいな杖」 車内でプロポーズを受けるチアキ。しかし、その直後対向車がはみ出してきて・・・
20. シゴフミ/第9話 『サイカイ』/感想  [ たなぽんの泣けるストーリー ]   2008年03月06日 18:27
『シゴフミ』第9話の感想です。 ■最後の恋「…ハイ、誓います……」チアキが死んだのは50年以上も前の出来事。それから、どれだけの月日をシゴフミ配達人として過ごして来たのかは分からない…。だけど確かなのは、今も尚、生きている時に体験した最後の恋が忘れられてない...
21. シゴフミ 第9話 「サイカイ」  [ 独り言の日記 ]   2008年03月06日 18:31
JUGEMテーマ:漫画/アニメ  南の島へ旅行という今回は一見変わった展開に・・・と思ったらチアキ主役としたいいお話です。    フミカにも友達が出来た。それは自ら中学の頃、人と距離を置いていた文歌を思って、フミカが話すきっかけをつくった要、夏香であった。 ...
22. (アニメ感想) シゴフミ 第9話 「サイカイ」  [ ゲームやアニメについてぼそぼそと語る人 ]   2008年03月06日 18:40
シゴフミ 一通目 病室で眠る文歌を見舞いに来たフミカと要と夏香。文歌に話しかけるフミカであったが、相変わらず文歌は無反応。そこに噂を聞きつけたチアキが現れ、ヒマだからとフミカたちを遊びに誘う。配達の仕事があるにもかかわらず、行き先を決めることを条件に承諾...
23. シゴフミ第9話感想〜。  [ 戯言日記2nd ]   2008年03月06日 19:18
「行こう、お墓参り」 以下、ネタバレします。ご注意を。
24. 「シゴフミ」9話 サイカイ  [ 蒼碧白闇 ]   2008年03月06日 19:23
チアキの過去話だった。 なんだかチアキがちっちゃっくって最初親子だと勘違いしちまったよ。そもそも年の離れたとかではないんだよねぇ? ??.
25. 50年越しのプロポーズ --アニメ評 シゴフミ 第9話  [ 王様の耳はロバの耳 [delta] ]   2008年03月06日 20:11
いいなぁ。 マトマ。 要との息がピッタリで(笑) ですけど、マトマは人間になる目的は持ってないんですね。 ていうかそんな事を目指すのはギ..
26. シゴフミ #9  [ けだめ。 ]   2008年03月06日 20:50
みんなで南の島で温泉だ!ビーチだ! …し、シゴフミ?(笑) ただの温泉サービス回かと思いきやチアキの悲しくもいとしい恋物語というオヮ..
27. 『シゴフミ』第9話  [ うかばれないもの ]   2008年03月06日 21:19
JUGEMテーマ:漫画/アニメ 今回は南の島で温泉編。でも、入浴シーンもそこそこにマトマとカナカが前へ前へとプッシュされていたのには笑った。恐らく杖が楽しげに海を泳ぐシーンなどは、本邦、いや全世界に先駆けた斬新な構図では無かろうかと。……あとマクラ投げもね。 ...
28. シゴフミ 第9話「サイカイ」 感想  [ アニメを中心に語ってみるブログ ]   2008年03月06日 22:42
シゴフミ 第九話「サイカイ」 このアニメで温泉と海が同時に見れるなんて思っても見なかった。
29. アニメ「シゴフミ」第9話。  [ 渡り鳥ロディ(旧ぎんいろ) ]   2008年03月06日 23:11
第9話「サイカイ」 うわーん、いい話や……。 これは間違いなく神回。 杖に笑わせてもらい、今回はそういうノリかと思いきや違ったなー。...
30. シゴフミ 第9話  [ パズライズ日記 ]   2008年03月06日 23:19
今回は、チアキの過去が明らかになるお話でした。 国内とはいえ南方の島に行って海に露天風呂にと楽しみまくりな杖達に爆笑しつつ。 最後は思いのほかいいお話で感動でした。 フミカ達は文歌のお見舞いに。 話しかけているから目覚めたのではないかという話もたまにあ....
31. シゴフミ 第9話 「サイカイ」  [ リリカルマジカルS ]   2008年03月06日 23:33
恒例の?温泉回。 しかし、この作品に温泉が似合わない気がw
32. シゴフミ 第9話 「サイカイ」 感想  [ AAA??悠久の風?? ]   2008年03月06日 23:51
チアキは事故死だったんですね。そんな記憶を持っていてもどうしようもないんですが。
33. シゴフミ 第九話「サイカイ」 はい、誓います  [ 裏オタク ]   2008年03月07日 03:17
シゴフミ 第九話「サイカイ」 枕投げって勝ち負けとかあるのかな   
34. シゴフミ 9話  [ 自己満足 ]   2008年03月07日 03:26
サイカイ 生きていた頃のチアキ。 車に乗ってる時に車に激突して死亡したのか。その時楽しそうに話していた男性は? 夏香、要と一緒に文歌の眠る病院へと来るフミカ。眠ってる病人は話す事で目を覚ますケースもあるらしいと要。実際のところどうかな...
35. ★シゴフミ 第09話 チアキメイン回!そして水着と温泉と。  [ 二次色ノート ]   2008年03月07日 08:53
一緒に遊ぼうと誘ってくるチアキを含めたギャグ回かと 思いきや、実はチアキの過去関連にも強く関わっていた一話で チアキが死んだ理由、遮..
36. シゴフミ第9話『サイカイ』  [ アニメ好きのケロポ ]   2008年03月08日 05:09
予想以上にいいお話だったぢゃないですか??♪
37. シゴフミ 第9話 「サイカイ」  [ 空色☆きゃんでぃ ]   2008年03月08日 08:57
恋のラッキーチャンスはお墓参り!
38. シゴフミ 第08話「ハジマリ」感想  [ 物書きチャリダー日記 ]   2008年03月08日 10:39
シゴフミ!!キラメキ!!もう話の展開りこいつのぶっ飛びっぷり具合のほうが気になる(笑)【送料無料選択可!】【初回仕様あり!】シゴフミ一通目/アニメ早速感想。二人は1つの体、でも別の人格。自分の父を銃で撃ったその背景が明らかに・・・。とりあえず要のきキラ...
39. シゴフミ #9 サービス回じゃなかった  [ 物語を食べて生きてます ]   2008年03月08日 22:19
次回予告から  シゴフミもサービス サービスをやってくれるのかと 思ってました 前回から  フミカを受け入れた要 みんな揃ってフミちゃんのお見舞い  いつか目覚めて学校に行くことを祈る っはいいのですが フミが目覚めたら  フミカはどうなるんだ? っと思っていた...
40. シゴフミ 第09話 感想  [ 荒野の出来事 ]   2008年03月08日 23:54
 シゴフミ   第09話 『サイカイ』  文伽:植田佳奈  カナカ:松岡由貴  野島要:寺島拓篤  野島辰巳:野島昭生  チアキ:浮..
41. シゴフミ 第9話。  [ 閉鎖空間 ]   2008年03月10日 17:26
『サイカイ』 フミちゃんとミカちゃんは同じ人間、ってことは フミちゃんが目覚めたらミカちゃんはどうなるんだろうか? ずっとミカちゃんの方は配達人をしていられるのだろうか? キラメキの方は小説を書き上げたらしい。 ちょっとはマシな方に行っていれ
42. シゴフミ 第9話「サイカイ」  [ みるとるん ]   2008年03月11日 16:26
シゴフミ 一通目  チアキの提案で、海へ行く事になった一行。  フミカは死後文配達の仕事も同時進行していて…。
43. シゴフミ 第9話「サイカイ」感想  [ 徒然日記〜TS紀行〜 ]   2008年03月14日 23:08
5 シゴフミ 一通目 途中までは、先週の感想でも書いたように、チアキが出てくるとやっぱり物語が明るく楽しい感じになっていいなぁ、とか思いながら見ていたのですが、終盤の展開には涙腺を緩まされました。ネット巡回中に可能な限り避けつつもちらりと目に入ってくる他の人の...

この記事へのコメント

1. Posted by 地護津 由利    2008年03月06日 12:58
こんにちは、

今回はあんまり考察できませんが

>白河塔子
もしかして彼女のお母さんて事故の相手の娘だったりするんでしょうか
2. Posted by 東西南北    2008年03月06日 14:17
おじゃまします。
今回は一言だけ。

>こういう話は大好きです――。
激しく同感です^^
3. Posted by なっきー    2008年03月06日 21:21
4  地護津 由利さん、東西南北さん、こんばんは!
 コメントありがとうございます。
 


>地護津 由利さん

>今回はあんまり考察できませんが
 今回はお話に重点を置いた感じでしたね。

>白河塔子
>もしかして彼女のお母さんて事故の相手の娘だったりする〜
 才蔵の性格からして、十分に有り得ることだと思います。
 この作品はそういった、 『そのもの』 の描写を省略する傾向も強めですしね。



(続きます)
4. Posted by なっきー    2008年03月06日 21:21
>東西南北さん

>今回は一言だけ。
 はい、どうぞー♪

>>こういう話は大好きです――。
>激しく同感です^^
 優しい気持ちになれる、いいお話だったと思います。

 その裏で、マトマがだんだん変になっていってたりするのも面白かったですね。
5. Posted by Mr.T    2008年03月07日 06:38
5 おはようございます。

見終わった直後の感想は「俺、今日からサイゾーになる」。と冗談はさておき、EDが流れるまでの終盤4分間の展開にやられました。こういう持っていかれ方は『好きだぁー!』(朝日がバックですが・・・笑)。
6. Posted by なっきー    2008年03月07日 21:57
4  Mr.Tさん、こんばんは!
 コメントありがとうございます。


>見終わった直後の感想は「俺、今日からサイゾーになる」。
 木訥で不器用そうですが、一緒にいて多分とても癒される人。
 私もこういう人は好きです。

>〜EDが流れるまでの終盤4分間の展開にやられました。こう
>いう持っていかれ方は『好きだぁー!』〜
 改めて、この作品は脚本がいいなあと強く感じました。
 ベタな箇所もありますが、それすら心地良い感じです。

 あとBGMも全般にいい感じですよね。

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