前にも書いたかもしれませんが、ao は苦手とするジャンルの原稿が(少なからず)あって、その最たるものが「プレゼン用パワーポイント資料」です。

(そして今まさにその仕事をしていて、めげています)

この類いの翻訳が難しい主な理由は次のとおりです。
・作成者は自分がしゃべることを前提に書いているので、資料だけ読んでも意味がよく分からない
・スペースが限られているため省略が多い
・英語が文法的に正しくない(ことが多い)
・第三者によるチェックが入っていないため、誤字脱字などのミスが多い

つまり、原文が分かりにくいのです。そんなこんなで、プレゼン用資料は苦手なジャンルトップ3に常にランクイン。

プレゼン資料に限ったことではありませんが、こういった分かりにくい原稿を訳すときに ao がいつも思い出すことがあります。

あれは翻訳者になって間もなく、大きなプロジェクトのためインハウス翻訳(翻訳会社に出向いてオフィスで翻訳すること)に呼ばれたときのこと。その時も同じように原文の質があまりよくなく、机を並べて翻訳をさせていただいていた先輩翻訳者さんに「原文がわかりにくくて…」とぼやいたことがあります。

その時、翻訳者歴 10 年以上のベテラン翻訳者さんがまるで仏のような顔でこう言われたのです。

「でもね○○さん(←ao)、僕たちが目指すのは『ジャンクイン・ジャンクアウト』じゃなくて『ジャンクイン・パーフェクトアウト』ですよ」

つまり、原文が拙いからといって訳文も拙くなってはいけない。拙い原文でもパーフェクトな訳文をあげるのがプロだ。ということです。

もちろんこれは理想論であって、原文の質があまりに悪いと高品質な翻訳はできません。ですが私たち翻訳者が「原文がダメだから…」と諦めてはいけないのです。ジャンクな原文を渡されても、できる限り高品質な翻訳を提供する。原文の意図を 100% 汲んだ翻訳は無理でも、せめて日本語としてまともな文章にして訳す。

こうした心意気が、ベテランになるまで翻訳を続けられるか、そうでないかの分かれ目になるのではないでしょうか。

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