2009年01月03日
ばしょうぶ その8 お正月です。
ばしょうぶ
その8
お正月です。
その8
お正月です。
お正月です。センパイ><
クリスマスイブに電話でお話をし、私が芭蕉部に再入部することになって以来、今度はセンパイから電話を頂きました。
な、なんと今日は初めてセンパイのお家へ遊びに来ています。
センパイのお家はたくさんの親戚さんたちが集まり、たいへん賑やかでした。そんな時に女の子を家に誘うなんてさすがセンパイ。スケールの大きさが違います。
ちなみに素敵なオジサマにお年玉をもらっちゃいました。ラッキーです。
「せっかく誘ったのに慌しくてすまなかったね」
部屋の大きなソファに腰かけてセンパイは言います。「しかし、せっかく柏崎くんが芭蕉部に戻ってきてくれたんだ。正月という俳人にとっての一年の集大成ともいえる日に芭蕉部が活動しないのでは、かの松尾芭蕉もお怒りになること間違いなしだろう」
センパイは家でも学生服を着ています。なんて真面目な人なのでしょう。学生の鑑です。
「センパイのおっしゃるとおりです」
オジサマに頂いた点袋の中を覗いてみます。五百円札でした……。今度換金しに行きましょう。「お節にお雑煮。コタツにみかん。門松に鏡餅。福笑いに羽根突き。お正月って冬なのになんでこんなに暖かいのでしょう」
「それは偉大な先人たちが長年苦労して作り上げた賜物だ。俳句と同じように、我々はこの文化を後年に引き継いでいかなくてはならない」
センパイがファサーと髪をかき上げます。うう、久々にセンパイの作品を拝むことができるのですね。
「お正月 さっさと勉強始めよう……。ムッ!」
センパイが頭を抱えてしまいます。「くっ、こんなはずはない。確かに受験勉強に追われてはいるが、まさかそれを句に反映させてしまうとは」
「だ、大丈夫ですかセンパイ」
私は慌ててセンパイに駆け寄りました。「心配いりませんよ。少し落ち着けばまた良い句が詠めるはずです」
「そ、そうだな」
なんとか持ちなおし、センパイは再び髪をかき上げました。「お正月 僕らはずっとお正月」
それじゃあ、ただの頭の中が幸せな人です!
うう、困ってしまいました。今度はあの現代の松尾芭蕉であるセンパイまでもがスランプに陥ってしまいました。受験勉強恐るべしです。
コホンと咳払いをします。こうゆう時こそ私の出番です。少々生意気ですが、スランプのセンパイにお手本を見せるのです。
「家の灯を避けて吹くなり 北風や」
自信作です! どうですかセンパイ! 何か掴みましたか?
「ムッ」
センパイの眼鏡が光ります。「意味が分からない」
うう、重症です。
「悪いが柏崎くん」
センパイがフラフラと立ち上がって部屋の角の机に向かいます。「今から僕は受験勉強をしなくてはならない。帰ってくれ」
ガーン、です。
た、確かに受験勉強は大事ですけど、まさかあのセンパイがお正月に句を詠まずに勉強なんて……。そんなの、そんなのセンパイじゃありません。
「センパイの馬鹿ー!」
私はセンパイの教科書をビリビリに引き裂きました。センパイが「柏崎くん!」と私を引き止める声も無視して、部屋を出て行きます。そして、そのまま親戚の皆さんに挨拶をしてセンパイのお家を飛び出しました。
もうダメです! お正月なのにこの世の終わりです!
家に向かって走りながら私は泣きます。
私のことは忘れてください。センパイ><
ばしょうぶ その9 卒業です。
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クリスマスイブに電話でお話をし、私が芭蕉部に再入部することになって以来、今度はセンパイから電話を頂きました。
な、なんと今日は初めてセンパイのお家へ遊びに来ています。
センパイのお家はたくさんの親戚さんたちが集まり、たいへん賑やかでした。そんな時に女の子を家に誘うなんてさすがセンパイ。スケールの大きさが違います。
ちなみに素敵なオジサマにお年玉をもらっちゃいました。ラッキーです。
「せっかく誘ったのに慌しくてすまなかったね」
部屋の大きなソファに腰かけてセンパイは言います。「しかし、せっかく柏崎くんが芭蕉部に戻ってきてくれたんだ。正月という俳人にとっての一年の集大成ともいえる日に芭蕉部が活動しないのでは、かの松尾芭蕉もお怒りになること間違いなしだろう」
センパイは家でも学生服を着ています。なんて真面目な人なのでしょう。学生の鑑です。
「センパイのおっしゃるとおりです」
オジサマに頂いた点袋の中を覗いてみます。五百円札でした……。今度換金しに行きましょう。「お節にお雑煮。コタツにみかん。門松に鏡餅。福笑いに羽根突き。お正月って冬なのになんでこんなに暖かいのでしょう」
「それは偉大な先人たちが長年苦労して作り上げた賜物だ。俳句と同じように、我々はこの文化を後年に引き継いでいかなくてはならない」
センパイがファサーと髪をかき上げます。うう、久々にセンパイの作品を拝むことができるのですね。
「お正月 さっさと勉強始めよう……。ムッ!」
センパイが頭を抱えてしまいます。「くっ、こんなはずはない。確かに受験勉強に追われてはいるが、まさかそれを句に反映させてしまうとは」
「だ、大丈夫ですかセンパイ」
私は慌ててセンパイに駆け寄りました。「心配いりませんよ。少し落ち着けばまた良い句が詠めるはずです」
「そ、そうだな」
なんとか持ちなおし、センパイは再び髪をかき上げました。「お正月 僕らはずっとお正月」
それじゃあ、ただの頭の中が幸せな人です!
うう、困ってしまいました。今度はあの現代の松尾芭蕉であるセンパイまでもがスランプに陥ってしまいました。受験勉強恐るべしです。
コホンと咳払いをします。こうゆう時こそ私の出番です。少々生意気ですが、スランプのセンパイにお手本を見せるのです。
「家の灯を避けて吹くなり 北風や」
自信作です! どうですかセンパイ! 何か掴みましたか?
「ムッ」
センパイの眼鏡が光ります。「意味が分からない」
うう、重症です。
「悪いが柏崎くん」
センパイがフラフラと立ち上がって部屋の角の机に向かいます。「今から僕は受験勉強をしなくてはならない。帰ってくれ」
ガーン、です。
た、確かに受験勉強は大事ですけど、まさかあのセンパイがお正月に句を詠まずに勉強なんて……。そんなの、そんなのセンパイじゃありません。
「センパイの馬鹿ー!」
私はセンパイの教科書をビリビリに引き裂きました。センパイが「柏崎くん!」と私を引き止める声も無視して、部屋を出て行きます。そして、そのまま親戚の皆さんに挨拶をしてセンパイのお家を飛び出しました。
もうダメです! お正月なのにこの世の終わりです!
家に向かって走りながら私は泣きます。
私のことは忘れてください。センパイ><
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