弟73夜 自衛官の妻
自衛官の妻

 自衛官増田は平凡な男だが、同期で入隊した妻千恵利は争奪戦が起こったほどの美形で聡明な女性。母親似の高校生の娘も生まれ新居を購入して順風満帆な人生を送る増田だったが、かつての恋敵佐々木が現れて、強引に千恵利を米兵専用カフェで働かせるようになってから変化が起こる。一月経っていきいきと若返った妻を不審に思う増田だったが、佐々木から送られて来た衝撃的な動画で策略に嵌まった事を知った時には、既に手遅れだったのだ。MC+NTRと言う、クセのある内容。(約7万1千字)


12.操られる家族(1)(5039字)

 俺が持っている自白剤の知識では、人間の意識を朦朧とさせ、何をしゃべっているかわからぬ状態にしてから尋問し、無意識に正しい事を語らせる麻薬のような薬だった筈だ。しかし「ハーブティー」に口を付けても俺の意識は極めて明晰だったし、佐々木の不思議なゆっくりしたしゃべりに誘導されて茶を飲み干してしまい、これはヤバい、自白剤を服用して催眠術に掛かってしまったかも知れない、とまで確かに自覚していたのだ。

 だがもうその時俺は自分の意志では動けなくなっていたのである。自分の口が勝手に佐々木と応答しているのを妙に客観的に観察しながら、俺は佐々木の術に見事に嵌まってしまった事を実感した。一体いつの間にやつの催眠術に掛かってしまったのだろう。

 そして佐々木が大きく手を叩いた瞬間、俺の世界は一変する。ハーブティーを飲んでからモヤモヤと感じていた、まるで自分でないもう一人の自分がいて、俺の意識と無関係に動いているかのような違和感が消えたのだ。意識は相変わらずハッキリしているが、操られている俺とそれを観察している俺の意識が統合して、ごく自然と佐々木の言葉に従う事を受け入れている自分がいたのである。何しろ彼の命令は俺が無意識に抑圧していた本当の自分を解放してくれるものなのだから、それに逆らう方がよっぽど不自然で良くない事なのだと見えない力が俺を納得させて支配しているようだった。
 
 佐々木はそれをさらに俺の意識に刻み付けるかのように語り掛けて来た。

「いいですか、今から私の事をご主人様と呼ぶのです」
「はい、ご主人様」
「私の言葉は全て本当のあなたを解放してあげるものです。ですから必ず従うのですよ、わかりましたか?」
「わかりました、ご主人様」
「勝手に動いたり、余計な事をしゃべってはいけません。私に言われた通りに動き、聞かれた事には正直に答えるのですよ」
「はい」
「あなたは何をしにここへ来たのですか?」
「娘が心配で……千恵利と同じように嫌らしい服を着て、アメリカ兵にえっちな事をされているのではないかと思い、ご主人様に文句を言おうと、やって参りました」
「では奥さんと娘さんに会わせてあげましょう。家内に呼んで来させます」
「ありがとうございます、ご主人様」

 こんなにへり下ってしまうのは妙な気もしたが、彼は「ご主人様」なのだから仕方ない。俺は自然に深々と頭を下げて感謝の言葉を述べていた。そして何やら英語で指示をされたキャサリンは部屋を出て行く。

「待っている間に聞こう。お前はいつもチェリーちゃんが俺やアメ公に犯られてるのをオカズに、シコシコせんずってるんだろう?」
「はい」

 佐々木の口調がいつものぞんざいなものに変わっていたが、俺は何の違和感もなく受け止めてありのまま正直に答えていた。

「嫁さんを抱こうとすればインポになる。なのに彼女が他人に抱かれているのを見てせんずるなんて、おかしいと思わないか?」
「おかしいです。自分は変態なんだと思います、ご主人様」
「チェリーちゃんと別れようとは思わないのか」
「思いません。彼女を愛していますから。千恵利と、奈々と、今の生活を続けたいと思っています」
「そうか。じゃあもう一つ聞こう。お前、娘と一発ヤリたいと思った事はないか?」
「そんな、事は……」
「正直に言え。娘にムラムラ来ちまう事はねえのかよ、増田っ!」
「ムラムラ来る事は、よく、あります」
「よし、お前の望みを叶えてやろう」

 そこまで話した時、千恵利と奈々を連れたキャサリンが戻って来た。千恵利は例の露出過剰なメイド服で、下着も着けていないのだろう。ガッと大きく開いた胸元から白い膨らみがこぼれそうだし、ムッチリと肉ののった太股が付け根付近まで見えている。「まだ働かせていない」と佐々木が言った奈々は学校帰りの制服のままだったが、露出狂みたいな母親の姿を見てどう思ってるのだろう? こんな服で仕事をしたいと思うわけはないが、と思ったら、妙に無表情でキャサリンに大人しく従っている様子がおかしい。目が泳いでいるし、彼女も既に操られているのだ。俺もあんな異様な目をしているのだろうか。

「よしよし、二人ともよく来たね。ママの仕事ぶりを見学してどうでしたか、奈々ちゃん」
「とても、恥ずかしかったです、ご主人様」
「明日から奈々ちゃんも、と言いたい所だけど、新人さんは研修が必要です。ママが軍人さん達のお世話をしている間、私が一から教えてあげましょう。男の人を接待するやり方をね」
「ありがとうございます、ご主人様」

ーー何を言ってるんだ! くそう! やっぱり思った通りじゃないか

 だが俺の身体は制御不能で、動く事はおろか、抗議の言葉の一つも口から出せなかった。

「お父さんの孝志さんも来てるんだよ」

 佐々木の言葉を聞き、ソファに座ったまま金縛りになった俺の姿を認めた奈々はわずかに表情を崩して驚きを表したようである。千恵利も奈々も何も言葉を発しないのは、俺と同じように行動を抑制されているからだろう。そんなに大きな部屋ではないが、俺が身動き出来ないでいるソファと、三人が入室して立ち止まっている入口とで正三角形を形作る一番離れた位置にもう一つのソファを動かした佐々木は、千恵利を呼んだ。

「チェリーはこちらへ来なさい」
「はい、ご主人様」

 そのソファの上で自分の横に千恵利をはべらせた佐々木は、ドアをキャサリンが閉めてからその場に立ち尽くしている奈々に向かって、とんでもない命令を下し始めた。

「さあ奈々ちゃん、スカートを両手で持ち上げて、中をパパやママに見せなさい」
「はい、ご主人様」
「恥ずかしがっても駄目だよ。君は本当はエッチな女の子なんだから」

 操られている奈々がスカートの両裾をゆっくりと上げていくと、色白の頬が見る見る真っ赤に染まっていく。奈々は黒いスパッツをはいていたのだが、純情そのものの娘の姿と裏腹に女らしくふっくらと発育して来た蠱惑的な美脚を包む黒い布地の眺めは、俺の目には十分刺激的だった。命令されていたわけでもないのに、俺の目は奈々のスカートの下に釘付けとなり、ズボンの中がカチカチに硬直するのがわかった。

「そんな黒いのをはいてちゃいけないよ、奈々ちゃん。パパもがっかりしてるじゃないか。なあ増田、お前娘のパンツを見たいだろ? 正直に言え」
「はい、見たいです、ご主人様」

 奈々は俺にとって本当に目の中に入れても痛くない程かわいい娘だし、誰もが認める文句なしの美少女だ。世の父親ならば皆そう願うに決まっている。正直な願望を口にした俺に、奈々は表情を歪めたように見えた。

「奈々ちゃん、パパもああ言ってる。ママだってこれから私とエッチな事をするんだから、パンツくらい恥ずかしがらずに見せなさい。キャサリンッ!」

 佐々木が英語で声を掛けると、背後に寄り添うように立っていたキャサリンはスパッツを脱がせ始めたのだが、奈々はスカートをぺろんとめくったまま身動きが取れない。たちまち露わになった子供っぽいイチゴプリントの純白パンツに、俺は咽がカラカラになる程興奮してしまった。

「奈々ちゃん、ママの方を見なさい」
「はい。ああ……」

 奈々も余計な言葉を禁じられているのだろうが、恐らく恥ずかしさの余り声が洩れ、その悩ましさに俺はドキッとした。パンツを見られるくらいで羞恥が極まってしまう初心な心と、母に似て立派な女性に成長しつつある大人の身体のアンバランスさに、俺は父親にあるまじき欲情を覚えてしまったのだ。さっきハッキリ告白してしまったのだから、今さら何を隠す事があるだろう。俺は奈々とヤりたい。操って貰ったおかげで自分に素直になれた俺は、最早人の道を踏み外す獣欲を剥き出しにして恥じなくなって来た。

 スカートをめくってお子様パンツを俺に見せ付けたまま動けない奈々が首を回して見やった先では、ソファの上で千恵利を抱き寄せた佐々木が唇を合わせミニスカの中に手を忍ばせていた。目の前で堂々と人の妻を抱こうと言う佐々木に、俺は抗議の言葉を口にする事も自分の座ったソファから動く事も出来ない。俺はやつの催眠術の強力さに兜を脱ぐよりなく、正常に動いている筈の頭の中ではさまざまな思いが渦巻いた。

ーーこんなにはっきり意識しているのに、操られてしまうのか。ああ、だったら千恵利。どうしてそんなに嬉しそうに佐々木に抱かれてるんだ? ああ、奈々。ママだって操られているんだよ。決して、自分から進んで浮気セックスしてるわけじゃないんだ……

 先刻承知の俺と違い純粋無垢な奈々にとっては、父親以外の男に嬉々として抱かれている母親の姿は、いかばかりか大きなショックである事だろう。だが俺の懸念をよそに、これまで動画の中でさんざん見せ付けられて来た通り、千恵利は全く無抵抗に佐々木のなすがまま身体を預けている。それどころか俺の目には、千恵利が積極的に佐々木と舌を絡めて性交を求めているのがハッキリとわかった。

ーーいくら催眠中でも、俺と奈々に見られてる事を意識してるんだろう、千恵利……

 自分が操られてみて初めてわかったその事実が、俺を打ちのめす。今目の前で俺を裏切り、娘の奈々にまで自分の浮気ぶりを晒してしまうくされビッチが彼女の本当の姿であり、普段の理想的な良妻賢母ぶりは仮の姿だったのではないか。そして、一体何が本当で、何が偽りであるのか、頭の中を疑念が駆け巡る程に、千恵利とは大違いの純情可憐な娘奈々を求める俺の欲望は膨れ上がる一方だった。

「奈々ちゃん、ママはこんなにえっちなパンツをはいてたんだよ」

 千恵利の超ミニスカメイド服の裾をまさぐっていた佐々木が、ノーパンとさして変わらない、股間にキリキリと喰い込む小さな布地を弄りながら言う。 

「それにほら、もうビッチョリだ」
「ああ、恥ずかしいわ、ご主人様あ」

 千恵利はそう口にするが佐々木に甘える媚態に過ぎない事は明らかで、本当に恥ずかしがっている奈々とは大違いだ。佐々木はそのグショヌレ極小パンツをアッサリ脱がせると、再び奈々に言い聞かせるように言う。

「奈々ちゃんも今度からママみたいにセクシーな下着を着けなさい。それにスカート丈はガッと上げて、スパッツなんかは禁止だ。わかったかい?」
「はい、わかりました」
「この店に来た時だけじゃないよ。学校じゃ先生や友達に、お家じゃパパやママに、エッチなパンツを見せてあげなさい。どうだい、嬉しくてゾクゾクするだろう?」
「ああ……そんなの恥ずかしいだけです、ご主人様」
「でも今だって、パパにパンツを見られて恥ずかしいだけかい? ドキドキしてるんじゃないの?」
「はい、恥ずかしくて、とってもドキドキしています」
「やっぱり奈々ちゃんもエッチな子だったんだね」
「ああ……そうだと思います」
「パンツを見られて興奮するなんて、さすがはこのイケないお母さんの娘だね、立派な変態じゃないか。どうだい、奈々ちゃん、さっきのパンツを見せる言い付けは守れそう?」
「はい、頑張ります」
「よお増田、良かったな。娘も変態みたいだぞ。何しろお前ら夫婦揃ってど変態だもんな、そう思うだろ?」

 実に巧みな誘導尋問で奈々が隠し持っていた露出願望を自白させた佐々木に矛先を向けられて、勝手な事を言うな、と反感を持った俺だったが、口をついた言葉は屈辱そのものだった。

「はい、ご主人様のおっしゃる通り、私も妻もど変態だと思います」

 もう人としての誇りまで奪われ地に堕ちてしまった感のある俺達夫婦と違い、まだ汚れていない奈々まで屈辱に身を焼きながら、あんな言葉を言わされたのだろうか。自白剤と催眠術を併用した佐々木の操りの、いかに酷薄な事か。そんな事は思っていない、自分の本心とは違う、と思っても絶対に知られたくない秘密の気持ちを暴かれてしまうのだ。だが妻を寝取られて興奮してしまう正真正銘ど変態な俺は、奈々の告白にも猛烈に昂ぶるものを覚えてどうしようもなかった。もうズボンの中は張り切り過ぎて苦痛を感じる程になっている。

ーー奈々のやつエッチな事を毛嫌いしてて、俺がビデオを見ながらせんずってたのを見られてから口も利いてくれなかったのに、本当はちゃんとエロ願望を持ってやがったのか。もう結婚しても良いお年頃だし、乳もケツも立派になって来てたもんなあ……それなら遠慮はいらないね。パパが女の子にしてあげよう

 こうして俺達家族三人の隠されていた変態性を容赦なく暴いていく、佐々木の催眠プレイはどんどんエスカレートしていったのである。


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