彼の恫喝は執拗に続きました。この会社が属する業界は、海千山千の人間ばっかり。
ハッタリや脅しすかしで成り立っているようなところがあるのです。
机を拳でバンバン叩く、大声で怒鳴りつけるなどの威圧行為が続きました。
その後は、彼の人生論、人間学の説教です。こういう独善的なワンマン経営者は
こういうのが大好きなんです。
ちなみに打ち合わせにが始まってから2時間が経過していますが、前向きな
仕事の話はまだ一切できていません。
彼の語録を一部紹介。
「ええか?このビジネスは人と人との触れ合いや、ワシは誠意を見せてくれる
奴を裏切ったことはないんや。
お前らが1000万でも2000万でも用意してきて、社長を支えさせて下さい
と言えば、ワシも『よっしゃ!』言うて儲かったときには報いてやるがな」
→債務者の言うセリフとはとても思えません。
しかも我々が資金を調達してくれるという大きな誤解をしているようです。
「この業界は借りた金は倍返しが鉄則なんや。ワシは今まで金を借りても
そうやって恩を返してきた。ワシは受けた恩は忘れん男なんや。
そのかわり、裏切ったら怖いでー」
→倍返しとか景気のいいこと言っているわりには、元金すら返せなかったから
こういう事態に直面しているという事実に早く気付いてほしいものです。
絶対に口には出せませんけど。
「お前ら素人にこの商売の何がわかるっちゅうねん。ワシは業界の10年先、
20年先が正確に見通せているんや。
お前ら素人とは向いている方向が360度違うねん」
→360度違うって、同じじゃないんですか?でもそんなチャチャいれると
大阪湾に沈むか六甲山中に埋められそうです。
以上のことが延々と続き、解放されたのは4時間後でした。結局、最後は
「金もってくるか、金主の了解を先に取り付けてくるのが筋やろが。
それがない限り、この話は白紙や」
と怒鳴りつけられ、すごすごと帰京したのでした。しかもそれまでも一部は作業に
着手していたのですが、その分のフィーはもらえず、貸し倒れになると言う
最悪の結果に終わりました。今考えると、あれは一体なんだったのかと、
思い出したくない記憶です。