2005年12月12日

第1章 太平洋のさなかで 源三の手紙

〜ヒロさんよ、アンタのことだから不安になりながらも何とかやっていることだろう。オレもアンタのおかげで自分を取り戻すことができた。恩に着るよ。オレが言うのも何だが、人生というのはあっという間に過ぎるもんだ。後からこうしとけばよかったなんて思うもんなんだ。

 

この手紙は、気持ちが落ち着いたときに読むようにアンタに言った。だからたぶん太平洋のど真ん中かどっかで読んでいることだろう。平和な気持ちでいるときってのは、案外、どうしていいかわかんないもんだ。逆境に陥ったときはどうしたらいいか見えるもんだが、平和だとどうでもいいことが目につき、逆に、迷ってしまうもんなんだよ。

 

それはあたかも嵐の海じゃぁ必死に力を振り絞って懸命に生きようとするが、なぎの海じゃぁ気が抜けるのと同じなんだよ。だがな、気を抜いてだらーとすることも必要なんだよ。何もしない。ただそこにいるだけ。まるで海の上に寝そべるようにただ漂流する。それも大事なんだよ。何かをしてるときだけが偉いんじゃない。灯台のようにただそこにいる。動じない。なすがままに身を任せる。こういったことが大事なんだよ。またいつか会おう。〜源三

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