2006年01月21日

エリック家 優雅なる生活 第1章 オーストリアにて5

第1章 オーストリアにて

ここは、オーストリア。

グラーツ市にあるホテル セッツァ、石だたみに囲まれ、庭には、

赤や黄色のパンジー、つつじの木が植えてあり、心を和ませた。

 

行き交う人たちも皆、おしゃれを演出し、ここが異国の地にいると

感じさせる。

 

僕は、1850年から続いているという老舗カフェ・ドルチェにいた。

ホテルのテナントとして入っていたこの店は、ホテル内の静かな部屋と

解放的なオープンカフェが用意されていた。

 

外のテーブルで、チョコレートケーキとカプチーノを頂いていると、

目の前に、黒いクラシックカーが止まった。

 

バタン

 

後部座席から品の良さそうな紳士が降り、ドアを閉めた。

軽く運転手にあいさつをし、こちらへとやってきた。

 

「きみが、ヒロさんじゃないかな」

気さくに話しかけてきたその紳士は、

すらっとしていて、イメージとは違っていた。

鼻下に口ヒゲをたくわえ、まっすぐときれいに手入れがしてあった。

 

「はい、ヒロです。エリックさんですね」

日本人は、僕一人だから、エリックさんは、すぐ気づいたのだろう。

僕は、話しかけられるまで、あの人かなぁ、この人かなぁと探していたが、

近づいてきたこの人には、独特の落ち着いた雰囲気があり、

エレナ婦人と同じ匂いを感じ、直感的に、この人が息子さんかと

わかった。

 

「ようこそ、オーストリアの街へ」

それが、エリックさんとの出逢いだった。

 



トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔