古式横穴式石室

2021年08月27日12:38

カテゴリ: 古墳; 遺跡

岩淵古墳【山口県防府市台道】

▲古墳外観。
　墳丘は周囲が水田により削られているため、本来の規模は不明。墳丘中央部に竪穴系横口式石室が開口している。

▲石室開口部。

▲玄室内部。

▲玄室奥壁。

▲右側壁。

▲左側壁。

▲奥壁側から入口側を望む。

▲天井石はやや傾いている。

▲玄門部は若干左側壁に寄っている珍しい構造。

▲玄室全景。

▲墳丘外観。
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　築造は5世紀代、遅くとも6世紀前半であろうと思われます。このような古い形式の横穴式石室が見学できる古墳は非常に珍しいです。内部に入った時の感動はかなりのものでした。

タグ：: #山口県の古墳; #防府市の古墳; #横穴式石室; #古墳; #円墳; #岩淵古墳; #竪穴系横口式石室; #古式横穴式石室

2020年09月14日12:58

カテゴリ: 古墳; 遺跡

勝浦峯ノ畑古墳［福岡県福津市勝浦］

▲墳丘近景。

　現在は大幅に削られているが、元は全長100mの前方後円墳。5世紀中頃の築造で内部主体は古式の横穴式石室。

　横穴式石室内部は赤色顔料で赤く塗られ、石室軸に二本の柱が立てられている。国内には例の無い石室で、朝鮮半島に類似する石室が存在している。

▲前方部から後円部を望む。

▲石室入口付近。

▲横穴式石室内部。

▲中央に柱が立つ。

▲石室床面。

　奥に屍床仕切石が見える。

タグ：: #勝浦峯ノ畑古墳; #津屋崎古墳群; #初期横穴式石室; #古式横穴式石室; #赤色顔料; #横穴式石室; #前方後円墳; #柱を持つ横穴式石室; #古墳

2020年02月03日17:27

カテゴリ: 古墳; 遺跡

兜塚古墳と飯氏二塚古墳［福岡市西区］

⚫️兜塚古墳［福岡市西区飯氏633］

　高祖山からのびる丘陵先端部に位置する全長53m以上、高さ6mの前方後円墳。

　内部主体は比較的古式の横穴式石室で、現状では全長4.4m・幅2.2m～2.4m・高さ1.6を測るが一部は盗掘による破壊を受けている。

　発掘調査により玉類などの装身具、武具、鏃、刀などが出土した。また墳頂より平安時代の経筒も出土している。

　5世紀後半の築造。

▲説明板の測量図。

▲前方部から後円部を望む。

▲後円部と横穴式石室開口部。

▲石室開口部。

▲石室開口部から内部を望む。

▲玄室内部。

▲石室右側壁。

▲石室左側壁。

▲奥壁。

▲奥壁側より入口を望む。

▲奥壁右側に集められた石。床面に敷き詰められたものか？

▲床面には僅かな段差が設けられている。

▲段差の石組み近景。

▲石室開口部現状。

⚫️飯氏二塚古墳［福岡市西区飯氏792］

　全長48m、高さ5m、後円部直径23mを測る前方後円墳。後円部には横穴式石室があるが、大半が失われており羨道や閉塞石など僅かな石材しか残されていなかった。

　石室内からガラス玉、馬具、墳丘くびれ部からは須恵器が出土したが埴輪の存在は確認されていない。

　6世紀初頭～前半にかけての築造。

▲説明板の測量図。

▲前方部付近に置かれた大型の石材。

▲墳丘現状。

▲後円部に大きく抉れた横穴式石室の跡。

▲横穴式石室跡現状。

▲入口側から石室跡を望む。

▲前方部から後円部を望む。

▲後円部から前方部を望む。

▲前方部、葺石が露出している。

▲飯氏二塚古墳と兜塚古墳の間に残る小円墳。

▲墳頂には盗掘坑が。

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　今回は福岡平野の西、国指定史跡今宿古墳群内にある二基の前方後円墳をご紹介しました。どちらも整備されていないというか若干荒れた感の否めない古墳ですが、特に兜塚古墳は5世紀代の横穴式石室に入れる貴重な例と言えそうです。

タグ：: #古墳; #横穴式石室; #今宿古墳群; #前方後円墳; #兜塚古墳; #飯氏二塚古墳; #福岡市の古墳; #福岡県の古墳; #古式横穴式石室

2016年01月18日02:55

カテゴリ: 古墳; 遺跡

古墳現状。

　筑後川左岸の自然堤防上に立地する全長48m、後円部径30mを測る前方後円墳。墳丘は開墾や筑後川の堤防を築く時に土採りされ現状では殆ど残されていない。内部主体は前方部寄りに築かれた単室構造の横穴式石室で全長2.4mを測る。石室内壁には突起があったとされるが現在は確認することができない。昭和50年・51年に調査され周溝から円筒埴輪や家形・甲・靱・馬などの形象埴輪が出土した。５世紀後半の築造。

石室入り口正面。

墳丘は削られ横穴式石室石材が抜かれているだけではなく、農家の倉庫と一体化して辛うじて残されている。

玄門左側の石材が抜かれている。

玄室内部。全面に赤色顔料が塗布されている。

左側壁がは特に破壊が激しい。

右側壁は概ね原型を留める。

左側壁は玄門側と奥壁側の石材が抜かれて不安定な状況。

玄門に残る板石は筑肥型石室の影響下も窺える。

奥壁。

奥壁に空けられた穴から石室内部を望む。

左側壁は非常に危険な状態。

石室に隣接する倉庫。（農家の作業スペース？）

奥壁付近は物置状態。

置かれた道具をみているとまだまだ現役（？）として使用されているようだ。

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木塚古墳から見る耳納連山。
　久留米市内では比較的古い段階の横穴式石室を見ることができます。ただ現状はあまりにも無残・・・。左側壁だけをみると絶妙なバランスで石室が保たれているようで、いつ崩れてもおかしくない気がします。かなり貴重な古墳だと思うのですが。

タグ：: #福岡県の古墳; #久留米市の古墳; #横穴式石室; #古式横穴式石室; #初期横穴式石室; #木塚古墳; #筑肥型石室; #赤色顔料; #前方後円墳; #古墳

2015年03月03日18:21

カテゴリ: 山陰古墳巡りの旅2015; 古墳

山陰の古墳巡り、その3。

⚫️吉定1号墳（伯耆町）

直径約10mの円墳。内部主体は割石を小口積みにした横穴式石室。玄室長は5.8m、幅2.2m、高さ1.9mを測り、短い羨道が付く。県内最古の横穴式石室として知られている。5世紀後半の築造。

石室内部。

玄室奥壁に沿って屍床になっていたと思われる。

仕切石？

右側壁の独立した板石。

美しい石積み。（右側壁）

奥壁側から入り口を望む。

開口部現状。

⚫️貝田1号墳（江府町）

直径8.5mの円墳で全長2.3mの小型の横穴式石室を持つ。

石室内部。入り口側から胴張り状の平面プランであるが、まぐさ石に対して袖石がかなり手前に設置されている。

天井の持ち送りは見事。北部九州との交流が指摘されている。

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今日は午後から雨天となり二基しか訪問出来ませんでした。
それでも吉定1号墳の素晴らしい石積みと内陸部山間に立地する横穴式石室を持つ貝田1号墳を見学できたのでそれなりに満足です。

石室進入にはそれなりの覚悟も必要。

石室内ではコーフンです！

タグ：: #伯耆町; #江府町; #横穴式石室; #初期横穴式石室; #片袖式石室; #吉定1号墳; #貝田1号墳; #古式横穴式石室

2014年11月12日14:31

カテゴリ: 古墳; 名所旧跡／史跡巡り

古式の横穴式石室か？長嶽山2号墳（糸島市）

　昨日糸島市へ行ったついでに長野宮ノ前支石墓に寄り道。その寄り道ついでに宇美八幡宮境内にある長嶽山古墳群を軽く探索したら素晴らしい石室に遭遇しました。

宇美八幡宮。

社殿に向かい左側に長嶽山古墳群の説明板。（後方は6号墳）

長嶽山古墳群分布図。
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タグ：: #糸島市の古墳; #長嶽山古墳群; #長嶽山1号墳; #奥の院古墳; #長嶽山2号墳; #横穴式石室; #初期横穴式石室; #古式横穴式石室; #竪穴系横口式石室; #帆立貝型前方後円墳

2014年01月17日21:21

カテゴリ: 古墳; 名所旧跡／史跡巡り

福岡市南区老司付近の古墳と遺跡

⚫️老司古墳

那珂川中流域西岸、標高40mの丘陵上に立地する全長75mを測る前方後円墳。1965年～1969年にかけて調査され、後円部から三基、前方部から一基の竪穴系横口式石室（古式の横穴式石室）が発見され、内部三角縁神獣鏡などが出土した。5世紀初頭の築造。
現在は福岡少年院敷地内に立地しており立ち入り不可。国指定史跡。

老司古墳前に設置された1/100の模型。

三号石室。（説明板画像）

⚫️卯内尺古墳跡

老司古墳から200m離れた中村病院内に存在していた全長75mの前方後円墳。
1991年の調査時にはくびれ部の一部しか残っていなかったが、内部主体は竪穴式石室であったと言われており、卯内尺古墳出土と伝わる仿製三角縁神獣鏡が九州国立博物館に収蔵されている。
4世紀中葉の築造で、老司古墳の一世代または二世代前の首長墓。現在は完全に消滅、病院前に説明板がある。

残存していた墳丘。

調査時に検出された葺石。

卯内尺古墳出土の三角縁神獣鏡。

古墳があった現在の中村病院。

⚫️老松神社古墳群

老松神社境内に残る5基の古墳群。未発掘の為、築造時期は不明であるが内部主体は箱式石棺と推定されている。

老松神社と説明板。

小丘陵上に立地。

はっきりと墳丘が確認できるのは2基程度。

⚫️老司瓦窯跡

正式名称は観世音寺境内および子院跡附老司窯跡。
7世紀末から8世紀初めに創建された観世音寺に使われた瓦を制作していた窯跡で出土した瓦は老司Ⅰ式と呼ばれている。
国指定史跡。

発掘調査時の老司瓦窯跡。

法務省敷地内で立ち入り禁止。

タグ：: #福岡県の古墳; #福岡市の古墳; #老司古墳; #竪穴系横口式石室; #古式横穴式石室; #卯内尺古墳; #三角縁神獣鏡; #老松神社古墳群; #老司瓦窯跡

2013年01月29日19:20

カテゴリ: 関西から山陽道を行く旅2013冬; 装飾古墳

千足古墳の今

現在は石室から取り出された装飾を施した石材が岡山市埋蔵文化財センターにて期間限定で公開されています。

装飾は以前にも現地にて見学した事がありますが、いやはや酷いもんで・・・
中央左側の直弧文は特に剥落が激しいようです。
高松塚古墳と同じく施文されている面を上にしガラス越しでの公開でしたが、石材上面の鍵手文がどのようになっているのか気になるところ。

さて再三に渡り書いてきましたが、この石材は一般に石障と呼ばれるべき部位ではありません。
千足古墳にはたしかに石障はありますが、装飾のある場所はあくまで仕切石です。
筑肥型の石室に石障という組み合わせは北部九州や肥後との繋がりを考える上で非常に重要ですが、用語の混同はこれらの事を考える時には絶対避けるべきではないかと思っています。
三重県のおじょか塚古墳や久留米付近の石障を持つ古墳を見ていると、寧ろ完全な肥後型の伝播よりも筑前＋肥後というのが多く見られます。

千足古墳の位置づけを考察するならば直弧文の場所＝石障は改めなければならないと言えるでしょう。

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さて、現地を観察して驚いたのが装飾石材の模刻がすでに搬入されていたこと。
今回の旅で見学した、もはや墳丘内には何もない高松塚古墳とは対象的に感じました。
史跡としての価値は千足古墳の方が遥かに感じる事ができます。見学した甲斐はありました。

タグ：: #古墳; #肥後型石室; #筑肥型石室; #装飾古墳; #直弧文; #鍵手文; #古式横穴式石室; #千足古墳; #石障; #仕切石

2013年01月25日20:18

カテゴリ: 関西から山陽道を行く旅2013冬; 古墳

宮山塚古墳・宮裏山古墳［平群町］

宮山塚古墳は近畿に置ける数少ない完存する古式の横穴式石室墳で、持ち送りが著しい右片袖の構造をとる。
宮裏山古墳は羨道の破壊が激しいが、見事な玄室が残っている。

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宮山塚古墳、意外な収穫でした♪

タグ：: #古墳; #平群町; #古式横穴式石室; #片袖石室; #持ち送り; #畿内の古式横穴式石室; #横穴式石室; #宮山塚古墳

livedoor プロフィール

スカイトレッカー

古墳と旅をこよなく愛する凡人。

２００５年６月から２００６年５月にかけて、愛車SR400に乗り日本一周を敢行。
２００７年２月～３月には自転車で台湾を一周。
２０１０年９月、自分のバイクで韓国へ。古墳を中心に名所旧跡を探訪する。

旅が最大の生きがいで、バイクでの移動を好む。愛車は2010年式SR400で、カラーはオリジナルのシルバー。

幼少の頃から遺跡めぐりを繰り返し、大学では考古学を学ぶ。その後、大学院へ進学するも挫折。現在に至る。

主な興味の対象は、旅・遺跡・装飾古墳・城郭・沖縄／奄美・バイク・林道・写真・ｽﾀｰﾄﾚｯｸ・航空機関連。

　
総じて中途半端人間。

ＨＰ：http://www.geocities.jp/decoratedtombs/（装飾古墳探訪記）

古跡探訪録

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