10/22岩トレとアイスアックストレ?@古賀志10/29 岩場搬出訓練@古賀志

2006年10月25日

遭難・登山のリスク回避に関する姿勢

17年の山岳遭難統計は、遭難者数、死者数とも過去最悪でした。最近の身辺での事故や事故予備軍的な山行記事をみて改めて思うのは、山岳会組織がよく「未組織登山者」という言葉で、あたかも山岳会未加入登山者を「ハイリスク登山者」の様に一緒くたに言う嫌いがありますが、実際は、組織所属登山者にも、未組織登山者よりもっと危ない人が大勢おり、また、労山だろうが岳連だろうか山岳会組織がそういう危ない登山者の培養装置にすらなっている状況が広くみられるのではないかということです。
 実際の山岳事故統計上も、2003〜2004年の遭難事故の3割は組織登山者によるもとの推定されています。一方、登山人口の総数は把握不能ながら、この中に占める組織登山者(全国で約7万人)の割合は、どう多く見積もっても3割ということはあり得ないでしょう。もし3割だとすれば全国の登山者人口は20数万人程度しかいないことになりますが、実際は長野県の年間登山者数だけで50数万人ですから全国の登山者数は数百万の単位でしょう。即ち全登山者の3割に遙かに満たない組織登山者が遭難事故の3割をおこしているわけであり、登山形態や山行頻度の差を考慮に入れずに単純に事故率を比較すれば、組織登山者の方が未組織登山者より高率ということになります。
 山岳会に入れば安心、未組織登山者だから危険というのはあまりに短絡であり、「危険が危険であるのは、まさにそれが危険だと認識できないことによる」といわれるとおり、 山岳会会員だからこそ陥りやすい落とし穴に気づくことは事故防止に大事な点です。

  少なくとも、統計資料上、労山会員の70人に一人が年1回は遭難対策基金を申請しています(栃木県でいえば、県連会員数約500人ですから毎年7件の事故申告があるという計算になります。また労山は他の山岳団体に比して極めて事故率(正確には事故報告の届出率ですが)が高い(数倍)という事実も知っておくべきでしょう。且つ、全国連盟や県連執行部はこの報告書の内容を会員に伝え、ここに表れた事故率の団体間の大きな差異の背景について検討し説明をするべきだと思います。  
 労山の遭難対策基金は自宅から登山口までの間の事故や、軽度の事故も申請すれば認定されるため届出数が多くなるという説明がありますが、集計された事故の9割以上は、レベル3以上(入院を要する〜死亡まで)の重大事故であり、軽症の申告件数が労山の事故率を突出して高くしているわけではありませんし、日山協や都岳連の事故率は年間300数十人〜500人に1人であり、たとえ実際の事故の半分しか報告されていないとしても、まだ労山の事故率(年間70人に1人)より遙かに低いことから、各組織間の保険制度の違いや申告漏れだけでは大きな事故率の差異を説明しきれないのではないでしょうか?(このあたり、山岳遭難統計の基礎資料は第2〜4回の山岳遭難事故調査報告書:第2回第3回第4回
 尚、集計された5百数十件の事故報告のうち、死亡事故が約7%ですから、労山の事故率1人/70人の7%とすると、年間約1人/1000人(0.1%)が遭難事故で死亡することになります。ここで、「一件の死亡事故・重症事故の背後には29件の事故、300件のヒヤリハットがある」という労働災害分野でのハインリッヒの法則を妥当かどうかは別として仮に適応すると、怪我や遭難事故(レベル2;治療を要する以上の事故)は1/30人、ヒヤリハットは1/3人ということになります。栃木県連の規模で言うと2年に一人死亡、年間10数人が怪我か遭難、100数十人はヒヤリハットを経験していることになるわけです。各山岳会単位で見ても、年間一人位は怪我か遭難をし、また多くの会員がヒヤリハットを経験しているというのは、ほぼうなづけるところではないでしょうか?
 実際には0.1%の死亡確率というのは巷間よく言われる「アルパイン系登山のリスク」であり、一般登山はこれより遙かに低いはずですので、栃木県の実際の死亡事故率との比較をする必要があるでしょうが、栃木県労山の山岳会の圧倒的多数はハイキング系であることを考えれば、ここ30年間の死亡事故数は統計から想像する範疇を大きく逸脱していないだろうと思われ、逆に言えば、今後も同様の統計に則った事故率が予想されます。

 登山(にかぎらずWildernessの中に身を置く行為全般でしょうが)とはそもそも大なり小なりリスクを内包する、あるいはより積極的にリスクを求めてこれに立ち向かう行為なので、「ゼロリスク」が最大の重要課題なら山をやめるしかないでしょうし、山をやらない者が山のリスク回避について前向きの議論や実践ができようはずはありません。事故をおこしたからといって即危ない登山者ではないし、事故を起こさないからというだけで安全な山岳会というような、短絡的部外者的な見方に流されてしまっては的確な認識にはたどり着けないでしょう。
 リスク回避の核心は、山のレベルとその山に向かおうとしている登山者のレベルを冷静に対比し、その特定の両者の組み合わせのなかで生ずる可能性のある危険を見落とさずに予見・感知することであり、そうできるようトレーニングすることだと思います。
 山岳会としてまたその会の所属会員として、リスク感知に対するそのようなトレーニング(実技と知識)と実践の繰り返しによる一足飛びではない地道なステップアップ、これがやはり無謀登山を避け長年継続して山を続けるための定石であるいは王道じゃないでしょうか。アセントクラブ(とNCCも)の設立の主旨はここにあるということを、ブログ初期の記事や各自の意思表明を見直して再確認したいものです。 <00>

 以下、yahooの掲示板からのコピーです。感情的対立などで議論の本筋からはずれてしまった応酬も多数ありますし、それがなくてもこの問題に最終決着が付くことは 無いと思いますが、傾聴すべき大事な意見もいくつかあります。ほんの一部のみ抜粋しますが、2628番以降の投稿を是非時間をとって読んで見てみてください。

「プロセスを飛ばして結果を急ぐ人が少なからずいる」・・・自分の力量や経験と関係なく、しばしば見栄や対抗心から行く山を選んでしまうなんてのは、その一例でしょうね。
「人間一度覚えた容易さからはなかなか逃れられるものではない」・・・事故を起こしても山への姿勢は容易には変わらないということでしょう。

など、私自身も含め常に留意すべき優れた洞察だと思います。

http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1834976&tid=bb3a4naxfqa4ra4ja4afa4bda4a6&sid=1834976&mid=2628

http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1834976&tid=bb3a4naxfqa4ra4ja4afa4bda4a6&sid=1834976&mid=2635

http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1834976&tid=bb3a4naxfqa4ra4ja4afa4bda4a6&sid=1834976&mid=2636

http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1834976&tid=bb3a4naxfqa4ra4ja4afa4bda4a6&sid=1834976&mid=2644

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