2007年12月29日

12/28-29 戸台川アイスで薄氷/悪氷三昧

2007Dec28,29戸台アイス180さん恒例年末3日間の黄蓮谷アイス。左俣最後の氷にアックス打ち込みたいというリベンジ、去年果たせず、今年末こそと、1年間それなりに意識してこのアルパインアイスのトレーニングとなるよう、全く効果は不十分ながら衰えた担荷力回復を含め、いろいろな山行やクライミングをやってきたのだが、南岸低気圧の通過頻繁で、仕上げに28日から年内最後の南岸低気圧と更にその後を追って大寒波南下見込みで、グウの音もでない。0さんとはやばや26日には中止を決定する。まあ未練残しようもないほどの悪条件でいっそさっぱりあきらめられていいといえばいいが、くすぶる思いは如何ともしがたし。

<---卓上の見事なバーチカルアイス、いやバーチカルワックス。人類には絶対登れないのでこれはまあXII級くらいでしょう。


 天気のいいなりでおめおめと引き下がれっかよ、と、間髪入れず26夜にNさんと連絡をとり、28、29に入っていたNさんの予定を無理をいって変更してもらい、寒波による悪天に掴まる前に2人して、急遽27夜から29までの日程で、同じ甲斐駒の反対側、戸台川本谷のアイスに初見参をもくろむ。
 まあこんなこともあろうかと、12月初めからサブの案として、尾白川下流域と戸台川はちゃんと下調べしてあったのだが、尾白川はまだ年内は結氷不十分、戸台のほうは標高1800mあたりなので、より結氷確率が高いだろうし、28、29の南岸低気圧で雨になっても積雪量から見て雪崩れる心配はないし、標高からみてうまくすると雨でなく雪になってくれるかも。そして赤河原をベースにすれば、どんなに悪天になろうとも下山に心配はないしね。

 8時豊四季駅でNさんと合流、N号は、0さんの契約駐車場に停めさせていただく。渋滞殆どない首都高を抜けて、中央高速で伊那ICまで。11時半に美和湖脇の道の駅着で、軒下ビバーク。全然寒くないが、道路に近く通過する車の音で睡眠は断続的。朧月夜の3時半起床で、戸台河原駐車場へ移動。登山指導所のポストに山行計画書を入れて、予定通り4時半スタート。
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 1時間1ピッチで荒涼たる夜の河原を歩く。
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 白岩の堰堤の先は、地図によれば道は左岸沿いだが、ヘッドライトの届く範囲は倒木だらけで歩きにくそうなので、そのまま河原をすすむ。ずいぶん昔、夏に甲斐駒〜鋸岳縦走の帰りにこの辺り歩いているはずだが、夜でもありさっぱり記憶はよみがえらず。
 そのうち砂防の堰堤にいきあたる。右岸側には巻き道ないので左岸だとおもうが、そこまで行くのが億劫なので直登で突破。また河原歩き。そして左岸樹林帯にはいるとピンクテープが頻々とついている。2回目の休憩、6時半頃に夜が空け始め、谷の奥に雪をまとった甲斐駒から双児山あたりの稜線が姿を現す。
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 7時15分、無人の丹渓山荘の廃屋着。
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「薄気味悪くて入る気がしない」というような報告が散見されるが、まあ我々が鈍感なのか霊感にめぐまれていないのか物の怪や亡霊の気配は感ぜず、「へえ、結構快適そうじゃん」と喜ぶ。実際かなりの人が使っているようだ。わざわざテントは背負って来たものの、夜は雨になるかもしれないし、ダニの3匹、ネズミの5匹、幽霊の一人や二人いても屋根の下で寝る方がそりゃ快適でしょうというわけで廃墟内に荷物を置き、登攀装備で8時10分発。ちょうど昨日仙丈を登ってきたという2人パーティが降りて来て、山荘下の平地にテントを張っている。五丈の滝を登るつもりだと。
 我々は当初の予定では、まず駒津沢F1を目指すつもりだったのだが、最初に目に入った舞姫の滝が結構登れそうに氷結しているのを見て心変わりし、明日の天気の保証もないし、ここまでのアプローチでそこそこ疲れたし、今日のうちに近場の登れる滝を登っちまいましょうということで、舞鶴と鶴姫ルンゼの偵察に行く。舞鶴の滝は、殆ど氷がなく、岩に薄い氷は一部張り付いているのみ。鶴姫F1はOKそうなので、ルンゼを登ってF1取り付きに9時着。
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 ガイドブックに載っている写真と比べてもまだ十分育っていないようで、つららの集合体で水もちょろちょろと流れている。Nさん石器バイルでリードを考えるが、表面の柔氷の下は硬く、結構引っかかりを作るのが大変そうでちょっと思案顔。そこで「足尾の夏小屋より大きいよなあ」とややびびりモードだった00、思い切って「リードさせてもらっていいですか?」と覚悟を決めて先に取り付く。
 アックスは決まるがデュアルポイントのアイゼンだと足がかりをつけようとするとつららが割れてしまうので四苦八苦。早速フリーはあきらめて、アックステンションでスクリューを決める。8〜9mのバーチカルをスクリュー3本でのろのろと抜けて、落ち口に4本目、上の緩い傾斜の氷途中にもう1本。その上は氷がなくガレた沢の凍り付いた倒木でビレーして計35mほどで終了。30分もかかったんじゃないだろうか?やっぱ大同心大滝よりは短いが、夏小屋よりは長いわな。それに氷細いからV+って感じ。
 フォローのNさんはやはり縄文バイルなので時間はかかるが、見事ノーテンで上がってくる。大同心以来、こっちも見慣れてしまってなんだか当たり前に思ってしまうが、なんせ自作石斧でバーチカルだからね。
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 F2は殆ど岩がむき出しなので、問題外。
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ここから50mダブルの懸垂で降りる。
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 もういちど、舞鶴ルンゼを確認しやっぱり氷ないのを見届けて、舞鶴ルンゼに移動開始。
2007Dec28,29戸台アイス11”貧氷の鶴姫ルンゼ”














 舞鶴F1の氷は上部短いバーチカルになっていて、右半分は水が流れている。F2はみえない。F3はつららの集合体だが下までつながっている感じ。
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アイスエキスパートにして薄氷、悪氷に抜群に強いNさんは「これならF3登れるよ」と頼もしい見立てで、早速F1にとりつく。雲は薄くなり時々薄日が射す天気は気持ちよいが、氷にはあまり日が当たってほしくないので痛し痒し。
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今期これまでずっと石器バイルで通して来たNさん、これが今期初のメタルアックス。当然というかさくさくと停滞することなく登る。
 フォローするとボロボロの氷で、短くてもバーチカル部分は怖い。さらに落ち口の氷は薄くアックスを決められるところがごくわずかな上に、試しに体重をかけると、氷全体がギシギシと音をたてて崩壊の恐怖が背筋に走る。目をつぶるような気持ちで落ち口をのっこす。いやあリードしなくてよかった。
 F1上からみるF2は惨憺たる有様で、さっきあきらめた舞鶴ルンゼみたいに、半分以上岩が露出して水がながれ、氷はほんのわずか溶け残りがくっついているだけ。F3は下からはわからなかったが、左右2つの氷柱。
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 岩の傾斜は緩いので、00確保なしでずるずるロープ引きずって、F2上まで右側の水流のある岩の部分を登ろうとしたが、結構手がかりなく難しいので急遽溶け残りの氷にアックスホールドを求めて左から登る。これまた結構ヤバく、すかすか氷にスクリューを打って一段登り、1mほどのカーテン上の氷にもう一本。そして、「すみません、ビレーしてくださ〜い」とNさんにSOS。といってもどちらも絶対墜落荷重には耐えない代物なので緊張は高まるばかり、幸い落ち口の氷が一部厚く盛り上がっていたのでここで漸く3本目のスクリューを安心でいる感じで埋め込むことができた。
 その上は岩がむき出しで、ミックスもどきとそれでも足りず、手袋の手でカチホールドにしがみつき、アンダーホールドやスローパーまで使いつつホウホウの態でやっと抜ける。正直、さっきの鶴姫F1リードよりコワかった。昨シーズンの足尾で薄氷、悪氷登りの練習をしておいたおかげで何とかなったってところ。
2007Dec28,29戸台アイス15”死ぬ思いで登った恐怖のF2ミックスを振り返る。Nさんも悪いね、といってたくらいだから、やっぱ悪いんよ。”








 F2上から見上げるF3は左右2本の氷柱になっている。左の氷柱は日が当たるからか、抜け口から上がきわめて薄く、しかもつながっていない。右も水がしたたる細いつららの集合体だが、上部の氷がしっかりしていそうなのでこちらがいいだろう。
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 といっても、明らかに00の手に負える代物ではないので、ここはNさんの独壇場。ためらうことなく安定した登りだが、見ているといつもに比べてスクリューをマメに打っている。「あ、これは結構ヤバい氷にちがいないゾ」と気を引き締める。
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 フォローすると案の定、むちゃくちゃ手強い。舞鶴F1はそれでもつらら同士がある程度くっついていたが、この滝はその接着がごく弱い。水平に蹴ればペキペキと折れて、体勢は垂直ではなく前傾壁風になる。さらに全体としても細い氷柱のこととて、デュアルポイントだと足を決めることができる範囲はごくわずか。必死の思いでダイアゴナルの2点バランスまで繰り出してなんとかノーテンで越えたが、00的には過去最難。これはもうVI級の範疇でしょう。
 F3上はこれまた全然氷なしなので、立ち木で懸垂し、左側の氷柱をTRで登ることにする。登ったNさん、3回ほどアックスが外れて左手一本で耐えるあやうくもしぶとい登りでクリアしたが、「やっぱこっちの方が難しい。リードは無理でしょ」と。スクリュー決められるようなところはないようだ。
 00もやらしてもらうが、離陸して次の1歩がもうでない。足を決めようにもつららがぼろぼろこぼれるばかり、気づけば殆ど135度のドッカブリ前傾壁を登っているような体勢。そして全体重をかけてぶら下がっていた右手アックスが氷崩壊とともに外れ、宙ぶらりんとなる。これは到底無理と思い、「ギブアップ」。こっちはVI+って感じじゃないだろうか?いやそもそもプロテクションをとれない氷だから本来登攀対象にはならないだろう。
 3時過ぎ、荷物をまとめて小屋にもどる。先ほどの2人パーティーもテントに戻ってきたので話を聞くと、五丈は凍っておらず、鶴姫を登ったとのこと。
 五丈凍っていなくても駒津沢F1は大丈夫そうだが、五丈F1、F2を巻かなくてはならないとすると相当時間を食いそうなので、駒津沢F1で時間一杯、奥駒津までは行けなかった可能性高く、Nさんには物足りなかったろうから今日の方針転換はまあ正解だっただろう。
 小屋に着くとちょうどぱらぱらと雨ともみぞれともつかない気配。屋根の下すっかりくつろいで食事を食べて、6時前には寝るが、眠りは断続的。気温も全然下がらず、暑くて寝袋から半身出ていないと汗をかくくらい。8時頃から雨は本降りで、11時でも、3時でも同様で、全く雪に変わる気配なし。「これは、明日は氷は無理。下山のみだなあ」
 駒津沢登らないで帰るのは心残りだが、この雨と暖かい気温では迷う余地もなく、もう氷は全滅だろう。
 6時半、あかるくなったころ起床。雨は同様。相談するまでもなく今日は撤退あるのみ。下のテントはもう撤収されて跡形もない。昼間見た分にはエスパースで外張りなしだったから、夜中かなり浸水したんじゃなかろうか?耐えかねて夜半に撤退したのかも。
 老朽化した廃屋なのにこの小屋は全く雨漏りもないのにびっくりし、また感謝。入山前の予想天気図からみて、この雨は午前中に一旦上がるはずなので、朝食後小屋内を掃除したり、ゆっくりと用意をしてして時間をつぶし、8時半過ぎに出発。
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2007Dec28,29戸台アイス21”途中見かけた右岸の岩壁。こんなみ目立つからきっと誰かボルト打ってるだろうなあ。”












2007Dec28,29戸台アイス22”振り返る甲斐駒方面”







2007Dec28,29戸台アイス23”右岸の岩にはフリーのルートが作られていた”
















2007Dec28,29戸台アイス24”岩の割れ目から流れ出るまさに岩清水発見。汲んで帰る”








2007Dec28,29戸台アイス25”ここにもボルト打たれている”









2007Dec28,29戸台アイス26”霧が這うカラマツ林、何か春山の気配で、もうアイスシーズンは終わったような錯覚に陥る。それにしても我々が今年最後のアイスクライマーだったことは間違いないだろう。この雨と気温、このあとの大寒波の吹雪で年内の氷は全滅でしょう。”



 おりてゆくと次々と北沢峠へ向かうと思しき登山者が登ってくる。「え?明日からの大寒波のこと知っててのぼってくるのかいな?」と人ごとながら心配になり、3パーティー目辺りで、つい、訊いてしまう。「天気悪いでしょうね」との返事。まあわかってて登るならそれなりの対策を考えていることだろうし、北沢峠で停滞している分には大丈夫だろう。「お気をつけて」と挨拶をして分かれる。そのあとも続々と登山者が続く。
 11時駐車場帰着。
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 登山指導所の警察官に下山届けをし、昨日、今日の山の状況を伝えて、駐車場を後に。往路ビバークをした道の駅で、66や0さんに下山連絡。伊那IC近くの食堂で昼を食べて、高速に乗り、幸い渋滞なしで4時前に豊四季着、Nさんとわかれ、6時前帰宇。
 
 1日しか登れなかったけど、天気の言いなりにならず、隙をついてお初エリアで無事アイスクライミングできたので満足感大。辛うじて初訪問で鶴姫F1リードできたし、黄蓮中止の憂さもまずまず晴れた感じ。Nさんおつきあいいただきありがとうございました。今度は2月頃、氷の条件のいいときに再訪したいものだ。

nccnet1 at 22:59│Comments(1)TrackBack(0)活動記録 | 南アルプス

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この記事へのコメント

1. Posted by 00   2008年01月07日 07:30
戸台川沿いのクライミング/ボルダーのトポをたまたま発見しました:http://sports.geocities.jp/vento0202/index.html

クライミングガイドブックにも載っているそうで、知る人ぞ知る岩場だったんですね。

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