2009年12月28日

12/26~27 八ヶ岳アイスクライミング

PC260136 "行者小屋手前からの横岳" 

 当初金曜から休みを取ってFさんと3日間で黄蓮左のつもりだったこの週末。がまたまた今季も早い時期から降雪が何度かあり、氷の条件もあまり良くないとの情報。加えて沢筋の深雪でアプローチラッセル大変そう、ってかラッセル以前に新雪雪崩のことを考えんとアカンでしょう。そうこうしているうちに、Fさん金曜休み取れずとなり黄蓮は今年も未練なくお流れ。
 じゃあやっぱアイス系の代案をということでいろいろ情報を集めるが、下野國/常陸國附近で、12月に手軽にとりつけるゲレンデアイスはやはり八ヶ岳が定番で、しかも今季は上記のような降雪/結氷状況から、確実にたどり着けて且つ登れるのは「南沢大滝」位しかない感じ。あとはちょっと早そうだけど2年前の12月に行った戸台川流域も、こないだの足尾がなんとかなったんだから大丈夫そうだけど、家から8時間以上のアプローチの末に丹渓山荘跡までたどりついて氷がなかった時のショックはかなりのものだろうから、軽々には実行に移せず。あとは貧氷足尾のアイス、ミックスバリもシブく味わい深いんだけど、せっかく2日使えるんならやっぱもうちょっと大きな氷で練習したいしねえ。
 しかしこの時期やはりお手軽に登れる氷は本州では数少ないという事だろう、先週末あたりの南沢は、大きな事故は幸いなかったらしいが、リードとTRスダレ入り乱れて刃物同士のつばぜり合いとアメアラレの落氷のなか、悲鳴と怒号、一部血しぶきも飛び交う阿鼻叫喚の大渋滞だったらしい。
 

 そういうところに乗り込んで行って頑張って登ると、辛抱強く、身のかわしはすばやく、かつ諸々の意味で強く丈夫なクライマーになれそうだが、順番待ちの間に落氷食らって氷瀑に触る前に救急搬送というしょぼいシナリオもありそうなので、今回は氷あきらめて、大同心南稜でものぼりますか、とFさんからの提案。しかし予想天気図が早くから土曜日の二つ玉低気圧を予想していて、その発達や通過時期によっては稜線にでるのもヤバそう。八ッはアプローチの容易さと風や低温のシビアさのギャップが大きく、稜線の気象状況の読み違えから、おそらく凍傷発生件数は北アルプスエリア以上じゃないだろうか?
 などなど月火水と毎日気象情報をあつめていろいろ相談し、金曜朝に漸く、天気がどうなっても絶対にハズれのない計画書を上梓:

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2009年12月26〜27八ヶ岳八ヶ岳南沢大滝、28大同心南稜
メンバー:Fさん、00
行動予定:
 土曜5時美濃戸口発〜7時前 に南沢大滝到着予定で行動して、混雑前に大滝をのぼり、行者小屋か赤岳鉱泉に設営〜日曜未明までの降雪、風雪状況をみて、(裏同心ルンゼ〜)大同心南稜、ジョウゴ沢、大同心大滝、あるいは深雪、強風などどこも状況わるそうなら、もういちど早出で南沢大滝〜角木場の氷柱へ移動〜16時美濃戸口

予備案:戸台川アイス(まだ早そうだけど12/20の足尾がなんとかなったので、まあなんとかなるかなということで)
 土曜6時戸台駐車場〜9時丹渓山荘跡に設営ー近傍でアイス。日曜は沢沿いの積雪状況如何で、駒津沢まで進みアイスクライミング、あるいは往路を引き返して、途中の上ニゴリ沢周辺のアイス〜18時戸台駐車場。
 ※土曜の丹渓山荘近傍の滝凍っていない場合は、(1)日曜朝までの積雪、降雪ひどくなさそうならば駒津沢出合いまで進んで設営し、日曜駒津沢、奥駒津沢いずれかを登り18時戸台駐車場帰着。(2)積雪多いなら先へ進まずそのまま戸台駐車場へ引き返し、八ヶ岳転進:美濃戸口から角木場の氷柱を下見しつつ美濃戸まであるいて設営し、日曜夜明けとともに南沢大滝〜角木場を登り、16時美濃戸口。
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 で、金曜午後の気象情報まで追ってくると、まあ二つ玉の影響は小さい感じで、降雪はさほどではなく土曜午後には天気回復しそうなので、メイン案の八ヶ岳に決定し、Fさんと小淵沢で4時に会いましょう、とメール連絡して夕食後出発。
 アイス装備に加え、大同心南稜用のピトン、カム、アブミ、トランシーバーが加わってそこそこの荷物だが、まあ赤岳鉱泉ベースだからボッカも兼ねてと装備吟味せず食料も景気よく買い足してバタバタといい加減にパッキングした結果、テント関係いっさいFさん持ちにもかかわらず20kg位(設営後気づいたのだが、なんと500mlペットボトル3本いれたつもりが、ザックの底に更に2本も入っていていたのだった)。
 雪のちらつく道の駅に12時前に先着して、いつもの場所で一人軒下野宿。寝過ごして目覚めると4時15分、慌てて駐車上に降りてFさんの車の窓をノック。Fさんは12時半頃の到着だったとの事。
 さて美濃戸口へ出発と思ったら、Fさん鍵を車内に置いたままロックアウト!近くのコンビニで、JAFの電話番号を聞いて連絡をとり、食事や身支度をして待つうちに、甲府から出動のレスキューカーが6時前到着。代金はかなり痛いものの鮮やかにロック解除してもらい、一件落着。
 美濃戸口に00号を置いて、F号で美濃戸まで入ろうとするも、最初のヘアピンの先の坂の凍結で登れず、美濃戸口に引き返す。
 まあボッカトレだし、と駐車場から歩き出そうとすると、丁度四駆スタッドレスにさらに万全の備えとしてチェーンを巻いていた赤岳日帰り予定のお二人が、親切にも「乗って行きませんか」と声をかけてくださり、3秒前に「ボッカトレ」と言っていたのはころっとわすれて、恐縮しつつも喜色満面「ありがとうございますうッ」と同乗させていただき、美濃戸まであっと言う間で30分以上のアドバンテージ。これでロックアウトのタイムロスは半分以上取り返したってところでしょう。心底大助かりでした。
 何人もの先行トレースを追って霧の掛かったトレイルを南沢沿いを登って行くと1時間ちょっとで南沢大滝への分岐。意外や先行トレースはすべて行者小屋へとむかっており、ここからは滝へ向かう今日の新しいトレースはなしで、ますます運は良い方向へと開けて行く。
 小滝脇に2人テント一張りあるが、まだ起き出していない気配で、8時20分、誰もいない南沢大滝に一番乗り。
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 「嘘みたい」「絶対この後ぞくぞく来るから、ちゃかちゃかと早くのぼっちゃおう」と装備を整える。
 リードは大滝初めての00がオンサイト希望でやらせていただく。今日履いてきたアンナプルナにdirtwinを着けるのはこれが初めてなので、フィット具合が心配だが、最初の数歩の感じは悪くない。
せっかくのオンサイトトライだから、まっすぐ中央部を登る事にする。氷柱基部までに3つ、垂直部分はアックステンションかけつつ3つ、そして抜け口に1つとスクリューセットして無事終了点へ。ロープ長で30m強。氷柱部分は6m程度だろうか。加えて大勢に登られていて穴ぼことポケット多数でVーというか、Vーーという感じ。
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 思い起こせば去年の12月、この南沢大滝初トライを目指したが、前日からの突然の足首痛みで、美濃口まで未練がましくきたものの、一歩毎の激痛で歩行困難で,涙の登山口敗退を喫したのであった。今日、貸し切りコンディションで初見参を飾れて、あの件は不問に伏してもいいだろうと寛大な気持ちになる。
 ロープを抜いて、今度はFさんリード。こちらも順調にスルー。
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 天気は順調な回復で、10時過ぎから霧は晴れ、青空も見えてくる。クライマーは誰も来ず、写真をとりに2組程きただけで、引き続き貸し切り状態で「信じられない」「あり得ない」と二人とも有頂天。
 とにかく混まないうちに登れるだけ登っちゃおうと、このあとはTRで氷柱左側、更に左側のつらら部分、氷柱右側のつらら部分を中央氷柱限定にして、と3本立て続けに、飲まず食わず休みなしに登る。TR2本目には膝が笑うのと似た、「肘が笑う」状態で、アックスを持つだけでプルプル。っして最後の限定課題が、疲れもあって一番キツかったがいずれもノーテンでクリア。
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 途中12時頃から漸く後続2人パーティーと3人パーティーが出現し、いよいよ大混雑かと思ったが結局これでオシマイ。我々がTRのラストトライ辺りから2人パーティーが登り始め、撤収開始頃に3人パーティースタートといった優雅さで、先週の地獄から一転して天国ゲレンデ状態。
 翌日の筋のへたれ具合からして、これでも既に充分登りすぎだったのだが、「これ以上登ったら、明日に疲労持ち越すからねえ」と2時前にアップ。
 下り途中覗いた小滝はつながっているが、大滝以上にズタボロ。
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 ここから行者小屋までは結構長く感じ、4連続トライの疲れもあってふたりともバテ気味にトボトノあるきながら反省談義:「黄蓮に行くには、氷はこんくらい登れりゃ十分なんで、やっぱボッカですよボッカ。」「来年のリベンジで返り討ちに遭わないように、春からボッカ重点で頑張りましょう。フリクラもレベルアップ、なんて欲張ってる余裕ないっすよ。」
 途中で、朝車に乗せていただいたお二人が、無事赤岳に登って降りてくるところで行き会い、こちらもおかげさまで貸し切りで充分楽しみました、ありがとうございましたと挨拶をして別れる。
 3時行者小屋着で休憩。夕刻前のまぶしい日差しに照り映える赤岳から横岳の稜線を久しぶりに眺める。
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 ここから20分程、4時前に赤岳鉱泉到着。
 設営後、00は大同心ルンゼの偵察。トレースばっちりでアプローチ問題なさそうなので、当初の大同心南稜はやめて、明日も引き続きアイスで大同心大滝に決定。
 ビールと日本酒を買って乾杯。今日の悪夢のロックアウトのあとは、車に乗せていただいたことといい、4時間ちかく貸し切りだった氷といい、寒くなく快適なきこうだったことといい、大同心ルンゼにトレースがあることといい、良い事づくめの一日に乾杯し、いろいろ飲み食いして6時過ぎに就寝。
 Fさんのゴアライトで外張りなしだったが、八ヶ岳にしては寒さはひどくなく、むしろ途中厚くて首から上を寝袋から出したりするほどだったが、夜中は流石に水蒸気が凍ってテント内で雪が降った。
 4時半起床。テント内側はゴアといえど、ばりばりに凍っていて氷点下10度より低いだろうが、外へ出ても風がないので寒さをさほど感じない。星が見え、積雪表面に霜ザラメが形成されているが、夜間の新規降雪はなかったし、これならルンゼ内の雪崩も心配ないだろう。カム、ピトン、アブミ等不要装備を残して、5時50出発。大同心ルンゼへのトレースに新しい足跡はなく、昨日に続き、今日も我々が一番乗りで大喜び。
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 しっかりしたトレースのおかげで1時間かからずに大滝基部着。前回同様右岸側の落氷避けられる場所を整地して、支度をし7時過ぎ氷柱基部までFさんリードし、氷柱左側のビレーステーションでピッチを切る。
aa07 00がフォローするが,出だしからなんだかへろへろ。高度のせいもあるが、こりゃああきらかに昨日やりすぎでしょう。まずいなあと思いつつ氷柱基部で上を見上げる。これが3度目の大同心大滝、昨日の南沢大滝程ではないが、ここも大分大人数で登ったようで、つららの原型はあまりのこっておらず、あちこちにくぼみや穴があいていて、2年前の12月2日、初めての大同心大滝に来てシーズン最早期のつららの集合体の段階で、Nさんに張ってもらったTRでやっと登った時よりも、さらにその2週間後の再訪のときよりも大分易しそうなので、あのころよりもアックスもアイゼンも性能アップしていることもあり、初リードだが大分気が楽になる。
 ただしビレー位置から右上すると氷柱に乗った時点でいきなり下が切れ落ちていて高度感にさらされるので、南沢大滝にない緊張感がある。と、このあたりで後続パーティーが登場。あんまりゆっくりも登れないなあ。
 氷柱中央が一番垂直部分が少なそうだが、奥の水流が透けて見え、スクリューセットに不安があるので、氷柱左寄りを登る事にしてスタート。氷柱左のつららに一本スクリューセットし、氷柱本体に取り付く。最初の3〜4手は氷がつるつるで且つ固いので、筋ヘロ状態もあってちょっと厳しい。しかしアックスが決まれば氷の厚さは十分なので、フォールの恐怖はとくになく、ただただパンプを避けるべく、スクリュー毎にアックステンションでレスト兼で休み休み登る。このあたりでもう一パーティー登場。5本使って抜け、7〜8上まで雪面をのぼって、左岸のハンガーボルトの終了点に到着。この滝は出だしの数手の部分があるので体感V−というところ。
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 最初はTRセットでテンションで下まで降りようと思っていたが、Fさんが上がってくるという事なので、ルベルソセットしてFさんを迎えることにする。
 後続パーティーがまっているので、「これから氷柱右側の岩壁を懸垂で降りますので、登り始めて結構です」とコールし、TR支点を作成しなおしtれ懸垂。ロープ長余裕でスタート地点まで戻る。
 2番手パーティーが1P目終えたあたりで、00、TRで氷柱左側をねらう。が、そもそも氷柱までたどり着くのにへろへろで3回も休まないとたどり着けない始末。ゼイゼイいいながら氷柱基部にたどりついて観察すると、左側は気泡入りの氷で、リードするには大分氷を削らないとスクリューが決まらなそう。しかも出だしの2mほどは下部がえぐれていて、前傾壁クライミングとなるので、やっぱTRが妥当。
 アックス左右打ち込んで足をえぐれた氷に挙げる。105度の前傾壁の感じ。しかしdartwinが良く決まるので、体を挙げるのにさほど苦労はいらない。腰をいれて腕の引きつけ、また上にアックス。で、すぐアックステンションでレスト。5手目までそんな感じ。その上は左アックスをうつと、氷柱左から登ってくるパーティーに落氷が当たりそうなので、リードがスクリューを決めてロープクリップするのをアックステンションでしばし待つ。しかし2番手パーティーのトップバッターは、スクリュー1本で敗退。やはり高度感にヤラれた模様。リード交代の隙にこちらは登攀再開。上部は右足を岩壁にバックステップ〜キョンで安定させて登る。抜け口まで登ってテンションで降りる。下部部ハングの氷柱だったからリードならV+かなあ。去年までの刃先が丸まったグリベルの縦爪では登れなかったかもしれないので、dartwinのおかげってところ。
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 続いてFさん。氷柱基部で、2番手パーティーの2番手リードが半分まで登るのを待ってからスタート。
PC270150 ところが出だしでアックスが抜ける際に、Fさんの左目上を直撃し流血下との事。一旦基部に戻って圧迫止血し、再度スタート。Fさんの平爪アイゼンだと前傾部厳しいようなので、氷柱中央を登って無事トップアウト。今日はふたりともこれ以上登る元気はないので、そのまま終了点に登り上がって、スリング1本残置で懸垂で降りてくる。
 「まあ二日間アイスシーズン出だしとしては充分のぼったよね」と未練なく11時頃には撤収。
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 3番手パーティーの一人から「アプローチ途中でスクリュー落としたので見つけたら脇に置いといてください」と頼まれたので、合点承知と2人で注意しながらくだったのだが、一般道合流地点までに見当たらず。その旨伝えるすべもないが、残念でした。
 「明日きっと職場で、どこで喧嘩したの?と聞かれるよね」といいつつ、多分数日後には目の回りに青あざがでいきるであろうFさんの傷の手当をし、テント撤収。軽くなるどころか一夜で体感重量が増したパンパンのザックをしょって12時下山開始。アイスバーンはさほどでなく、1時には美濃戸着。ここでベンチに座って一息つき、下山連絡メールを送ってから、かなり雪解けの進んだ林道を一部ショートカットでスピードアップしてくだり、角木場の氷柱まだ発達不十分である事を確認して1時45分、スリップ転倒する事なく無事美濃戸口着。Fさん、お疲れさまでした。最後の登りも怪我と流血にめげずナイスファイトでした。

 渋滞覚悟だった八ヶ岳アイス、特に初日の南沢大滝は、美濃戸までのアプローチでありがたい助けをいただいたし、撤収までほぼ貸し切りで待ち時間ゼロという夢のような幸運のおかげで、短時間でほぼ登り尽くせたし、二日目は逆にその残存疲労で2本しか登れなかったけれど、一番乗りで登る事は出来たしと、当初の見通し以上の充実ぶりで、帰路霞の向こうの浅間山の美しい山容を何とも心地よい満足感とともに眺める事ができたのであった。

 ただ、散々人が登ったゲレンデアイスに空身なのにアックステンションでのぼって機嫌よく喜んでばかりいてもダメで、ここ2、3年フリクラのレベルダウンは諦めて、秋のボッカトレの比重を増やしてきているのだが、まだ全く回復不十分である事が判明した担荷力以外にも、アルパインアイスに要求される総合力を補強するための重点課題を常にわきまえておかないとね。
 靴は今回久しぶりにアンナプルナをアイスに使用したが、アイゼンとのフィット良好でなにより歩きやすいし、リソールしてから一段と保温性能が良くなったような気がして,今後も連泊アイスでもチベッタでなくても行けそう。アイゼンもV級以上はモノポイントの方が登りやすそうだけど、アルパインのことを考えるともう少しデュアルにコダわっていた方が良さそう。本当はFさんのように平爪で通して、V級くらいまではザックを背負ってストレートシャフトバイルと平爪で余裕でリードできるのが一番かっこいいんだけど。いまんとこそれができるのは裏同心位かな。年明けの足尾では、石器バイルと並んで、ボッカアイスを課題にしておこう。


nccnet1 at 22:38│Comments(0)TrackBack(0)活動記録 | 八ヶ岳

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