本日の特別講義「もしも大学講師が『ライトノベルを書きたい人の本』を読んだら」の最後に学生さんたちから頂いた質問に対し、Q&A形式でお答えいたしました。なお、主旨がかぶる質問については、一項目に統一いたしましたのでご了承ください。


【1】作家業全般について

Q:書く時に注意をしていることは何ですか?
A:書き手に回ってまだ三作目なので、本来注意すべきことをまだよくわかっていなかったりします。皆さん、どんどん注意してください。あと「納得いかないな」と思ってもとりあえず最後まで書いて人に見てもらう事にしています。

Q:ネタはどこから? どんな時に浮かびますか?
A:キャラ設定、世界観などは予め書きたいものを決めています。ストーリー展開に関しては予め想定しているものが五割、書いていくうちに浮かぶものが五割です。

Q:作家として何が一番大変ですか?
A:大学講師は他の仕事に比べると夏、春、冬に大きな休みがあるので兼業向きなのですが、出版スケジュールが必ずしも大学の休みとフィットしない場合は結構大変です。

Q:作品の完成までどのくらいの時間がかかりますか?
A:全くの新作を始める場合、構想に一月、初稿に一月、書き直しに一月、校正に一月、その他諸々入れて一冊に五ヶ月というのが現在のペースです。

Q:表紙の絵師さんは作家が決められるのか?
A:私の場合、担当さんが決めています。

Q:次の新作の発売予定は?
A:現シリーズの三巻が来年の頭に出ると思います。その後は新作を構想中ですが、発売予定は未定です。

Q:一瞬の閃きで本って書けますか?
A:一発のでっかい閃きで書いてしまうタイプの作家さんもいらっしゃいますが、私は割と小さな閃きの積み重ねと、それをどう繋げるかに腐心する凡人です。

Q:発想が浮かばない時、どうするか?
A:部屋を出て近所を二時間くらいうろついたりします。

Q:どうやって作家名を決めたのですか?
A:「浅生」は亡父のビジネスネーム。「楽」は実家の猫の名前です。

Q:小説ってどのくらいの量ですか?
A:メディアワークス文庫の場合、縦38×横34字で150枚(300ページ)くらいが平均的な量です。

Q:本を書くときは、どんな気持ちで書いているのか?
A:自分に一番近いキャラ(主人公やヒロインよりは、その脇にいるキャラが多い)の気分で書いていることが多いです。

Q:小説を書くのは大変でしたか?
A:それまでに学術論文を何本か書いていたので、長い文章を書く事自体に苦は無かったのですが、経験不足が祟りデビューしてからの方が一苦労です。

Q:小説の題材は何ですか?
A:元々歴史学者なので歴史的テーマについては今後も書き続けていくつもりです。あと盟友に心理関係に強いのがいるので、人間心理をめぐるブラックコメディも書きたいなあと思います。

Q:作家は楽しいですか?
A:楽しくなくなったらやめます、と言いたいところですが、しばらく辛抱してみるとさらに楽しくなる、ということも多いことも知っているので、楽しくなくなっても少し我慢してみようと思います。

Q:書くのにどんなところが苦労しましたか。
A:自分の一番好きなキャラを脇役に配置するとメインキャラが霞む壁があることがよくわかりました。それでもメインキャラを描ききるのがプロなのかもしれませんが、私はまだまだ未熟です。

Q:タイトルはどんな理由でつけるのか?
A:語呂のよさ、作品のテーマを十分に表現しているか、同時に「何だこれは?」とぎょっとさせるインパクトなどです。

Q:文章を考えるのは大変ですか?
A:人物のアクションや表情を形容するボキャをもっと増やさなければなあ、と思っています。


【2】おすすめのコンテンツについて等

Q:最も影響を受けたものは何ですか?
A:作劇という点では鴻上尚史さんの戯曲の影響が意外と大きいかもな、と最近感じています。

Q:おすすめの映画は何ですか?
A:今日お話しした「ゲーム的リアリズム」の話にからめると、ドイツ映画の「ラン・ローラ・ラン」がおすすめです。

Q:普段読んでいる小説は何ですか?
A:新潮社の日本ファンタジーノベル大賞受賞作家(佐藤亜紀さん仁木英之さん)の方々が大好きです。

Q:おススメの漫画は何ですか?
A:今日話した「コピー」の話に絡めると、岡崎京子さんの『pink』が面白いと思います。

Q:ゲームは好きですか?
A:受験の時にゲーム断ちして以来ほとんどしません。この20年でプレーしたのは「とらドラ!ポータブル」の川嶋亜美ルートだけです。

Q:おすすめのアニメは何ですか?
A:この質問は銀魂などの少年ジャンプ作品が好きだという方からのものだったのですが、私が一番好きなアニメはまさに銀魂です。あと、アニメ好きという他の学生さんと話した時に意外と知られていないんだなと思ったのが「イヴの時間」です。古典SF作家アシモフに対するオマージュでありながら、ヒロインの中の人は御坂美琴と同じ人です。

Q:一番好きなライトノベルは何か?
A:『ちわドラ!』

Q:面白いライトノベルを教えてください。
A:第17回電撃小説大賞銀賞受賞作の和ヶ原聡司さん『はたらく魔王さま! 』は電撃文庫の新機軸の一つとしておススメです。ライトノベルというと「男性向け」というイメージがありますが、この作品は女性が読んでも十分に楽しめるコメディであると同時に、とりわけ大学生の人たちには色々と訴えるメッセージがある作品だと思います。

Q:大学の時に読んだ本で、一番心に残っていることは何ですか?
A:西原理恵子さんの『まあじゃんほうろうき』にあった「かきくけ経費で蟹食いたい。さしすせ接待寿司食いたい。らららららら 金をくれ。何でもいいからいい目にあいたい」という歌は、それ以来私の座右の銘になりました。


【3】その他

Q:絵も描きますか?
A:恐竜やモンスターの絵、サッカーのフォーメーション図などは今でもよく落書きしてますが、人物画はほとんど描きません。

Q:子供の頃から興味ありましたか?
A:子供の頃は鼠や兎の冒険小説をよく読んでいたので、ある日思い立って蛙の冒険小説を書きました。ただ、小説家になるとは思っていませんでした。

Q:19歳の時の夢は何ですか?
A:大学三年から自分が選択するゼミに学科中の可愛い女の子が集まることが夢だったので、そのための諜報活動に暗躍していました。

Q:今の仕事につくまでに心が折れそうになったことはありますか?
A:大学三年の時に学科で一番可愛い女の子が違うゼミに行く事が判明した時は、心が折れそうになりました。

Q:どうしたらそんなに詳しくなれるんですか?
A:他の方のご意見で「取り上げた作品が自分が知っているものばかりで物足りなかった。もっとマイナーな作品をとりあげないと!」というものがありました通り、私は全くもって詳しくありません。

Q:本を読むのが苦手です。どうすればいいですか?
A:苦手と言っても色々なケースがあると思います。例えば小説は苦手だけど新書などの文章を読むのは大丈夫な人は結構います。そういう人は無理して読む必要はないし、そのことで気に病む必要はないと思います。私も映画化が決まっている小説とかは、わざわざ原作を読まずに映画を待つ事も多いです。
 一方、文章を読む事自体がどうも苦手という方は、学生生活や社会生活で少し苦労する可能性があるので、少しトレーニングをしたほうがいいかもしれません。その場合ぱっと思いつくのが、「映像化された作品を先に観てから原作を読む」ということ。「文章から場面をイメージしづらい」、「読んでいるうちに展開がわからなくなる」などの問題を抱えているなら、先に場面を映像として観ていたり、物語の展開を知っておけば、文章を読みやすくなるのでは。欧州の作家とかでやたら難解な作品などを読む場合に私がとっている戦略です。
 
Q:ジュヴナイルとは何ですか?
A:ここをクリック。

Q:授業中も頭は本のことですか?
A:そんな暇はないことは皆さんの方がよく知っているでしょう?(笑)

Q:学校の授業と小説書くのどっちが楽しいか?
A:全部終わってビールを飲んでいる時が一番楽しいです(笑)

Q:何で本を書こうと思ったのか?
A:非常勤講師をずっとやっていたので、ライフスタイル的にも物書きは一番フィットするし収入の足しになるかな、と思った矢先に常勤ポストが転がり込んで来て阿鼻叫喚です(笑)

Q:どんな種類の本を書きますか?
A:他にも一応歴史学者なので論文やたまに共著を書きます。ただあまり真面目な学者ではないので未だ単著はありません。

Q:結婚してるんですか?
A:嫁は亜美と申しまして女優をやっています。一見我がままですが、実は情に厚い江戸っ子気質です。

Q:なんでうちの大学に来たのか?
A:私と同じくらいの年齢の教員を片っ端から捕まえて私と友達かどうかきいてみてください。首を縦に振った人がいたらその人の紹介です。

Q:人生で一番楽しかったことは何か?
A:大学院時代が一番楽しかったので、あの頃の楽しさがいつまでも持続できるように色々と知恵を巡らせて生きております。が、人生は厳しい。

Q:文芸部の部誌は読んでいますか?
A:すみません。読んでおりませんので、今度持って来てください。あるいは私のポストに入れといてください。