2024年10月14日

Human Errorと、まつもと演劇祭

北村です。

第27回まつもと演劇祭に参加してきました。ご報告がてら、その所感というか備忘録を残しておきます。



Human Error というのは、バンドです。
私はギターを弾いています。めっちゃ楽しいです。はい。



なので、ライブをやってきました。もちろん演劇祭なので、ただのライブではなくて音楽劇に仕立てました。作・演出みたいなことにはあまりこだわらず、メンバーとあーだこーだ言い合いながら作ってきました。おかげさまで、そこそこ評判よかったようでホッとしております。

楽しかった。あー、本当に楽しかった。

コロナ禍以降、演劇を上演することにはとことん消極的な自分がいて。まさか、自分が板の上でギターをかき鳴らす芝居を作る日が来るなんて。人生って、分からないものです。

期間中、演劇祭主催のシンポジウムにも出席しまして。それは地域の演劇活動について語ろうみたいな会だったのですが。むしろ私が今回の演目を準備する過程で考えてきたのは、音楽と演劇の違いってなんだろうっていうことでした。



シンポジウムでも発言したんですが、演劇について思うのはとにかくコスパ悪いよなあってこと。人のお金と時間と労力が、もう際限なく、それこそ無限に搾り取られていくじゃないですか、演劇って。よくよく考えると、音楽もそこまでコスパ良いわけじゃないですけどね。初期費用ハンパないし。

ただ、個別の練習だったりみんなで音を合わせたりして得られる満足感は、私は演劇より音楽のほうが高いんじゃないかっていう気がしています。バンドにハマっている今だからなのかもしれませんけど。

そして、音楽と演劇は似たような部分もたくさんありますね。生産性の乏しさとか。

芸術や娯楽を否定するわけじゃありませんけど、やっぱり多くの音楽も演劇も、そのほとんどは創り手からパッと放出されては何かにつながるでもないままくすぶって、やがて泡みたいに消えていくのだと思います。基本的にアンダーグラウンドなものほど、受け手の数は相対的に減っていきますし。
私自身、演劇の現場でプレイヤーとして20年に渡って作品を送り出し続けてきた経験から、その無力感みたいなものはヒシヒシと感じてきました。ま、売れないってそういうことだから仕方ないんですけど。そしてこの図式というかパターンみたいなものは、どんな業界でも同じようなものなんじゃないかと想像します。

ただ、勘違いしちゃいけないのは、受け手はゼロではないということです。

私が主宰する猫の会でも、公演のたびに駆けつけてくださるお客さまが一定数存在しましたし、そういった方々だけでなく、都度ご来場頂いたお客さまには何かを受け取って頂けたという自負があります。もちろん、必ずしも良いものばかりではありませんが。

それは今回、Human Error というふざけたロックバンドで劇を上演していてもやはり同じことでした。お客さまがそこにいること、反応を頂けることの価値って、何にも変え難いんです。たとえそれがひとりきりでもね。

だからやめられないんだよなあ。コスパだなんだと文句たれながらも、そのひとりに受け取ってもらえる楽しさや喜びは、人間としての根源的な何かをくすぐられるような気がします。ひさしぶりに人前に立って演じてみて、強く感じました。

我ながらロクでもないことしてるなー、と思います。特に家庭を持って以降は、これは本当に家族のQOLを下げてまで実現するべきことなのかね、と。自問することも度々です。今回だって、演劇祭に参加するために長男の運動会を観ることが叶いませんでした。次男は先週からずっとお腹をくだしていて。今朝、私がオムツ替えをした時もやっぱりくだしていて。そして、彼らのすべてを妻ひとりが受け止めてくれていたのです。

で昨日深夜に帰宅したくせに今朝からまた出張なもんでバタバタと家を出てきたんですけど。長男と10分しか遊べなくて、それが寂しいと泣かせてしまい…。もう、申し訳ないやら、情けないやら…。

ああ、いつの間にか反省文になってしまった。だけど、これが自分だもんなやっぱり、と開き直っちゃうんですけど。けっきょく。


5年振りに参加したまつもと演劇祭は、変わらぬホスピタリティと演劇愛に癒され続けた3日間でした。そして、私自身もそのなかで作品を紡げたことを誇りに思います。

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みんな大好き。この人たちと一緒だから乗り切れたよ…

シンポジウムの締めくくりでまつもと演劇連合会の永高さんが、まつもと演劇祭の国際化について語られていたことが印象に残っています。その夢の壮大さ、思いの強さに敬服します。

私にはそんな大きな夢はないけれど、きっとこれからも好きなことをしていきます。だけど、家族のQOLも全力で守ろう。そして、家族のする好きなことを全力で応援しよう。

きっとこれは、矛盾しないと思うんだ。だけどとても難しいことであるのも事実だから、やり方はよくよく考えよう。

この文章は、成田から福岡へ向かう飛行機の中でちまちま打ち込んでいたのですが。なんと機長がアナウンスを始めたのは松本市上空でした。眼下には昨日まで見上げていた北アルプスや諏訪湖があって。なんだこれ、出来過ぎじゃねえかと笑ってしまいました。こういうことがここ数日は頻発していて、劇中で流していたゴルトベルク変奏曲が、不意に蕎麦屋で聞こえてきたり。帰りの中央道で突如眼前に打ち上げ花火が上がったり。こういうギフトをちょいちょいもらえた、不思議な旅でもありました。

考えごとや書きたいことは尽きないけれど、今日はそろそろこの辺で。

次は家族でゆっくり遊びにいこう。
ありがとう、松本。

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その他 

2023年05月02日

おしまいの夜がはじまる

北村です。

なんと4年振りのブログ更新です。オリンピックか。不精者の私は、何かお知らせがあるときくらいしか記事を書く気にならないわけで。ようやくお知らせしたいことができたと思ったら、これだけ間があいてしまいました。

さて、おしまいの夜です。



今回、私は脚本提供という立場で空間ベクトルに関わっています。台本を書く以外は特に何もしておらず、稽古も、顔合わせに同席した程度でほぼ何も見ていません。

で、このまま何もしらずに本番を迎えるのもどうなんだろう、という居心地の悪さみたいなものがあって。先日、通し稽古を観せてもらいました。今日はその話というか。通し稽古を観てこんなこと考えたよってことを書きます。

だらだらした読み物ですから、お時間のある時にどうぞ。いわゆるネタバレはありません。続きを読む

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その他 

2019年10月09日

まつもと演劇祭終了のご挨拶

北村です。
第24回まつもと演劇祭、無事に終了いたしました。誠に、ありがとうございました。

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期間中のあの感覚、なんていえばいいんだろう。自分たちの上演があって、他団体もがんがん観て、合間に日本酒チャージを重ねて。ひとは温かく、なにを食べても頬が落ち。寝るのが惜しいとか、ずっとこの時間が続けばいいとか思ったのは何年ぶりだろう。あのお祭り騒ぎを見事に束ねた実行委員会やホーム劇団の尽力に敬意を表します。

様々な面から、松本という街の文化的成熟度が窺い知れました。各セクションスタッフのホスピタリティもそうだし、観客の姿勢や的確かつ温かい感想もそう。そして小学校に上がるかどうかというお子様が、我々のアダルトかつしょうもない芝居をおとなしく観ていたという事実。それは度々そういう機会を設けられているし、そうやって躾けられているということ。また隣にいたお母様が素晴らしくて、時折小声で解説をいれていたそうです(そりゃ子供は「血圧」なんて言葉しらないよね)。そうやって観客が育っていくのか。分かりみが深い。

そもそも上土劇場があったあのエリア全体がどこをとってもユニークな、興味のつきない街でした。日本の名水100選に数えられる湧水があったり、脱サラした老紳士が日本酒バーを営んでいたり、オペラ歌手が蕎麦を打っていたり。そしてどの店もお互いをよく知っていて、演劇祭のことも興味をもって見守ってくれていて。きっとみんながそれぞれの好きなことをやっていて、それでいてお互いを尊重してあっているのでしょう。あぁもう松本賛歌が止まらない。

帰りの車中、あれが美味しかったあの劇団がよかった女優さんがかわいかっただのと、オッサン4人と制作女子1名であれこれ語り合いました。そういえば旅公演特有の、帰りは疲れでグッタリあるいはグッスリみたいなことはありませんでした。すくなくとも私は、もう少し旅をしていたかった。みんなを駅で降ろして、ひとりで走り出したときのさみしさがね、今でも胸にほんのりと。

3年間、育児休業ということで活動停止していました。まだまだしばらく、続くのだと思っていました。というか再開なんてできるのか?この先、台本を書いたりひとを集めたり稽古や公演したりって、やれるのか?いや色々な意味で無理があるよ?とぼんやり考えていた矢先、あれよあれよと演劇祭参加が決まりました。ほんの5ヶ月前です。

やってよかったと思っています。受け入れてくださったまつもと演劇祭の皆様に感謝を。ともに駆け抜けた9団体に拍手を。特に、上土劇場で何から何まで世話してくださったぱすてるの皆さんにはいくら頭を下げても足りません。この先もご縁が続くことが何よりもの恩返しと思っています。第25回は観客として芝居を観てまわるのもよいですね。そしたら今回以上に気兼ねなく日本酒飲めますね。

最後に今回、私のワガママに付き合ってくれた3人の俳優と制作のポンちゃんに御礼を。あなたたちがいてくれたから出来ました。

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諏訪湖SA(上り)にて。

ところでこの日誌、次に更新できるのはいつでしょう。そう遠くないような気もするし、次は数十年先だったりして。取り急ぎお知らせできることは何もありませんがひとつ言えるのは、猫の会は畳みませんよということ。どういった形であれ、この先も続けていきます。気長にお待ち頂ければ幸いです。

それでは。

またどこかでお会いしましょう。

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旅行 

2019年10月02日

松本へ向かいます

もう少しマメに、いろいろ書こうと思っていたのに。気がつけばもう稽古最終日で。あわてて日誌をつけています。

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淡々と準備をするオッサンたち。感慨ゼロ。

8月から稽古をはじめて。オッサンたち、2か月よく付き合ってくれました。稽古をすればするほど、稽古場の女っ気のなさに、華のなさにおののきました。いや、あえてそうしたわけですけど。そうか、ここまでか。ここまで地味になるのかと。おののきました。もちろん稽古はとても楽しくて。わざわざ1泊2日で合宿まで出かけちゃいました。よかったなあ、温泉。

私は、生きとし生けるものは皆どこかしら「かわいげ」を持っているものだと信じています。ハゲでもデブでもちんちくりんでも皆一緒。不惑のオッサンたちもまた然り。

観客にとってこのひとたちが、オッサンでありながらも少年のように、時には赤ちゃんみたいに見えるといいなと思っています。あるいはふと、身近な誰かに重なってくれたらもっといい。

明日は朝から集合して松本へ向かいます。だから今日は飲まないで帰るんだ。いや、きっと電車で飲むオッサンがいる。そこは自己責任でやってもらいましょう。私は運転あるので、やっぱり帰るまで飲めないや。

向こうではどんな人たちに出会えるかな。出来る限り、他団体の芝居も観たいと思っています。なんたって、演劇祭だもの。あとビール飲みたい。屋台でやきそば食べながら。

それでは松本、行ってきます。

てゆうか松本で会いましょう。待っています。

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2019年08月30日

稽古が楽しい

今月の頭くらいから、週2〜3回のペースで集まってはあーだこーだと芝居をこねくり回しています。今回は話し合いを大切にしていて。この芝居って、なんとなくこんな話かねという共通認識を作ってから立ち稽古に入りました。

まーしかし、なんでしょう。

基本、オッサン4人(北村含む)が集まって台本読んでるだけなんですよ。酒も飲まずに。だけど議題は豊富にあって、ときにげらげら笑ったりしています。で時間になると「じゃ」とか言って、それぞれの生活に戻っていくの。見るひとによっては不気味だろうなこういうの。

生産性もへったくれもない作業をひたすら続けているわけですが、私にはこれが楽しい。次はなに話そうとか、こういう解釈はありかもしれないとか、自然と稽古場にいない時間も想いを巡らすことが増えていきます。生活が、芝居に浸されていく。

こういう時間の使い方やバランスのとり方が、20代のときは決定的にヘタクソだったと思う。今もそんなにうまいとは言えませんけど。生活のための労働をしている間も、平気で芝居のことだけ考えてた。今の自分は時間を売っているだけ、本気だしてないだけみたいな顔して。超絶ダサかったし、超絶失礼だった。

気がつけば8月も終わりを迎えようとしていて、これから通し稽古です。

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今日はとりあえず、楽しくやってくれればそれでよいです。

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旅行 

2019年08月15日

まつもと演劇祭に参加します

北村です。
第24回まつもと演劇祭に参加することになりました。

https://matsumotoengekisai2018.jimdo.com

全国の“地域”で活動する10劇団が、長野県松本市に集います。
そして、市内各所の劇場で一斉に上演を行うというまさしくお祭り騒ぎです。
猫の会は、埼玉代表として参加します。

思えば松本を訪れるのは3年ぶり。
蕎麦と日本酒がめちゃめちゃうまかったのを憶えています。


猫の会まつもと演劇祭参加作品
「旅行の話」
戯曲・演出:北村耕治
出演:東享司、うじすけ、山ノ井史
振付:小林真梨恵(waqu:iraz)
制作:平戸優希
おはなし:本当に行くなんて、たぶん誰も考えていなかった。

とある地方の温泉街にて。連れだって慰安旅行に訪れた男たちの夜を描く一幕劇。
風呂に浸かって、飯を食って、だらだら飲むだけで中身のない夜は更けていく。
ぜんぜん違うようにも、案外同じようにも思えるそれぞれの不惑に何思う。

なあ俺ら、最後に集まったのっていつだったっけ。
会場:上土劇場(〒390-0874 長野県松本市大手 4-7-2)
タイムテーブル:
10月5日(土)13:00/19:30
10月6日(日)11:30 ※上演時間50分
チケット:
【全公演共通パスポート】
全公演共通パスポート(一般) 前売:2,500円 (当日:3,000円)
全公演共通パスポート(学生) 前売:1,300円 (当日:1,500円)
【シングルプラスワン チケット(前売のみ)】※1公演の単券にもう1公演が付いてきます
シングルプラスワン チケット(一般) 前売:1,500円
シングルプラスワン チケット(学生) 前売:800円
【単券(当日のみ)】
単券(一般) 当日:2,000円
単券(学生) 当日:1,000円
【高校生以下】
無料 (全席自由・税込)

窓口:mail@neconokai.org(猫の会)
※1.券種 2.代表者のお名前 3.ご観劇頂く日時 3.枚数 4.ご連絡先 を明記してお申し込みください。
受付完了後、猫の会よりご連絡いたします。

上土劇場は、もともとは映画館として使われていた歴史と雰囲気のある劇場です。
東京でいうと、ちょうど本多劇場くらいの規模でしょうか。
以前に訪れた際は、地元の老舗劇団シアターTRIBEさんが公演準備をしていました。まさか、3年後にここで芝居が出来るなんてなあ。人生ふしぎだわあ。

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そしてチケット料金、これどうなってるんだろう。
1演目が1500円ていうだけでも破格なのに、自動的にもう1演目観れる、と。
全公演共通パスポートに至っては、10演目すべて見れて2500円ですよ。1演目250円じゃん…。ましてや高校生、無料なんですけど…。
なんだそれは。どういうシステムだ。太っ腹すぎるよ、まつもと演劇祭。


このブログを読んでくださる方はたいてい首都圏にお住まいかと思いますが、10月はぜひ松本へ。
東京からならあずさで一本。風光明媚、涼やかな街です。
蕎麦が激うまです。おいしいお店、こっそりご紹介します。

実に3年ぶりの公演です。戯曲の執筆に至っては4年ぶり。
私、かつては若者だったし、たぶん今よりは色々な可能性があったんですけど。
その可能性をひとつひとつ選んだりつぶしたり絞り込んだり知らずにそれを手にしたりしながら、気がついたら立派なおじさんになっていました。そのおじさんの「今」に向き合いたくて「旅行の話」を書きました。
キャストも、一筋縄ではいかないおじさんばかり。いまは粛々と稽古を進めています。

これからはちょこちょこ、稽古の様子もお伝えしたいと思っています。

それでは、今日はこのへんで。

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旅行 

2017年10月11日

エレフセリヤ「帰ってください。」終演のごあいさつ

北村です。

掲題の公演、無事に終了いたしました。ご来場くださった皆さま、気にかけてくださった皆さま、ありがとうございました。

どんな公演であれどんな関わり方であれ、私は仕事として劇場にいる時間がとてもすきです。今回は劇場ではなく、古民家で。演出家として働きました。

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家族にも、ちょっとだけ私の仕事ぶりを見てもらえました。妻が観劇する間、息子とモスバーガーで時間をつぶして、すこし鷺ノ宮の街を歩きました。いつか息子にも、私が携わる芝居を観てもらう日が来るかしら。

素敵な座組みに恵まれました。経験豊富な先輩諸氏に、もはや家族同然の徳元・つかにしを混ぜてもらって。ギリギリまでトライアンドエラーを繰り返す、熱いチームになりました。
受付を手伝ってくださったお二人も、限られた条件のなかで出来るだけ主宰の理想を汲み取ろう、付き合おうとする愛を感じました。最上さん、いい仲間もってんなーって。

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演出ってつまり、自分が観たいものと観たくないものを仕分けていく作業なのだと思います。演出家の視野と視点の持ちかたが、芝居の方向や着地点をしぼりこんでいく。
お客様の感想を聞いたり、アンケートを読むうち、私には見えていないものがたくさんあることを知りました。あるいは見えていても特に気にしていなかった何かが、ひとによっては見逃せない要素になることも。

ユニット名のエレフセリヤって、ギリシャ語で「自由」という意味なんですって。にもかかわらず私は芝居をつくっている間、不自由だった瞬間もよくありました。長い時間をかけてしみついた思考パターンやこだわりのようなものに、自分自身が振り回されてしまって。ああいうつまらない時間、もっと減らしたいな。

息子が生まれて以来、実演家としての自分にはしばらく会えないだろうと思っていたら、意外とはやく再会できました。楽しいことがたくさんあって、やっぱり芝居はいいなあ猫の会やりたいなあって、にょろっと思っちゃった。至らなかった部分の反省は、今後へ活かそう。この機会を頂けたことに感謝します。

ありがとうございました。

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その他 

2017年09月10日

公演のお知らせ「帰ってください。」

北村です。

先日息子くんが、無事に一歳を迎えました。
うれしすぎて愛しすぎて、もう、これは祭だよ!でっかいお祭やってやんよ!!と、うかれぽんちな私たち夫婦は息子くんを抱いてサンシャインシティまで遊びにいきました。まずは水族館いってやんよ!!とノリノリでエレベーターへ向かうと数十人待ちの整理券を配られあっさり萎え、トイザラスだけ寄って帰ってきたんですけど。

結果、手足口病というおみやげを頂きました…。
文字通り手足口に発疹を出してうなされる息子くんを前に打ちひしがれ打ちのめされ、私たちばかだったねあほだったね申し訳ないよねと反省しました。

なにもかもはじめてだから、正解も不正解もないんです。いつだってオロオロするだけ。息子くんが笑っていたら泣くほどうれしいし、少しでもイヤそうにしていたら身を切られるようにつらいです。

ありがとうね息子くん。ごめんね息子くん。私の宝物、宝物。

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息子が好きすぎて(場合によっては深刻なくらい)何も手につかない私ですが、最近は子育ての合間に芝居の稽古もしています。

以下、お知らせ。

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エレフセリヤpresents
『帰ってください。』
ザシキ・ワラシ。イヤナヒトガ・スキデス。


日本のどこか。古びた旅館。
座敷童に振りまわされる、女将と困った旅客たち。

あなたにはアレ、見えますか。

作:門肇
潤色:エレフセリヤ
演出:北村耕治(猫の会)

▪️出演
齋木亨子
高橋治
環ゆら
つかにしゆうた(ppoi)
徳元直子
宮沢大地(ケイエムシネマ企画)
最上桂子
(五十音順)

▪️タイムテーブル
10/7(土)13:00開演、16:00開演
10/8(日)13:00開演、16:00開演
10/9(月祝)14:00開演
※開場・受付開始は、ともに開演の30分前

▪️料金(前売・当日ともに)
2,500円

▪️場所
古民家asagoro
東京都中野区若宮3-52-5
西武新宿線鷺ノ宮駅から徒歩7分
http://www.asagoro.com/about.html

▪️ご予約[一般予約フォーム]
https://www.quartet-online.net/ticket/kaette-kudasai

▪️問合せ
エレフセリヤ
freedom2017.8.10@gmail.com

Twitter:@freedom_17_8_10
Facebook:エレフセリヤで検索!


お気づきでしょうか。
私、台本書いてないんです。今回は演出だけ。

エレフセリヤ主宰の最上さんとは、10年ほど前に共演(!)して以来、飲み友達です。当時からすっとんきょうな女優でしたけど、なんか数年前から「仲間たちと芝居をやるのだ!作るのだ!」と騒ぎはじめました。いつものたわごとだろうと聞き流していたら、いつのまにか演出に指名されていました。

稽古はやっぱり、楽しいです。
息子くんの誘惑に拮抗するんだから、なかなかですよ。

個人的にとてもワクワクする座組みを用意してもらえました。
私の仕事は、このワクワクをお客さまと共有する道筋をつくること。

ザシキ・ワラシってなんでしょうね。
私はいてほしいと思う。いたらいいなと思う。
だけどひとによっては、そんなこと1ミリも思わなかったりもするのでしょう。
そんなことを考えながら、日々俳優陣と言葉を交わしています。

会場はコマイぬ「親戚の話」でもお世話になった古民家asagoro。
あいかわらずのレトロな佇まいは、それだけでも一見の価値ある空間です。

すごしやすい秋の一日、やさしくて不思議な体験をご用意します。

皆さま、ご来場を心よりお待ちしております。

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その他 

2017年03月28日

人材育成とロンドンパンダと冗談だからね。

北村です。年度末ですね。生存報告をかねて近況を。

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年が明けてから年度末にかけて、なぜか人材育成の仕事が重なっていろいろな出会いがありました。育成といっても演劇そのものを教えるわけではなくて。演劇をつかったワークショップのやりかたや、使いかたについて伝えたり考えたりする機会が多かったのです。そんなお仕事の一環で、先日は仙台に。

私の隣ではしゃいでいるおっさんが発起人。いま仙台で注目株の劇作家・演出家、大河原準介氏です。東京の小劇場で10年活動したのち唐突にロンドン遊学。帰国したと思ったら仙台で劇場をオープンしつつ怒涛の勢いで公演やワークショップを手がけて宮城県から演劇界を挑発し続ける男。そんな彼が主宰する、コミュヒントという企画にお招き頂きました。

http://londonpanda.net/

初日は、受講者にファシリテーターとしてのあり方とスキルをお伝えしました。2日目は実習として、子供たち相手にワークショップ。

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こどもたちを帰して振り返りをしていくうち、ワークショップの内容よりも、いまの社会ってどうなんだとか、より多くのこどもたちにこういった機会を届けるにはとか、なんだかおおきな話にひろがっていました。だけど誇張でもなんでもなく、いま私たちがしていることもこの先の展望も、この社会がどこから来てまたどこへ向かっているのかということに大きく関係しています。

いい出張だったなあー。私自身、ここしばらくこの仕事について気づいたり考えたりしたことをまとめるいい機会にもなりました。感謝。

大河原氏と私は同世代で、劇団も同じようなプロデュース形式で、旗揚げの年も一緒(2007年)でいわば同期。「バズらないふたり」と自虐して笑ってましたけど、ここ数年で大きく状況が変わりました。

大河原氏はいま仙台に拠点を移し、仙台の演劇界を変えたいと日々戦っています。実演家としても「バズる」ために努力を続けて、先日は若手演出家コンクールの最終選考まで残りました。

私は埼玉のすみっこで、家族を守るためにこの先どうやって演劇と関わっていこうか考えています。なにかを変えたいわけではないし、公演だってしばらく出来なさそうだ。

そういえば子供が生まれてみてね、公演のお知らせをもらうたび「わ、演劇やってるひとってすごいな」て思うようになりました。公演を打つことにつきまとう、リスクをとれることに敬意をおぼえてしまうのです。

そんな私が仙台から戻って観た芝居がこれ。



冗談だからね。の「青春の延長戦」。主宰ふくめ数名の劇団員はつい先日まで高校生だったという超若手劇団。

不思議な劇でした。高校演劇っぽさと、それとは一線を画する何かのまだら模様。正直、もっとがんばろうよと思うところもたくさんあったけれど。彼らが抱えている鬱屈と希望が強烈で、ギラギラしていてまぶしくて。私にはもう持ちえない何かがあふれてた。

ロンドンパンダにしても冗談だからね。にしても、熱いよなー。そりゃ熱い劇団や演劇人なんてそこいらにいくらでもいるわけですけど。なんかたて続けにそういう人たちを見て、もやもやして。

何日もそのもやもやについて考えてて、あーそうか。私はいま、自分の「温度の低さ」をもてあましてるのかなあと思い当たりました。温度の低さって、むしろウリじゃないかぐらいに考え生きてきたフシがあるけれど。もうそういうのいいよって、どこかで思っているのかもしれない。

閑話休題。

こんな調子で、なんかいろいろやって生きています。わりと元気です。私が暮らしている街も、もうすぐにでも桜が咲くはずで。そしたら家族でお花見にいくのです。

ではでは、またいずれ。

2016年12月26日

年末のご挨拶とご報告

こんにちは、北村です。
あれよあれよと迎えた年の瀬、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

今日は年末のご挨拶を兼ねてご報告をひとつ。

8月に、父親になりました。生まれたのは男の子です。このひとがまたえらいせっかちさんで、予定より3ヵ月もはやく出てきちゃいました。私は未熟児という言葉しかしりませんでしたが、今は超低出生体重児というそうです。

はじめて目にした彼はまだ、両手にすっぽりおさまるような大きさで。保育器のなか、真っ赤でしわくちゃでいろいろな管につながれて、足の指なんて、とびっこ一粒ほどの大きさでした。

それが紆余曲折を経ながらも着々と体重を増やしてふつうの赤ちゃんらしくなって。先日、ようやく我が家に帰ってきてくれました。おかえり。妻には感謝とねぎらいを。

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まだまだ手乗りサイズ。

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いまではイクラ一粒くらいにはなったかなあ、足の指。

この数日間でスーパー寝不足です。寝ないのこのひと。いつ寝るの?なんでそんなに泣くの?オッパイたくさん飲むのね。おかえり。愛してるよ。大きくなってね。

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こいつの世話より100倍くらいしんどいんじゃなかろうか。当社比。

思えば妊娠初期から起伏がありすぎて、ここまで来れたことがにわかに信じられません。何回も、いろいろな覚悟をしてきたのです。ひとりの劇作家としても実に興味深い経験でした。率直に言っていいネタもらいました。ここまで大変なのはこれきりでじゅうぶんだけど。妻の妊娠から出産まで、前後篇あわせて4時間の大作が書けますよもう。結婚式あれこれも含めたらゆうに6時間は超えちゃうよ。書かないけど。物語のエピソードとして使えるかどうかよりもっとずっと、私の深いところに響く体験だったと思っています。

ざっとふりかえってもイベントまみれの一年でした。ずっと首都圏でちまちまと活動を続けてきた猫の会が、一度に5都市をめぐるツアーに挑戦できたのはまさしく大事件でした。忘れられない出会いがいくつもありました。高校演劇もたくさん観ました。ワークショップも各地でお世話になりました。そして妻子に恵まれました。

こうも劇的な年はもうないかもしれないし、なくてもいいです。たびたびこんなことやってたらしんどいわ。この一年を無事に駆け抜けられたことに感謝します。それぞれの局面で力を貸してくださった皆さまのおかげです。

この一年を境に私の生活はおおきく変わりました。当面、猫の会としての公演予定はありません。

とはいえ、私が演劇から離れるとか猫の会をたたもうというわけでもありません。2017年以降もさまざまな形で活動は続けていきますし、折をみて公演を打ちたいとも思っています。私が社会とつながるための手段のひとつとして、演劇はそこにあり続けます。

2016年もあと数日。
今年はちょっと働きすぎたので、肩の力を抜いてゆっくり過ごします。

だれにとっても、すばらしい一年が訪れますように。よいお年を。