2006年03月09日
サザエさんfrom10年後 第二話「リカ」
カツオの一件から一ヵ月が過ぎようとしていた
タラオは前にも増してストリートファイトに明け暮れる日々が続いた
最近ではわざわざ隣街へ赴き対戦相手を探していた
がむしゃらに自分の居場所を探しているようにさえ見えた
いつものようにタラオが家に戻ると居間から明かりが漏れていた
タラオの鼓動が高鳴る
居間には行かず自室に行こうとした時だった
マスオ「何だ?久々だってのに挨拶も無しか?」
やはり、こいつだったか…
タラオを顔を向けずにいる
マスオ「全く愛想のねぇガキだな」
タラオは気にせずに自室に入った
マスオの舌打ちが聞こえた
家庭が崩れ始めたのは、マスオが原因だとタラオは思っている
祖父の死後、祖母は惚けた
サザエは介護に追われ、夫婦仲は一気に冷めていた
(祖母はサザエと散歩中に、目を離した隙に行方不明になった)
そんなある日
小学生だったタラオが家に帰ると、マスオは高校生だったワカメを犯していたのだ
今もワカメの悲鳴は耳に焼き付いている
それから程なくしてマスオは愛人を作り、家には寄り付かなくなる
タラオ「…ゲス野郎……」
タラオは自然に口に出していた
翌日もマスオはまだ居た
いつもならあっという間に居なくなるのだが
マスオが出ていかないなら、自分が出るしかなかった
といっても行く当ても特にない
学校
ふとタラオにそんな選択肢が出てきた
自然と学校の前まで来ていた
タラオ(………こんな所来ても仕方ないか…)
前のように追い出されるのが目に見えていた
考え直し、結局きびすを返した
リカ(……タラオ?)
たまたま窓の外を眺めていたリカにタラオは姿を見られていたとも知らずに…
リカは学校が終わると直ぐ様タラオの携帯へ電話した
しかしタラオは出なかった
あの時窓から見たのは見間違えではないかどうか
リカは気になっていた
自主的に来ていたのならタラオは変わったのかもしれない
そんな期待があった
リカは居ても立っても居られず、タラオの家へ向かった
久しぶりのタラオの家
リカは懐かしさとタラオへの期待に胸を弾ませ、ドアを叩いた
リカ「すみませーん」
しかし中から応答はない
リカは少し強めに叩いてから再び声を出した
リカ「タラオー?」
「誰だ?」
しばらくして中から男の声がした
リカはタラオでない声に少し驚いたが、すぐに持ち直した
リカ「あ、あのータラオくんとクラスメイトのリカです」
すると扉が開いた
マスオ「リカちゃん、久しぶりだねぇ」
先程の声とは打って変わったマスオが出てきた
リカ「あ、タラオくんの…お父さん?」
マスオ「覚えてたかい?嬉しいなぁ。タラオはまだ帰ってきてないよ」
正直、昔の記憶のマスオとは大分印象が違う為リカは分からなかった
リカ(もっと優しそうなイメージがあったのに…)
マスオ「タラオはすぐ戻ると思うから、良かったらうちで待つかい?」
リカ「え?」
突然の提案にリカは戸惑ったが、妙な懐かしさが彼女を家に上げてしまった
リカは居間に通される
マスオ「お茶でも出すよ」
リカ「あ、いえ、お構いなく」
乱雑な居間に生活感は全く無かった
一体この家でタラオに何があったのだろう
そしてどんな暮らしをしているのだろう…
リカはそんな思考を巡らせた
マスオ「リカちゃんお茶が入ったよ」
リカ「あ、はい」
思考はマスオに遮られた
マスオ「しかしリカちゃん、お姉さんになったねぇ」
リカ「そうですか?」
何故か他愛の無い会話が耳に入らない
そう
タラオの事が気になって仕方なかった
何故あれ程迄に変貌してしまったのか
タラオをよく知る人が目の前にいる
疑問がようやく解けるチャンスなのだ
マスオ「そういえばリカちゃんが小さかった…」
リカ「あ、あのっ!」
マスオ「…どうしたの?」
リカ「………………」
リカは勇気をふり絞った
リカ「何でタラオはあんなにも変わってしまったんですか!?」
言えた
マスオ「変わってって…」
リカ「喧嘩なんか絶対嫌いで、優しいタラオは何処に行っちゃったんですか!?」
沈黙が訪れた
リカは切実に答えを待つ
やがてマスオは動き出した
マスオ「タラオは幸せだなぁこんなに思ってくれる人が居て」
リカ「茶化さないで下さい!」
マスオ「君は本当にすべて知りたいのかい?」
リカ「…………はい」
数瞬、何が起きたか分からなかった
天変地異が起きたのかと真剣に思った
しかし現実は自分がマスオに組み敷かれていたのだ
リカ「な、なにを……」
必死に冷静に言おうとしたのに、唇は震えてしまっていた
マスオ「知りたいんだろ?」
マスオの手でリカの手首が床に縫い付けられる
リカ「い、いや…離して……」
マスオ「ワカメの処女は俺が貰ったんだよ」
リカ「!!」
マスオ「その時タラオは見ていてねぇ」
マスオは不気味な薄笑いを浮かべる
マスオの独白は続く
マスオ「ワカメとの関係は長くなかったなぁ。今やカツオをすっかり手なずけたみたいだけど」
狂ってる…
この家は狂っていたんだ
リカはあまりの事に絶句してしまった
自分が悠々と過ごしていた間、タラオは壮絶な暮らしを強いられていた
それを思うと自然に涙が零れた
マスオ「こんな事で泣くなんて、純粋だなぁ」
リカ「……ひぃっ……」
マスオの舌はリカの頬に伝った涙を拭った
リカは今にも意識を失いそうだった
助けて助けて助けて助けて
こんなのは嫌
こんな人に…
助けて
パニック状態に陥ったリカは声が出なくなっていた
マスオが全身に覆い被さった
それから体は一気に軽くなったと思ったら、いきなり起き上がらされた
タラオ「おい!リカ!大丈夫か!?」
タラオの足元には金属バットと気を失っているマスオが転がる
タラオ「リカ!リカ!」
放心状態のリカを必死に揺する
リカ「タ、タラ…オ…?」
タラオ「気が付いたか?もう大丈夫だからな!」
タラオに抱き締められた途端、リカは大粒の涙を流した
それから二人は家を離れた
タラオは自然とリカを祖父の眠る墓地へ連れてきていた
タラオ「…何だってうちに居たんだよ」
リカ「タラオを知りたかったの…」
タラオ「あんなトコ行っても俺は分かんねーよ」
リカはこの日、久しぶりにタラオと山程話をした
そしてタラオに送ってもらい帰路に付いた
その頃磯野家には数台のパトカーが来ていた――
第二話は「リカ」完です
皆さん朝からありがとうございます
Posted by negasp at 10:42│Comments(2)
この記事へのコメント
たらあああああああああああああああああおおおおおおおおおおおおおおおお
ハーイ
ハーイ
Posted by at 2006年03月09日 23:51
リカは犯されないとな。
作者はまだまだ未熟だ
作者はまだまだ未熟だ
Posted by 某作家 at 2006年03月10日 02:49