鴨がネギしょってやってきた

こんにちは!ここは読み終わったミステリ小説や漫画の感想などを綴ったブログです。

阿津川辰海 星詠師の記憶

犯人を射殺して休暇を取らされた獅堂刑事は田舎に帰ると、星詠会という水晶の研究施設で起きた事件の調査をすることになるが…

デビュー作の「名探偵は嘘をつかない」がこりにこった長編で面白かった著者の2冊目の長編。
今回も特種な設定が楽しませてくれた。星詠師という聞き慣れない名前が出てくるが、水晶を抱いて寝ると自分が将来目にするものが見えるという能力を持つ人物のことだそうだ。
その能力を研究するために設立された施設が舞台なのだが、刑事の視点と被害者となる創始者の過去の視点で語られていく。
双子のように似た兄弟と、父とそっくりな息子という同じ顔をした人物が三人存在する話なのだが、それが殺人の予知の状況を複雑にしてくる。

このSF設定がミステリとしては古典というべきガジェットとして利用された構図というのが、真新しくて面白かった。この一点でおそらく長編を構造していったのだろう。
デビュー2作目として期待に応えてくれた作品だ。

パット・マガー 死の実況放送をお茶の間へ

雑誌の調査係になったメリッサはかつて恥をかかされた同級生のデイヴに恨みを晴らそうと、彼がアナウンサーとしてコマーシャルを担当するコメディ番組の調査に向かうが…

あのパット・マガーの新しい翻訳が出るとは予想外で驚いた。今月もう一冊東京創元社から刊行の予定だから、こういう時もあるものだなと。
マガーの翻訳されていた「被害者を探せ!」「七人のおば」は自分の中のベストテン級の作品で、「探偵を探せ!」や「目撃者を探せ!」になると少し落ちる。「四人の女」はまたこれはこれで面白かった。
とにかく設定が特種な発想で書かれたものばかり。戦場での退屈しのぎの犯人当てならぬ被害者当て。夫を殺して捕まったおばというのは自分の七人いるおばの中のどの伯母か。
考えてみるとマガーの普通のミステリというのは読んだことがなかった。それが今回翻訳されたということだ。

正直特種な設定がない分、前半が退屈だった。お笑いコンビの元夫婦のポッジとスコッティの書き込みを中心にしているものの、テレビ撮影ということもあり、登場人物が多い。メインでない人物達は書き込みがイマイチなのが難点か。
メインの事件発生までに半分費やすのは、時間をかけすぎた感じがしてしまう。
それでもお笑いコンビの女性スコッティが怪我をしてしまい、生放送の予定を変えながら撮影の手順を決めていく過程はなかなか緊迫感があってよかった。
登場人物達のフラストレーションが読んでいるこちらにも伝わってきてしまう。

後半殺人事件で警察が捜査するわけだが、マガーの話で警察が出てくるのは目新しい。刑事のキャラが薄く、あくまで主人公目線なのがもったいない気もするが、だからこそミスディレクションに騙されてしまった。
確かにこの真相の方が人物的にはいいのか。

久方ぶりのマガーにしては物足りないが、こういう作品も書いていたのかと知ることができたのはよかった。

ジェフリー・ディーヴァー ブラック・スクリーム

誘拐犯〈作曲家〉が動画サイトに上げたのは、拉致された被害者のうめきを音楽に合わせたものだった…

ジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズの13作目の新作。相変わらず分厚いので読了に3日かかった。
今回の目玉はやはり舞台がイタリアに渡ることだろう。ライムとサックス、そして介護士のトムは〈作曲家〉を追ってイタリアへ。イタリアでもチームを急造して、犯人に迫っていくのがやはり楽しい。
特にエルコレ・ベネッリという森林警備隊巡査の存在感が良い。実直で優秀で、出世欲のある楽しい人物だ。

イタリアは難民問題で悩まされていると言うのは初めて知った。社会派なネタからこれだけの話を作ったのが面白い。
帯にも大規模どんでん返しがあると書いてあるのだが、正直どんでん返しの数を減らした方がよかったのではないかと思う。何と言うか面白かったのに無駄に延長されたような。
途中まででやめた方がよかった気がする。
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