鴨がネギしょってやってきた

こんにちは!ここは読み終わったミステリ小説や漫画の感想などを綴ったブログです。

2016年12月

2016ベストテン

皆さんこんばんは。今年出版された作品でのベストテンです。昨年までは古い作品のベストテンも決めてたんですが、今年は全然読めませんでしたので省略です。
新作に追われてた記憶しかないなー今年は。結局読めなかったのも20冊近くあるのが心残りですが、とりあえずベストテンです。


1 友井羊 スイーツレシピで謎解きを
2 芦沢央 許されようとは思いません
3 青崎有吾 アンデッドガール・マーダーファルス1
4 竹本健司 涙香迷宮
5 オースティン・フリーマン オシリスの眼
6 山本弘 怪奇探偵リジー&クリスタル
7 井上真偽 聖女の毒杯
8 早坂吝 誰も僕を裁けない
9 東野圭吾 危険なビーナス
10 カミ ルーフォック・オルメスの冒険

やはり今年は1位の衝撃が忘れられませんね。2位とかなり迷いました。
3位は続編の2よりも短編集の方を評価してます。
4位は労作にして傑作。今年のうちに読めてよかった。5位はトリックに気付けなかったのが悔しい。この探偵役ならではの事件という感じがいいですね。
6位は読んだかな時点でもっと上になりそうでしたが、他にも面白いのが出てきてしまいました。7位は本ミス第一位の作品。来年も新刊が出るといいな。8位は社会派とバカミスの融合というのがどういうことなのかと思いましたが、膝を打つ回答で感心しました。9位は東野圭吾の最近の作品では1番面白く読めたかな。
短編集が4冊入りました。10位は翻訳者の方の評価も込みで。

続いて次点です。
愛川晶 「茶の湯」の密室&はんざい漫才
中山七里 作家刑事毒島
円居挽 日曜は憧れの国
ヘレン・マクロイ 二人のウィリング

愛川さんは2冊まとめて。「はんざい漫才」は内容よりもあとがきが衝撃でした。昔、クイーンとロスが同じ作家とわかった時はこんな感じだったのでしょうか。
中山さんは少々飽きてきていましたが、皮肉な内容が楽しかったですね。
円居さんのも楽しい連作で続編もありそうで楽しみです。
マクロイもやっぱり面白かったですね。

では皆様よいお年を!

三津田信三 八獄の界 死相学探偵6

黒術師の崇拝者が集まったバスツアーに潜入させられた弦矢俊一郎は、バスの事故とともに奇妙な世界に飛ばされてしまい…

死相学探偵シリーズの6作目は、スティーヴン・キング原作の映画「ミスト」をモチーフにしたような長編だ。登場人物も映画に言及しているが、著者の他の作品も名前が上がっているのに苦笑した。
異世界の中で連続殺人らしき事件が起きるのだが、黒術師からもらった札を破ることで死んでしまうという妙な事件だ。
登場人物も書き分けがよく出来ているので、読み進めるのは楽でよかった。ミストの宗教おばさんのようなストレスのたまる人物もいないのが助かる。

馬骨婆という怪異の存在を序盤で女性が話すのだが、その馬骨婆が実際に出てきて女性を追い詰めるような展開が興味深い。ここだけ死相学探偵の視点ではなくなるのも効果的だ。
しかしこの馬骨婆の正体にはまた苦笑させられた。

死相を見るという才能が妙な具合で働いてしまうという作品で、俊一郎も苦戦した事件と言える。

事件の真相よりも、黒術師の手先が誰だったのかということに仰天させられてしまった。

竹本健司 涙香迷宮

牧場智久は知り合いの刑事に誘われて碁盤に突っ伏して死んだ男の現場を見せてもらうが、碁石の数が多すぎることに気付き…

本ミスでランクインしていたので読んでみた作品。著者の作品はデビュー作やウロボロスシリーズは読んでいるが、そんなには読んでいない。それが悔しくなるほどの傑作だ。
タイトルにあるように黒岩涙香が作ったいろは歌に隠された、暗号を解くのがメインの長編だ。
黒岩涙香は東京創元社の探偵小説全集で読んだくらいだが、彼のエピソードがどれも面白い。様々なゲームに通じていて彼が生み出したものもあるそうだ。
何ページにもわたるいろは歌に関してもそうなのだが、本ミスの著者のインタビューを読むと竹本健司が作ったというから驚いた。てっきり涙香の遺したものがあるのだとばかり。
かなり複雑な暗号で牧場智久も苦労しているが、作る方も大変だったに違いない。

クローズドサークルでの殺人事件も起きるが、それはあくまで添え物といった感じだ。むしろそこで殺人がなくてもよかった気がする。それでも「猿丸幻視行」の殺人よりは絡み方はよかったと思うが。

これは今年のうちに読めてよかった。自分のベストテンにも入ってきそうだ。

一昨日届いた本

こんばんは。ポケモンGOにかまけて借りた本のリストを書き忘れてました󾭛

マージェリー・アリンガム クリスマスの朝に
霞流一 独捜!

以上2冊。
アリンガムの表題作は昨日読めばよかったなー。
霞さんの新作は講談社ノベルスから。今気付いたけど、タイトルに動物入ってないな。

西澤保彦 悪魔を憐れむ

西澤保彦の新作は匠千暁ものの短編集。「身代わり」以来だから4年振りか。著者の新作短編集は出る度に堪能させてもらっているが、今回も面白かった。4編とも悪意が印象に残るが、それが癖になる面白さ。

「無間呪縛」はウサコが結婚相手と出会う話がついに描かれた。このシリーズの短編は時系列バラバラで書かれたものが多いから、ウサコが刑事の夫の事件を推理してみせるというのを読んだからいつかこういう話が描かれないとなと。
呪いの部屋でタックとウサコが夜を明かすのだが、スリーピングマーダーというべき過去の事件を推理していく。
今回の短編は共通して、犯人の心理を推理するのにヒントとなるような事柄が前半で書かれている。これはウサコの就眠儀式の調査がのちに効いてくるのが良い。

表題作はタック単独の事件なのだが、自殺するのではないかという大学教授を見張っていたらいつの間にか飛び降り自殺していたという事件だ。
タック以外のメンバーは出てこないのだが、他の人物達が推理を披露してみせるのが異色な感じ。
タイトルに悪魔という言葉が入っているように、犯人は悪魔的な人物だ。ポアロが最後に追った犯人のような存在というべきか。

続く「意匠の切断」はバラバラ殺人について刑事から相談されるタカチとタックの話。
三人の被害者のうち二人の死体が切断され、路傍に置かれるという猟奇的な事件なのだが、この死体をさらす動機には仰天した。
高いレベルの推理力を持つタックとタカチがディスカッションするのは、やはり楽しい。

最後の「死は天秤にかけられて」はホテルで見かけた男性についてタックとボアン先輩が推理する。
女性の心理を上手く利用したトリックが凄い。
しかしボアン先輩はウサコの結婚についても教えてもらえないのは可哀相。

ベストは「意匠の切断」かな。
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