養子になって中国の孤児院からドイツに来た阿大は、眼球をくりぬかれる猟奇的な事件の被疑者を励ましに黄土高原に向かうのだが…

冒頭からこの小説には一つ叙述トリックが含まれていると宣言されている。いきなりハードルをあげてきたなと読み始めるが、ここがそうだろうなと当たりをつけるものの、あっさり種明かしは数ページされてしまう。ではどれがトリックだろうと眉に唾をつけながら読んでいったが、すっかり騙されてしまった。

正直読んでいて面白いタイプの作品ではないと感じ、なかなか読むペースが上がらなかった。
しかし評価されるだけあって、よく出来た一冊だ。

主人公が視覚障害者であるという設定と、中国人の肌を意味しているのであろう「黄」というタイトルもよく出来ている。有名すぎるトリックで、実際に読むことのなかった前例をこの設定で活かし切るとは。