音の葉

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RIDDLEのワンマンライヴをO-WESTで観る」ということに関しては、個人的に思い入れがある。


忘れもしない201222日、この場で『SONORITY』のリリースツアーファイナルを迎えた彼らが活動休止を発表した日、私はそこにいなかった。その時の気持ちを一言で表すなら間違いなく「後悔」だし、そのことをずっと引きずっていた。


そして月日は経ち2016427日、RIDDLEがまたこの場所に帰ってきた。2013年に結成 10周年記念としてO-WESTでワンマンライヴを行ったが、その時とは意味合いが違う。4年振りのフルアルバム『entities』を引っ提げた全国ツアーファイナルという、4年前のあの日を彷彿とさせる最高の状態でこの場所に帰ってきたのだ。

 

この日のRIDDLEのライヴは、私の4年分の後悔を取っ払ってくれた。

そんな奇跡のような一夜の記憶を、ここにしっかりと記録したいと思う。

 

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「音止めまで演奏し尽くす」という信念のもと、事前から平日19 30オンタイムスタートを謳っていた今回のライヴ。毎回恒例となりつつある飛田さんの前説にも熱が入っており、事前に録音してきた音や早着替えまで飛び出すという「前説」の概念を超える壮大なスケールでの演出には感服しきりだった。




 

そして、いよいよRIDDLEが登場!SEAngels and Airwaves"The Adventure"のサビ入り前には爆音が掻き鳴らされる…はずだった。なんとここで、まだ一音も出していない状態で崇尋さん (Vo/G)の機材にトラブル発生!スタッフによる決死の作業でも追いつかず、飛田さんが急遽再登場して場を繋ぐ。しかしこのトラブルでさえ、幾度となるアクシデントを乗り越えてきたRIDDLEのバンド人生を総括しているようで、なんとも彼ららしいなと思えた。そう思ったのは私だけではないようで、「RIDDLEなら大丈夫」という目には見えない信頼が会場に溢れていた。

 

そして、アンプに直でぶっ刺さった崇尋さんのギターが爆音で吠えた瞬間のフロアの待ってました感ときたら!これはいつものライヴの比ではなかった。そんな生音欲しさでカラカラに乾いたフロアに一発目に注がれたのは、美しいギターリフに始まる"iolite"。さらにそこからフロアを掻き乱す" super sonic""breathe out"と『entities』から連続披露!細かく散りばめられたシンガロングポイントや拳を振り上げるタイミングが完全に一致するフロアの一体感は、さすがワンマンライヴといった様子だ。そんなフロアのテンションを牽引するように豪快に始まった" G.D.C.P"では、将さん(Gt)のシャウトもギラギラと冴える。


 

前半中の前半である5曲を終え、「アンプ直で2 間半、やってやろうじゃねえか」という崇尋さんの意気込みに同意と気合の掛け声が上がる。この日のライヴを「みなさんのでっかい声で成り立っている」と話し、"entitiy"を披露。フロアにいる一人ひとりが≪ entity=独立体≫でも、ひとつの音楽のもとで強靭な結束が生まれるということを今日のライヴで体現したい…そんな願いが伺えるようだった。そんなただの私の深読みともいえるメッセージ性にグッときているのも束の間、勇登くん (Dr) の怒号のような強烈ドラミングから始まる"Reach to the horizon"で思考回路が一旦停止。ライヴレポの為にと後ろでじっくり観るはずが、なぜかフロア中央にいる私。あれ、おかしい。続く"Another Wish,Another Future"ではハイテンションで宙を飛んだ私。おかしいな、でも、めちゃくちゃ楽しいな。

 

さらに崇尋さんの「暑い夏がやってくるぞ!」…この言葉にパチンとスイッチが入った"Trail of Summer"。なによりこの曲で同じくスイッチが入っちゃう人、多過ぎ。フロアに詰め寄る人!バカみたいな騒ぎ!モッシュ!ダイブ!ステダイ!これぞライヴ!という景色が秒を追うごとに色濃くなっていった。

 





そんな光景を前に、俊輔さん(Ba)も「すげえな、夢みたいだな!」と感極まったようだった。活動休止を迫られた4年前と幾度の苦節を乗り越えた日々を振り返り、「みなさんがRIDDLEを聴いて感じていた、心にあるドラマを思い起こせるような夜にしたいと思います」と涙声で話した。そんな様々な想いが溢れたなかで聴く" Last Smile"の平野兄弟の絶妙なコーラスのハーモニーと哀愁漂う美しいメロディや"Across the distance"の晴れやかなメロディは、いつにも増して心に響いた。




 

そしてここで将さんのギターソロ!スタイリッシュな雰囲気で掻き鳴らされた曲は、なんと"君が代"。いつも彼の首から下げられている〈愛国〉と彫られたネックレスも、心なしか誇らしげに輝いているようだった。国家からダンスチューン"Dance with my secret" へ華麗に繋げるというまさかすぎるテクニカルプレイに驚きながら、「今日という日は我々 RIDDLEへのご褒美だから、形にして見せてくれよ!大きな声で、大きな動きで、大きな笑顔でさ!」「渋谷O-WESTにお集まりのキチガイな皆様の、光栄なる未来に祝福を!」と続けて歌われた"Kiss the future"では、その抜群の盛り上がりに「完璧でしょう!」という崇尋さんからのお墨付きも飛び出した。



 


そこから"SIREN""B.S.T.K"というフロア掻き乱し系爆速キラーチューンを連続投下!"B.S.T.K"のフロアの渦中にいると、その激しさにいつもほんのり死を覚悟するのだが、この日のフロアもえげつなかった。そんな決死のフロアに希望の光の如く注がれたのは、俊輔さん曰く「このツアーで一番育てられた曲」である" nightflight"。≪眩しいくらいの光に包まれている未来を待っているだけなの?まだ終わっちゃいないだろう≫という歌詞こそが、RIDDLEが一念発起で設立したレーベルや今回のリリース、さらには全国ツアーと、彼らが走り続けることを選んだ決意そのものを表しているのだと思う。

 


そしてここで勇登くんのドラムソロ!メンバー最年少の底尽きぬ体力から繰り出される終始エネルギッシュなそのドラムは今や立派なRIDDLEの柱になっていると確信したし、何よりRIDDLEという大好きなバンドでドラムを叩いているという純粋な喜びや楽しさが、彼の音からは溢れている。

 

 

そんな渾身のソロ中に突然始まった崇尋さんのフリースタイルダンジョンを皮切りに行われた究極の中だるみMCタイムを経て、ラルクやGLAYを目指していたRIDDLEの「 2000年代初頭のヒットナンバー」と銘打たれた" Close my eyes""Never close my eyes"さらに"any lies"と屈指の名曲ゾーンに突入!崇尋さんの口から「ロックやライヴハウスに年齢なんて関係ねえよな!」との激励の言葉に触発された年齢も性別も問わず暴れまくるフロアは、音への反射と衝動だけで生まれた純粋無垢な空間だった。さらにツアー中では披露されなかった" drive me crazy"を投下!イントロの時点から醸し出される名曲感を一切拭うことなく進行していく抜群の哀愁メロ、《このサウンドに狂っちまえ》という強気な歌詞のとのバランスが最高に映える名曲だ。

 


そしてここで、俊輔さんが所属するバンド・Quintからキーボードの山口茜さんがゲストプレイヤーとして登場!『entities』収録の珠玉のバラード"Tommorow"が初披露された。さらにその後もピアノの旋律がアクセントとなる" Sonority""ring ring lonely winter"が演奏され、フロアの雰囲気は一気に聴き入るモードに。こうして改めてバラードを聴くと、RIDDLEの楽曲の幅広さには感嘆の声しか出ない。俊輔さんの温かな人間味やロマンチストな面が活きるバラードは、耳触りも柔らかく抜群に心地良い。彼は一体どれだけの引き出しを持っているのだろう、才能は底なしなのか…そんな疑問さえ浮かんでくる。

 

 


MCではツアー中に携わった仲間への感謝を告げ、「2016427日のクライマックスを始めようぜ!」との掛け声でいよいよ後半戦となるのだが、ここからがまさに殺人ブロック。なんといっても一発目の" soldiers,avengers"の文句なしの格好良さ、抜群の破壊力たるや!しかもこの日はゲストコーラスでAzamiShionさん、TRIBAL CHAIRHirokiさんという、地元埼玉を代表するレジェンドモンスターヒーローと若手筆頭モンスターヒーローが登場するという、まさにアベンジャーズ状態。さらに間髪なくぶちかまされた" Lost and found""MISTAKE"、「綺麗ごとと、パワーコードと、ツービートだけのメロコアなんてウンザリなんだよ!メロディを聴かせろ!ハーモニーを聴かせろ!」と叫ばれた"H&S"!脳天ぶち抜かれたようなそのライヴアクトに、もはや言葉を失う。


 


その上、この曲が始まらなきゃRIDDLEのライヴは終われない本名曲"Accelerator"とくるもんだから、息つく間なんて一瞬もない。今までの盛り上がりがまるで序章だったかのように感じられるほどの怒涛の追い上げを見せると共に、フロアはもうめちゃくちゃ。暴れるわ飛ぶわ倒れても起き上がってまた暴れて飛ぶわ…なのに誰一人辛そうな顔をしていない、超絶ピースフルな空間なのだから不思議だ。

 

しかも楽しんでいるのはお客さんだけではなく、ライヴを観に来たバンドマンも同じようにフロアでもみくちゃになっているのだから凄い。RIDDLEを愛しているという気持ちをネット上の発言や上辺だけの言葉ではなく、フロアにて行動で表す仲間との関係性、大一番のド級のキラーチューンで崇尋さんのギターを預けられた Northern19の笠原健太郎さんを代表とする仲間への信頼、曲中でいきなり集合写真を撮ろうと提案する奔放さ…そんなRIDDLEのアクションひとつひとつが、今日という特別な空間を作る礎になっているに違いない。

 


 

集大成という言葉に相応しいアクトの数々を目の当たりにしてきた会場の「終わりたくねえな」という想いを、俊輔さんが代弁してくれた。

そしてラストは「大好きなメンバーと別れて、大好きなレーベルと別れて、それでもRIDDLEを続けると決めた俺たちの始まりの曲で終わります」という俊輔さんのメッセージから、"Open your eyes"の《ああ 誰かは背を向け 誰かはここを去った 今 君がここに残るからこの歌は生きてる》の大シンガロング。感情移入しようものなら涙しか出てこない、そんなとびきりの想いに溢れた感動のラストだった。

 





本編のみで32曲。この時点で驚異の曲数だが、それでも聴き足りないフロアの声に呼ばれて出てきたRIDDLEは、この日来場者限定特典として無料配布した新曲"Lights Alights"を披露!高速ツービート、速さで終わらぬ至高のメロディ、シンガロング、突き抜ける日本語詞…という、まさに RIDDLEの十八番の結集体。

全国ツアー中にレコーディングをし、さらに無料で配布するという、利益や手間を考えたら絶対にやらないようなサプライズ。それも全て、「自分たちを信じて待っている人がいるから」という想いが彼らを突き動かした結果だろう。これだからRIDDLEのファンはやめられない、こっちが用意した期待なんて簡単に超えてくる。

 

そんな彼らは「これからも俺たちを、俺たちの地元・北浦和を、俺たちの仲間を、みなさんの手にかかってるインディーズシーンを宜しくお願いします!」という約束と共に"Mistery""Starfield"を渾身の想いで掻き鳴らした。


そして「皆の街に帰って、皆の隣にある音楽、皆の隣にいるミュージシャン、皆の隣にあるカルチャー。そういうものを皆の力でフックアップしていければ、必ず俺たちのシーンが来ます。その時はもっとでかい舞台で会いましょう。埼玉県北浦和RIDDLEでした」というシーンへの宣誓を残して、この夜を堂々と締め括った。

 


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何十、何百、何万と繰り返して言いたいのは、「RIDDLEのライヴを観てほしい、いや、観ろ」ということだ。CD不況、ライヴハウスの減少、似たり寄ったりな音楽…そういう発言は彼らライヴを観てから言ってほしい、全てひっくり返されるから。

 

インディーズシーンもメロコアというジャンルも、まだ終わっちゃいない。RIDDLEが本気で変えようとしているのだから 、こちらも本気で関わっていきたい。

 

RIDDLEを知らずしてインディーズを語れず。

今のRIDDLEに刮目せよ。



 



 

 

■セットリスト

01. iolite

02. super sonic

03. breathe out

04. Heartstrings

05. G.D.C.P

06. entity

07. Reach to the horizon

08. Another wish,Another future

09. Trail of Summer

10. Last Smile

11, Across the distance

12. Dance with my secret

13. Kiss the future

14. SIREN

15. B.S.T.K

16. nightflight

17. Blue

18. Close my eyes

19. Never close my eyes

20. melt with you

21. D.F.D

22. any lies

23. drive me crazy

24. Tomorrow

25. Sonority

26. ring ring lonely winter

27. soldiers,avengers

28. Lost and found

29. MISTAKE

30. H&S

31. Accelerator

32. Open your eyes

 

アンコール

33.  Lights Alights(新曲 )

34.  Mystery

35.  Starfield

 

photo】 SARUYA AYUMI




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ついに、RIDDLEが動き出す


けれど止まっていた訳ではない。4年間大きなリリースこそなかったが新曲は披露されていたし、その間もずっとライヴは続けていた。なんならワンマンツアーすら行っていた。リリースしなければツアーはでき  ないなんて通例は彼らの前にはないというより、いらないだと思う。臆することなく、我が道を突き進む RIDDLEこれぞライヴバンド。かっこよくないわけがない

 

そんなRIDDLE1111日に5 枚目となるフル・アルバム『entities』をリリースする。念のためもう一度言うとRIDDLE 、遂に、やっと、念願の、アルバムをリリースする正直あと100回は言いたい。さらに  盤への愛情と執念」の一念発起で立ち上げた自主レーベル「LIGHTS ALIGHT」からの第1弾作品と なる本アルバムのお披露目会として、東名阪3ヶ所で自主企画「  LIGHTS A NIGHT」が行われた。前置きが長くなったが、一ファンとして全公演に ったが、ファイナルである新宿ACB公演のライヴレポートを中心にその感想を綴ろう と思

 

簡潔に言うと、最高だった

 


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フロントマンである崇尋さん(Gt/Vo)が、大阪で活動するEDDY をゲストに迎えてのツーマンという形で行われた東京公演を「リリースを4年もできなかった不遇の三十路バンドのツーマン」と紹介していたが、その迫真のライヴアクトを観て、彼らが不遇だとはどうしても思えなかった。むしろこんなライヴができるならこの4年間は絶対に必要な時間 だったのではないか、と さえ思った。

 

この日の先攻どストレートな日本語ロックバンド・EDDYが放つ言葉の数々 受け止めるのに必死で立っているのがやっと。歳を重ねるにつれて真っ直ぐな歌詞に弱くなるなぁなんて思いつつ、一言も聞き漏らさないように涙ぐみながらステージを観ていた。この時点で、冷房が入っていない過密のフロアにいる  オーディエンスの顔は、涙なのか汗なのか分からない水滴まみれの状態に。私の化粧もすでに崩壊。

 

そんふたつの意味で激アツになったフロアに現れたのは、後攻にして本日の主役であるRIDDLE。4人が現れたときのその表情を見た瞬間に、身体が警告を発したのが分かった。「あ、これはやばい」 …それも時すでに遅し、警鐘の如く爆音で始まった"H&S"で幕を開けた4人に、フロアも本気で迎え撃った。ライヴ会場限定リリースであったにも関わらず、フロアにいた全員から感じられた「待ってました」感! さらに" Love and death "" Reach to the   horizon"を食らったオーディエンスの喜びようったら、思い出すだけでにやける。鳴らされる音楽に瞬時に反応して、本気でぶつかりあい、本気で飛び、本気で喜ぶ人で溢れたその光景には、怖いとか危ないなんてネガティブな表現は似合わなかった。「これこ そがライヴだ」と改めて思えたし、そんなフロアを作るRIDDLEの音楽に感服しきりだった。

 



今回の企画3ヶ所で演奏されたのは、新旧合わせて合計89曲。その時点で異常な数だとは思うが、この日はさらに" depature"とファン大歓喜の初期曲も飛び出した本当にRIDDLEのサービス精神 は頭が上がらないし、何をしたらフロアが喜ぶかを知っていなければこんなセットリストは絶対に組めない。理解はしていても、練習時間や大人の事情云々の関係で 実際にはしないバンドは多いはずだが、  RIDDLEに至ってはそこの躊躇いが一切ない。それはRIDDLEが何よりもライヴに重きを置いているから成し得る行動だと思うけれど、それにしたって異例だ。だからこそ、 彼らのライヴには他にはない絶対的信頼感がある。「いつだって最高のライヴをしてくれる」そんな想いが全員で共有されているからこそ、RIDDLEのフロアは激しくも心地が良いのだろう。




 

そんなな突然勇登(Dr)  のスネアドラムが破けるというアクシデントが発生!こういう非常時は他のメンバーがトークで場を繋げるのが通例だと思うが、RIDDLEに至っては「ありがとうございました!」との崇尋さんの一声でメンバー全員が袖に引くという異例の展開 () そこでピンチヒッターで現れたのは、この日の前説も務めたRIDDLE  の友人、タクシ―ドライバー兼バンドマンの飛田さん。場繋ぎから曲振りまで任されるという無茶な要求を見事()にこなし、「お詫びにセットリストにはなかった曲を」と演奏された"B.S.T.K "でライヴ再開! 爆音高速殺人チューンが聴けるなら、ライヴ中断というハプニングもまさに一害あって百利あり!バンドからの粋な計らいにフロアも爆発的な盛り上がりで喜んだ。

 




そして、発売前の『entities』からも新曲を続々披露。この日はアルバムの1曲目を飾る  超絶メロディックなハイスピードナンバー"supersonic"のミュージックビデオ撮りも事前にアナウンスされていたので、フロアにも気合が入る。さらにディスコビートを取り入れたダンスチューン" D.F.D"ではそのタイトルに込められた意味も告げられ、北浦和のバンド仲間を想うが故の粋な楽曲にフロアもテンションが上がっていた。この日俊輔さん(Ba  ) も話していたが、RIDDLEのライヴを観ていてつくづく思うのは、その日初披露の新曲であろうと旧曲であろうと同じテンションでフロアが盛り上がることだ。これは稀有な例だと思う。新曲だと少なからずオーディエンスの躊躇いが垣間見えるものだが、それが驚くほどない。それは楽曲が持つ浸透性もあると思うが、ただ単に曲が良い以外に理由がない 。結成13年目を迎えるベテランバンドのメロディメーカー、一切腕落ちすることなく最高ランクを 保ったまま健在している

 



そしてRIDDlEといえば、平野兄弟の息の合ったMCも魅力のひとつ。この日はリリース全国ツアーの工程の話で、崇「北は…北浦和?」俊「南は…南浦和?  ()はい、イオンを中心に回ります」なんて絶妙なコンビネーションで会場は爆笑の渦に。そんななか、崇尋さんが今回のリリースや自主レーベルの旗揚げについて「つまんない人気バンドもたくさんいるし、悲しい事に死ぬほどカッコいいのに無名なバンドも沢山いる。ここにいる皆1人1人が「自分達がシーンを造っている」意識を持って、声を上げていけばそうゆう風潮を変えていけると思う。」  と正直な気持ちを話した。

歯に衣着せぬその言葉は、あらゆるライヴで聞くフロントマンの「愛してる」の言葉の何百倍も、音楽に、フロアに、そして同じ思いを抱く仲間に対する愛を感じさせるものだった。 それを言える RIDDLEが単純にかっこいいし、「みんなのヒーローでいたい」という俊輔さんの言葉通り、まさにヒーローだ。それはきっと、私だけが思ったのではなあの場にいた人が全員そう思っただろう。これからの音楽シーンには彼らが必要だ、と。彼らなら変えてくれるはずだ、と。 

 

 


そしてライヴはいよいよ終盤戦へ。

鋭く光りながらフロアを挑発する崇尋さんの眼や、常に笑顔を絶やさずもフロアにダイブをする俊輔さんのダイナミックなプレイ。そして、ステージ上で一番高い特等席からフロアを見渡す勇登の顔を見るとつられて笑ってしまうし  (この足に付けていたミサンガが切れた!と喜々として報告する勇登を、崇尋さんが「へぇ」の一言で一蹴する場面も面白かった)、将さん(Gt)  のアクロバティックな動きと同時に進行する細やかなギターテクの数々には終始目を奪われた。





 


そんな個々人のプレイにも拍車がかかるなか、眩しい星空を彷彿とさせる煌びやかなナンバー"Starfield"や、「未来に祝福を!」の言葉に始まった"kiss the future "、さらに永遠の十八番"Accelerator"を経て、ラストは"nightflight"大円団状態で 本編の幕を閉じた


ファイナルの幕開けと幕閉めに未リリースのアルバム曲をぶち込んだ強気なセットリストからは、 アルバムに対する自信が溢れていた。東名阪3ヶ所で披露した新曲は、実にアルバムの過半数。名曲揃いの旧曲に決して負けない絶対的な存在感を見せつけた。



 

 

鳴り止むはずがない拍手と呼び掛けに応えて4人が再度ステージに戻ると、中盤で撮った"supersonic"での盛り上がりに物足りなさを感じたとのことで、ここでまさかの"supersonic  "2連発!「俺たちは取れ高がほしいんだ!」との堂々たる宣言のもと、ステージダイブありフロアダイブありモッシュありの大乱闘状態のフロアは今までにない大混乱。それはまさに地獄絵図…私もその渦中にいたが、てんやわんやすぎて細かくは覚えていないので、完成された映像を心待ちにしようと思う。




そしてそんな状況でも、「最前列の女の子もさ、もっとダイバーを支えてやってくれよ!危ねぇよ今日」と本気で怒る崇尋さん。こんなこと言えるフロントマンは、いくら考えてもこの人しか思い当たらない。言えないよ普通。


そこから新曲"entity"を披露し、ラストはとびきりのダンスナンバー"mystery"  で終焉!アンコール含め24、ステージもフロアも、全員が満身創痍で終え切った。

 


そしてこれが、リリースツアーのファイナルではないということを忘れてはいけない。この企画は序章に過ぎず、RIDDLEの本当のスタートはこれからだ。こんなにわくわくすることなんて滅多にない、最初にも言ったけれど、遂に  RIDDLEが動き出すんだ。

 

よそ見をしている暇なんてない、これからのRIDDLEを絶対に、絶対に見逃さないでほしい。なにせまだ、リリース前なのだから。


彼らが日本の音楽シーンに砲撃を仕掛けるのは、11月11日。心して待て。

 

 



 photo by ayumi saruya



■セットリスト

2015.10.
LIGHTS A NIGHT 3 新宿 ACB
w/EDDY

H&S 
love&death  
reach to the horizon 
another wish another future 
word 
heartstrings 
any lies 
departure 
BSTK 
SWEET PAIN 
supersonic(新曲
D.F.D(新曲)
cause I feel 
close my eyes 
starfield  
say a little prayer 
siren 
kiss the future 
mistake 
accelerator 
nightflight 

EN 
supersonic×2 
entity(新曲)
mystery 

 

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これは最高傑作だと確信した。


新しい新譜が出る度に必ずと言っていいほど謳われる「最高傑作」という言葉を個人的に倦厭してきた。その時点で最高傑作という自負がないような作品ならばきっと世には出ないだろうと、次作ではまたそれが最高傑作と謳われ更新されるのだと思っていた。
しかしBIGMAMAの『The Vanishing Bride』に関しては、次作でもこのアルバムを超えることは難しいのではないかと思う。BIGMAMA自身がこのアルバムの完成度を超える時が想像出来ない。それくらい完成されたアルバムだと感じた。

まず今作を聴いて感服したのは、収録曲のバランス感、そしてBIGMAMAの今までの歴史を物語るかようなテーマ設定の秀逸さだった。

アルバム収録曲全14曲中の半分は、シングルA面やカップリング、さらには前作のコンセプトアルバム『Roclassick2』の収録曲を含めた既存曲で構成されている。収録曲を公表した時点から「既存曲が多いのでは?」という意見は少なからず耳にしていたし、それらはBIGMAMAのファンであるからこその意見であり、新曲を多く聴きたいと思うのはもっともだと理解していた。
しかし、今作の中で聴くその曲らは全く違う響きを持っていた。それはただリミックスが加えられて音幅が拡がったということではなく、このアルバムを完成へと導く為の布石だったとすら思えるほど、発表時とは異なった意味合いを含んでいると言える。

そのような一曲二役を演じることのできる力量を持ったBIGMAMAの音楽の特徴として、金井政人という脚本家兼監督が描く映画的世界がある。
聴いた途端に脳内で数分間の短編映画が上映されるような曲を産み出す金井の才能が、今作で遺憾無く発揮されている。アルバムを最初から最後まで聴き終えた瞬間に、14話の短編映画が「消えた花嫁」というテーマの下でひとつの長編映画へと壮大な変貌を遂げるのだ。
シリアスでエッジの効いたオープニングとロマンチックなピアノとヴァイオリンの調べ、ポップチューンの音粒の煌めき。そして折り重なるコーラスと美しくもどこか哀し気なハーモニーを経て最後に語られるのは…?そんな感情の高揚を駆り立てる楽曲が詰め込まれている。
一曲足りとも飛ばすことが出来ない、その曲順に至るまでが緻密に構成されている。

そして、今作のテーマとなっている「幸せと不幸せ」、そしてM-5の‘‘Frozen Diamond〜漂う宝石〜’’の歌詞にある《どんなに高価な宝石も 誰かにとっては石ころで》という「宝石と石ころ」の二択。さらに遡ると、1stフルアルバム『Love and Leave』は「愛と離」という二極のタイトルのもとで作られている。
そういった究極的な二面性は、結成当初から現在に至るまで BIGMAMAというバンドのアイデンティティを一貫して支え続けているものなのではないだろうか。
そしてそこに必ず存在する意図は、どちらを選ぶかは「全て自分次第」だということ。そして彼らは、自分たちの音楽を選んでくれる人を全力で幸福な未来へと導こうとしていることだ。

このアルバムを宝石だと思うか石ころだと思うかは、全て聴き手であるあなたの感性や趣向に委ねられている。逆に言えば、石ころだと思う人を切り離すBIGMAMA側の覚悟も垣間見えるし、大切なものを真剣に愛する為にはそれほどの覚悟を持たなければ成し得ないというメッセージにも取れる。

《偶然は無い すべては自分次第》( M-4 ‘‘A KITE”)
『The Vanishing Bride』というアルバムを手にしたのは自分の意志。
偶然×偶然は運命だが、そこに自分の意志をプラスすれば必然になり、育んでいけば当然になる。
そんな積み重なる彼らとの「然」を大切にして、これからも共に歩んでいきたいと思える名盤。

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